「さて…取り敢えずこの場で食うのはアンタだけど、他に何か食べたいおかずは?」
「そう言われても…この国の…それも現代の料理なんて分からないわよ…」
聞けば現在、葛木は病院で入院中らしい…と言っても、自分の腕に自信がある訳じゃ無いけど…アレ以上、医学的に手をつけるのは正直難しいだろうと思う…
「…それもそうか、じゃあ和食の基本に従って一汁三菜と行こうか。」
「いちじゅうさんさい…?」
「メインとなる飯に、おかずが三品+汁物って事だよ…要するにスープだね。」
「そう言えば…アンタいくら稼げるって言っても、今はほとんど文無しだろ?この野菜や味噌…一体どうしたんだ?」
「……貰い物よ。」
「……もしかしなくても…魔術、使ったな…?」
「悪いの?」
「…この時代で生きていたいなら控えた方が良いな…そもそも、今は神秘が不足してるだろうからアンタの事に現代の魔術師が気付いたら全力で媚び売るか、相打ちも覚悟でアンタを始末しに来る…余計な足枷が着くのも、血なまぐさいのも嫌だろう?」
「……じゃあ…どうすれば良いのよ?」
「…魔術が使えるなら応用は利く、いくらでも稼ぐ方法はあるさ…」
そんな事を言いながら、キャスターに切らせた(ぬいぐるみの手じゃさすがに不味い…)豆腐とワカメを水の入った鍋に放り込み、コンロの火をつける。
「沸騰…鍋の水が泡立ち始めたら火を止めて、おたまで掬った味噌を鍋に投入して、箸で混ぜて少しずつ溶かしていくんだ…あ、これに関してはしっかり混ぜて良いぞ。きちんと混ぜないと溶け残るからな。」
味噌を溶き終わり、また火をつける…
「さっきとは違って…確か、煮えばなとか言ったかな…?出来るだけ沸騰する直前に火を止めるんだ。」
……僕がそう言ってしばらくすると泡がプクッと浮いて来た…火を止める。
「…で、ここに更にアンタが切った長ネギを放り込んで味噌汁は完成だ。」
「残りは…?」
「…卵はともかく後は野菜しか無いからな…おひたしと和え物にしよう…さっきの卵焼きと合わせてコレで三品。」
「さっきのネギの残りを醤油とごま油かけて満遍無く混ぜる…和え物は取り敢えずコレで完成。」
敢えて多めに切らせたからネギはまだ有る、次。
「さっきの味噌汁とは違う鍋に水を入れて沸騰したところでネギを入れる…ネギが湯に浸かって柔らかくなって来たら混ぜて水を捨てる…」
そう言って流しに置いたザルに鍋の中身を流す……何か知らないけど、調理器具は大体揃ってるねぇ…
「コレをさっき和え物でやったみたいに、混ぜるんだ…さっきとは違って醤油と砂糖、それに塩を混ぜる……完成。」
「さっきまでのとは違って…随分簡単なのね…」
「お手軽な料理も有るって事だよ、それに…質素にも見えるけど一手間加えれば良い感じに見えて来る…要するに美味い不味いは先ずは二の次。結局食べる奴の事を考えて何を作るのかが大事なんだってさ……衛宮の受け売りだけどね。」