白百合幕間 作:紅葉
初等部入学の日、真新しい小さな制服をまとい期待に満ち満ちた顔でリリィは期待に胸を膨らませていた。
父のいた場所、兵隊さんの学校、お父さんたちに喜んでもらえる。いいことがいっぱいつまったこれから勉強する場所。
入寮の為大荷物を持って父親に送って貰う所だった。
「リリィ、兵隊さんの学校は大変だけどちゃんと頑張るのよ。あと、学期末とか長い休みの時は顔見せに来るのよ、頑張ってね愛してるわ リリィ」
「うん!がんばる!!」
母に優しく声をかけられ元気よく返事を返し腕に抱かれてる小さな妹のほっぺをもちもちして父と生まれ育った家を旅立った。
「いってきます!」
「行ってらっしゃい」
元気よく振られた手に振り返し、リリィと父親の乗った車はファウンス士官学校初等部へ向かって進み出した。
車が見えなくなるまで家先に立ち元気で明るく少し騒がしい声が聞こえなくなったことにリリィの母はひとつ寂しさを覚え、そっと腕の中で眠るもう1人の娘の頬をそっと優しく撫でた。
「お父さんとの約束覚えてる?」
「うん! お勉強と運動頑張っていい点数いっぱいとるんでしょ? お勉強頑張る!」
「ちゃんと覚えてるね、よしよし。
分からない所が出来たり困った事があったらすぐに教官に聞きに行きなさい」
「きょーかん?」
「兵隊さんの学校では先生の事を教官って言うんだよ。覚えておきなさい」
「わかった! きょうかん..」
忘れないように何度もつぶやく娘にくすりと笑いが込み上げる。教官に頼れる子になれたら大人の助力を得やすくなる。
少しはリリィの助けになってくれるだろう。何も起こらないことを信じていまはリリィの小さい背中を押して応援するしかない。
リリィと他愛もない雑談をして車を運転していると目的の建物が見えてくる。
外見は立派でリリィがこれから長い時間過ごすファウンス士官学校だ。
「おっきい!」
「あれがこれから行く学校だよ」
車を停め荷物を持って学内の寮までリリィを送る。
知り合いの寮監と少し話し合ったところリリィは隔離とまでは行かないが、二人部屋の男子たちの集まる部屋から離れた所で一人部屋で寮監の目が通る場所近くにあるからそこら辺の心配は大丈夫そうだ。
「娘をよろしく頼む」
「お任せください、教官長の娘さんに何かあったら私が死に切れません」
「元、だよ。本当に宜しく頼む…」
「えぇ…。寮生活で嫌な思いは絶対させません」
「ありがとう」
うずうずしてるリリィと一緒に案内された部屋へ荷物を入れて簡単に部屋を整理する。
新しい自分の部屋にリリィは少し浮き足だっているようであちこち報告してきていた。
シャワーがある!ここにトイレ!ここに本を入れるの!などすごくテンションが高い。
頭をひとなでして手を取って頑張るんだぞ、辛くなったら戻ってきてもいいぞと本心を応援に隠して伝える。
これから帰る事を悟ったのかリリィは少し涙を溜めて足にぎゅっとしがみつく。今まで付き添っていたためにこれからは寮で1人で生活する実感わかなかったのだろう。願わくば連れて帰りたいが手続きも済んでいる為できないのがとても悔しい。
治ったはずの泣き虫が再発してるリリィの頭をがしがしなでて腰を落として目線を下げる。涙をいっぱい貯めたヘテロクロミアの瞳と目が合う。
「......、頑張るんだぞ」
「....うん」
頑張って作った涙いっぱいの作り笑顔をした顔のほっぺをつねってわらわせる。
心配は尽きないか遠くからリリィの成長を願おう。強く優しく育つことを願って。