「客、だな……」
かなり急いでこの家に向かって来る者がいる
「一般人な訳ないよなぁ……」
少なくとも通りすがりとかでは無いだろう……
「……セラが部屋に戻って来る……」
鉢合わせすると面倒だ。俺は立ち上がり部屋の窓を開けると外に飛び出した……
「せっ、先輩……」
「……意外な客だな。」
外に出てみればそこには桜がいた。
「遅くにすみません。中に入れて貰えませんか…?」
「……構わないが、何の用だ?……マキリ・ゾォルケンさんよ。」
そう言うと桜の雰囲気が明らかに変化した。
「小僧、何故分かった?」
「カマかけただけだよ。まさかあっさりバラしてくれるとはな……で、ご用件は?」
「決まっているだろう。貴様の手には小聖杯があるだろう?儂に渡してもらう。」
「生憎、俺は極上の女を簡単には渡さねぇの「桜は儂の手の中だ。この意味が分かるな?」……ハァ…」
俺は剣を投影すると桜の首に突き付ける。
「!…貴様!」
「桜や慎二から聞いてねぇのか?俺はそんなにお人好しじゃねぇぞ?つーか俺は桜から自分のせいで俺や慎二に迷惑がかかる事があったら何時でも斬り捨てて構わないと言われてんだよ。」
これは事実だ。……慎二には恨まれるだろうが正に今がその時だろう。
「フン。そんなハッタリを…!」
俺は剣を軽く横に動かす……桜の首筋が少し切れ、血が流れる。
「きっ、貴様!?それでも人間か!?」
「あんたみたいな妄執だけで百年以上生きてる奴に言われたくねえんだけど?……まあ俺を人間と定義するのは難しいわなぁ?」
「ぬぬぬ!」
俺は視線を少し横にずらす。……ほれ、早く来い。殺しちまうぞ?
「……あんたを揶揄うのも悪くねぇけどさ、時間だわ。」
「何だと?…!」
桜は横から走って来た影に飛びつかれそのまま倒れ込む。その瞬間、俺はそいつと目が合う……
『グットタイミングだ。愛してるぜ、慎二』
『やめろ。気色悪い。』
「キャスター!」
その一言と共に見覚えのある奴が立つ……俺を睨んでないで自分の仕事をしろよ。
「破戒すべき全ての符!」
キャスターは歪な形をした短剣を慎二のせいで身動きの取れない桜に振り下ろした……
衛宮家に来たのはただの勘だった。他に思い当たる場所が無かったから……
まさかあいつがジジイの足止めをしてるなんて……!何でこんな時にあいつに借りを作らなきゃならないんだ!
「桜!」
破戒すべき全ての符を刺され暴れていた桜が動きを止めたのを見て僕は一旦離れた。
「うっ……うええええ!」
えずきながら桜が蟲を吐き出した。……やった!
「坊や!何惚けてるの!」
!…いけない!
「ほれ、使え。」
衛宮がオイルライターを渡して来る。僕は火を着けるとそのまま地面に落とした……
「終わりか?」
「……ああ。終わったよ……」
ジジイの本体の蟲に火が着く。しばらくもがいていたがやがて異臭を残し動かなくなった。
「取り敢えず上がってけよ、詳しい話を聞きたい。」
「……拒否権は?」
「さすがに認めらんねぇ。内輪揉めに人を巻き込みやがって。きっちり説明をしてもらうぜ。」
「……だよなぁ、ハア…」
僕は桜を背負いながら渋々奴の後ろに続き衛宮家に入った……