白百合幕間   作:紅葉

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幼少期編


1章 幸せな記憶

「お父さん!」

 

白い髪を忙しなく揺らして小さな女の子ががっしりとした体つきの父親の足元に抱きつく。その顔は満面の笑みを浮かべていて見ている方も笑顔になるぐらいの笑みだ。

その笑顔を抱きついている父親に向け彼も笑ってわしゃわしゃと彼女の頭を撫でる。

柔らかなな白髪がぼさぼさになりつつきゃーーっと楽しげな悲鳴をあげて喜び女の子。

 

「元気だったか、リリィ」

「うん!」

 

久しぶりの父の帰宅に色めきたつ家。

温かい空気が彼女たちを包んでいた。

 

「お父さん次はいつお仕事いっちゃうの?」

「んーん、お父さんはもう遠いとこにお仕事は行かないんだよ」

「?」

 

いまいち状況を掴めていないリリィに兵隊さんをやめ退役軍人となった事、この場所の管理人になったこと、これからは長く一緒に入れることを伝えるとリリィは嬉しそうにぎゅっとしてお返事した。

軍をやめて戻ってきたのは家族と共にいる為でもあり、新しく家族になったアキナの世話を手伝う為と妻の体の弱さが少し増してしまってきた為だ。何かあっては欲しくないができることをやりたい。と決意のこもった笑顔で、抱きついているリリィを持ち上げて高い高いする。

昔から持ち上げられるのが好きなリリィはきゃあきゃあ楽しそうに叫んでいた。

 

「リリィはそろそろ初等部に入る時期だろう、どの学校がいいとかあるのかい?」

 

その日の夜、食事を済ませて寝る準備をしていたところに父からひとつ聞かれる。

決まっていたらしくいい顔で返事が返ってくる。

 

「うん! お父さんみたいな兵隊さんの学校に行きたいの!」

 

笑みを称えていた彼の顔が少し曇る。

兵隊の学校、つまりはファウンス士官学校でリリィの年齢ならば初等部入学。

初等部から入学する子は普通は多くなく軍人の子が多い。リリィもその類であるが少し事情が違ってくる。

 

「へ...兵隊さんになりたいなら、もう少し待って高等部からの入学でもいいんじゃないか?

兵隊さんの学校は勉強が難しいぞぉー、リリィお勉強少し苦手だっただろう」

「んーん、リリィすぐになりたいの!

お父さんみたいになりたいのもあるんだけど...兵隊さんの学校はお金出るんでしょ!

お父さんとお母さんとアキナに喜んでほしいの!」

 

家族のため、そう笑顔で言われてしまってはきつくノーとは言えなくなってしまう。

実際管理人の収入と妻のデザイナーとしての収入だけでは苦労はしないが余裕を持てるとも言えない。貯蓄を崩しつつどうするか考えていた所だった。

収入が増えるなら願ってもない事だが、可愛い娘を1人で行かせるには酷な場所だ。

なので、条件をかすことにした。

 

「...わかった。初等部からの入学の手続きをしておくね。でもお父さんと約束しよう。

学校では絶対にお勉強や運動でいい点数をとること。出来たらずっと取り続けること。

 

ダメだったら兵隊さんの学校じゃない所に行ってまだ兵隊さんになりたかったら高等部からまたお勉強しよう」

「...わかった、お勉強と運動がんばる!!」

 

ふんすとやる気を奮い立たせた娘に曇りがかかったままの笑みで頭をわしゃわしゃと撫でる。こうなるのだったらまだ今少し軍を抜けないで来ればよかったな、そう小さな後悔を胸に残しながらリリィを寝かしつけた。




リリィ・ノワール
本作の主人公。白髪で左目が黄、右目が青のヘテロクロミアの少女。
ふわりと立ったアホ毛が特徴的。
名前の由来:白い百合

パニグレの主人公と同一人物では無い。


作者はセレーナ推しです。セレーナを愛して。
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