26話 ギスギス
「今日、皆さんに講義をする事になります。十番隊隊長の冬空吹兎ですよろしく。」
僕がそう言って頭を下げると途端に空気が冷え込む。
「は?吹兎、いやその羽織...。」
「ああ。中々一死神が霊術院に足を運ぶのは難しいからな。仕事も忙しかったし。」
浮竹隊長に言われた後も絶対仕事多めに押し付けられてた...
「だからまあ、里帰りみたいな感覚かな。僕も卒業してから何もして来なかった訳じゃない。きちんと講師の役割はこなすさ。」
「斬拳走鬼のいずれも霊圧を行使して行う死神の技能だ。まあ当たり前だがいきなり急激に上手くなる、なんて事はあり得ない。」
参加してくれたみんなは暗い表情に変わる。
「だからこそ、基礎が大事なんだ。霊圧を使う斬拳走鬼の基礎はつまり如何に上手く霊圧を使うか、という事だ。最大霊圧量を多くするのは難しい。だから自身の霊圧操作力を高める事が大切だと僕は思っている。僕の考えは多分霊術院の教科書とは異なると思うし、瀞霊廷でも限りなく少数派だ。だから賛同できない人は帰ってもらって構わない。せっかく時間を作ってもらって申し訳ないと思うけどね。」
そう言って僕は賛同できない人の退出を認めた。まあ多くの人が残ってくれるとは思うが。
「...めっちゃ帰った。」
いつもの四人は勿論残ってくれたけど最初の人数から考えれば十分の一以下にまで減ってしまった。ちょっとヘコむ。
「ま、まあ...、いい意味で少数になったので個別で対応していきたいと思います。」
涙を拭いて霊圧操作のイメージを個人個人に合わせて教える。...僕って人望無かったのかな...。
「今日はこんなものかな。特に恋次。お前は霊圧操作が四人の中じゃ一番致命的だからなー。」
「だから阿散井君の鬼道は少しアレなんだねー。」
「桃。恋次のそれはアレなどと言葉を濁して説明できる代物ではない。もっとはっきり言ってやれ。」
「なんだとー。」
ルキアの言い分に恋次はやはり堪忍袋の緒が切れたのかルキアに掴みかかる。
「はい、そこまで。ま、恋次が鬼道できないのは分かりきっている事だけど、恋次の剣術には光るものがある。さっきの講義でも言ったが、霊圧操作はあくまでも僕が考える強くなるための一つの手段に過ぎない。このやり方が合わない人もいれば別のやり方の方が合っている人もいる。極論、強くなれればそれでいいからな。斬術はもっとも霊圧操作が必要じゃない技能だしな。」
霊圧の出力、操作を自身で全て行わなければならない白打、そして特に鬼道は霊圧操作が求められるが斬術では斬魄刀が霊圧操作を一部担ってくれるので霊圧操作の能力が低くても一定の戦闘能力は担保できる。
「十一番隊とかは特に霊圧操作なんて普段からやらない奴の方が多いと思うしな。恋次には十一番隊が似合ってるかもな。」
「なんか同期なのにすごい差をつけられたみてぇで悔しいぜ。」
「何言ってるんだ?たまたま僕が早く出世しただけでみんなも隊長格には絶対なれる実力はあるだろ。」
四人は恥ずかしかったのか僕から目を逸らして俯く。
「それより吹兎。貴様、隊長になる事はいつ決まったのだ?もう少し早く教えてくれれば私も十番隊に希望を出したというのに。」
「ねぇルキアちゃん。ルキアちゃんは吹兎くんと同じ隊に入りたかったの?」
「ああ。気心知れた者が同じであれば心配事も少ないであろうからな。」
「そうだね。
「ねぇイヅル。なんかあそこギスギスしてない?」
なんか怖くなったのでイヅルに話しかける。
「君もそういう方面に関しては阿散井君みたいに鈍かったのかい...。まあ普段はあんな事ないから仲が悪いって事じゃないと思うからそこは安心していいと思うよ。」
なんか怖かったため、僕はそうっと二人に気づかれないようにその場を離れた。
「とりあえず。よろしくお願いしますね。」
「ああ。俺も海燕からお前の事は聞いている。いや、隊長相手にこんな言葉遣いはマズかったな...。すみません。」
「いえ!僕は志波家の方々にすごくお世話になりました。変に畏まらないで下さい。」
「そうかい。じゃあ分かったぜ隊長。」
僕は十番隊隊舎で副隊長と面会する。名前は幾度と聞いた事があったが実際に対面する事はこれが初めてであった。
十番隊副隊長
志波一心
ルキアと桃は朽木問題が解決して更に仲がよくなっています。そして暗黒微笑雛森事変モードの時はルキアをちゃん付けで呼ぶようになりました。
乱菊さんはまだ一心の下の位、三席ではありませんのでまだそこまで偉くはありません。
次回もよろしくお願いします!