トラベリング・ラビッツ ~VOICEROID達の大冒険~ 作:ライドウ
「はぇ~...」
「キュ~イ...」
ゆかりとスノーは初めての浴槽の感覚に骨を抜かれて、アホっぽい声しか出していない。
あの後、あれよあれよとマキに手を引かれ、マキの実家であるお屋敷に連れられそのまま一緒にお風呂に入ったのだが...豪華な装飾がされた広い浴室に案内され、マキのイタズラを受けながらなんとか体を洗い、いまは浴槽につかりゆっくりと体の疲れを癒している。
「ゆ~か~り~ちゃ~ん~?いつまで、はぇ~って言ってるの~?そろそろ戻ってきてほしいんだけど~?」
「マキさん、浴槽につかるのが初めての人間にそれはダメですよよよ~...」
「ゴクラクゴクラクキュ~イ」
頭にタオルを乗せながらゆかりは同じようにタオルを頭に乗せてむくれるマキをなだめる。
「あー...そういえばゆかりちゃんのお家はシャワーしかないんだっけね。」
「まあ、立地の都合上置けませんでしたし...それにしても気持ちいいですね~」
「お気に召したようで何よりだよゆかりちゃん。」
ググっと背中と腕を伸ばしつつゆかりはリラックスをする。
何度も入ったことのあるマキからしてみればゆかりの反応の一つ一つは新鮮なもので見ていて微笑ましいものだ。
温かなお湯に入ったおかげか、普段からキリッとしているゆかりの顔もすっかりふにゃふにゃになっておりこのまま放置していれば溶けてしまいそうだ。
しかし、マキはそんなふにゃふにゃ顔のゆかりを前にして...
(お、落ち着けぇ私ぃ!数字を数えて冷静さを保つんだ。いくら同性と言っても婚前性交は不味い!ましてや、純粋無垢なゆかりちゃんに手を出すなんてそんな罪深いことできるわけないわけでもないけどできないじゃない!!というか、ゆかりちゃん無防備すぎだよぉ!!あぁ、可愛いよゆかりちゃん!!意外と髪が長くてお団子頭でスラッとした細い体型だけど慎ましいお胸や張りのあるおみ足が素敵だよぉ!!)
ハッキリ言おう、暴走寸前だった。
普段は兄から勧められた機能的で男性的な服装で全くと言っていいほど露出が少なく、なおかつゆかりお気に入りのうさ耳パーカーをしているおかげでゆかりは可愛い、美しいというよりカッコいい・あざとい系が似合うのだが服を脱いでみればあら不思議、どちらかと言えば小動物と変わりないほどほどのかわいらしさを持ち合わせた少女となる。(ちなみに髪型も普段はポニーテールで縛っている。)
もちろん、そんな姿を見たマキが暴走しない訳でもなく自身の家のプライドとか親友としての友情を投げ捨ててでも(性的に)襲い掛かるのは必然的なことだ。
だがマキがそれを実行しないのは―――
(でも―――なぜ邪魔をするスノー君!!)
「...キュ~?」(ゆかりには見せないように邪悪な笑みを浮かべている)
スノーが丁度いい位置にスノーが陣取りマキがゆかりに襲われないように牽制しているのだ!
スノーが溺れない様にと桶に入れられているが、スノーはそれを完璧に操り見事に(マキにとって)とても邪魔な位置に陣取って、挙句マキを煽る様にゲスのような笑顔を浮かべているのだ。
「キュッキュッキュ、キュイキュ~イ(特別訳:残念だったねぇマキくぅん?ゆかりちゃんに手を出そうだなんて100年...いや10000年早いよぉ?悔しかったら男の子になって出直すんだよォ!)
(畜生ッ!なんか微妙に馬鹿にされてる気がする!!)
「キュイ、キュイキュ~、キュイキュイキュ~イ」(特別訳:というか体を洗ったときにしこたまイタズラしたんだからもう十分だろうが!貴様それでも親友かぁッ!!)
(それでも、恋する乙女としてイタズラしたいんだぁッ!!)
「キュイ!?キュキュ、キュイイイ!?!?」(特別訳:な、なんて変態な奴だ!?というかお前それ恋する乙女って言うよりか好きな子にイタズラする男子だろうが!!)
なぜこいつらは脳内で会話しているのでしょう。というかスノー君の言葉はマキちゃん分からないよね?どうして会話成立しているのぉ...?
...一人と一匹はふにゃふにゃしているゆかりには気付かれないようにバチバチと視線で火花を散らせている。
なおこの時、マキはこのマスコットから目を盗んでゆかりにイタズラするかを(リチャード町の戦いのときの作戦立案速度より)素早く考え、スノーは(変身解除して暴れた時以上に)隙を見せないと気を張り巡らせている。
……なお、2人が激しい攻防戦を繰り広げている間にゆかりはお風呂から上がっていて更衣室に移動していたのは、気づいていない恋する乙女とマスコットなのであった。