白百合幕間   作:紅葉

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中等部編 下 胸糞要素注意。


6章 悪夢 前編

 

あれ以降特に酷い事は起こらず付き添いをお願いする回数もだんだんと減ってきた。

数日休んだ分もしっかり取り替えせて中等部1年次の最終試験では出席をキープする事が出来た。嬉しくも初めの頃のような点差ではなくギリギリの僅差だった為もっと余裕を持って勝ちたいなと思うリリィだった。

試験の後の家族や父への通信も健在で首席をキープ出来た事を報告する。

実を言うと暴行を振るわれた事は家族には言っていない。私の家族は優しいから、その人が自ら選んだ道でも深く心配をかけてしまうから。

 

「お父さん、ほらみて首席キープだよ!」

「それはすごい、お父さん首席はあってもキープはできたこと無かったな」

「お父さんの背中超えたってことだね?」

「いぃや、まだまだだな」

「ぬぅん...」

 

画面には家族みんな映っておりしばらく見ないうちにお父さんもおかあさんも少し白髪が増えてアキナはすごく成長していた。

 

「おねーちゃん!次はいつ戻ってこれるの?」

「いつだろーー、2年生の長期休暇の時になるなぁ」

「いつでもいーよ!!アキナまつ!!!」

「ほーらアキナ、お姉ちゃんとの会話もいいけどちゃんと髪も乾かして」

「むん!」

 

お風呂上がりだったようで髪型濡れていてお母さんに連行されていってる。画面の向こうはすごく賑やかでとても暖かだった。

 

「リリィ、貴方のおかげで今余裕もててて今ちょっと調子もいいの。本当にありがとう。でも戻ってきたくなったらいつでも戻って来るのよ待ってるわ。愛してる、頑張ってね」

「...うん!」

 

皆に笑顔で手を振って通信を終える。

お母さんの調子が良くなってるのは本当に嬉しい。余裕もって生活もできてるならここに来て本当に良かったと思える。画面の向こう側が少し恋しくなって少々ホームシック気味になるがぱしぱしと顔を叩いて気分を入れ替える。

もう2年次なのだ、1年次よりも段々と授業や訓練も難しくなってきており訓練の総仕上げのような演習という科目も出てきた。もっと家族や教官や寮監さん、優しくしてくれた人達によころんで貰いたい。だからもっともっと頑張らないと。

もう消灯時間をすぎてしまっていたがリリィは机に向かい続けた。

 

「くま酷いよ?昨日ちゃんと寝たの?」

「気づいたら朝で...」

「えぇ...、今日は早めにねなよ?」

「そうする...」

 

教室で休憩時間にうつらうつらとしていたら後ろから知ってる声をかけられて振り向かずに返事する。ジェフ君には少し前までしょっちゅう付き添いをお願いしてたから少し距離が近くなった気がする。

距離が近くなったといえば彼もそうだがよく会うようになったエイル先輩もそうだ。教官に教えてもらった帰りによく遭遇する。先輩の部活がよく長引くらしく同じ時間にかち合いやすいと言われたが教官室だけじゃなくて訓練室からの帰りでも不思議とよく会うのだ。うーん?と思いつつ帰り道に1人にならないからありがたく帰り道をご一緒させてもらっている。

 

そう主犯格を警戒しつつ生活しつついつも通り教官室に行くと最近は見かけなかったイオ教官が居た。久しぶりに見かけたのでリリィは少し気分があがり上機嫌で質問と自主的にまとめた作戦案をまとめたノート端末を教官に見せた。

 

「そうだ、ノワール。例の事件の主犯格の事なのだが今は停学処分になっています。期間は決まっていないがまだしばらく戻ってくる事はないだろう。もう安心して大丈夫だ」

「...、それでしばらく見かけなかったんですか...?」

「...まぁ、頑張る生徒には安心して生活して欲しいから教官として当たり前の事をしたまでだ。

...、アトラもなにか護身術教えるって言ってた気がするが何を教えて貰ってるんだ?」

「足技です! 結構できるようになってきたんですよ!」

 

立ち上がって何も無い空間に蹴りを繰り出すリリィを見てそっと優しくほほえむ教官。

在学中使用する事が無いのが1番なのだが上機嫌そうなリリィを見れてとても心が綻ぶ。

そんな教官の心情を知らないリリィは蹴りの素振りで少々疲れたのか少し息が上がって頬が紅潮しつつ別の技の素振りを繰り出す。

 

「まだしばらく先になるだろうけど予定が会う時にアトラ教官と足技の訓練しているところを見に行くよ、楽しみにしてる。手合わせとかもできるといいな」

「わぁ、手合わせ! 頑張ります...!」

 

やる気に満ち満ちてるリリィをもうすぐ暗くなるからと帰寮を促す。そとが夕焼け通り越してすこし暗くなってきているのに気づいていなかったのか驚いたリリィは慌てて荷物をまとめてお礼を言って教官室を後にした。

さすがにこの時間に学校にいる生徒は少なく早く帰ろうと少し小走りよりで歩く。

 

「あれ、ノワールさん。偶然だね」

「こんばんわ、本当に偶然ですね」

 

振り向かずに答える。帰り道でこうやって毎回後ろから声をかけられるのだ。

普通に歩いてると横に並ばれる、やっぱり先輩だった。彼はもう3年だがそんなに部活が忙しいのだろうか、こんな時間まで部活やってるのは余り聞いた事ない。

 

「また部活ですか?」

「そうそう、いつもより長引いたんだよ。ノワールさんも珍しい時間じゃないか」

「私も、教官と話してて長引いたんですよ、

そういえば先輩の進路ってやっぱり高等部に進むんですか?」

「あぁ、部活でやり残したのを全部やってから高等部に進む予定だな」

「なるほど、頑張ってくださいね」

「ありがとう、しっかし空中庭園の季節設計は春ぐらいなのに夜は流石に冷えるな...。

ノワールさんは寒くないか?良かったら食堂で買って来たコーヒー飲むかい?」

「あーっと、お気遣いありがとうございます。私は寮で十分温まりますから、それは先輩が飲んであったまってください」

 

先輩が貰ってきたコーヒーだ、それに私はいま持ち合わせがないからコーヒー代をお渡しできない。やんわりと断り先輩に飲むように進めた。先輩はそうかとちょっと眉を下げコーヒーは飲まずコーヒーの紙のカップを持って転がして暖をとっているようだった。

...やり残したことか、だから長いこと学校に残っていたのか。何をやり残したのかは分からないけど先輩に不躾に何でもきくのも余り良くはないだろうと聞くことはしなかった。

寮に戻ったら時間が割と暗くなってたせいか寮監さんにいつも以上に心配された。

 

外の寒さがこたえたのかリリィは久しぶりに湯船にお湯をはっていた。お湯自体は少しだけ熱いかなぐらいのぬるめのお湯でのんびりと長くつかれるだろう。

体を洗いお湯を張った湯船にゆっくりと足をいれ肩まで浸かる。

 

「ふぅ...部活かぁ、初等部から放課後は教官と勉強だったからなぁ。全然考えた事無かったな」

 

今考えれば興味が無い訳では無い。球技も陸上などの運動部でも読書や吹奏楽などの文芸部もどれもとても楽しそうだった。確か初等部の1年次の時は音楽クラブなどの体験入部とかもちょっとお邪魔したな...。成績が振るわないで入るのは諦めて1人で黙々と勉強してたっけ...。

中等部ではもうこの生活を帰るつもりはない。けど、高等部でなにか試しに入ってみるのもありでは無いだろうか。

高等部では寮も校舎も変わり担当する教官も大きく変わると聞いている。恐らくイオ教官やアトラ教官の所で今のようにしょっちゅう聞きに行ったりはできないだろう。

新しい環境でも余裕をもてて成績をキープできたなら、興味が引いた所に入って見たい。

 

「ふふ...、何があるのかな...。ちょっと楽しみ...」

 

お風呂に浸かりながら長く考え事をしてたせいか少し熱めのぬるいお湯だったのにお風呂から出たあとリリィは少しのぼせた状態になってダウンした。

 

それから数日たつとイオ教官から秋頃ならアトラ教官と時間が会うしリリィの予定ともちゃんと噛み合うから訓練の様子を見に行けるとメールが届く。見てしばらくはやる気が入った状態で足技を練習していたが秋前の試験が迫っているのを思い出し勉強づけのてんやわんやの状態だった。

試験の結果はひとつ落ちて2位。作戦立案などの筆記はほぼ満点だったが訓練科目と演習科目で越されてしまった。

 

「点数は前より上がってるよ、そんな気にすることじゃないと思うけど」

「抜かされたのに変わりないもの...、もっと頑張らなきゃ...。」

 

落ち込みつつ次は負けない...!と闘志を燃やすころころと表情の変わるリリィはとても見ていて微笑ましかった。

 

そして教官が訓練に見に来る日。

教官との手合わせが楽しみで授業中も集中しながらも少しそわそわ過ごして放課後になるが、しばらくリリィは片付けずに課題をやっていた。もう少し後の時間で訓練室に行って手合わせという予定だった。

 

「リリィ、今日も送ろうか」

「いいの?じゃあお願いしようかな、あ..でも今日はもう少し経ってから行くんだけど..」

「いいよ、待つ」

「ありがとう」

 

少しの間課題の作戦立案を書き頃合をみて約束の時間とは少し早めに出発する。校舎内は多くの子が部活か帰ったかで人気は少なくなくぽつりぽつり残ってる生徒が居るのみだった。廊下を歩いていると突然いつもの道と違うルートをリリィは歩き出す。

 

「道はこっちだろ?」

「んーん、ちょっと近道!」

 

余程手合わせが楽しみだったのだろう。リリィはとても快活な笑顔で答え、初等部と中等部で1回も見せたことない本来のリリィの明るい感情で満ち満ちた笑顔だった。

 

「...? ジェフ君?」

 

隣を歩いてたジェフ君が急に立ち止まり振り向くリリィ。顔は俯いていて表情は伺えなく心配になり声をかけて近づく。

彼の腕が動いたと思った刹那どんっと背中に衝撃が走る。肩を押さえられて壁際に抑えられている。急な衝撃に肺が刺激されはっ...と息を吐く。

 

「な...どうし...」

「お前の、せいだからな」

 

少し混乱しているリリィだったが、顔が近づいてくるのを見て何をしようとしているのかを察する。嫌だ。されたくない。

 

咄嗟に手を相手の顔に滑り込ませされないように阻止する。めいいっぱい力を入れて押し返すがあちらも力を込めているためかどちらも全く動かない。

膠着状態が少し続き彼の手がリリィの顔を抑える手を掴む。腕が外れば絶体絶命だ、急いでもう片方の手を肩を押し距離を取らせようとしまた膠着状態になる。

 

「ゔゔ...ぅ!!」

 

全力で押し返している為に体力の消費は激しくもっと長引いてしまったら体力負けしてしまう。そんなことになったらもう勝ち目はない。なんとか打開しないとと押し返して壁にもたれて安定している状態を利用してリリィは相手の片足を足払いするように蹴り不安定になった相手を横になぎ倒した。

 

「ぃ...ってぇ」

「はぁ...はぁ...」

 

ずっと全力だった為かやはり疲れがすごくリリィは肩で息をしながら倒れている信頼していた彼を見つめた。

何も怖い事はしないだろうと、割と初めて長く友人でいてくれた人だった。例の噂も信じなかった1人だった。どうして。

信頼を裏切られてリリィがショックを受ける中のそりと立ち上がりゆらりとした足取りで近づかれる。

友人だった人に既に恐怖を覚えていたリリィはあとずさろうとするも後ろは壁で逃げ場がない。走り出そうにもさっき力を使い果たして上手く走れる自信もない。ゆっくりと伸びる手にとてつもない恐怖を覚えた。

 

「おい!!!! そこで何してる!!!」

「...っち...!」

「ぁ...」

 

目と鼻の先に迫っていた手は一瞬にして引っ込められて彼は見えない所まで逃走していった。まだ走れる体力があったのだ、次やったら完全に力負けだった。脅威が去ってゆっくりと壁をもたれにしてずりずりとへたり込む。

 

「大丈夫?」

「はい...」

 

声の主は先輩だった、鞄を持って片手に何時もの食堂の紙のカップのコーヒー。帰りだったのだろうか、でもまた凄い偶然だ。

こんな現場に早々遭遇すること無いだろうに、本当に凄い偶然。

息を整えてある程度動けるようになり先輩にお礼を行って訓練室に向かおうとすると腕を掴まれて引き止められる。

 

「そんなほぼガクガクな状態で行かせられないな。ちょっとこい」

「え、ちょっと...」

 

すぐ隣の空き教室に連れていかれ半強制的に座らせられる。少し休んでからいけという事だろうか。先輩は持っていたコーヒーをことりと机に置いてくれる。

 

「口付けてないから遠慮なく飲め。

暖かいし少しは回復するだろう」

「い...いただきます...」

 

紙コップを両手で持ち上げると本当に暖かく買ってきてからまだそんなに経ってない様だった。ほう...と温まりプラスチックの飲み口の穴の所に口をあて数口コーヒーを飲む。

中身はブラックだった様で苦味が強いが美味しかった。先輩との会話は無く飲んで一息、飲んでもう一息と繰り返してカップのコーヒーの残りが半分ぐらいになった時には息も整ってある程度疲労も回復していた。

もうガクガクだなんて言われないだろう。

 

「先輩、ありがとうございました。後でコーヒー代お渡ししますね」

「気にしないでいい」

 

よいしょと椅子から立ち上がる。と、ぐらりと視界が歪みたたらを踏む。うっと目元を抑えて支えに机に腕をついた拍子に先程飲んでいたコーヒーが机から落ちてしまう。蓋が空いてしまい中身がこぼれてしまった。

床に広がるコーヒーはブラックの焦げ茶ではなくて白みの強いカフェオレだった。

 

「な...ん...?」

 

ブラックとしか思えない苦さだったはず、困惑していると肩にどんとあつがかかり目眩で平衡感覚が取りずらい状態のリリィは容易に後ろ向きに倒れてしまう。受け身も取れずに倒れてしまったがために背中と後頭部を強く打ち痛みで悶絶する。

何が何だか分からない、痛みのせいか落ち着いていた息も浅く荒くなっていて若干手も震えている感覚がある。

 

「せんぱ...、手..かり...」

 

先輩に手を貸してもらおうと声をかけるが先輩は私を見下ろして動かない。あの、目は…。冷たく見下ろすようで何か熱の篭った目…。さっきの逃げていった彼に似てて、より数段と深い目がリリィを見下ろす。

まさか...、コーヒーに...何か入ってた......?

 

「手か、貸してやる」

 

仰向けに倒れるリリィを間にまたぐ状態でかがみこんで手を差し出してくる。

良くない、これは絶対に良くない。怖い怖い怖い。

本能か直感的に恐怖を感じ取ったリリィは体をよじり伸びてくる腕から逃げようとするも体が脚で跨がれた状態で横には逃げ道がなく抵抗は虚しく終わる。

まずリリィを襲ったのは急激な息苦しさだった。喉に残っていた空気が吐き出されるような感覚と通り道が狭く上手く息ができない息苦しさ。呼吸する度に口からひゅうひゅうとか細い呼吸音が漏れる。

めまいや混乱で状況が掴めないリリィが視線を下ろすと腕があった。首を掴んで床に押し付けるように体重をかけられている。苦しくないわけがなかった。

 

「ひゅっ...、ひゅぅっ.....」

「はは、長かったな。やっと手が出せる」

 

どういうこと...、やっと...?今までこうする為に仲良くしてくれていたの...?

歯を食いしばりなんとか拘束をとこうと震えている手に力を込めて喉を抑える腕に力をかけ爪を立てる。足をばたつかせてもみたが空を切っているだけのようだった。

リリィが力を込めるに比例して喉にかかる圧は増えていき少しできていた呼吸はほぼ出来なくなり抵抗する力が段々と抜けていく。酸素をもとめて口を開けるもさっきよりもか細い音が漏れだらりと唾液が口から漏れるだけでどうにもならなかった。

力の入らない指で腕を引っ掻いても跡も何も残らずただ虚しく終わる。

 

苦しさにもがいて不意に上にいる先輩の顔を見る。今までに見たことがない顔で、欲にま見れて口は弧を書いて笑っていた。目は合わず首ら辺を見ているようで目は楽しげに少し薄められていた。

 

「なんでそんな抵抗するんだ?

そういうつもりで入ってきたんだろ?」

 

そういうつもり...?

抵抗するリリィを不思議そうにしつつ首を抑えていない方の腕で器用に上着のボタンを外されていく。

 

「ファウンス士官学校自体は男所帯だからな、女が来たってことは処理に使ってくれって事で来たんだろ?」

 

違う。どうして、すごく頑張ったのにどうしてそんな目で見られなきゃ行けないの。

悔しくて再び腕になけなしの意識と力を集中するがどうにもならない。男の腕は無慈悲にも半ば破くようにワイシャツのボタンを外していく。

 

「僕はちゃんとした使い方してやるだけだ。

そんな嫌がるなよ気持ち良くしてやるから」

 

嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。

もう力を込めてもどうにもならない、声を上げようにも喉が潰されて息もままならない。

それに近道したせいでほかより少し人が通りづらい場所だから助けも望めない。そもそも力をがちゃんと出る状態で抵抗しても力で押しのけられただろうか。

怖い。怖い。怖い。変に鬱陶しいけど優しいと思ってた先輩だったのにこんな男だった。さっきも信頼してた友人にも裏切られた。どうして...、私が悪いの...?家族みんなに喜んで欲しくてこの学校に来ただけなのに。お父さんの背中を追いかけてここに来ただけなのに。ここに来ては行けなかったの...?

スカートがまくり挙げられ上と下の下着を半ば破くように強引に剥ぎ取られる。

悔しさ、羞恥、恐怖、不安、絶望ほか色々な感情が溢れ涙となってリリィの頬を伝って床へと落ちた。

 

「お前がそう望んでここに来たんだろ、泣いたってやめないからな、むしろ興奮する」

 

酸素が巡らず、ぼぅっとし始めリリィの遠のく意識にかちゃかちゃという小さな金属音が響く。抵抗できなくなってだらりと伸びた足の間に男の足が入り込み開かせられくっくっと楽しそうに笑う声が耳に響く。

もう嫌だ…怖い、誰か...助けて...。

 

なにかが、ぴとりと触れた。

 

 

「ノワール!!!!!!! 貴様ぁぁぁ!!!!!!」

 

轟音。朦朧として思考力が落ちた意識に目を覚ませと言わんばかりの轟音が響く。

そして何か潰れるような鈍い音と共に息苦しさが消え急に戻ってきた空気にむせて咳き込んでしまう。

酸素が戻りゆっくりと霞がかった意識が鮮明になっていく。ちらりと横を見るとアトラ教官が男を取り押さえてる状態だった。

 

「くそっ、くそっっ!!!性処理係で処理しようとするのが何がわるっ ぐぅうっ」

「黙れ獣め!!!そんな物あるか!!!」

 

はぁはぁと荒い呼吸を何とか整えようとしているとぱさりと頭から何かが被せられた。

 

「被っていなさい。よく、耐えた...。よく...、頑張ばったな...。

訓練室になかなか来ないから心配になって探しにきたんだ、もう少し早く見つけられたらよかった…」

 

イオ教官の声が布越しに聞こえる。

よく耐えた、そう聞いて改めて教官たちが助けに来てくれたのだ。と気づくことができ流れる涙は安堵の涙に変わっていた。服を掴んで小さく嗚咽を漏らして泣くリリィに教官はただ静か布越しに頭を撫でてくれていた。

破かれた服はすぐにはなおらず上にイオ教官の長めの上着を羽織って救護室で変えの服貰ってイオ教官に付き添われ帰寮する。

 

「おかえり...なさい」

 

今まで見た事がない位に酷く暗い顔のリリィをみて、戸惑いつつも暖かく迎え事情をすぐには聞かず部屋でゆっくりして何かあったら呼んでとリリィに伝える。

足取り遅く部屋に戻るリリィを見送り付き添ってきた教官に事情を聞くと寮監に思いもよらない回答が来て青筋がこめかみだけじゃすまないぐらいに走っていた。

頑張って頑張って、憧れを追い家族の幸せの為に人一倍努力してる子がどうしてこんな目に会わないと行けないのだ。

声にならない怒りと慟哭が寮監の心の内を燃し尽くす。

翌日もその翌日もリリィは塞ぎ込んだ状態で部屋から出てくることは無かった。寮監の料理は食べてくれている様で届けたらありがとうというメモと空の食器と共に返却されている。深い深いキズだ、すぐに癒える事は無いだろう。寮監はそう感じ自分にできることは...と何処かに通信を繋げた。

 




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