トラベリング・ラビッツ ~VOICEROID達の大冒険~ 作:ライドウ
待たせたなぁッ!!
変更点
・スノーの能力
白くてフワフワな正体不明な小動物リスのスノーと出会った森の中、ゆかりを明るく照らしていた太陽は傾き始め、もう月が顔を出してきた。*1
(そろそろ夜かぁ、野営……兄さんに教わった通りにやれば問題ないはず!)
「キュイキュイ!」
「そうですね、そろそろ野営の準備をしましょうか。」
スノーは自主的にゆかりの肩から降りて草むらに飛び込んでゆく。
ちょっと心配になったゆかりだがまずはリュクサックを降ろし、その脇に付けられていた魔術式ランタン*2の蓋を外して地面に設置し魔力を流す。
「『点火、焚き火』。」
ゆかりの一言で、ランタンがまるで焚き火のように燃え出す。
ランタンを囲っていたガラスも、いつの間にか消失している。そして、ゆかりには焚き火の暖かさが伝わってきており無事に火が付いたことに安心してきた。*3
そして、スノーが戻ってきたのであろうか草むらがガサガサと言い出した。
「おかえりなさい、す……のー?」
「……」
そこに居たのは小さくてふわふわしているスノーではなく、荒々しくもたくましい肉体を待つ1匹の獣であった。
口には兎が咥えており、ひと鳴きもせずしゃがんでいるゆかりを見下ろしている。そしてその獣は、あ、ヤベェ。という感じで汗をダラダラと垂れ流しており、ゆかりは状況判断がようやくつき始めたのか、顔を青くさせる。
「兄さん、ごめんなさい……私はここまでみたいです。」
何かを諦めたかのようにゆかりはショートソードを引き抜き、自分の首に押し当てる。
この獣に殺されるぐらいであれば自分で命を終わらせるつもりなのだろう。獣は咥えていた兎を置いて―――
「キュオォォォォ……」
ゆかりに向かって土下寝したのであった。
それを見たゆかりは
「……えっ?」
頭に流れていた走馬灯が思わずストップするほど驚くのであった。
~~~~~
「えっとつまり...アナタはスノーってことで」
「キュオォォォォ」コクコク
「それで、私がお腹が空いていると思ってウサギを一匹狩ってきた。」
「キュオォォォォ」コクコク
「...あの姿だと、動くときにお腹とかが減りにくい...とか?」
「キュオッ」コクコクコク!
ゆかりとスノーの意思疎通はギクシャクしながらも要点だけを何とか伝え合った。
結果、一人と一匹の誤解は解け何とかゆかりは落ち着きを取り戻し、スノーも安堵のため息を吐いた。
(まあ、ほぼ夜更けに成人男性二人分の大きさの獣が現れたらそりゃゆかりみたいな反応になるよ。)
「ほっ...もう、心配したし、怖かったんですからね?」
「キュォォォォ...」
ゆかりは置いてあるウサギを持ち上げて、状態を確認する。
まだほんのり温かいことから、間違いなく先ほどまで生きていたのだろう。
スノーはそれを綺麗に、首を噛んで即死させている...なんというか野生の動物の中でもかなり熟練のそれである。
(...ちょっと、残酷だなぁ)
「...キュオォオオオ?」
「ごめん、こういうのはあんまりなれなくて。」
「......キュオォオ。」
申し訳なさそうな表情を浮かべるスノーだが、ゆかりはすぐさまリュックのサイドポケットに突っ込まれていたナイフを取り出す。
「でも、せっかく取ってきた来たんだから、ちゃんと食べないとね!」
~~~~
ゆかり(ウサギを)解体中...
~~~~
「ふぅ、こんなものかな?」
ウサギを解体し終わり、筋と内臓類、さらにウサギ肉のほとんどをスノー(スノーはどうやら雑食みたいだ。リスなのに!)に上げた。
ゆかりは自分が食べ切れる量を確保し、兄がこっそりと入れておいたであろう串を取り出しウサギ肉をその串に通す。そしてランタンの火に近付け、ゆっくりと火を通す。
初めての野宿と、初めての動物解体だったが...意外とすんなりと行けた。
途中途中スノーがそわそわとしていたが、メッと叱るとシュンと耳をたらして落ち込む姿がとてもかわいらしかった。
「うん、こんなもんかな~?」
すっかりきつね色に焼かれたウサギ肉に塩をふりかけ一口...
「あっ、おいしい!」
触感はとても柔らかく、野生動物特有の肉の臭さもなくあっさりとした風味がゆかりの舌鼓を躍らせる。
かけた塩も相まって、ここにパンがあったらなぁと考えつつまた一口。
「おいしいね、スノー!」
「キュオ、キュオオオオオオ♪」
スノーはすでに食べ終えていたが、口周りが血で汚れていないあたり相当綺麗に食べたのであろう。
スノーも少しうれしそうに笑顔を浮かべ、楽しそうにしている。
~~~~~
「くぁ~...」
晩御飯であるウサギ肉も食べ終わり、パチパチとランタン焚火が燃え盛る中...ゆかりはあくびをする。それを見たスノーは顔を持ち上げ、ゆかりの顔を見る。
「そろそろ、寝ますか。」
「キュオォオ...」
ゆかりはランタンに魔力を流し、ランタンの火を消す。
その代わりに、寝袋を取り出し...たのだが、スノーがゆかりを覆うように体を丸くする。
ゆかりは驚くものの...荒々しくもたくましい肉体ながらも...確かなフワフワな毛皮の中ゆっくりと瞼を閉じていく。やがて、その心地よさに負けたのかゆかりはスノーの尻尾を布団代わりに眠りにつくのであった。
「キュオオオ...」
おやすみなさい。と言わんばかりにスノーは小さく鳴き、スノーも瞼を閉じるのであった。
スノーに包まれながら眠るゆかりさんがみたい。見たくない?
しかし挿絵を用意していないので皆さんの妄想の中で保管しましょう。
静かな森の中、たくさんの星々に見守られながらスノーに包まれて眠るゆかりさんをね!!
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【旅ウサギ】結月ゆかり
スノーが野生動物だったことを再認識、しかしそれ以上に絆を深めた。
スノーに包まれて寝たおかげかその日見た夢は、すっごいフワフワだったらしい。
スノーが放つ圧倒的な威圧感には気付かなかった。
【リス?】スノー
初っ端から姿を変えた獣。
寝ていても(ドラゴンすら全速力で逃げだす)威圧感を放てる。
ゆかりを包んで寝たおかげか、スノーの見た夢はたくさんのリンゴをゆかりがあーん。してくれる夢で、ご機嫌に目覚めた。
しかも、朝起きたときにゆかりにブラッシングされてさらにご機嫌になった。