西流魂街1地区、潤林安。それは1から80まで分けられている全流魂街の中で最も瀞霊廷に近い流魂街の地区の一つである。治安は整然としており経済も発達している。その街の中、
「はあ、厄介な事になったな…。」
僕はとぼとぼと、これからどうしようかと考えながら呆然と街を歩いていた。数刻前に話は遡る。
僕は長い旅路を終えてついに瀞霊廷に一番近い流魂街の地区に辿り着く事ができた。街並みは同じ流魂街ながら故郷の叫喚とはあらゆる意味で異なっていた。どの流魂街の地区に住まわされるのかは尸魂界に辿り着いてからランダムで決められるので改めてその理不尽さを噛み締めた。
「さて、とりあえずまずはどこかの死神さんにでも霊術院の試験会場の場所を尋ねるとしますか。」
僕は霊術院の試験会場が瀞霊廷にあるという事しか知らず、細かい場所は知らなかった。だがここ潤林安は瀞霊廷から最も近い流魂街の地区の一つ。死覇装を着た死神を街のあちこちで見る事ができた。
「あの人にでも聞いてみようか。すみません。」
僕は門の前に立っている大男の死神に話しかけた。
「オラになんかようだべか?」
「死神になりたいので霊術院の試験を受けたいんですけど、どこに行けば受けられますかね?」
「ん?霊術院の試験会場ならこの先にあるが…」
大男はそう言って後ろの門の先を指さす。
「ありがとうございます!」
しかしその門番さんは門を開けてくれない。
「あの…、門を開けて貰えないと行けないんですが…。」
これが噂に聞く新人いびりなのだろうか。
「もしかしてお前え今日が何日か知らないだべか?試験は昨日終わったべ。だから来年までは霊術院の入試は開かれないべ。だから通行証のないお前えを通す事はできないべ。」
「えっ。」
「じゃあまた来年受けに来るだべよ。試験の受け方とか知ってるだべか?」
門番の大きな死神、兕丹坊さんはそれから霊術院の詳しい試験の受け方、どんな内容が求められるのか、などを教えてくれた。しかし僕にはそれよりももっと考えなければならない課題ができた。試験まで残り一年ほど、ここまでの道筋で依頼などを受けてお金はそこそこあるが一年凌げる程ではない。更に道中の食料は自分で調達していたからこそこれだけのお金でやってこれたのだ。しかしここ潤林安ではそれはできない。なぜなら…
「山がない…。」
そう、この栄えた街には自然が、そして山がなかった…。更に経済が発展しており、死神も近いこの街では無名の僕が引き受ける事ができるような依頼などないだろう。
「お仕事探さないと…」
死神になるためにやってきて、最大の試練は勉強でも修行でもなく職探しだった。
兕丹坊さんのセリフのお前え、は送りがなミスってる訳じゃないです。原作でもこんな表記でしたのでオサレ神リスペクトです。
次回もよろしくお願いします!