「…っ…!ハア…!ハア…!」
足をほとんど引き摺るようにして前に進む…衛宮に偉そうな事を言ったが…僕だってもう限界だ…蟲は確実に僕の身体を犯している…
「…冗談じゃない…こんな所で死んでたまるか…」
今更長生きしたいなんて欠片も思わない…でもこんな所でくたばるつもりも無い…!誰がこんな辛気臭い所で死んでやるものか…!
「…っ!くそっ…!」
僕には治療魔術の知識はあるが、それももう無駄だ…気付けばもう魔術もろくに使えなくなっていた…
「…まだだ…!やっとあのクソジジイから解放されたんだ…!」
桜が助かれば良いなんてカッコつけてたけど意外にもまだ僕にも欲があったらしい…我ながら本当に浅ましい…!こんな自分に反吐が出る…!
「…ここを出たら何をするかな…ああ…まずは病院行かないとかな…?」
最も普通の医者に僕の身体を治すなんて出来ないだろうけどね…でも気休め程度にはなるかもしれない…
「……」
…思考も段々纏まらなく…いや、これも蟲のせいかな?
「…アー!」
無言になるのが…何も考えれなくなるのが怖くなって大声を出してみる…どれ程可笑しくなろうが歩みは止めない…機械的に足を動かす…もうすぐ出口だ…
「…アー…外に出れたら…少し休もうかな…いやいや…多分そのまま動けなくなるよね…」
そもそも僕は何処に行けば良いんだ…?生家はもう無い…
「…坊や。」
「…ダレダ?」
声が聞こえる…顔が見えない…この洞窟…こんなに暗かったっけ…?
「…もう休みなさい。」
「…イヤ、ダ…!」
意識が覚醒する…声の主の提案を飲まない…!それは出来ない…!
「休みなさい、坊や…もう、貴方は限界よ「勝手に、決めルナ!」…坊や…」
「…僕は…進まなくちゃナラナイ!」
マダ…マダ…ダメナンダ…!ボクハイキテ…?
「…休みなさい坊や。貴方は充分に頑張ったわ…」
カラダガヤワラカイモノニツツマレル…ネムイ…
「…キャスター…」
「!…分かるの坊や?」
眠気に抗い、何とか声を出す…まだ眠れない…!
「…僕が、死んだら、この、蟲は、多分、外に出る…」
「…ええ。そうでしょうね…」
「…僕を、殺してくれ、この身体をこの世に遺さないでくれ…!」
僕を抱き締める腕に少し力が籠る…躊躇っているのが伝わって来る…迷うなよ…!あんたそんなタイプじゃないだろう…!
「…良いのね坊や?」
「…ああ…こいつらを、外に、出す、わけには、いか、ない…一緒に、連れて行く…!」
「…分かったわ…」
腕が解かれ、僕の身体はその場に横たわる…
「…もう、眠っても、良いかな…?」
「ええ…眠りなさい…その間に全て終わってるから…」
「…後、頼む…」
僕は目を閉じる…こんな風に眠るなんて久しぶりの気がする…ずっと心安らぐ事なんて、無かったから…