「ねぇ……何なのこれ?」
「何って…見ての通り酒瓶だが?」
「……これから敵の本拠に乗り込もうって話をしてるのに……景気付けにしても多くない…?」
俺は今大きめのリュックに酒瓶を詰める作業をしている……柳洞一成にかかっていた魔術はサーヴァントキャスターがかけたものと判断しこれから奴の住む柳洞寺に向かう所なのだが……こんな時に信用が減るのは宜しくない。一応説明を入れるか。
「本拠かもしれない…程度だからな、まだ?…こいつは飲むためじゃねぇよ。」
「……じゃあどうするのよ?」
心底不思議そうな顔をする遠坂。……そうか。こういうのは真っ当な魔術師には想像しづらいのか。
「お前火炎瓶って知ってるか?」
「……何それ?」
……一般常識と宣うつもりは無いが知識としては割と知ってるものだと思うが……
「お前宝石のストックは?」
「……悔しいけどあまり無いわ。誰かさんのお陰だけど。」
ジト目の遠坂。
「しゃあねぇだろ。あのタイミングでの襲撃はさすがに予想出来なかった。文句ならイリヤに言いな。……まあ今のイリヤの状況じゃ補填も出来ないだろうが。……話が逸れたな。火炎瓶ってのはだな、簡単に言えばあれだ……簡易的な爆発物だ……」
「これに私の使う宝石魔術やあんたが良くどっからか出してる爆弾クラスの威力があるの…?」
「こいつにはアルコールじゃなくて灯油が入ってる。こいつに瓶口から紙を突っ込んでその紙に火を着けて投げ付けて使うんだ。……さすがにお前が言ったレベルの威力は無いがなかなかの威力だぞ。まあ魔力等の節約だな……神秘を含んで無いからサーヴァントにはほとんど効果が無いだろうがキャスターの工房にかかってる魔術によっては打撃を与えられる。……それに建物が火事になればマスターはどうなる……?」
「……あんた、本当に魔術師?」
「俺は魔術使いだ。切嗣の教えだが……律儀に魔術戦を挑む魔術師に付き合ってやる必要は無い。自分の得意な土俵に持ち込むのが賢いやり方だ。……つーかこれは戦争だぜ?お行儀の良い戦いなんざやってどうすんだよ?おまけにこの方法での襲撃なら神秘の漏洩は無い。こいつは魔術によらない武器だからな。」
付き合ってられない。と言いたげな遠坂に言ってやる。
「それともお前は正体不明のキャスターに正攻法で真っ向勝負を挑む程愚かだったりすんのか?」
「……言ってくれるじゃない。良いわ、乗った。私にも一本寄越しなさい。」
「…取り扱いには気を付けろよ?万が一手に持った状態で火がついたら簡単には消えねぇからな?」
俺はライターと酒瓶を遠坂に渡した。
……まあキャスターの実力次第ではこんな準備自体無駄なんだろうがな。