堕落したブラウニー   作:三和

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一体どうやって調べたのかは知らないが、蒼崎橙子は俺の通っていた高校の現在の授業の進み具合は把握していた…

 

「藤ねぇが口利きしてくれたから既に留年は確定してるんだが…こんな焦ってやらねぇとならねぇのか?」

 

「いや、ハッキリ言うが今のお前の状況だと先にペース上げて、加えて本気でやらないと間に合わん…お前、来年も二年生やる気か?」

 

「二回も留年するくらいなら学校なんてやめ「例の藤村嬢曰く…『やめるとか言ったらウチで働かせる』…だそうだ。」……マジか?」

 

ツーっと首の後ろを汗が垂れて行く…正直、下手な魔術師より雷画の爺さんの方がおっかねぇんだよなぁ…

 

「ま、私も話に聞いた程度だが…少なくともあまり学が無くてもどうにかなる世界だと「いや、分かった…真面目にやる」…ほう?」

 

「俺がアーチャーとした契約は俺の体質柄も有ってだな…もう一種の呪いみたいなもんなんだよな…ま、とにかくだ…俺にはマジで時間がねぇんだよ…」

 

「?…と言うと?」

 

蒼崎橙子が例のタバコを咥え、火を着けるのを見つつ俺は口を開く。

 

「……デミ・サーヴァントって言う存在の話を聞いた事は有るか?」

 

「…噂程度には覚えが有るな…要するに人間の身体に直接英霊を降ろし、融合…英霊の力を持った人間の事だろう……まぁ、大抵は英霊の霊基に人体が耐えられず肉体の方がそのまま死んでしまうとも聞いているがな…」

 

「…成功例が居ると言ったら「お前の事か?」…俺とアーチャーはほぼ同一存在だ、拒絶反応も元々それ程出ない事になるな……本来なら。ちなみに、とある平行世界にはちゃんとした成功例が居るらしい…」

 

「…平行世界での成功例については気になるが、今はやめておこう…本来なら、とはどう言う意味だ?」

 

「…いや、俺はもう人間じゃないんだぜ?肉体情報の大半が一致しねぇだろ。そして、当然魂の方も変質してる…」

 

蒼崎橙子がポケットから携帯灰皿を取り出して咥えていたタバコを口から抜き、何に苛立ってるのか知らんが何度も執拗に押し付けて火を消す……いや、さっき火着けたばかりだろうに。

 

「ちょっと待て…それが本当ならば、何故お前は拒絶反応が出ていない?」

 

「……出てないと思うか?」

 

「何…?」

 

「実は今この瞬間もずっと拒絶反応出てんだよ、向こうが俺の身体を奪おうとしてな。」

 

「!…大丈夫なのか?」

 

「さぁな…時折身体の中を異物が這い回る様な感覚は有るが、普通に我慢出来るレベルと言うか…そもそも俺は少し前から身体の感覚色々薄いしな…痛みとかも含めてほぼ何にも無い。」

 

と言うか、普通デミ・サーヴァントって言うのは呼び出して正式に契約した奴にしか英霊を降ろせない。俺の場合、融合相手は守護者だ…アイツ自身が同意の上でも、本来は抑止力の方が許容しない筈だろう…ま、実際は向こうからの妨害が無いようだから…幸い異物感だけで済んでるが。

 

「……」

 

「口出し無用だ、ちなみに俺の身体は作らなくて良いぜ?多分…俺はこの身体から出たら今持っている力の大半を失うだろうしな。」

 

「本当に…」

 

「ん?」

 

「お前は…本当に、それで良いのか?」

 

「ああ、構わねぇ…もう決めたからな。」

 

「……」

 

「ほら、授業再開してくれや……藤村家で働くのなんざマジで御免だからな。」

 

「…分かった、本当にお前が良いなら…私からももう何も言わない。」

 

「助かるぜ…」

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