「チッ!あんたちょっとしつこいぜ!?俺は追われるより追い詰めて食う方が性に合うんだけど!?」
「この状況でそんな口叩けるたぁ上等だ!そこまで言うなら追われる良さを俺が教えてやるよ!」
「魅力的な誘いだが目的が俺の貞操じゃなく命なら拒否させてもらう!」
土蔵にそのまま行けばサーヴァントを召喚する前に殺られる。先程から障子戸を破壊し敢えて外に飛び出したり壁や天井を走ったりと屋敷をグルグル回っているが一向に奴との距離が離れる様子が無い。
「……あ~!しつけぇな!」
仕方無く俺は部屋に飛び込むと追って来た槍使いに投影したダイナマイトにライターで火を着け投げ付ける。
「ハッ!バカの一つ覚えか!」
奴はそれを槍で反らす……瞬間既に投影し、火を着けていたもう一本を持ったまま全速力で突っ込む。
「…んなっ!テメェ!」
直ぐに槍を戻し振りかぶろうとした所に爆発寸前の奴を投げつけスライディングで奴の足元をすり抜ける
「……グフッ!」
爆風で吹っ飛ばされながら部屋を転がり出る。受け身を取りきれなかったせいであちこちを擦りむいた上に背中に火傷を負ったが知らん。どうせ直ぐ治る。無理やり立ち上がり走る。……どうせ足止めにもなってないだろうが少しは時間を稼げたと思いたい。
「有った!」
土蔵に辿り着き魔方陣を探し出した。後は召喚をするだけだ……呪文は……!
「……鬼ごっこは終わりか?坊主」
「あの爆発で無傷かよ。ダイナマイト二本分の火力だぞ?」
全くの無傷で現れた青タイツに悪態をつく。
「……悪くねぇ策だったがな。とっさに結界を張らなきゃ俺も無傷じゃあすまなかったぜ。しかし咄嗟の判断はともかく相手は無傷で自分は重症じゃ……あん?」
奴は俺を見て訝しげな顔をする。……そりゃそうか。
「……坊主、テメェ傷はどうした…?治療魔術を使ったてんならまだしもお前はそんなことした様子はねぇ。第一あれほどの重症がこの短時間で治るわけねぇ。そういやさっきからやってる魔術も変だったな。お前さっきから使ってる武器は何処から出してやがった?」
「さ~てね。知りたかったら俺と「もういい。」そうかい。」
「テメェはどうやら俺と接近戦をする実力は無さそうだ。手品の種は気になるが結局は普通の魔術師と何も変わらねぇ。どちらにせよもうテメェに逃げ場はねぇ。詰みだな」
奴はゆっくり俺の元に近付いてくる。
「この狭い場所じゃああの爆発は起こせねぇ。んじゃ、今度こそ終わりにしようぜ。」
今しか無い。今やらなきゃここで殺される。まだ殺されたくねぇ!
「……くそっ!もう誰でもいい!来い!」
呪文は思い出せねぇし完全に賭けだが…それも悪くねぇ。何もせず死ぬよりマシだ!
俺は魔方陣に魔力を叩き込んだ。
「……くっ!」
余りの眩しさに腕で目を覆う……やがて光が収まったのを感じ腕を退け目の前を見据える
「……坊主、テメェマスターだったのか?」
「……」
「そう殺気立つな。マスターから呼び出しだ。俺ぁ帰るわ。命拾いしたなあ、坊主」
「次は寝てくれねぇか?」
「……お前が俺を倒せたら考えてやっても良いぜ。じゃあな、セイバーのサーヴァントのマスター」
「!…逃がすか!」
「追うな。こっちはクタクタなんだ。ちったあマスター労ってくれや」
「……分かりました」
「んで?あいつの言う通りセイバーのサーヴァントで良いのかい?」
「……はい。貴方がわたしのマスターですか?」
「ああ…名は衛宮士郎。あんたは?」
一瞬俺の名に反応した気がした。何だ?
「シロウですか。私はアルトリアと言います」
「アルトリアか。この戦争が終わるまでだが以後宜しく頼むわ」
俺は立ち上がりながら左手でケツを払い埃を落とし右手を差し出す。しばらく俺の手を不思議そうに見ていた彼女はやがて俺の手を掴んだ。
「ええ。宜しくお願いします」
「……ところで…アルトリアだったか?」
「はい?何でしょう?」
「……今夜俺と寝る気は無いか?」
「!…ふざけないで下さい!」
「!…剣を振り回すなよ。冗談だ、冗談。」
「……次言ったら当てますよ」
男なら無理矢理犯しても良いが女じゃあそういう気になれねぇなぁ……まあ諦めるには惜しい美貌だ。聖杯戦争終わるまでには食ってやるさ。