トラベリング・ラビッツ ~VOICEROID達の大冒険~ 作:ライドウ
・弦巻マキの設定
・弦巻マキの武器
・結月ゆかりと弦巻マキの交友
「フンフンフーン♪」
ゆかりが鼻歌を歌いつつ歩き、スノーはウサギフードの中で丸まってそれを聞いて眠っている。心地よい振動とゆかりの鼻歌がスノーにとって心地のいいものらしい。
「フンフン…、あっ見えてきた。」
ゆかりのそんな声にスノーも反応しフードから顔をのぞかせる。ゆかりの視線の先には、ゆかりの故郷の町と同じく、石の壁で囲われた街がある。しかし、ゆかりの町と違うのはゆかりの町より少しだけ規模が広く人も多いと言う点だ。
「兄さんと昔に1回来たっきりだったなぁ…。」
「キュオー?」
スノーは首を傾げながら、ゆかりの肩に乗る。ゆかりの表情はどこか懐かしいと言わんばかりである。
スノーは首を傾げるだけで理由は聞かないが、、なにか昔にあったのだろうと完結する。
「よし、行きましょうか!」
「キューイ!」
~~~~~
「待て、そこの怪しげな紫のヤツ!」
「こいつ、獣を肩に乗せているぞ!」
「「捕まえろ!!」」
~~~~
「…………。」
「キュ、キュー?」
「あぁ、大丈夫ですよスノー。怒ってないですから。」
「キュッ」(お口ミ○フィー)
あの後衛兵が、門を通ろうとしたゆかりを止めて問答無用で牢獄にぶち込んだ。背負っていたリュックと兄から贈られたショートソードは没収され、スノーに限ってはとても窮屈な檻に閉じ込められていた。それらのせいで、(笑顔だけど)とても恐ろしい雰囲気を垂れ流すゆかりにスノーはこれからはゆかりを怒らせないようにしようと、ひっそりと心の中で決めるのであった。
ちなみにスノーが入れられている窮屈な檻はスノーが元の姿に戻ればそれだけで壊せるほどボロボロのものだ。だけど、余計な問題を起こしたくないゆかりは変身しないようにスノーに言いつけてあるのである。
と、入口の方から何人かの足音と話し声が聞こえてくる。
「はぁ。怪しいヤツを見かけたから話を聞かずに牢獄に入れたって?」
「はい!それがコイツになります!」
「危険な獣もぶち込んでます!!」
そんな声が聞こえてきて、ゆかりたちの牢屋の前に金髪の少女と、衛兵2人が立つ。
ゆかりがそちらに視線を移すと、また懐かしい顔がそこにあった。
「あら、マキさん」(とても恐ろしい笑顔)
「ゆ、ゆゆゆっ、ゆかりちゃん!?」(一気に冷や汗が流れる。)
そこに居たのは、昔1度だけこの街に来た時にゆかりと知り合い友達になった少女、そしてあれからというもの手紙でしか交流のなかった親友が、顔を青ざめさせていた。
もちろん、ゆかりの笑顔には怒りマークが浮き出ており、関係の無い周りの囚人まで震え始めていた。
何も感じとっていない衛兵2人は、頭の上にはてなマークを浮かべ、マキは大量の冷や汗を流している。
「いやー、まさかこんな
「ア、ソノ、コ、コレハソノ」
笑顔ながらも威圧的な表情を浮かべるゆかり、既に腕に付けられた手錠はミシリと嫌な音を立てており、スノーは耳を塞いで目もつむっていた。そしてゆかりの威圧の向け先であるマキはさらに青白い顔をし、足が子鹿のように震え出す。
マキの隣に立つ二人の兵士も、ゆかりの威圧に感づいたのか...お互いに抱き合いながらガタガタと震えだす。
「手紙で、伝えましたよね?そろそろ旅に出るから顔を合わせたいって。」
「い、いやぁ~...す、すっかり忘れたよ。だからごめん、今すぐに出すからそれやめて!怖い!!」
「あらあら、うふふふふ。」
~~~~~
すぐさま、ゆかりは釈放され奪われていた荷物も何一つなくされることなく返されることになった。
ゆかりの住んでいた町とは違い、賑やかな商店街をゆかり(&肩に乗るスノー)とマキがはなしながら歩いている。
「まさか、マキさんがこの町の自警団のお偉いさんになってるだなんて。」
「私はそん、あっ今は町長だったけ、お父さんの娘だからね。」
ムフーと、たわわな胸を揺らして自慢するマキ。
そんなマキのたわわな胸に共鳴するかのように、腰脇のレイピアが揺れた。
だけどそんなに使われないのを見るに、あまり実戦を経験していないようだった。
「まあ、危険だーって言われて、あんまり戦ったことはないけどね。」
「あぁ、だから立ち振る舞いが私と比べて油断も隙だらけなんですね。」
「クソザコキューイ!」
「あのお兄さんに鍛えられたゆかりちゃんと一緒にしないでほしいなー...あとその獣地味に私の事を貶さなかった?」
マキが呆れながらそのセリフを口にする。
スノーは顔を逸らし、ゆかりはあきれた表情でため息をつく。
「私が旅に出るってことを伝えたとき、ついてきたいって言ったのは誰でしたっけ?」
「うっ...」
そう、かつてゆかりは手紙でマキにいつか旅に出るということを伝えていたのだ。
それ知ったマキは、親友であるゆかりを放っておくことなどできず手紙に思わず、その冒険についていきたいと書いてしまったことがあったのだ。小さいころゆえの過ちだが、実のところこの隣町にたどり着いたゆかりはマキとの冒険を楽しみにしてたこともある。
「確かに、小さいころ手紙で一緒に冒険に出たいって言った。私もそれは覚えているし、ついていきたい。ついていきたいんだけど...ちょっと、ね?」
「......何かこの町であったんですか?」
マキの真剣な表情で、ゆかりのスイッチも切り替わる。スノーもきりっとした表情で、マキを見つめていた。マキはちょいちょいと手を招き、耳をよせるようにジェスチャーを行う。
「実は最近、この町に野盗の集団が攻め込んでくるって情報が手に入ったんだよね。」
「...それ、本当なんですか?」
「うん、大きくなったから狙われるって話。ついこの前捕まえたはぐれ野盗が吐いたんだよね。」
詰まるところを言うと、この町はもうすぐ野盗の集団に攻め込まれるというのだ。
この猛獣や魔物がはびこる世界でも、人間たちの悪党、野盗などは多く存在する。町や村を追い出された犯罪者や傭兵崩れ、ならず者が集まってできている分、魔物や猛獣を対処することができるので本当に迷惑な存在なのだ。違法な乱獲や密猟、違法採集に限らず商隊を襲ったり、旅人を殺したりとやりたい放題である。
「それが解決するまで、マキさんはこの町を出ることができない。と?」
「...まあ、そうなるね。戦えるのは私を含めて自警団の人間しかいないし。」
申し訳なさそうな表情を浮かべてマキが謝る。
野盗の集団が街を襲うだなんて、この世界にとってはありきたりな事である。
だからと言って、週に一度の手紙のやり取りをするほどの親友を見捨てるほど薄情ではないのがゆかりであった。
「よかったら、手伝いましょうか?」
「へ?何を?」
「野盗退治。」
「えっ...ゆかりちゃん、本気?人を殺すことになるけど。」
マキは本気でゆかりを心配する。マキは今の時点で、既に人を殺めたことがあった。
相手はもちろん、野盗だ。自身の剣術の先生を殺した野盗を逆上のままに殺した。
その時の感覚はとても気持ち悪いものだったが、既に何回も野党の襲撃をうけ、何人もの野盗を殺めた。すでに慣れたものだが...あの気持ちの悪い感覚をゆかりにも味わってほしくないのだ。
「すでに冒険に出るときに覚悟は決めていますよ。」
「...人殺しは、魔物や猛獣を殺すのとは違うよ?」
真剣な表情でゆかりの顔を見つめるマキ。
自分が味わったあの感覚、それを親友に味わわせたくはないのだ。
マキの心配は痛いほどゆかりに伝わる。しかし
「キュイ!キュイキューイ!」
スノーの鳴き声で、重苦しい雰囲気が消される。
真面目な表情の二人はスノーの鳴き声でお互いに顔を合わせて笑い始めた。
「ここで言い合っても仕方ないか。」
「はい、そうですよ?少なくとも私は曲げる意思はありません。」
「...わかった、私の負け。とことんまで手伝ってもらうから。」
マキが手を差し出すと、ゆかりは迷いなくその手をつなぐ。
スノーはその繋がれた腕を伝い、マキの肩に乗り頬にすりつく。
「わわっ、すっごいフワフワ!」
「ふふ、スノーをブラッシングしたのは私ですから。」
「キューイ!」
やがて、少女らしい二人が笑いあうその場面が、その場面を見ていた絵師によって絵にされ。
伝説を残した彼女らの出会いの場面として、人気の絵画になるのはまた別のお話だ。
次章予告
「じゃあまずは、手合わせしませんか?マキさん...」
「うん、ゆかりちゃんの実力も知りたいからね。」
二人の少女の手合わせ。
「殺せー!奪えー!!男は皆殺し、女は犯して、子供は奴隷だ!!」
始まる襲撃。
「スノー君!大暴れで行きましょう!!」
「キュオォオオオオオオオ!!!」
「ゆ、ゆかりちゃん。と、とんでもないのをペットにしてるね。」
引かれるゆかり。
「いきますよ、マキさん!」
「うん、ゆかりちゃん!」
果たして、二人の少女は果てしない冒険に迎えるのか。
次章『ツルマキナイト』
おたのしみに!