僕は目が大きな少女、ルキアと赤髪の少年、恋次らと共に彼の仲間の子どもたちの元へ水を届けに行った。そこは十数人の子どもたちが共同生活をしていた。
「あ!恋ちゃんが帰ってきた!」
「恋ちゃんが水を持ってきてくれた!」
そう言って子どもたちは恋次の元へと集まってくる。ここでは恋次が彼らのまとめ役なのかもしれない。恋次は水に加えて金平糖を子どもたちに公平に配る。その際、恋次は僕に対してどこか申し訳なさそうな、若干の罪悪感を顔に浮かべていた。あれも盗んだ物だろうか。さっきの僕の発言の影響か…。
「おい、いいじゃねぇか。少しくらい。」
「あ、うああああん!」
年上の青年がまだ幼い少年の金平糖を取り上げた。子どもたちの中の集団ですら弱肉強食なのか…。いや子ども達の中だからと言うべきかもしれない。青年の言い分は少年は腹が減らぬので自分に渡しても構わないじゃないか、だそうだ。
「腹は減らずとも味なら分かる!」
青年が少年に対して得意気な顔をしている中、ルキアが青年が持っていた金平糖の袋を横からひったくる。
「第一、ここの人間は誰一人として腹など減らぬだろう!」
しかしルキアと青年が揉み合ってる最中、少年の金平糖の袋が弾けてしまう。
「済まぬな。私のこれをあげよう。」
それをみて泣き出してしまった少年にルキアは彼の頭を撫でながら自分の金平糖を渡した。この貧しい地域では子どもすらも自分の事で精一杯だ。しかしルキアと恋次はどこか違うのかもしれない。
「僕は死神になる。」
私が金平糖を奪われた少年に渡して騒動がひとまず収まった後、私と吹兎と恋次は近くの川辺で談笑していた。その時、自己紹介やこれからどうするのか、などを話していた時だった。
「僕はこのお腹が空かない世界で空腹を感じる。でも虚なんていう化け物に襲われた時に死神の人が言ってくれたんだ。」
吹兎は死神になるために瀞霊廷を目指しているという。その途中で戌吊に立ち寄り、私たちに会ったのだそうだ。
「だけどせっかく会って友達になったルキア達がまた盗みをして追いかけられるのも嫌だしな…。だから水の入手方法とかもしお腹が空いた時のためのちょっとした食料調達法を教えとくわ。」
僕は山暮らしの経験から自分の食料程度なら商店で買わずともある程度調達する事ができるようになった。(山があれば)幸いこの戌吊にも山はあるので教えればルキア達ももう大丈夫だろう。川の水が汚かった時のための簡単な濾過の方法も食べれる草の選び方も教えた。キノコは見極める事さえできれば貴重な食料源になるので徹底的に教えた。もう大丈夫だろう。
「明日にはもう行ってしまうのか…?」
ルキアが寂しそうに尋ねてくる。
「まあな。ルキア達に食料について教える事は全部話したし、瀞霊廷の方にまた向かうよ。」
「そうか、寂しくなるな。」
たった数日だったがルキアと恋次は僕にとって初めてできた友達だ。寂しい気持ちがないと言えば確かに嘘になる。
「だけど最後って訳じゃないんだ。僕が死神になれば戌吊にも何らかの仕事で来れるかもしれないし、休暇ができたら遊びに来るよ。」
そう、また会える。お互い生きてさえいればいずれ再開する事はできる。別れた道もいつか交わる時がくる。
「そういや、今まで僕の霊圧見せた事なかったね。」
そう、僕は車谷さんに言われてから山にいる間、瀞霊廷への移動中、滞在中に自分の霊力のコントロールをする修行をしていた。移動中はひたすら霊圧を抑える訓練。そして少し腰を落ち着けたら霊圧を増幅したり身体の各部分に集中させたりする訓練だ。今日の訓練がまだ終わってなかったし丁度いいだろう。
「じゃあ恋次達も呼んできてくれないか?」
「よし、じゃあ始めるぞ。」
そう言い、まずは自身の霊力の枷を少しずつ外していく。半分ほど外せれば準備完了。霊力を半分抑えながら次は霊圧コントロールだ。
「初めて見るならこれが分かりやすいかな?」
右手を皆から見えやすいようにしてからそこに霊力を集中させる。すると目に見えるように霊圧の球体ができ、それをどんどん大きくしていく。
「おおー!」
人に初めて見せた訓練で気持ちのいい反応が返ってきて満足する。子ども達からの拍手を合図に霊圧の出力を下げ、霊圧の球体も消滅する。訓練終了だ。
「じゃあそろそろ行くわ。」
そう言って僕はルキアや恋次達に別れを告げて次の街へと向かう。その時僕は気づかなかった。僕の霊圧を受けてルキアと恋次に変化が起きていたという事を。
今回の原作改変ポイント
・ルキアの空腹のきっかけが戌吊出身で黒い駕籠に乗った死神じゃなくて吹兎だった。恋次はあの時って感じじゃなかったしいつだったんだろう?
次回もよろしくお願いします!