「相手が格上なのは分かっていただろう?何故この場を動かなかった?」
「俺が取れる手はあんたが教えたものだけ。しかもあんたはこの家を知り尽くしてる。俺が何処に隠れても直ぐに見つけ出して遠距離から仕留めるだろう?あんたにとって未知数な事があるとすれば手数を増やせる俺の投影魔術だけ。なら最初はどっちみち、場所を広く取れる庭か、ここ、道場で相手する方がまだ勝率は上がる…なぁ?あんたもそう思うだろ?切嗣?」
俺は黒いスーツに黒いネクタイを着けた仮面を着けた男にそう声をかける…奴は黙っていたがやがてその仮面を外した…
「やっぱり分かるんだね士郎…すまない…僕は…」
切嗣が仮面を放り投げる…すまない、か…
「言うなよ、切嗣…何となくは分かるさ…実娘と義理の息子…どちらか一方を切り捨てなきゃならないなら他人に近い方を選ぶさ、誰だって。」
「君を取引材料にイリヤを取り戻す…もう僕にはそれしか…!」
「良いとも、悪いとも、俺は言わないよ。でも俺は言った…残り少ない命でも奪おうとする奴は皆殺すって…それは…あんたでも同じだよ切嗣…」
「本当は…!本当は君を殺したくなんてない…!せめて…!せめて君が何処かに隠れるか逃げ出してくれたなら…!」
「悪いけど…結界に反応が無かった時点で逆にその選択肢は消えた…あんたが相手なら出し惜しみ無しで正面から当たるしか…俺に道は無いから…つか、ふざけんじゃねぇよ…!これが最期なんだろ!?なら今だけは俺を見ろよ!?俺の前に姿を見せないまま俺を仕留めようなんて虫が良すぎるだろ!?」
「士郎…ちゃんと君の顔を見ながら終わらせる…さぁ魔術を使ってくれ…それでケリがつく…どちらかが…若しくは両方が死ぬ…」
そう言って切嗣が懐から出したコンテンダーを構える…中身は起源弾か…!
「投影…開始…!」
俺は切嗣の頭上に剣を投影する…と、同時に足に強化をかけその場から飛び退く…切嗣が放つ銃弾を躱す…!仮に二撃目を撃とうとしても再装填は時間がかかるからその前に俺は切嗣を仕留められる…!他の銃を使われても問題は無い…!起源弾で無ければ良いんだ…!他の銃弾なら致命傷でなければ再生して…!?
「固有時制御…三倍速…!」
読まれた!?奴はまだ引き金を引いてない…!くそっ!だがもう止められない!俺は剣を投影すると切嗣に向かって突っ込む…!仕切り直しに意味は無い!ここで仕留めるしか…無い!
「終わりだよ、士郎…!」
切嗣がコンテンダーの引き金を引い、て…?
「えっ?」
コンテンダーはカチンと軽い音を立てるだけで弾は出ない…代わりに勢いのまま俺の突き出した剣が切嗣の胸に突き刺さった。