桜と雪に埋もれて溺れる   作:マイケルみつお

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主人公の一人称を俺にしようか悩んだけどやっぱやめとこ

投稿してからだいぶ時間も経っていましたので文体を現在の形に修正しました(1/4/2023)


6話 一夜の夢

 「ほ、本当にありがとうございます」

 

路地で倒れていたルキアの姉、緋真さんをとりあえず休ませるために宿に連れて行った。なぜ借りる部屋の数は変わらないのに料金が高くなるのか、解せぬ。

 

「そ、その…、助けて頂いた事には感謝しますがあまり変な事はしないで頂けると......」

 

「ルキアは僕の友達です。友達のお姉さんの財布をスリとったりはしないので安心して下さい」

 

緋真さんからルキアを捨てた、という話をされた時はつい怒りの感情を抱いたが、それ以上に彼女の後悔の念が伝わってきた。この人は自分のした事の非を素直に認めて償いをしているのだ。自分の非を素直に認めることができる人間は少ない。まあ育ってきた街の人間の事しか知らないのだが…...。緋真さんは僕ほど暴食という訳でもないが若干空腹を覚えるらしい。彼女も霊力持ちなのだろう。食事を振る舞うと美味しそうに食べてくれた。

 

「つい先日、僕はルキアと知り合って友達になりました。まだ彼女達が住むところを動いてなかったら彼女の場所も分かります」

 

そう言うと緋真さんは目を丸くした後、嬉しそうに涙を流した。

 

「他人の僕が言うのはお節介にしかならないと思いますが、緋真さんが自分の本音をきちんと伝える事ができれば貴女の事も分かってくれると思います」

 

そう言い終わると彼女も笑顔を取り戻す。彼女と出会ってからまだ間もないが、僕たちはお互いの事を安心できる、信頼できる人間だと理解した。僕も彼女も、雰囲気に流され気恥ずかしい言葉を発したため少し気恥ずかしい雰囲気が場を支配する。

 

「よし」

 

僕はゆっくりと立ち上がり、今日はもう遅いし、早く寝ようと誘った。

 

 

 そう、僕は早く寝たかったのである。一刻も早く灯りを消して床の間に入る。綺麗なものに身体を預け、弾力のあるものを抱きしめその感触を楽しむ。布が擦れる音が客室に微かに響き、ほのかに香る石鹸の匂いが僕の鼻腔をくすぐり興奮の度合いは強くなる。生まれてこの方味わった事のない感覚に全神経を集中させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それが僕の人生初めての布団&抱き枕との出会いだった。

 

ーーーーーー

 

 そこはいくつもの分岐点が折り重なる道。その大きな道の真ん中に少女は立っていた。彼女がどの分岐点を選ぶかでその未来は変わってくる。その分岐点の先に彼女の未来があるという事。しかし彼女はどの道を選ぶのか未だ決めかねている。一つの道を選ぶということはその他の道と別れる事を意味する。

 

一つの道を進むということは、その他のあり得たかもしれない未来を捨てる事を意味する。その選択を彼女は自分ただ一人でしなければならない。この空間には彼女一人しか存在せず、仲間の意見に身を委ねる事はできない。他と同調する事は許されない。彼女はこれまでの分岐点も他人の助けなどなく選んできた。

 

「冬空吹兎......」

 

一体いつになれば私は彼に会うことができるのだろう、一体いつになれば本来の私の姿で彼の元に還れるのだろう、と彼女は物思いに耽る。吹兎が死神の斬魄刀を手にした時、同時に彼女の自我は芽生えた。そして彼の異質な霊圧によって彼女は()()()()()()()()の道筋があると悟った。だがその領域に彼が足を踏み出してくれるのはまだ先の事だろう。

 

 

 

 

 朝の日差しで目が覚める。普段は日の出前には既に起床し。鍛錬や行動を開始していた。日が出るまで横になっていたのはいつぶりの事だろう。

 

「吹兎さん、おはようございます」

 

緋真さんは既に自分の布団を畳み終わっていた。

 

「すみません、少し寝坊しました」

 

「いえいえ。私が起きるのが少し早かっただけですので、気になさらないで下さい」

 

緋真さんと言葉を交わし、朝食の準備に僕らはとりかかる。

 

 

 

 

 緋真さんに戌吊の中のルキア達の場所を書いた地図を手紙と共に渡した。こういう機会がないと手紙なんて渡せないし、手紙って貰うと嬉しいからね(貰った事ないから妄想だけど)恋次達は確か文字が読めなかったけどルキアが読んでくれるだろう。昨晩倒れた緋真さんを一人で戌吊まで行かせるのは流石にどうかと思ったが緋真さんから強く大丈夫だと言われてしまった。

 

倒れていたところを助けてルキアの場所まで教えてもらったのにこれ以上迷惑をかけたくない、と。僕はそんな事はないと思ったが口に出す事はできず、気をつけてと言って別れるしかなかった。

 

 一日、宿で休んだからか身体が元気溌溂としている。今日はより先まで移動する事ができるかもしれない。僕は西流魂街49地区、朧を後にした。




こんにちは、ハンバンパンです。もうあと二、三話で霊術院入りして物語も動き出すと思います。吹兎君は長年山で暮らしていたのでそういう(R-18的)知識もなく純粋であるという設定です(今のところ)

この小説書くときに少し検索してみたんですけど、緋真さんアンチって結構いるんですね。まあ確かに妹捨てるのはあかんですが...環境が環境ですし、本当に酷い人間は自分がした事を忘れるか正当化する人なので......

まだ記憶には残らないけど彼の夢に出てきた彼女は誰なのか?(まあもう分かった方も少なくないと思いますが...)

次回もよろしくお願いします。
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