あの後考え込んでしまったアルトリアを追い出し俺は料理の仕上げにかかっていた。
「しかし俺自身が大聖杯の破壊の為奮闘する事になるとはな…」
元々巻き込まれてなし崩し的に聖杯戦争に参加しただけの身。大聖杯のヤバさは分かっていてもわざわざ聖杯戦争に参加して自ら危険を犯して破壊に赴こうなんて気概は無かった。……所詮復讐なんて理由も後付けだ。こうならなければ完全放置を決め込む気でいたのだから。
「まっ、言っちまった手前サボれないか。……別に何時死んでもそんなに気にしないがわざわざ自分から命捨てに行くとかバカのする事だよな~……全く何でこんなことしなきゃならんのか……」
あいつにムカついたからだ。遠坂凛……やっぱり俺はあいつが嫌いだ。慎二の奴はあの女に執着してるようだが俺には何が良いのか分からんねぇ。まぁ性格以外は女としては極上の部類だがねぇ……あの性格と魔術師っていう二点で俺はあまり食指が動かんな……とは言え……
「散々命賭けさせられて報酬が名誉だけとか割に合わん。」
こうなったら絶対にアルトリアも遠坂も次いでにアーチャーも食いたい所だな。……ランサーも諦めきれねぇな。マスターに何とか話を着けるとしようかね。
「どうせ三流以下の魔術師擬きと一流の魔術師にサーヴァント二人いた所で駒が足らん。」
サーヴァント一人で破壊出来なかったからって二人連れて来た所でぶっ壊せるとは到底思えん。……味方は多い方が良い。
「……」
完成し俺は料理を運ぼうと……
「運ぶの位手伝うわ。」
「ん?ああ、サンキュー遠坂。んじゃこの皿を運んでくれ。」
無言で運んで行く遠坂……ふむ。後ろから見ても隙の無い美女だな。……いっそ料理に薬でも盛れば早いんだろうが……俺のプライドがそれを許さない。そもそもアルトリアと遠坂凛がダウンしてもアーチャーはシラフだ。確実に俺が殺られて終わる。……仮に三騎士から外れたアーチャー相手でも俺は勝てないだろう……
「……衛宮君。」
「ん?」
「作って貰ってる身でこんな事言いたくないんだけど……」
「ん?はっきり言ってくれて良いぞ。不味かったか?」
ふむ。最近は桜と慎二の兄妹コンビにしか食わせてないからな。腕が落ちたかもしれん。
「いえ…決して不味くは無いけど…その…ちょっと濃いのよね……」
「……ふむ…どうも俺の舌に原因があるようだな…」
成程。あいつらは何も言わないから分からなかった。というか多分あいつらもそうなんだろうな。
「味覚障害か…案外俺ももう先が無いのかもな。」
こいつは傑作だな。俺が思っているよりラストは近そうだぜ。どうやら大聖杯破壊の後の事は考えなくても済むらしい。