「ふーん…?それで?お前は長くても後一年の命って言われたと?」
「ああ…まぁ、アレが単なる夢って事なら良かったんだけどな…」
「…ハァ…ま、その夢が本当かどうかは僕としては半信半疑だけどさ…後一年くらいって事に関しては、僕も同意見かな。」
「…やっぱ、そうなのか?」
「より正確に言えば…ここ半年くらいからお前の病状、厳密には既存の病名もハッキリ付けられる状態じゃないし…きっと魔術知識ゼロのその辺の医者なら原因不明とだけカルテに書いて匙投げるだろうけどね…とにかく、聖杯の呪いが大元の原因と思われるお前の身体のダメージ…その進行が少しだけど緩やかになって来てる…確かに、アーチャーのお陰なんだろうな…全く、これでもお前の為に医学を学んだのに助けられないんだからな…さすがに、自信も無くすよ。」
「そう言うなよ、やっぱりお前は天才だ。俺が世界を回ってる間、十年弱か?そんな短い時間でここまで漕ぎ着けたんだからな…」
「…少なくとも何だかんだ金には困らなかったからね、もちろん…パトロンにはちゃんと後で全額返したけど。」
「"母親"だろ?」
「…母親ねぇ…親孝行しようにもあいつはその気になれば僕より遥かに長い時間若い姿のままこの世に留まれそうだし…まぁ、生憎葛木もお前よりは長いとは言え確実に早死にだから…居なくなったら、あの女は速攻座に帰りそうだけど。」
「呼び捨てやめろよ、"父親"なんだろ?」
「お前からそう言う常識説かれると何か…気持ち悪いな。」
「あん?親はろくでもない奴じゃないなら敬うもんだろ?」
「お前な、自分はどうなんだよ?」
「切嗣は正直、イリヤは元より俺の親としても割とろくでもないしなぁ…まぁ、それでも…一応育てて貰った恩は有るけどな。」
「…衛宮切嗣に拾われる前…実の親については、結局何も思い出せず…か?」
「ああ。今日まで何も、な…多分、最期の日もそうだろうよ。」
「…そうか…もうやめよう、この話は不毛だ。」
「…そんな浮かない顔すんなよ、俺が居なくなればお前は医者としてその手腕を存分に発揮出来る…モテモテだぞ?」
「冗談…今更、僕はお前以外に興味なんか無いよ…さっきも言ったけどこの知識も技術も全部…お前の為に身に付けたんだ…お前が死んだ後は、もう使う気もない。」
「…ふぅ…ホント、昔に比べて変わったよな…お前…」
「お前に言われたくない…一番変わったのは、お前だろ?」
「…俺が?そんなに、変わったか?」
「死ぬのが怖い…寂しいって、言える様になっただろ?」
「…結局、意地っ張りだったのはお互い様ってか…」
「そうだな…安心しろ、僕は最期までお前の傍に居るさ…例えどちらを選んだとしても、眠る瞬間をきちんと見届けてやるよ。」
「ああ…」