「入隊ですか、この時期に。」
「ああ。どうやら霊術院をたったの3ヶ月で卒業したらしいぞ。」
「3ヶ月ですか!五番隊の市丸以来の神童ですか!それがウチの隊に。こりゃあ俺の隊長就任の話もどんどん遠のいていきますな。」
「嬉しそうにするなよ海燕。」
十三番隊舎の縁側で茶を啜る同隊長、浮竹十四郎と同副隊長、志波海燕。浮竹は肺炎を患っているが今日は調子が良く、こうして床の間に伏せる事なく海燕との談笑を楽しんでいた。
「しかしどうしてウチが獲得できたんです?隊長、勧誘とか行ってないでしょ?」
ここ最近ずっと寝てたんだし、という言葉は飲み込んだ。海燕も当然勧誘など行ってないので十三番隊は隊長格が勧誘をしていない。話によると五番隊は藍染副隊長が直々に勧誘をしたと。それなら他の隊も同様に勧誘に行ったのかもしれないが…、隊長格の誘いを断ってまでなぜ十三番隊に入ったのかが分からなかった。いや、十三番隊はとてもいい隊で護廷十三隊の中でもっとも居心地がいい隊だと思っているが霊術院生が隊の気風まで知っているとは思えない。せいぜい剣術で有名な十一番隊、隠密機動の二番隊、治療専門の四番隊で後は同じような隊だと思っているだろう。事実海燕も、周りの院生も当時そんな認識だった。
「なんでも彼は海燕と、車谷に恩義を感じているらしい。」
車谷…、あいつか。数年前に入隊した時は謙虚だったが最近ちょっと調子乗ってるからな…。
「で、例の院生の名前は?」
「ああ。冬空吹兎くんって聞き覚えはあるかい?」
「ああ。あいつなら知ってますよ…」
それから海燕は浮竹に知っている吹兎の事を話した。
「まじか。もう飛び級で卒業だと?」
「ああ。そうみたい。さっき先生が来て、卒業試験に合格したって。」
筆記も手応えあったしな。変ないじわる問題が出なくてよかった。
「そうか。寂しくなるな。」
「別にお前らが卒業すればまた一緒に働けるからな。それに長期休暇の時にはまた会えるし。寂しくないぞルキア。」
「ほ、本当にまた会えるよね…?」
「ああ。だから泣くな桃。」
「それで吹兎。どこの隊に希望を出したのだ?」
「ああ。十三番隊に出したよ。子どもの頃、虚から救ってくれた人も、弱かった俺に修行をつけてくれた恩人も十三番隊の人だったからさ。今度は僕が恩返ししたいんだ。」
「…そうか。ならば私も…」
「ルキアちゃん?聞こえてるけど?」
「…む。雛森、目が笑ってないように見えるが…笑顔が黒くはないだろうか…。」
「気のせいだよルキアちゃん!」
平子を震え上がらせる雛森事変の片鱗が見られました。桃がルキアをちゃん呼びしてるのはミスではありません。ここはちゃんの方が迫力が出ると思ったのでしょう。この二人も仲良くなっていってます。
活動報告でも書きましたが、更新が遅れてしまって申し訳ありません。
今回で霊術院編、終了です。
次回もよろしくお願いします。