20話 模擬戦
「本日からこの十三番隊に所属いたします冬空吹兎です。よろしくお願いします。」
霊術院の卒業式を終え、護廷十三隊の入隊式も終えて今は十三番隊の隊舎の中にいる。今この部屋にいるのは隊長羽織を着た浮竹隊長、副官章をつけた海燕さん...志波副隊長。それから上位の席官の方々である。
「まずは十三番隊に来てくれた事、歓迎する。隊長の浮竹十四郎だ。」
「吹兎はもう知ってるとは思うけどな、改めてだ。副隊長の志波海燕だ。今日は元気だが隊長はいつもどこかしらの体調を崩しててな。普段は俺が隊長の仕事もしてるんだ。だから俺の事、海燕隊長だなんて呼んでもいいぞ。ま、これは毎回新入隊員の挨拶の時に言ってんだけどな。」
「ほう、やはり海燕は隊長になりたかったんだな。今度推挙してみよう!」
「じょ、冗談ですって...」
志波家での海燕さんと少しも変わらなかった。
「入って早々悪いが吹兎くんの実力を見せてもらいたい。疲れているとは思うが頼めるか?」
ある程度の挨拶を交わすと浮竹隊長がそう切り出した。新入隊員の実力を測りたいって事かな。
「分かりました。」
「じゃあ着いて来てくれ。」
俺は浮竹隊長の後に着いて行く。
「ここは?」
連れてこられた先は隊舎の道場のような場所で壁には死覇装を着た死神が座っている。おそらく十三番隊の隊員の方々だろう。そして一人、アフロ姿の死神が道場の真ん中に立って僕たちを待っていた。あの人は...
「車谷さん!」
「おう。あん時の坊主だな。随分と早く死神になったな。これからの事は隊長に聞いてるか?」
「いえ...。」
「ではこれから冬空吹兎と車谷善之介二十席の模擬戦を開始する。」
先ほど部屋にいたメガネをかけた上位席官の男性のその言葉に僕は驚愕する。
「なお両者真剣を用いるものとする。但し命を奪う危険性のある攻撃、今後継続して障害が残る可能性がある攻撃、また霊力を奪う手段については禁止とする。これらが見られた場合、我々が止めに入り、即刻反則負けを言い渡すものとする。」
真剣って...それじゃ怪我をさせてしまうかも...
「あまり緊張するな。このエリート死神の車谷善之介がいい感じで加減してやる。胸を借りる気持ちで向かってこい!」
そうか。相手は車谷さん。席官の方だ。僕が傷をつける...なんて思い上がっていたんだ。いくら霊術院を飛び級で卒業したとしても所詮は学生レベル。
「分かりました!よろしくお願いします!」
全力で食らいついてやる!
「はじめ!」
僕は瞬歩を併用したスピードで車谷さんに斬りかかる。
「...えっ?」
僕の全力も防いでくれる。そう思い全力で斬りかかったが車谷さんは何の防御もせずそのまま僕は車谷さんの右肩を斬ってしまう。
「そ、そこまで!救護班!車谷二十席の治療を!」
「は、はっ!」
僕は混乱してしまいあたふたしてしまう。
「瞬歩と斬術の併用か。」
「はい。」
隊長格はほとんど戦闘のために瞬歩を用いる。しかしそれはあくまで瞬歩で敵の近くまで移動してから斬るのであって斬術と瞬歩を同時に行う訳ではない。斬る際に斬魄刀に霊圧を込めながら足元にも霊圧を集中させる。口で言うには簡単な事だがそれは難しいものである。斬拳走鬼の完全同時併用とはそれだけで難しいものだ。白打と鬼道を同時に使用する隠密機動の奥義、『瞬閧』がその入り口に到達するだけで隊長格でも苦戦する難易度だと言えば伝わるだろうか。
「海燕、見えたか。」
「俺は何とか。ですが他の奴らは多分無理でしょう...。」
海燕と模擬戦に勝利すれば入隊と同時に二十席を与えると話し合っていたがまさかここまでとは...。
「隊長。俺に相手させて下さい。隊長の考えは分かっているつもりです。清音も、いいな?」
十三番隊第四席で空席の三席に昇格する話が出ていた仙太郎と清音が提案してくれる。
「済まない...頼めるか?」
「それでは、冬空吹兎を十三番隊第三席と任命する。」
あの後、仙太郎さんと清音さんとも模擬戦をした僕は隊長に席官への任命を受けていた。正直意味が分からなかったが海燕さんに丸め込まれた...。
「謹んでお受け致します。」
「仙太郎、清音そして海燕。吹兎くんは三席の実力があるといっても新入隊員である事には変わりない。仕事の事とか教えてあげるように。」
「「御意!」」
こうして僕の死神としてのお仕事は初日に色々あったが始まった。
やり過ぎと思われるかもしれませんが、市丸ギンも入隊とほぼ同時に三席となっています。まあ彼は三席と決闘の上、殺しているんですが...
本気と言ってるのに吹兎が始解を使わなかったのは彼の始解がそもそも相手の霊子結合を断つ、というそもそも継続した障害を与えるのが目的のもので模擬戦の制限に引っかかったからです。
次回もよろしくお願いします!