「お前が衛宮士郎か?」
そう声をかけられ俺は温くなったクソ苦いコーヒーを飲み干すとそちらへ振り向いた。
「ああ、そうだ。…アンタが蒼崎橙子だな?」
俺が最初に始めたのはイリヤスフィール以下、ホムンクルスたちを救う方法を探す事…と言っても、俺はホムンクルスについての知識は無いし、瓦礫の山と化したアインツベルンの屋敷からもろくな資料は出て来なかった…そこで俺が考えたのは俺の中に眠るアーチャーの記憶に何かヒントがあるのでは無いか、という事だ。
……結論から言えば…ヒント所か、最早答えに近い物が出て来た…人形師蒼崎橙子…彼女ならほとんど人間の身体と違わない人形を作る事が出来る。
「電話でも話したがな…私は元々小口の注文は扱ってないんだ「封印指定の魔術師が表で堂々と商売しててそれか?よっぽど腕が良いんだな」…脅しのつもりか?ガキがいきがるとどうなるか教えてやっても良いんだが?」
「まさか。スペアが腐る程あるアンタを脅した所で…!…待てよ…俺だって別にケンカ売りに来たわけじゃないんだ…取り敢えず俺の話を聞いてくれないか?」
ここは彼女の工房である伽藍の洞…万が一にも俺に勝ち目は無い。
「…なら、まず答えろ…私の事を何処まで知っている…大体、どうして私を見つける事が出来た?」
「そうだな…長い上に到底信じられない話だろうが…まあ聞いてくれ。…退屈は…させねぇから。」
「…成程。確かに俄には信じ難い話だな。」
俺の話を聞き終えた蒼崎橙子は腰掛けていた椅子に深く座り直した。
「俺だって聞く方だったらそう思うさ…だが、事実だ。」
適当に投影した宝具擬きを弄びながらタバコに火をつけ、紫煙を燻らせる蒼崎橙子を見詰める…ん?
「…吸うか?」
「……貰うわ。」
蒼崎橙子が差し出して来たタバコを一本抜くと口に咥える…自分でライターを投影すると火を着けた…不味い…
「…クソ不味いな。よくこんなの吸えるな…」
「不味いと言いきれる程タバコを吸った経験でもあるのか?…まあ私も不味いと思うが。」
「やっぱ不味いんじゃねぇか。」
「お前のその依頼、受けてやってもいい。」
「…いくら欲しい?」
「…お前自分の重要性分かってないだろ。ほぼ精巧な宝具を投影出来る奴から金だけ貰っても仕方無いだろうに。」
「…こんな見た目以外ほとんど似てない物を欲しがるとはね…」
「私の見立てだが、恐らくお前は今の時点でほぼ七割方再現には成功している…後お前に欠けているものは共感、だ。」
「…共感?」
「宝具とは元々はその武器に纏わる伝説や込められた念いが形になった物。それが無ければそれはただの希少なだけのガラクタだ…要はお前はその武器の造り手や本来の持ち主の念いを汲み取る事が出来ないんだ。」
「…他者の理解なんて俺には最も難しい事でね…」
「そこで提案だ…お前、私の弟子になる気は無いか?」
「…あ?」