あの日、柳洞寺を辞した俺は遠坂家に桜とイリヤたちを残し遠坂とこれからについての話し合いをした。
何だかんだ損害状況という括りで言えば第四次聖杯戦争での聖杯の破壊の余波以上の被害を出した今回の聖杯戦争…当然このまま放っておく…などという事は出来るはずも無い。…だが、俺たちだけでは到底どうにか出来るわけもない。…結局遠坂の提案で監督役である言峰綺礼の裏切りの事実を盾に全ての後処理を聖堂教会に丸投げする事にした。ただ…
「遠坂、第四次聖杯戦争でお前の親父と言峰璃正が組んでいた話を持ち出されたらどうするんだ?向こうはさすがに気付いてるだろ。」
最も件の言峰璃正の息子である綺礼を監督役にした時点で向こうも何を考えているのか理解出来ないが。
「…費用の折半なんてさせないわ。ゴリ押しするに決まってるでしょ。どっちにしても全部綺礼が悪いんだもの…どうせお父様と璃正神父を殺したのはあいつだろうし。」
…はっきりした証拠は無いが、多分間違いは無いだろうな…。
「俺に出来る事は?」
「面倒くさがりのアンタにしちゃ殊勝な心掛けじゃない。でも良いわ…寧ろアンタは何もしないで。アンタが矢面にたったら多分代行者か、執行者が来るわ…これ以上面倒事はごめんよ…」
「確かに…じゃあそれについては任せるわ…俺はやる事がある…」
「…アンタ人の話聞いてなかったの?何もしないでって言わなかった?」
「今回の後処理には手を「じゃなくてしばらくは大人しくしてて。…下手にアンタが動いたら桜やイリヤの存在が明るみに出るでしょ」…気付いてるだろ?イリヤは時間が無い。」
「だとしても、よ。イリヤを助けたいなら尚更ね…私だって今更あの子を見捨てるつもりは無いわ…関わった以上は最後まで責任持つつもり。」
「相変わらず魔術師っぽくないのなお前…」
「煩いわね…私だって分かってるわよ…」
…まぁ結局の所俺に黙って待つなんて事が出来るわけもなく、ホムンクルスたちにアインツベルン屋敷跡から集めさせた資料を確認した後、直ぐに俺は旅に出ちまった…アーチャーの記憶からあっさり答えが出た事を考えりゃ、遠回り以外のなにものでもないな…最もどうせ家にいても居候の連中が口煩くて俺が耐えられなかっただろうが。
「ん?この気配…!」
「し~ろ~う!」
俺は振り向きざま、振り下ろされた竹刀を手で掴んで止めた…そういや居候組とは別に煩い動物がいたんだったな…
「よぅ藤ねぇ…何の真似だ?危ねぇじゃねぇか。」
「士郎!今まで何処にいたの!?」
…質問に答えねぇ…人の言葉が通じねぇのかこの虎は…いや、虎だから当然か。
「俺の勝手だろ「士郎!」…分かった分かった!説明する説明する!取り敢えず手ぇ離すから…竹刀を振り下ろすなよ?」
俺は竹刀から手を離し…!
「天誅~!」
「振り下ろすなって言ったろ!?」
俺は咄嗟に振り下ろされる竹刀に向かって回し蹴りを繰り出した…あっ、やば…!
「きゃあ~!?」
力加減を間違えた俺の蹴りの勢いに押されて障子戸を破り虎は折れた竹刀と共に庭に転げ落ちた…良し、逃げよう!