「…ふぅ…たくっ…あの野郎、好き勝手ぶち壊しやがって…」
適当に投影したコートを着ながら呟く…現在、俺とイリヤのいる墓地はめちゃくちゃだった…墓石の多くが崩れている…元に戻すのはめんどくせぇな…取り敢えず…
「…切嗣の墓は無事だな…アイツ適当にやってる様に見えてちゃんと考えて剣出してたんかねぇ…」
若しくは…偶然か…
「…んじゃ行くぞ、イリヤ。」
「…それは良いけど…放っておいて良いの?」
「知るか。切嗣の墓以外は所詮他人の墓だ…てか、一人で元に戻せるわけねぇだろ。…行くぞ?」
「…うん。」
イリヤの手を引き、切嗣の墓へ向かう…そういや遠坂時臣の墓もあるんだっけか?…まっ、俺には関係ねぇか。
「…これが?」
「…ああ。この下に、切嗣が眠っている…待ってろ。」
イリヤの手を離し、切嗣の墓の前に立ち、墓石に触れながら目を閉じた。
「……」
……聖杯は壊しきれなかったけどよ…イリヤは救えたよ…寿命を伸ばす方法はこれからだが…アインツベルンからは解放された…これで、良かったんだろ?切嗣……
「…ふぅ…」
『…ありがとう士郎…そして…すまない…』
……声が聞こえた気がしたが…そこには誰も居ない…空耳だったのか?
「…シロウ?どうしたの…?」
「…いや、何でもねぇ…俺の用事はすんだぜ?伝えたい事があるなら言っちまいな、義姉さん?」
「…うん…ありがとう…」
イリヤと入れ替わるようにして墓を離れる…イリヤは墓の前に立つと何やらブツブツ言い始めた…聞こうと思えば聞けるが…さすがにそれは無粋だな…俺は声が聞こえないように距離を開けた。
軈てイリヤが墓に背を向けたので俺は近づいて行った…
「…恨み言は言い終えたか?」
「…私はもうキリツグの事を恨んでないわ。…ただ、伝えたかったの…私はもう寂しくないって…セラがいる、リズも…他のホムンクルスの皆も…」
…そういや、あの時セラが連れてたホムンクルスは俺たちが気絶させただけだから生きていたな…アインツベルン家の後始末に回したが…あれからどうしただろうか?……後でセラに聞いてみるか…
「それに、これからはシロウもいるから…」
「…そうかい。」
……アイツらがあの家で暮らすのは勝手だが、俺は何れ出ていくつもりなんだがねぇ…イリヤの寿命を増やす方法を見つけなきゃなんねぇ…切嗣の遺言だし、それからあのクソ野郎との約束もある…
「…ねぇ?シロウは…居なくならないよね…?」
「……出来ない約束はしない主義でね。」
「…どう、して…?」
「…さっきの話…覚えてるだろ?俺は奴と契約したからな…こんな平和ボケした国に長居してる場合じゃねぇのさ。」
「そんな…!シロウは今までずっと苦しんで来たんでしょ?だったら普通に生きたって…!」
「元々、長くなかった身体だ。…更にいえばこの戦争に参加した事で限界が早まった…サーヴァントの力を貰ったとはいえ、ベースの身体がボロボロな以上そう長くは生きられねぇっての。」
「だったら尚更良いじゃない!私たちと暮らそう!ねぇシロウ「切嗣から…頼まれてるんだ…アンタを助けて欲しいってな…」…私は…もう十分助けて貰ったよ…!」
「まだだ…アンタはこのままじゃ近いうちに死ぬ。…そんなの認められねぇ。…そんな顔すんなよ、色々調べる事もあるし、しばらくはこっちにいるからよ。」
俺は泣きじゃくるイリヤの頭を撫でた。…チッ…こりゃ多分アーチャーの影響だな…俺にはもうこいつを見捨てる事が出来ねぇ…参ったぜ…