「た、隊長が裏切り?」
「左様。そして明晩、十番隊隊長の冬空吹兎は瀞霊廷より逃亡した。これが奴が裏切りを働いた何よりの証拠である」
俺は突然四十六室の連中に叩き起こされ査問室でそう言われた。
「罪人、冬空吹兎の代わりとして十番隊隊長代理に志波一心を任命する」
「...承知しました」
五大貴族の一員として四十六室の事はよく知ってる。隊長が裏切りなんてする訳ねぇ...。だが四十六室が証拠も曖昧な状態で聞く耳を持つ訳がない。中央四十六室は平時下での瀞霊廷の最高意思決定機関だからな。
俺は席次は副隊長のまま、十番隊を率いる事になった。
「......」
十番隊のみんなは隊長を慕っていた。毎朝隊長と仕事やるか否かでドンパチやってたからなぁ...。隊のみんなは俺が隊を率いて大丈夫なのか? といった目だな、これは。変に飾っても仕方ねぇな。
「みんなも聞いたかもしれないが今朝、隊長が尸魂界への裏切りを働いたとされてるが...はっきり言う。俺は全く信じてねぇ!」
「「「!!!」」」
隊員は驚く。まあ、当然か。副隊長とはいえ隊長代理に就く自分が、そして分家とはいえ五大貴族の志波家に属する自分が中央四十六室の裁定に真っ向から反対したんだからな。
「みんなはどう思う?」
隊を見渡す。
「自分も! 隊長が裏切りなんて信じられません!」
「自分もです!」
「自分も!」
次々に声が上がっていく。
「みんなの気持ちは分かった。ただ根拠がなければ四十六室も考えを改めない。そしてこの事は隊の中だけで話し合おう。...下手をすれば十番隊自体に裏切りの意思ありと見られるかもしれない。俺は隊長が裏切り者じゃないという証拠を探しながら隊長が帰ってくる場所を守る」
その言葉で十番隊隊員の迷いが消えたのか、彼らの目の色が変わる。そして思いを素直に吐き出した事で俺も気づく。
「俺って隊長の事、思ってたよりも好きだったんだな...」
──────
「朽木、行くぞ」
「はい! 海燕殿!」
私は海燕殿に協力してもらって今日も始解会得のための修行を行なっている。いつか起こるかもしれぬ決戦のために。
修行もひとまず終わって私は持ってきた弁当を食べて休憩していた。
「そういや朽木」
「何ですか? 海燕殿」
「お前吹兎の事好きなのか?」
「はっ!? へっ!? い、一体何のことでしょうか?!」
「いや、焦りすぎだろお前...。あとお茶吹き出すな汚い」
「...すみません」
私は慌ててハンカチで口を拭う。
「まあ否定しなくてもバレバレだからな。隊長と清音といつもその話してるし」
「えっ」
「まあ声がでかい仙太郎に言わなかっただけ感謝しろよ? で、いつからあいつの事好きになったんだ?」
「そ、それは...。そ、それより海燕殿! 海燕殿はどうなのですか?」
吹兎の隊長昇進と入れ替わるように都さんが三席に復帰した。私は彼女の事はよく知らなかったのだがどうやら海燕殿と上手くやっていると聞く。
「まあな。あいつとは今度結婚するぜ」
「え」
仕返しで揶揄うつもりだったが...何もなく受け流されてしまう。
「朽木ィ。話題を変えるために上官を揶揄おうとするなんていい度胸じゃねぇか。今日の修行も一段落ついた事だしお前も隊長と清音達に混ざれ」
「えっ...えぇっ!」
この後、私は縛道で逃げられないように拘束されてから海燕殿と清音さんに揶揄われるという辱めを受ける事になった。海燕殿と清音さんは悪意で満ち溢れていたが浮竹隊長からは終始微笑ましい目で見られた事も...なかなかに辛かった...
──────
「雛森君。だったね」
「あ、藍染隊長!」
前の五番隊の隊長さんの名前は知らなかったけど、その人も吹兎くんと同じくらいの時に隊長を辞めたみたい。それで藍染副隊長が隊首試験を合格して藍染隊長になったんだって。でもどうして新人の私なんかの名前を?
「君はすごく優秀だからね。優秀な人材は新人だろうと隊を助けてくれると思うからね。...特に今は瀞霊廷が大変だからね」
吹兎くんが裏切りをしたとみなされ、そして護廷十三隊の多くの隊長格が瀞霊廷を去った。隊長、副隊長が健在の隊は一、四、六、十一、十三番隊だけ、と全体の半分にも満たない。今、瀞霊廷は酷く混乱している。こんな時に言うべきかは分からないけど...
「...私は吹兎くんが裏切りをしただなんてどうしても思えないんです」
藍染隊長がどう思ってるか、それが知りたい。
「僕も彼の事はよく知っている。彼は裏切りをするような人物じゃない。...ただ今はこの混乱状態だ。それに冬空君を表立って庇えば雛森君も瀞霊廷に反意ありと見られてしまうかもしれない」
「それでも! 私は!」
「分かってる。だからこそ水面下で情報を集めよう。勿論僕も協力する」
「藍染隊長...!」
やっぱり藍染隊長を頼って良かった。吹兎くん! 必ず私が吹兎くんの無実を証明するからね!
──────
僕たちが現世に逃亡してから数年が経った。そして浦原さんはついに...
「助かったで、喜助」
平子隊長達を眠りから起こす事に成功した。
「といってもまだ平子さん達の中の虚の優位を押さえてるだけっス。戦闘はもうできないっスよ」
しかし下されたのは死神としての死刑宣告であった。
「何辛気臭い顔してんねん吹兎。喜助に叩き起こされたのなら俺らでこの虚を抑え込むだけや。そして藍染にはしっかり落とし前つけさせてもらうで」
平子隊長...平子さん達は仮面の軍勢を組織した。
僕の始解、惜鳥の断つ能力を完全に使いこなすためには対象の霊圧結合の強度を感覚的に理解する必要がある。浦原さんにも協力してもらいながら僕は惜鳥と共に引き続き、修行に取り組んだ。
「ですから! 力込めすぎです! もっと抑えて大丈夫ですので!」
「こ、これくらいかな?」
「抑えすぎです! 霊圧強度に満たない霊圧しか込めなかったら何も傷を与えられないでただ込めた分の霊圧を消費するだけなんですよ!」
かなり難しい...
まあ当たり前ですが今作では雛森は藍染に対して尊敬は覚えているけどそれ以上の感情は今の所抱いていません。
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志波海燕
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