HELLVOYAGE〜地獄が航海する〜   作:結城朝晴

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質問があったのでお答えします。
Q.主人公が手に入れた巡洋戦艦のモデルは?
A.金剛です。

Q.POHのモデルは最後の大隊(Last Battalion)?それともMSF?
A.MSFです。


10話 アラバスタ内乱への布石

「安いよ!安いよ!」

 

「水の都ウォーターセブンの塩いらんかね!アラバスタの岩塩とは全くの別物!たかが塩だと高をくくってちゃあ、いけねぇよ!」

 

「おう、そこの兄さん!うちの店見ていかねぇか!」

 

「今朝採れたばかりの新鮮な魚たちだよ〜」

 

「いい匂いの香水があるよ!そこのお嬢さん!試してみるかい!」

 

 アラバスタ王国の主要港である“ナノハナ”は活気あふれる街だ。道の両側で売店が開き、客を集めている。掛け声が止まることはなく人が行き合い、笑顔で溢れている。

 

 しかし、笑顔の影には干ばつにより故郷を去らなければいけなくなった者たちの暗い顔がある。彼らの顔を見るまでは原作を変えないよう最低限の支援で人々を守り、ルフィたちに解決してもらおうと思っていたがそれでは駄目だ。例え、B.Wとクロコダイルと戦争になったとしても市民を守らなければならない。彼らが苦しむ姿は見るに堪えない。

 

「お待ちしていました。元帥殿」

 

 ネルソン号から降りるとウォーターセブンにいた黒いPOH隊員ではなく、砂漠迷彩のPOH隊員が敬礼で出迎えてくれた。ここの奴らは私のことをなぜか元帥と呼んでくる。ちなみに、ドラム島では司令長官だ。

 

「出迎えご苦労。支部へ案内してくれ」

 

「はっ!」

 

 支部隊員に導かれ市場を横目に歩いていけば市民たちの目と声が能力のよって鮮明に感じてくる。

 

「あれってクロコダイル様と同じ七武海のクルシュ・ジルベールか?」

 

「POHの隊員を率いてるしジルベールだろうな……」

 

「じゃあ、あれが史上最悪の偽善者クルシュ・ジルベールか」

 

「お前さん偽善者派か!おらは断然、串刺し公派だな〜」

 

「串刺し公?そりゃあジルベールの異名か?」

 

「お前さんたち、史上最悪の偽善者しか知らないんけ。ジルベールさんの異名はこの海で最も多いって言われるんだぞォ〜」

 

「そうなのか、例えばどんなのがあるんだ?」

 

「史上最悪の偽善者を筆頭に“串刺し公”“救世主”“解放者”“傾国”“小竜公”“ドラky

───」

 

「あんた!ゴミ出しは行ったのかいっ!そんなところで駄弁って!!」

 

「おっと上さんが来ちまった、話の途中だったがじゃあなァ」

 

「なんか嵐みたいなやつだったな……」

 

 私にそんな数の異名あったの!?初耳だ……。

 

「元帥殿、いかがなさいましたか?」

 

「いや、なんでもない。アラバスタ支部はあの建造物か?」

 

「はい、あちらになります」

 

 目線の先に見えるのはカーイト・ベイ要塞のようなレンガで作られた城壁を持つ海岸にある要塞だった。

 ポールにはPOHの旗が風に煽られ、城壁には砂漠迷彩の隊員たちが巡回している。POHの拠点だと一目でわかるな。

 

「開門!」

 

 要塞の様子を観察していると門の前まで来ていたようだ。案内隊員が叫べば城門が少しずつ動き始め、開門する。

 

「気をつけ!!“Paradise Outside of Heaven(天国の外の楽園)全軍指揮官(元帥)殿に」

 

「敬礼!!!」

 

 直立不動で右手を額に当て敬礼する隊員たちは城門から居城の入り口まで一列に並んでいて壮観だ。

 

「お待ちしておりました、元帥殿。応接室()でアラバスタ王国護衛隊副官“ペル”様がお待ちしております」

 

「分かった。お前は変わりないか?アラバスタ方面軍総監」

 

「はっ!変わりありません。元帥殿のご厚意のおかげで部下ともども不自由なく任務に専念できております!」

 

「そうか、それは良かった」

 

 そんな感じで総監と話しながら部屋に向かっていけばすぐに着いた。総監がドアをノックする。

 

「元帥殿がいらしました」

 

 ドアを開けるとあのペルがいた。いると分かっていても原作のキャラクターと会うとなると心が躍る。漫画やアニメで見ていた通り精悍な顔立ちで人気が出るのもわかる。

 

「本来はこちらから出向くところをお越しいただき感謝します。私はアラバスタ王国護衛隊副官のペルと申します」

 

「いやいや、感謝には及びません。我々は我々の正義のもとに活動しているのですから。さぁさぁお座りください」

 

「失礼します」

 

 机を間に挟んで座り心地のいい椅子に座り対面する。ペルの目線は私を見定めるような鋭いもので応接室の空気が張り詰める。先の口を開いたのはペルだった。

 

「クロコダイル殿がアラバスタを乗っ取ろうとしているという情報は本当なのですか?」

 

「ええ。クロコダイルはB.Wと呼ばれる秘密犯罪会社を運営しており、この会社は徹底した秘密主義でその存在を確認するのは容易ではありません」

 

「表ではアラバスタの英雄として活躍しながら、裏ではその会社を使ってこの国を内乱を起こし国家を乗っ取ろうとしているのです」

 

「それらが貴方が考えたクロコダイル殿を陥れるための嘘という可能性は?」

 

「疑うのは当然です。ですが数カ月後には貴方は我々を信用するでしょう」

 

「数ヶ月後に何が起こるというのですか!?」

 

「反乱を起こすと考えると半年以内に何かしらの反乱を起こす種火となる事件を起こすでしょう。例えば、王に非ぬ疑いをかけるような事件をね」

 

「………」

 

「我々はアラバスタ王国が内乱に陥ろうが滅ぼうが関係ありません」

 

「!」

 

「ですが、このサンディ島に住む無関係な者達が苦しむ姿は見逃せません。我々は我々の正義の元、救いの手を求める人々に手を差し伸べるのです」

 

「………今はまだ貴方を貴方達を完全に信用はできませんが─────少しだけ信頼しましょう」

 

「ええ、それで良いのです。例の書類の承認よろしくおねがいしますね?」

 

「POHの駐屯に関しての書類でしたね。あちらは議会での承認が必要ですからお待ちください」

 

「気長に待たせていただきますね。では次はPOHの全軍司令長官ではなく、FGLの社長としてお話しましょう」

 

「FGLの要望は確かサンドラ河上流の岩石砂漠地帯での開拓及び地下資源開発の許可でしたか」

 

「その通りです」

 

「王国のものとして言うのもなんですがあの土地は植物も育たず家畜も飼えず資源なんてなにもない土地ですよ」

 

「知っております。ですが、我々にはそこが欲しいのです」

 

「我が国としては未開拓地を開拓してくれるのです。喜んで許可しましょう」

 

 机の端に置いてあった書類にサラッとサインを書いて1枚を渡してくれた。

 

「こちらがあなた方の控えです」

 

「───はい、確かに受け取りました」

 

「それでは本日は結意義な時間をありがとうございました」

 

 そう言って席を立つペル。私も慌てて席を立ち、彼の対応をする

 

「いえいえ、ペルさん。私も結意義な時間を過ごせたこと感謝します。最後に念押ししますがクロコダイルに注意を」

 

「ええ分かっております。クロコダイルにも()()()()この国は好きなようにはさせません」

 

 彼はそうして部屋を出ていった。

 

「ふぅー」

 

「お疲れさまです。元帥殿」

 

「あぁ総監。やはりこういった交渉は気を張りすぎて疲れてしまうよ」

 

「立っていただけの私も少々気が滅入ってしまいました。……元帥殿、質問してもよろしいでしょうか?」

 

「何だ、言ってみろ」

 

「なぜ、サンドラ河上流の岩石砂漠地帯の権利を要求したのですか?」

 

「む、アラバスタ方面軍はFGLからの報告を受けてないのか。これは問題だ、後でしっかり命令しとかないと」

 

「げ、元帥……?」

 

「すまない、独り言だ。───理由だったな」

 

「理由は簡単だ。その地域では金が採れる可能性が高いからだ。それも大量のな」

 

「金……」

 

「サンドラ河上流で大量の砂金が採れることがFGLの調査団が報告で分かった。ならその砂金の大元はどこかってことだ。それとこの書類をよく見てみろ」

 

「………えっ!!あ、大声を出してしまい申し訳ありません!」

 

「よく読めば分かるがその書類にはFGLが発見開発した資源は永久に我々のものとすると書かれている。サインする書類をよく読むのは当然というのに彼はそうしなかった」

 

「これでFGLに固定収入ができ、さらにFGL・POH共にさらなる拡大が可能になるのですね」

 

「あぁ」

 

 アラバスタで金が採掘できるかはFGLを企業する前から考えていた。原作でのアラバスタは古代エジプトをモデルにした国家だと知っていたからな。

 そこで調査団をアラバスタに送ってまず砂金が取れる土地がないか調査させたらこの結果だ。

 

 自分の思い通りに、私の小さな手のひらから出ないでいるのは素晴らしい感覚だ。あの瞬間、あの戦争狂もこんな感覚だったのだろう。

 

「総監、アラバスタ方面軍の本部をこの岩石砂漠地帯に移すぞ。この要塞はFGLの支部とする」

 

「はっ!!」

 

「まずは岩石砂漠地帯を徹底的に調べて地形の把握、鉱脈の発見、水源の確保を行わせろ。それとFGLとの連携を怠るな。私からも命令しておくが方面軍からも言っておけ」

 

「はっ!」

 

「開拓に関してはFGLに開拓部署を作る。そこを通して計画書が渡されるだろう。軍事的面で気になるところがあったら必ず報告するように」

 

「了解しました!」

 

「それと今後のアラバスタ情勢を鑑みてアラバスタ方面軍に新たに人員を送る。そのときに一緒に物資も送る予定だ。必要品目をまとめて報告しておいてくれ」

 

「ご配慮感謝します!」

 

「私はアラバスタを散策してからウォーターセブンへ帰還する」

 

「ならば護衛を───」

 

「護衛はいらない。総監、汝の()()を遂行せよ。全ては民衆のために」

 

「!……はっ!全ては民衆のために」

 

 原作まであと秒読みだ。あと3年、もう3年、3年しかないのだ。まだグランドラインにしか手は伸びていない、(ノースブルー)にも、(サウスブルー)にも、(イーストブルー)にも、西(ウエストブルー)にもどこにも手は伸びていない。手を差し伸べないといけない人々は世界各地にいる。

 

 彼らを助けないでなにが民衆のためか。

 

 体をコウモリへと変化させ、窓から外に出る。空からは港に泊まっている船、繁華街が一望でき、遠くにはサンドラ河が見える。

 

『まずは自らの目で現地を見ないとな』

 

 その日、アラバスタでは珍しい日中に飛ぶコウモリの大群が各地で観察された。

 

 

 

 

 

 

「サー・クロコダイル、最近貴方と同じ七武海のジルベールがこの国に手を伸ばしてきているそうよ。私達の計画に気付いたのかしら」

 

「ふざけたこと言ってるんじゃねぇよ、ミス・オールサンデー。なんのために徹底して秘密主義をやってると思ってるんだ」

 

「あら、そうかしら。彼、POH・FGL2つの組織を束ねてどちらも勢力を急拡大させた手腕を持つ男よ?情報網も伊達じゃないと思うけど」

 

「バレてたら消すだけだ」

 

「そう。私も彼に計画を邪魔されるのは不本意だからそれには賛成ね」

 

「それよりミリオンズの数が減って言ってると聞くが」

 

「それもPOHのせいね。内戦中の国にミリオンズを送って略奪するのは良かったけどそこにPOHがいたらしいわ。それでやられちゃったってわけ」

 

「クルシュ・ジルベールか……目障りな奴だ」

 

 

 




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