本作ではあくまで崩玉の隠し場所を探していた浦原が丁度霊力を失ったルキアを発見し、異物混入された義骸をプレゼントしたという事にしています。ルキアを選んだ理由、というものは本作ではありません。
「つまり吹兎とオメーは尸魂界の死神の学校の同級生だったって事か」
「そうだ。吹兎はとても凄くてな。霊術院を過去最速で飛び級して卒業したのだ」
「何でてめぇが得意気なんだよ......」
自分の事を話されるのは凄く身体がむずむずする。早く終わらないかなと内心で願うばかりだ。
「で、何でそんな吹兎が現世にいたんだよ」
「私に聞くなたわけ。私だって先ほど再会したばかりなのだ。何も分からぬ」
先ほどからルキアと一護が会話していたが急に二つの視線がこちらに向く。......正直その話をされると気まずい。
「......あ、予鈴なったよ。この話は後にして教室に戻ろうよ」
本当にいいところでチャイムが鳴ってくれた。チャイム大好き愛してる。
「待て吹兎、どこに行く」
「え? いや......午後の授業が始まるから」
「何を言っておる! 授業などサボれば良いではないか!」
......あれ? ルキアってこんな性格だったっけ?
結果、髪の色の事で優等生のキャラを大事にしている一護だけが教室に戻った。
──────
「で、何があったのだ?」
......どうしよう。本心を言えば隠す罪悪感が大きいから話して楽になりたい。ただルキアは僕とは違ってあくまで一時的に霊力を失った状態。いずれ霊力は復活し、一護の存在さえバレなければ問題なく尸魂界に帰る事ができる。人間への霊力の譲渡は重罪だが一護が見つからない限り露見する事もないだろうし。
ルキアが尸魂界に帰ったその時、僕の言葉が原因で藍染達に対して敵意を抱き、それが原因で目をつけられたりしたらどうする? あくまでルキアの一件は藍染とは
現世に派遣されたルキアが虚退治できないとすればその間の尸魂界へのアリバイとして浦原さんにお願いする事になるとは思うけど......浦原さんの事も言わない方がいいのかな? 藍染との決戦のために今、浦原さん達の場所がバレるのはマズい。
「話したくないのなら待つよ」
「......え?」
「吹兎が無闇に物事を隠す者でない事を私は知っている。お前がそこまでして悩むのには何か大きな理由があるのだろう?」
僕の沈黙を肯定と受け取ったのか、ルキアは更に続ける。
「それならそれはお前の問題だ。深い問題だ。私はそれを聞く術を持たない。お前の心に泥をつけずにそれを聞く上手い術を私は持たない」
「............」
「だから......答えが分かりきっている質問をする。尸魂界でお前は尸魂界への反逆を働いた、とされている。それは......間違いなのだろう?」
「うん」
「ならいい。それをお前の口から聞けただけで満足だ。その代わり、話せるようになったら、話してもいいと思うようになったら......聞かせてくれないか」
「......分かった」
何だろう、この懐かしいような暖かさは。今いる場所は故郷から遠く離れた現世であるというのに......
「帰ってきた気分だ」
心が満たされるようだ。
「そういえば、みんなは元気にしてる?」
「......姉様が」
「......ッ! そっか......」
霊力が戻る時期すら分からないのにこんな話をする事自体間違いかもしれない。いつになるのか分からない。途方もなく先の未来かもしれない。それでも......
「帰って線香をあげないとな」
決意は更に固まった。
──────
「やっと来たかよ。5限まるまる休みやがって......。次、体育だから行くぞ」
教室に戻ると既に午後の最初の数学の授業は終了しており、一護に連れ出され6限の体育の授業を受けるために体操着に着替えて校庭に向かう。
「早く行くぞ吹兎!」
振り返ってみればもう制服から体操着に着替えたルキアが。
「何やら珍妙な服装だが先ほどまでよりは動きやすいな」
屈伸伸脚運動をして動きやすさをアピールするルキア。
「......なんだか楽しそうだね」
現世の学生生活を楽しめているようで......何より......かな?
「今日はマラソンだ。準備運動を済ませたら位置につけー」
体育教師から「マラソン」を告げられた事でクラスの、特に啓吾あたりから猛烈な抗議が始まった。
「なあ吹兎。マラソンとは何なのだ?」
いつもは男女別で行われる体育も、今日はなぜか男女混合で行われる。
「ただ走るだけだね」
「それのどこが楽しいのだ」
「テメェそれ陸上部の前でぜってぇ言うなよ」
ルキアとの会話に啓吾と話していた一護がやってきた。
「そもそも体育は楽しむものじゃないからね。あくまで授業の一環だし」
「何を言う! 見てみろ! ここには体育の授業は球を蹴ったり投げたりしてクラスで競い合うものだと書かれているぞ! そしてその中で様々な友情や愛情が育まれると書かれておるではないか!」
ルキアの手には某学園少女漫画が握られていた。
「......こいつ、ひょっとしてアホなのか?」
「......五十年あれば人は変わるんだよ」
──────
「ったく、速すぎんだろ。相変わらずどんな身体してんだテメーらは」
マラソンの途中で並んで走っていた吹兎とルキアは突然競走を始めて加速し、あり得ない早さでゴールしやがった。息一つ切らさず。俺も二人とは少し遅れてゴールし、今は三人で啓吾達を観戦している。
「あくまで僕達の身体は義骸だからね。僕の場合、霊力は使えないけど死神だった時と膂力はそこまで変わらないから」
「なんかズリぃ気がすんなそれ」
俺は息を切らして多少疲れてるというのに......なんか納得いかねぇ。
「そういえば虚討伐するにあたって義魂丸用意しとかないと。ルキアがいつも一護の側にいるとは限らないし」
「ふっざけんな! 虚退治なんて俺はしねぇぞ!」
あんな化け物と戦うなんて昨日ので御免だっつの。
「あ、でも義魂丸があったとしても虚の存在を感知しないといけないし、どっちみちルキアが近くにいないとダメか......義魂丸は後回しだね」
「人の話聞けよオイ!」
俺のツッコミをあいつらは全然聞かねぇ。
「そうだぞ! せっかくまた会えたのだ! 此奴の側におれと言うのならお前も一緒だ!」
某探偵漫画のように吹兎に対して人差し指を突きつけるルキア。
「......え、何で?」
吹兎の返事はなぜ? 俺もどういう意味なのか分からなかった。
「そそそそそそれはだな......。も、もし何かあった時に戦力は多いに越した事ないではないか!」
「いや、だから僕は今霊力を完全に失ってて戦力の欠片にもならないんだって......。膂力だけで倒せるほど虚は弱くないし......まずそもそも見えないし。ていうか僕が倒せるなら一護に頼まないでしょ......」
「そ、そうだったな......」
さっきから何言ってんだこいつ? 言ってる意味全く意味分かんねぇし......っていうか顔真っ赤じゃねぇか! 吹兎は......すげぇ何も気づいてねぇ。ってかこいつ、さっきから表情が次々に変わって面白れぇな。
こいつ本当に昨日のあいつと同一人物か? 昨日俺よりも年上とか言って散々嘗めた口利きやがって......。なんか思い出したら仕返ししたくなってきた。
「よぉルキア。別に虚退治してやってもいいが......頼み方ってものがあるよなぁ?」
「なっ! 貴様! 調子に乗る──」
「頼み方によっちゃあ吹兎も一緒に連れて行っていいんだがなぁ」
「なっ!」
「そもそも僕が一緒に行く必要ないでしょ......」と言っている吹兎はひとまず無視する。ルキアも興奮のせいか聞こえてねぇみたいだ。そもそも吹兎が一緒に来るかどうかを決める権限は俺には無ぇって言うのに......あれだ。こいつ、吹兎が関わるとポンコツになりやがる。
そんなポンコツルキアで遊んでいるとあいつの携帯......(確か伝令神機って言ったか?)が突然鳴り始めた。
「吹兎! 一護! 虚だ! 急げ!」
顔を上げると先ほどまでのポンコツ顔ではなく昨日のような真剣な眼差しでルキアは手袋をした右手を俺の方に突き出していた。
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ルキアが手袋......捂魂手甲を装着して一護を殴りつけると一護は死んだように意識なく倒れてしまう。......他には何も見えないが。
「身体など放っておいて......行くぞ! 一護!」
一護が死神化したのかな。やはり今の僕は彼を見る事ができない。
「何をしておる! 吹兎! お前も行くぞ!」
さっきその事について言ったが......しかし反論して議論する時間もない。何もできない事は分かっているがひとまずルキアに着いていった。
辿り着いた先はとある児童公園。僕は幽霊、虚が見えないので一見すると何も起こっていないように思える。いるであろう虚の姿も、それと戦っているであろう一護の姿も。しかし注意深く観察すれば空気の軋みや土煙など直接の姿形以外の部分で戦いの存在を認識する事ができる。
二十年前が最後になるがこれまでの戦闘経験から、そしてルキアの目線の動きなどからおおよその戦闘の経過を予想する事ができる。
「ダメだ、浅い!」
虚の討伐の基礎は仮面を叩き割る事。半端な攻撃では超速再生によって瞬時に回復してしまう。上位の虚になればなるほど圧倒的な力と引き換えに再生能力を失う個体は多いが......少なくとも雑魚虚は一撃で倒すだけの火力を持たなければ倒す事ができない。
「ッ! 避けろ吹兎!」
刹那、ルキアが鬼の形相でこちらに向かって手を伸ばし迫ってくる。なるほど、一護が倒し損ねた虚がこっちに来ているのか。......見えないけど。義骸の耐久力で虚の攻撃を受けるとちょっとヤバい。ルキアも、そして一護もおそらく間に合わない。一撃さえ凌げば二人が何とかしてくれる。
「目を開けていたって仕方ない」
目を閉じ、空気の軋みという聴覚に全神経を集中させる。今までの戦闘経験から敵の出方を予想する。
「今だ!」
僕は霊力がこもっていない、しかし持てる限り全力の力で目の前を殴りつける。......確かに手応えを感じた。
その後、一護が止めを刺したらしい。
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虚討伐後、バレないように校庭に戻り何とか授業をやり過ごしてから下校の時間を迎えた。
「俺のせいで吹兎が死にかけた......。それだけじゃねぇ、あのガキだって......」
校門の前で一護は神妙な面持ちで語り始める。さっきの公園には子どもの整がいたようで、さっきの虚はその整を目当てに襲ってきたらしい。一護が魂葬をして尸魂界に送る事に成功したらしい。魂葬は霊術院の上級生がやっとできるくらい高度な技術で......流石一心の息子だなと話を聞いて感心した。
「やってやるぜ虚退治。これからよろしくな!ルキア、吹兎」
だから虚退治に関しては僕は何もできないんだって......。
「そうか。それを聞けてよかった。こちらこそこれからよろしくな一護。じゃあ今日はひとまず帰るとしよう。虚が出れば貴様に連絡する」
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「......あれ? そういえばルキアはどこに泊まるの?」
「げ、現世にお前がおると知ったのだ! おまけに一護の家にも近いと聞く。帰る場所など一つしかないに決まっておるではないか! は、早く急ぐぞ!!」
早く急ぐって何だよ()
平子達って多分義骸で戦っていると思うんですけど普通に霊力使えてるし何なんでしょうね。現世の服を霊子にわざわざ変換してるの?
自分の恋路には鈍感なくせに他人の機微には人並みの感性を備える一護くんです。
50年経った結果......
ルキア→吹兎が絡むとアホになる
雛森→???
ルキアは原作でも度々アホになる兆しは見えていたので......。あと雛森に関してはもう想像ついてる方もいるかもしれません。
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