HELLVOYAGE〜地獄が航海する〜   作:結城朝晴

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今回、上手く執筆できた気がしないのでもしかしたら読みづらいと思われる方が現れるかもしれません。私の技量不足です、申し訳ありません。


13話 不平等条約

「オロチ将軍殿、返事をお聞かせ願おうか」

 

 花の都オロチ城の一室、謁見の間とでもいうのだろうか豪勢な部屋で多くの侍に警戒されながらオロチと対面する。

 

 刃武港で接触してきたワノ国の役人たちは『立ち去れ』としか言わない脳死ばかりだった。親書をオロチに渡してくれと頼んでも拒否し取り付く島もなかった。

 

 そこで鬼ヶ島がエースに襲撃されていることを利用して“鬼ヶ島のようになりたくなければオロチ将軍と会わせろ”と脅してやった。これには流石に役人たちも応じる他なかったようで今に至る。

 

「てめェ、オレがこんなもの認めると思ってんのか!!」

 

 顔を真っ赤にして親書を投げつけてくるオロチ。その行為には周りの侍も御庭番衆もハラハラしているようで顔が青ざめている。

 

「認めていただけないのですね」

 

「当たり前だろうがっ!オレがワノ国の開国なんて認めるわけねェだろうが!!!」

 

 親書には開国するように伝える旨とPOHを受け入れ、FGL等の貿易会社と貿易を行うことを承認してもらいたい旨が書かれている。

 

「では、開国はしなくていいので我々がワノ国と貿易することを許可してはいただけませんか?」

 

「てめェと?」

 

「えぇ、もちろん代金は支払いますよ。そうですねェ……武器よりも皿や扇子といった芸術品が欲しいですね。それと貿易するための租借地が欲しいのですが……」

 

「まだ貿易を許可するなんて言ってねェぞ!」

 

 どうもオロチは機嫌が悪いようだ。何がそんなに気に食わないんだ。

 

「てめェはさっきからオレを舐めてるのか!?オレのバックにはカイドウがいry」

 

「それがどうした!!」

 

「ひいぃ!!」

 

「私はもともとカイドウを討ちに来たのだぞ?そんな男にカイドウを脅しに使うか!!改めて聞こう。私の要求を飲むか?」

 

「開国はせんぞォ!!」

 

「「「オロチ様!!!」」」

 

 侍たちに御庭番衆、皆先程より顔を青くして私とオロチの間に入ろうとする。漫画を読んだ限り彼らに忠誠心なんてないと思っていたが、君主を身を挺して護ろうとはするのか。

 

「ならば、これは飲んでもらいますよ」

 

 影から取り出したのは親書とは違う書状だ。開国を断られた時のために作成しておいた開国に代わる条件、『貿易許可』『租借地』『領事裁判権の承認』『ワノ国側の関税自主権の放棄』『最恵組織待遇の約束』を求めている。要するに不平等条約だ。

 領事裁判権までの3条件は被差別民を保護するには必要だ。貿易許可がなければワノ国に合法的に来れないし、租借地がなければ匿われない。そして領事裁判権があればオロチがイチャンモン付けて罪を問うこともできない。残り2つはただのFGLの都合だな。

 

「これらの条件を私が率いている組織とだけ結べば良いのです。飲んでいただけますよね?」

 

 オロチは眉間にシワを寄せて「くぅぅぅ」と声にならないうめき声を上げている。そこに御庭番衆隊長である“福ロクジュ”がオロチの耳に何かを告げる。何かを告げられたオロチはシワがなくなり何か閃いたかのような顔で言った。

 

「そうじゃそうじゃ!この条件はワノ国にとって大きな決断、国中の者から意見を募らなければいけない!1年後にまた寄港してくれ!!ぐふふふふふ!!」

 

 まさに江戸幕府のようなことを言い始めた。別に1年待ってもいいが、もう少し脅迫すれば今締結できそうな雰囲気あるしな……。

 

「ワノ国はオロチ将軍の独裁と聞いておりましたが?それともワノ国は民の声を聞いて政策を行う民主的国家だとおっしゃりたいのですか?」

 

「そうじゃ!そのミンシュテキコッカ?とやらじゃ!」

 

 オロチは鎖国しているから知らなかったのか彼の地雷を見事に踏み抜いた。民衆を抑圧し富を奪い、20年近く独裁で地獄を見せ続けてきた男が“民主的”と口にしたことは彼を怒らせた。

 

 彼の影はすぐにオロチの元へ向かい、間に入った家臣たちを無視してオロチを串刺しにする。

 

「「「………!!!」」」

 

 全員が全員、口を開け亡骸となった君主を見つめる。

 

「今、決断しろ。この条件を飲むか、私に皆殺しにされるか」

 

 その後残された家臣たちはどんな要求も飲む他なく、彼らは全ての要求を受け入れた。弱腰となったワノ国側に対してジルベールはさらなる要求を追加していき完全なる不平等条約が完成した。

 

 この条約によって私の傘下の組織全てはワノ国での寄港が認められ、(もぐら)港を使った安全な入国もできるようになった。またワノ国側は私の傘下の船が寄港した場合、船に食料や石炭、水など船への補給品を無償で提供することとなった。そして租借地は租借期限を99年として白舞の刃武港周辺一帯を租借することとなった。

 

 貿易面ではワノ国側の関税自主権は放棄させ、関税は全ての物において低いものとなっている。ワノ国側の輸出品は金や銀、漆器や陶磁器など芸術品が主だ。逆に我々の輸出品は生糸を筆頭に絹製品、薬品に書物と多岐にわたる。

 

 ウォーターセブンに戻ったらワノ国との貿易いや、新世界での事業拡大を考えてFGLと対を成す“後グランドライン会社”LGLを設立しよう。ワノ国を含む新世界での貿易をLGLに託し、POHの資金をどんどん蓄えていければ良いだろう。

 

 他にも領事裁判権だったり、外国人の扱いだったりと色々あるが全て我々が有利になるよう定められている。何回も言うが完全なる不平等条約だ。

 

『お前がジルベールか?』

 

 そして現在、電伝虫を使って直接カイドウと会話している。目的は唯一つ、宣戦布告だ。

 

「えぇ、そちらこそ百獣のカイドウですね?」

 

『そうだ。七武海の小僧がオレになんのようだ?それにこの電伝虫はオロチの野郎に渡しておいたやつだが……お前まさか』

 

「私は今、花の都にいます。なので早く戻って来てください。もうオロチとの要件は終わりあとは貴方との要件だけなのです」

 

『要件だァ?』

 

「貴方と戦い、そして勝ちワノ国での私の利権を認めてもらいます」

 

『ウォロロロロロロ!! 言うじゃあねェか!お前みたいにオレに挑んで負けた上にルーキーにその座を奪われた七武海をオレは知ってるぞ!!』

 

「あんな奴とは一緒にしないでください」

 

『まぁ良いだろう、相手になってやろう。お前ら!さっさと支度を済ませろ!!ワノ国に帰投するぞ!!!

 

『ワノ国まであと数日はかかるだろう、その間に観光でもしてろ!!ウォロロロロロロ!! 』

 

『ガチャリ』

 

「ふっ…ふはははははははははははは!!!」

 

 やっぱり四皇のプレッシャーは凄まじいな、電話越しですら凄まじい圧を感じた。思わず笑い出してしまう程度には圧を感じた。

 

 さて、カイドウが戻ってくるまでにニコラと調節してLGLの設立を急がないとだ。

 

 

 

◆Loading

 

 

 

「ジルベールさん!?も、もう一度仰ってもらっていいですか!?」

 

『だから、ワノ国と通商条約を締結したから新しく新世界にて活動をする組織を設立するって言ったんだ』

 

「ワノ国を開国させたんですか!?」

 

『いいや、開国にまでは漕ぎ着けなかったが私が率いる組織とだけなら貿易できるように交渉したよ。それとワノ国に租借地も作ったな』

 

「貴方って人はホントもう……」

 

 なんでこの人は今まで誰もできなかったことをいともたやすく行うのでしょうか。ワノ国は海軍や世界政府すら手を出せない島国なんですよ?

 

『新世界で活動する組織を設立するに当たってガレーラカンパニーに新しい造船依頼をしておいてくれ。そうだな……蒸気船を2隻、ガレオン船を15隻くらい建造してもらおうか。あぁそれと─────────』

 

 はぁ……またこの人は簡単に物を言いますけどそれだけの船を建造するのにどれだけの費用がかかると思ってらっしゃるのでしょう。費用だけなら良いのですが、依頼のしすぎで……。

 

「あの〜ジルベールさん?」

 

『てな感じでっと、どうした?』

 

「すっごい言いにくいんですが今ガレーラカンパニーさんのドッグがほぼ全て我社の造船依頼で埋まってる状態で……」

 

『そうか、確かについこないだも造船依頼をしたばかりか。今、FGLで所有してる船はいくつだ?』

 

「蒸気船が6隻、ガレオン船が20隻、スループ船が32隻です」

 

 1年で58隻も船を建造させるなんてこの人はやって見せているんだ愛する人だけど頭がおかしいとしか言いようがないです。

 しかも、その方法が“早く完璧に依頼した船数を建造した会社に依頼金とは別に報奨金を出す”なんて無茶苦茶です。お陰様で依頼を出した会社は他の業務を後回しに我社の依頼を達成してくれたから良かったのですが……。

 

『ワノ国での用事が終わり次第ウォーターセブンに帰還するそれまでにウォーターセブンにどの船でも良いから蒸気船2隻、ガレオン船5隻、クリッパー船を10隻招集しておいてくれ船員は取り敢えずドレスローザに集合させてくれ。あとで船を移動させる』

 

「はい!……それでジルベールさんはいつ頃お戻りに?」

 

『それがカイドウがちょうど遠征中でいないようでな、カイドウが戻ってくるまで数週間あるらしいからそれまでワノ国の租借地で色々やっておく。まぁ2ヶ月後には戻れるだろう』

 

 2ヶ月後……。

 

『そんな落ち込むな、帰ったら存分に甘えさせてやるから』

 

「!?!?もしかして声に出してました!?」

 

『そんなことはないけど、なんかそんな気がしたからね。んじゃあそろそろ切るよ、愛してる』

 

『ガチャリ』

 

 顔が一気に赤くなっていくのを感じてしまう。なんであの人は突然あんなことを言うかなぁ。私だって言いたいのに……。

 

『コンコンコン』

 

「副社長、入室してもよろしいでしょうか?」

 

「あ、え!はい!」

 

「失礼します……ってそんなに顔を赤らめてどうされたのですか?」

 

「いやいや!!なんでもないから!?そ、それでどうしたのですか?なにか問題が?」

 

「はい。以前から社長が懸念を示していたのですがアラバスタ王国でジェルマ王国の商船が多く見られるようになりました。それに共鳴するかのようにB.Wとの抗争が激しさを増してきました。増援を送るべきと考えておりますがいかがなさいましょうか?」

 

「そうですね……」

 

 B.Wはおおよそ2千名程の一大犯罪組織と報告されています。それに対して現在アラバスタ支部には全体の25%、1250人もの人員が割かれています。数で負けていますがこれ以上の人員を動かすことはできません、強力な兵器類を優先的に送ることしかできないでしょう。

 

 ジルベールさんが以前、仰っていた「戦いは数だよ兄貴!!!」という考えには賛成ですが、仕方ありません。

 

「これ以上、アラバスタに送れる人員はいません。ですから、強力な兵器をなるべく優先して配置するようにしてください」

 

「わかりました!POHにもそう伝達いたします!!失礼しました!」

 

 

 

 このやり取りの数日後、ナノハナで国王の名のもとにダンスパウダーが輸入されていたことが発見された。

 

 

 




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