「っ!」
「…何かと思えば正面からの特攻。さっきまでと何も変わらんな…」
奴の呆れ声と共に拳を捌かれ、同時にカウンターの拳が叩き込まれるのを見逃す…見える。魔術の補助があるならこっちの物!分かる…こいつは多分こちらが達人級なだけで魔術その物は苦手!…鳩尾に叩き込まれる拳を敢えて受ける…!
「ガアッ!」
ガードも魔術による受けもしない!奴が狙いに気付くかも知れない…!わざと大袈裟に吹っ飛びながら後ろを見る…この位置取りか重要だった…!アーチャーに届くここが!
「アーチャー!」
僕は相棒に声をかける…後ろを見た奴は自分に向かって飛んでくる僕に驚いた様だが構わず手を伸ばす!
「…っ!これは!?」
思わず僕の手を掴んで勢いを止めた僕に更に驚く奴に笑いかけてやる。
「アーチャー、この場で正式に契約してやるよ!」
本当にキャスターには感謝しなきゃならないな!
「…精神を強化する魔術?それを坊やにかければ良いの?」
「そうだ。僕の思惑通りに行くかは分からないけど保険はかけたい。」
「…仮に上手くいってもその方法を使ったら坊やは死ぬわよ?」
「…良いんだ。衛宮を殺すまで生きていれば良い。」
「……分かったわ。」
「…慎二、上手くいったんだな?」
「ああ!僕は賭けに勝った!…アーチャー、奴を封じる手立てはあるか?」
「…一つだけ、ある…だが勝てるかは分からん…寧ろ九割方負ける…」
「ゼロじゃないんだろう?ならもう一回ベットするだけさ!」
更に保険を掛ける!僕は刻まれたばかりの令呪を輝かせる…一つだけだ…後は衛宮との戦いで使う!
投影した剣で僕と自分に飛んでくる宝具を弾くアーチャーを見ながら僕は叫ぶ!
「令呪を使って命ずる!アーチャー!あいつを殺せ!」
「承った!必ず君に勝利を約束しよう!」
「…気合い入れすぎんなよ!あんなの前座なんだからな!」
そうだ僕らの本命は衛宮であってこの二人じゃない!
「魔力ならいくらでも持ってけ!宝具で奴を仕留めろ!」
「良かろう!」
そして奴から放たれる言葉…これは詠唱?このタイミングでの詠唱という事は奴の宝具は…!
「I am the bone of my sword…」
奴と背中合わせになり向かって来る宝具を奴が弾き、近づいて来た監督役の攻撃を僕がひたすら捌く…見様見真似だけど案外何とかなるもんだな…!最も手を強化してなきゃやろうとも思わなかったけどね…!正直普通にやってたら僕の手の方が破壊されてたな…
「Steel is…my body…and fire is…my blood…」
…辛い…!一々溜めるなよ…!しかも長い…!
「おいアーチャー、まだなのか!?」
「I have created over…a thousand blades…話しかけないでくれ!割と集中力が必要で…!…っ!全投影連続層写!」
背を向けてる僕の目に映る程の宝具の山を大量の剣で奴が叩き落とす…くそっ!魔力食いにも程があるぞ!?
「Unknown to Death…Nor known to Life…」
意識が…!早くしろ!
「Have withstood…pain to create many…weapons!」
咄嗟に奴が弾き損ねた剣を掴み監督役に振り下ろす…弾かれた!扱い切れるわけも無いし邪魔だからそのまま放り投げた。
「Yet…those hands will…never hold anything…!」
「急げ!」
「So as…I pray…待たせたな、これが最後だ…!」
「っ!」
監督役の拳を上に弾き空いた胴を蹴る…!
「UNLIMITED…BLADE WORKS!」
アーチャーから放たれる魔力の放出とそれに伴う風に吹き飛ばされ地面を転がる…目を開けてみれば…!
「…ハハ…凄いなこれ!」
そこにあったのは大量の剣が突き刺さる荒野と赤い空に歯車…!美しさの欠片も無いけど無骨でお前にお似合いの世界だよ…!僕はアーチャーの背を軽く見た後前に向き直り同じくこの世界に来た監督役を睨んでやった。