HELLVOYAGE〜地獄が航海する〜   作:結城朝晴

12 / 13
お久しぶりです。

Q.ヤネールのモデルは?
A.戦艦八島です。



12話 鬼ヶ島

 約30年前は美しい自然で、美しい町で、人々が笑い過ごしていた。しかし、カイドウと将軍オロチのせいで自然は失われ、町は滅び、人々に本当の笑顔は失われた。

 

 4年後にはルフィたちがこの国を解放し、カイドウを追い出すだろう。それを待てばこの国は救われる。しかし、それではこの4年間で命を落とす者たちが救われない。

 

「それにしてもすごい波の高さだ」

 

 ワノ国近海に着いてから艦の行き先はワノ国本島ではなく、鬼ヶ島に定まっている。登ってきた滝を背に本島をクルッと半周すれば鬼ヶ島は見えた。

 しかし、漫画でもアニメでも強調されていた恐ろしいほど高い波に呆気を取られた。艦が沈むほどではないがそれでも高い。それに追い打ちをかけるように日が暮れ、月光も厚い雷雲によって遮られ暗い。

 

 鬼ヶ島の炎が灯台の役割を担っていると言っても過言ではない。炎がなければどこに鬼ヶ島があるかも分からなかっただろう。

 

「鬼ヶ島燃え過ぎではないか?」

 

 鬼ヶ島の各地から火柱が上がって、爆発音もする。仲間内で喧嘩でもしてるんだろうか。

 

 そう思っているとあの雷雲が嘘だったかのように消え去り、満月が海を照らし始めた。今まで上がっていた火柱も上がらなくなったし、笑い声が聞こえる。

 

『わはははは!』

 

『だはははは!』

 

『アハハハハ!』

 

 喧嘩をやめて宴でも始めたかのような声だ。百獣海賊団なら喧嘩して宴をするなんて普通に有り得そうだ。

 

 さっさと鬼ヶ島に上陸して笑い声の正体を見てやろう。カイドウだったら即座に殴りかかろう。うん、それがいいな。

 

 

 

 

 

 

「惜しいな。こんなに強くて馬が合うのに!!」

 

「コレさえ取れたらいつか必ず!!僕だって海へ!!」

 

「ねーねー海外はどうだ!?若い奴らどんどん出て来てないか!?」

 

「若いの?そうだな“ジルベール”ってやつと“キャベン何とか”…ってのは話題だな…」

 

「俺は別格として…今、各海でヤベェ奴らが暴れてるらしいんだ。南の“キッド”だろ、北の“ロー”西の“ベッジ”…」

 

「♪」

 

「だが一番手強いのは数年後に出港してくる俺の弟だ!!!」

 

「きっと強大な存在になる…!!」

 

「キミの話、何回弟が出てくるんだ?」

 

「何回でも聞きゃあいいだろうが!!だははは!!」

 

「いたい、いたい」

 

 あれはエースとヤマトじゃないか!あの二人が酒を酌み交わしているってことは回想シーンのあれだ!つまり、ここにカイドウはいないっ!

 

 ワノ国まで来た意味がない───だが、あの二人と話してみたい。一ワンピースファンとして大人気キャラ2人と会話してみたい。

 

「そこの二人、カイドウはどこかわかるか?」

 

「「!」」

 

 二人とも私が話しかけた瞬間、酒を置いて距離を開けた。凄まじい瞬発力だな。

 

「まぁそう警戒しないでくれ、私はただカイドウと戦いたいだけだ」

 

「テメェはジルベールっ!」

 

「え!?この人がキミが言ってたジルベール!?」

 

「私のことを知ってくれているなんて嬉しいではないか、火拳のエース」

 

「ジルベール、エースにも言ったが父達は遠征中だ!!今この島には幹部の一人もいない」

 

「この暴れ具合からそうだろうな。火拳、君がやったんだろう?」

 

「そうだけどよォ、それがテメェになにか関係あるか!火拳!」

 

 エースの右手から巨大な炎の拳が飛び出し、私を燃やす。体を焼き続け、体は塵となる。

 

「へっ!七武海ってのもこの程度か」

 

「エ、エース!後ろ!」

 

「あ?」

 

「先に手を出したのは君だからな」

 

 塵から影へ、影から影へと移り、エースの背後で影から飛び出る。そしてそのまま覇気をまとってエースを殴り飛ばす。

 

「どうした()()()立てよ」

 

「一発殴られてハイお終いって訳にはいかないんだよ。小僧」

 

 エースは瓦礫から起き上がり、ヤマトは私の姿を見て驚いている。

 

「お前……何のつもりだ。何のつもりだ、それは!!」

 

「子供!?」

 

 私の姿はクルシュ・ジルベールの姿(アーカード)から捨てたエドワード・アンナの姿(ロリカード)に戻す。姿形など何の意味もなくなったが、エースと戦うならこの世界で最初の姿で戦いたい。

 

「あの姿もジルベールという名前も全ては意味を持たない。強いて言うならこの姿が唯一の意味のある姿だろう」

 

「何ごちゃごちゃ行ってやがる!火銃!」

 

「銃対決でもしたいのか?」

 

 炎の銃弾を避けずに正面から受けながらジャッカルを取り出す。

 

「お前もロギアか!?」

 

「ロギアではない」

 

 引き金を引けば銃とは思えない鈍い音と共に銃弾がエースに()()()()()()

 

「ガハァ!………な、なぜ銃が俺に効く!」

 

「高純度の海楼石を溶かして作った13mm炸裂徹鋼弾だ。こいつを喰らって平気な能力者はいない」

 

 エースは撃たれた脇腹を押さえ苦しそうにしている。そりゃあそうだろう、脇腹をえぐられているんだからそうなるに決まっている。

 

「さぁ早く傷を治せ、喧嘩がしたいんだろう小僧?」

 

「テメェ……!」

 

 エースの全身から炎が上がり始め、脇腹が炎で回復すると私めがけて飛び掛かってくる。

 

「待ってエース!!」

 

 飛び掛かってくるエースを金棒で無理やり止めたヤマト。金棒はエースの熱で少しだけ溶け始めている。

 

「この子はキミに敵意を持っていない!キミが攻撃したから攻撃しているだけだ!」

 

「火拳、お前がやめるってんなら何もしない。何の事はない、こんな物は所詮ガキの喧嘩だ」

 

「キミも煽るようなこと言わないでくれ!!」

 

 おう、ヤマトに怒られてしまった。それに、エースとも少しだけ戦えた。素晴らしい1日だ。カイドウとは戦えなかったがワノ国まで来たかいがあった。

 

「す、すまねェ!ジルベール!」

 

 いつも間にか冷静になっていたエースが謝りに来た。抉れていた脇腹は元通りに治っている。流石、ロギア系能力者。

 

「何故だが分からないが、お前を倒さないと恐ろしいことになると感じたんだ。すまねェ」

 

「恐ろしいことね。私からすればエース、君のほうがよっぽど将来恐ろしいことを起こしそうだよ」

 

 実際、頂上戦争起こすし程度の低い挑発にのって多くの命によって救われた命を無駄にするし。

 

「俺がァ?」

 

「確かにキミなら恐ろしいことかは分からないけど、大事を起こしそうだ!」

 

「大事を起こすのは当然だ!!なんたってあいつには悪いが俺が海賊王になるからな」

 

「父の意志(遺志)を継ぐのか」

 

「っ!お前どこで!」

 

「父?」

 

「エース、君が思っているようなやつではないぞ。あいつは」

 

 おでんの航海日誌とかレイリーの回想とかで見たロジャーの姿は良くも悪くも自由に生きた偉大な男のようだったからな。

 

「君の父は良くも悪くも自由な男だ。そうだな、ルフィと同じような人間だ」

 

「ルフィと……ってお前ルフィのこと知ってるのかよ!?」

 

「知ってるとも。君もダダンもブルージャムも、サボのことも」

 

「お前はいったい何者なんだ……?」

 

「待て待て!キミ達、ぼくを置いてけぼりにしないでくれ!!」

 

 エースとの喧嘩を止めたときのように私たちの間に入り、腕を振りながら話に割り込んでくる。腕を振るたびに、どことは言わないが大きく揺れていて目のいい保養になった。

 

「あぁすまない、この話はこれでおしまいだ。それよりヤマト、カイドウはいつ頃帰ってくる?」

 

「どうだろう、遠征の時は長い間帰ってこないから最低でも1ヶ月くらいは帰ってこないと思うけど……」

 

 う〜む。1ヶ月以上ワノ国にいるのは流石に無理だな。ワノ国中の武器工場と囚人採掘場を破壊して、オロチを殺して開国させよう。

 しかし、懸念ができる。オロチが死んだことによってカイドウの直接統治が始まるのではないかと考えてしまう。そもそもオロチを殺したら大きく原作が動いてしまうしな。どうしたのかァ。

 

「私はとりあえず、本土に行って開国するよう言葉で圧力をかけてから帰るよ。今回はカイドウは諦める」

 

「エース、キミはどうするんだ?」

 

「オレも一旦、本土に向かう。あの娘たちがちゃんと故郷に戻れたか確認しないといけないからな。あと編笠村の連中に別れを告げねェと」

 

「そうか……2人ともまたワノ国へ来てくれよな」

 

「おう!」

 

「えぇ」

 

「じゃあ……」

 

 おっと、エースが酒瓶を持ち始めたぞ。これは少し悪い予感がしてきた。

 

あいつら(仲間)が戻ってくるまで宴だァ!!」

 

 

 

◆Loading

 

 

 

「結局、スペード海賊団が迎えに来た後も仲間を巻き込んで宴をしたせいでもうすっかり朝じゃないか」

 

 宴を終えてエース達と別れ、ヤネールの甲板でそう呟いた。ヤネールは既に鬼ヶ島から離れ、白舞の刃武港へ向かっている。遠くには薄っすらとスペード海賊団の船が見える。編笠村に向かっているんだろう。

 

「私はワノ国に来たもう1つの目的を果たしますかぁ」

 

 ワノ国との開国……はどうせ無理だろうが前世で言うところのオランダ的なポジションになってやろう。出島的な場所を作らせて被差別民をそこで匿おう。

 

 ヤネールが刃武港に近づくとヤネールの存在に気がついたのか多くの町人が港に出てきた。皆、珍しいものを見つけたかのような顔をしている。中にはスマートタニシを使って連絡を取っている侍もいるな。

 

「ワノ国本土に無事着いたことだし礼砲を撃つか。外国の港に入るなら礼砲を撃つのが礼儀だしな」

 

 副砲を使って空砲を撃っていく。副砲から黒煙と共に21の爆音が鳴り響いていく。爆音が鳴るたびに町民は怯え、腰を抜かしている。港は大混乱だな。

 

「じゃあ将軍に親書を渡しに行こうか」

 

 艦載艇を降ろして刃武港に向かおう。艦載艇を降ろしたり服装を整えたり上陸する準備をして艦載艇に乗る頃には刃武港には多くの役人らしいき侍が集まっている。さらには、何隻かの小舟がヤネールに近づいてきている。

 

 これは自分から将軍に会いにいく手間が省けたかな?

 

「貴様〜!」

 

 早速、役人が声をかけてきたようだ。

 

「即刻、ここから立ち去れ!!」

 

 まぁそうだろうな。鎖国しているんだ当然の反応だろう。だが、私はペリーだ。鎖国を解いてもらうぞ。

 

「私はクルシュ・ジルベール!ワノ国との貿易を求めて来た!」

 

 

 




お読みいただきありがとうございます。
執筆の励みになりますのでお気に入り登録や評価などをお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。