秘密結社と掲示板と超能力者 作:コンポジット
世の中には、超能力というやつがある。
「発生したのは小規模
幸い、住民被害はなく
大凡大半の人の手に余るもの。
しかし人の手に齎されてしまったもの。
そんな超常の力は、突発的に発生する。
災害と何ら変わらないそれは、過去十数年から幾人かの人の手によって秘密裏に対処されてきた。
対処する者達が集う結社の名は『秤』。
その構成員の中には超能力もいる。
目には目を、歯には歯を。
そして、超能力には超能力を、ということである。
「原因と思しき対象の調査及び保護。
場合によっては『処分』せよ、これが上の判断です」
そして今まさに、『秤』は活動を開始している。
道路を走る変哲のない白い車。運転席に座る七三分けの眼鏡男は、淡々と後部座席の二人へ業務連絡を行う。
一人は幼い顔立ちの男、水瀬透。
もう一人は冷酷そうな眼の女、桂目一華。
二人が纏うスーツは揃って黒一色。
だが胸元につけたネームカードの経年劣化からみるに、桂目一華の方が先輩だと読み取れる。
短い黒髪が相応しい、鋭い彼女の目が『後輩』の方へギロリと向けられた。
視線の先、水瀬透は白髪混じりの癖っ毛を揺らしながら、携帯を黙々と触っている。
見るに見かねてか、先輩は口を開く。
「水瀬、携帯」
聞くだけで底冷えするような声。
運転席の眼鏡男もさっと顔を青くするが、しかし声を向けられた本人は眉一つ動かさないまま。
それどころか、携帯に指を滑らせながらのうのうと返事をする始末。
「ちょっと待ってください…これだけ返信しちゃいます」
ぴしり、と車内の空気が張り詰めた。
続けて、冷え切った声が水瀬の鼓膜へと。
「…軽いのはフットワークだけにしてくれない?」
明確な口撃。それを真正面から受けても尚、水瀬は携帯を操作し続ける。明るい表情は欠片も動かず、冷たい声をものともしてないのは明らかだ。
指で短い短文を打ったのか、彼は少しの間の後で携帯をきちんとポケットにしまった。
しかしその顔には悪びれが一切ない。代わりに浮かんできたものは、どこか人懐っこい笑み。
このやり取りに慣れているのか、それとも予想しきっていたのか、ともかく桂目は呆れ気味に息をつく。
一方で眼鏡男の方は冷や汗を増やしていく。
「すいませんでした、先輩。
あ、そうだ! 目的地に着くまでしりとりしません?」
「なんで私があなたと二人でしなきゃいけないのよ」
「僕、しりとりなら絶対負けませんよ」
「……」
無言で睨む彼女に対し、後輩は微笑んだまま。
それを見て、桂目の瞳に苛立ちの色が明確に浮かぶ。
だがそれも一瞬のこと。彼女は小さくため息をつくと、唇を不満げに開いた。
「りんご」
発されたのは端的な単語のみ。
それでも、言葉の意味を理解した途端、水瀬の顔がぱあっと明るくなった。
嬉しげに笑う彼とは裏腹に、桂目一華の機嫌は急降下していくばかり。
二人の会話をバックミラー越しに見ていた眼鏡男が、胃の辺りを必死に抑える。
そして心の中で、静かにこう思った。
───そうだ、転職しよう。
三人を乗せた白い車は、そんな空気の中進んでいく。高層ビル並ぶ大通りを走り、次第に閑散とした廃墟の群れの中へと。
そして明確に雰囲気が変わった現場が近づく中でも、水瀬透はマイペースであり、桂目一華の目つきは悪くなるばかりであった。
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【ばらんすちゃんねる】 【朗報】馬鹿怖い先輩とコンビ組んだ【慟哭】 1:名無しの社員 さーてどうしたもんかな ちなみに今隣にその先輩が座ってる さっきからすごい指トントンしてて草
2:名無しの社員 2022/3/1 2:11:01 お前精神状態おかしいよ…
3:名無しの社員 2022/3/1 2:12:10 さてはこいつそんな怖がってないな?
4:名無しの社員 2022/3/1 2:13:05 怖い先輩っつったら誰かね 有名な候補が二、三人ほどいるから あと携帯しまえ 指トントンはヤバい(経験談)
5:名無しの社員 2022/3/1 2:13:58 その先輩の機嫌が悪いのか 単純に>>1がクソ失礼ムーブかましてるのか
6:名無しの社員 2022/3/1 2:15:01 前者ならまだ良い 後者なら今日殉職するやつが一人増える
7:>>1 2022/3/1 2:16:13 何って…顔合わせの時に携帯をいじっただけだが?
8:名無しの社員 2022/3/1 2:17:09 こやつ頭が終わっておる!
9:名無しの社員 2022/3/1 2:18:07 あのさぁ…
10:名無しの社員 2022/3/1 2:19:14 特定した 何やってんだあの馬鹿
11:名無しの社員 2022/3/1 2:20:25 >>1は超能力者?常人?
12:名無しの社員 2022/3/1 2:21:22 判決お願いします
13:名無しの社員 2022/3/1 2:22:28 有罪!!没収!!死刑!!
14:>>1 2022/3/1 2:23:21 待て、弁解させてくれ さっきまで友人が峠ウロウロだったんだ だから携帯から目が離せなくて まぁそいつは無事生還したんだけどこのことまだ先輩に言ってないんだよね >>11 そだよ、等級はⅢ
15:名無しの社員 2022/3/1 2:24:14 それと貴様が今携帯をいじってるのは別であろう
16:名無しの社員 2022/3/1 2:25:12 サンキューお奉行
17:名無しの社員 2022/3/1 2:26:09 なんだ峠ウロウロとかいう倫理が終わった響きのワードセンスは
18:名無しの社員 2022/3/1 2:27:11 こんな奴が最高位の超能力者とかもう終わりだよこの結社
19:名無しの社員 2022/3/1 2:28:17 どう考えてもこいつmnsっちでしょ
20:名無しの社員 2022/3/1 2:29:11 mnsならコンビは…ktrmさんですね…
21:名無しの社員 2022/3/1 2:30:05 終 わ り だ
22:名無しの社員 2022/3/1 2:31:02 名前の隠語上がってるはわかる どんな人なのかはわからん そんなヤバいのかその二人
23:名無しの社員 2022/3/1 2:32:04 やばいっつーかmnsの方はバカ すんごいバカ まぁこの先いくらでもわかるぞ Ktrmさんは怖いけどしっかりした人だぞ
24:>>1 2022/3/1 2:33:08 あ、だから俺コンビ組まされたのか まぁいいや ここから先輩と仲良くなる方法ない?
25:名無しの社員 2022/3/1 2:34:05 い ま さ ら
26:名無しの社員 2022/3/1 2:35:04 心臓が鋼かなんかで出来てる?
27:名無しの社員 2022/3/1 2:36:08 多分そう 部分的にそう
28:名無しの社員 2022/3/1 2:37:14 多分今好感度がドン底やぞ 死ゾ というか結成理由をさらっと流すな
29:名無しの社員 2022/3/1 2:38:15 どうして明日死ぬかもわからない職場で仲良くなることが必要なんですか?(現場猫)
30:>>1 2022/3/1 2:39:24 だからこそやろがい! どうせ死ぬなら友達の顔を思い出して死にたいし!仲のいい奴の顔を思い浮かべながら死んで欲しい!
31:名無しの社員 2022/3/1 2:40:20 賛否両論来そう
32:名無しの社員 2022/3/1 2:41:15 一理ある
33:名無しの社員 2022/3/1 2:42:18 あの堅物lv100みたいな先輩と仲良く…?
34:名無しの社員 2022/3/1 2:43:29 無理では?
35:名無しの社員 2022/3/1 2:44:31 しりとりとかやってみたらどう?
36:名無しの社員 2022/3/1 2:45:40 投げやりで草
37:>>1 2022/3/1 2:46:00 やってみるね
38:名無しの社員 2022/3/1 2:46:32 は?
39:名無しの社員 2022/3/1 2:46:52 まじかあいつ
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超能力者ってのは、根本的に人と『ズレて』んだよ。
脳の構成が、常人と異なってるってのが今んところ主力な説だ。
例えば、前頭前野が変異したケース。
理解可能な脳の変異。よくある等級Ⅰの能力者だ。
見られる行動は、全能感、思いやりや忍耐力の欠如。暴走する事が多いが、能力自体はありふれたもんが多い。
大方、発生するのも
だが、等級Ⅱからは
脳の変異こそ理解出来るが、
能力者の司法解剖は何度かやったがね、それでもさっぱりだ。あらだめだ、気持ちが悪い。何がって
はっきり言って、あら体感しないと分からない感覚だ。
例えるなら…既知感? いや違うな…こう、嫌な予感っつーのかね…そんで、こいつらは場合によっては『災害』でしかなくなっちまう。残念なことにな。
んで、皆さんご存知の通り、等級Ⅱから危険性もダンチ。会話が通じない奴もいるし、多重人格者だったりするし、等級Ⅰと違って千差万別だ。
発露する能力にも、空間に干渉するものが増え始める。
だが、これすらも前座に過ぎない。
───等級Ⅲ 言わずと知れた最強。
あいつらこそ正しく、超能力者というに相応しい。
これまでの等級と違い、人間らしい感性を持つ。だがどうにも、何かが欠如している感覚が拭えないと、彼らと関わりを持った奴等は口を揃えて言う。
無論、俺もその一人だ。
脳がどうなってるのかは、いまだに見た事がない。近頃本人達の希望から大々的な分析が始まるが…正直なところ知るのが怖いってのが本音だな…。
さて、話を戻そう。
現在確認・捕捉されている等級Ⅲは6人。
その内3名は幸いにも〝俺達側〟にいる。
信用できるのか、という声は最もだ。
危険だという言葉も俺は大いに賛成する。
だが、今更だろうそんなの。
等級Ⅰ、Ⅱの奴等と同じ釜の飯を食ってる時点でなぁ?
まぁデカい力を不安に思うのは当然だ。
あまりにも不安なら、今度実際に話してみるといい。
案外、気のいい奴らだぞ?
さて、彼等の能力は固有色が大分強い。
そんなもんだから、上の奴らは、等級Ⅲの能力に限って
さて、長々と語ったちまったが、
だがこれから語ることが一番大事なことだ。
───超能力者も俺達「普通な人」と同じように、いい奴と悪い奴がいるってこと。
俺達は、それを受け入れないといけない。
自分がしたことを後悔している奴もいるし、つゆ程も後悔してない奴もいるし、そもそも自分が怖くて仕方ない奴も、手に入れた力を人のために使いたいって奴もいる。
俺達は、排斥者ではない。防衛者だ。
だからこそ、超能力を解明する。
超能力による事件を鎮圧する。
突発的に発生する「超常」は、
どのみち今更止まることなどないだろう。
だからこそ、俺達は「知り、そして守る」ことを胸に戦い続けなければならない。
───全ては、より良き未来のためにってな。
まぁこの先どうなるかだなんて、誰にも、それこそ神にだってわかりゃしない。
だから、少しでも最善に向けて頑張ろうじゃねぇか。
これからよろしく頼むぜ、新入社員諸君!
社長『深山勇作』のスピーチより抜粋
〜社内評判〜
水瀬透(16) ★★★☆☆ 3.2
・良いクソ野郎
・仕事のできるクズ
・頼りになるカス
桂目一華(20) ★★★★☆ 3.8
・こわい
・かっこいい
・近寄り難い