HELLVOYAGE〜地獄が航海する〜   作:結城朝晴

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今回はMGSネタが入っております。


09話 布石

 ウォーターセブンに訪れてから1年がたった。時間が経つのが早すぎ?うるせぇ。

 

 この1年で変わったことは大きく分けて3つだろう。

 

 まず1つ目は、王下七武海に加入した。多分この勧誘はエースに送られた勧誘が私に送られてきたのだろう。私はそれを承諾して七武海に仲間入りした、七武海に加入すれば海軍と手を結びながらも色々とすることができるから加入するしかない。

 

 2つ目は民間軍事会社を設立したことだろう。私1人では手を差し伸べられる数が限られてくる、それを解消するために設立したのが民間軍事会社“Paradise Outside of Heaven(天国の外の楽園)”通称POHだ。

 隊員は私の思想に賛同してくれた元軍人達で構成され、今はウォーターセブンを拠点に海賊の討伐と内戦中の国への人道支援を行っている。

 

 3つ目はPOHの活動資金調達目的で貿易会社を始めたことだな。改装を行わなかったおかげで残った資金を元手に起業して貿易船の護衛にPOHを付ければ海賊も襲ってこないし来られても対処できる。

 企業名は“前グランドライン会社”略称はFGLだ。取り揃える品は各島々の特産品で武器や違法物は取り扱っていない。まだまだ安定はしないが今のところは上手く行っている。

 

 FGLは現状とても上手く行っている。各島々は基本、グランドラインの特性のせいで交流が難しい。そんな中、島と島を安全に物のやり取りができ、かつ特産品を使った島のPRもできる。FGLと契約してくれる店は起業時の予想より多かった。中継貿易は儲かる、これは歴史が教えてくれる。

 

「ンマー。最近うまく行っているようだな」

 

 PO4・FGL共同本社近くのカフェでコーヒーを嗜んでいるとアイスバーグさんが話しかけてきた。なぜか胸ポケットにはヤモリが入っている。

 

「あぁ、アイスバーグさん。このまま順調に行ってくれればその資金で多くの人たちを救える、だから頑張っているのだよ」

 

「世界の海賊共がみな、君のような海賊ならいいのだがな」

 

「ここに来たときから言ってるいるが私は海賊になった覚えはない」

 

「ンマー、そうだったな」

 

「そういえば戦艦の建造は順調か?」

 

「概ね順調だ。あと半年もすれば進水できるだろう」

 

「そこまでいったのか」

 

「ンマー、ガレーラカンパニー1番ドックの技術とウォーターセブンの金属加工技術をフル動員したからな」

 

「流石だな」

 

「君のFGLも貢献しているんだぞ。FGLが安定して鉄鋼を輸入してきてくれるから材料不足に陥らずやっていけてるんだ」

 

「それは良かった。あ、そうだアイスバーグさんに伝えておきたいことがあったんだ」

 

「なんだ?」

 

「私は少しの間ウォーターセブンを離れる」

 

「………今は少しよしたほうがいい。FGLはまだ起業して半年しか経っていない新店だ、今は順調かもしれないがこれからどうなるかわからない。そんな時期に社長がいなくなるのは不味い。それに──」

 

「それに?」

 

「急速に力を付けてるルーキーがいる」

 

「私がルーキーに負けるとでも?」

 

「ンマーそうは思わんが……」

 

「そのルーキーの名前は?」

 

「スペード海賊団船長火拳のエースだ」

 

 !もうエースが海に出たか。ルフィの兄にして白ひげ海賊団二番隊隊長になった海賊王の息子。それが彼、ポートガス・D・エースだ。

 

「ルーキーながらロギアの能力を持っているそうだ。ンマー、君が七武海に入らなければ彼が七武海に勧誘されていたかもしれない」

 

 その通りです。

 

「それほどか。だが、まぁ行かないわけにもいかないんだ」

 

「どこへ行くんだ?」

 

「ドラム王国だ」

 

「ドラム王国?1年前に君が王を追放させた?」

 

「あぁそのドラム王国だ」

 

 海軍本部を出たときに第一目標にしていたドラム王国はPOHの最初の獲物になってもらった。

 ワポルはPOHがドラム島に橋頭堡を築き上げたら勝てる見込みなしとそそくさと国を捨てていった。悪政から解放されたドラム島は市民からなる国民軍とPOHで守られ、ワポルによって追放された医者の帰郷を呼びかけている。

 

「ドラム島を任せている現地人のドルトンという男から連絡が来てな、何でも国を1から作り直すそうだ。その象徴として式典をやるらしいがそれに呼ばれたのだ」

 

「ンマー、式典に参加するだけなら大丈夫だな。だが、ドラム島まで行くくらいなら俺に言わなくていいろだろう。なにか長くなる予定があるんだな」

 

「最近、アラバスタがきな臭くなってきた。あそこが荒れるとFGLの商売もお手上げになってくる。なにせお得意さまだからな」

 

 新聞で知ったアラバスタのユバでの大干ばつ。この裏にはアラバスタを乗っ取ろうとするクロコダイルの陰謀があるのだが、この陰謀のせいでアラバスタで内戦が起こる。

 

 1年後にはコーザがユバで反乱軍を結成する。それまでにできるだけのことはやって少しでも無関係な国民が悲惨な目に合わないようしなければならない。

 

「ンマー。ネルソン号なら改修終わってるぞ」

 

「なら久しぶりにネルソンで出港しよう。性能はどれくらい向上した?」

 

「兵装を少し減らしたがそれに見合う、いやそれ以上のスピードを手に入れた。ンマー、建造中の戦艦に比べりゃあ劣るが、まぁあれと比べたらすべての船がナメクジになっちまう」

 

「そうじゃなきゃ困ってしまうよ」

 

「いつ出るんだ?」

 

「明後日には出港しようと思う」

 

「そうか、ネルソン号は中央港に停泊させておく」

 

「中央港だな。改めて言うが改修してくれてありがとう。アイスバーグさん、ここのコーヒーは美味いから飲んでいきな」

 

 コーヒーを飲みきり、2人分の代金を置いては席を立つ。

 

「ンマー、ありがとういただくよ」

 

 片手を上げて相槌を取り、共同本社の扉を開ける。社内は大賑わいで、電伝虫が鳴り響きFGL社員が対応したり窓口対応をしたりと忙しく貿易事務に追われている。

 その一方で黒いマスクで顔を隠しているPOH隊員は談笑しながらホールを歩いている。普段、殺伐とした戦場にいる彼らは本拠地でくらい休養できるようウォーターセブンにいる間は休みにしてるのに、ほぼ毎日ああやって本社にやってくる。

 

「ボス!お疲れさまです!」

 

 談笑してたPOH隊員が私のことに気が付いて歩みを止めて敬礼してくる。それに続いて気が付いたPOH隊員やFGL社員が挨拶をしてくる。

 

「お疲れさまです、社長。レッドティー島とグリーンティー島との契約延長の書類に目を通していただきたいのですが」

 

「分かった、ニコラに渡しておいてくれ。後で見よう」

 

「ありがとうございます」

 

「お疲れ様です、ボス!オリーブソープ島の内戦について報告したいことがあります」

 

「そちらも分かった。私の部屋で報告を聞く、先に向かってくれ」

 

「はっ!」

 

 FGLはPOHの補給と資金を、POHはFGLが安全に貿易できるよう護衛する。この連携によってお互い成り立っているおかげで上手くいってるが、その分私の負担が大きいのがつらい。社員も隊員も頑張っているから私も頑張るべきなんだろうが、流石にキツイ。

 

 キツイが3年後はもっとキツくなる。時代が大きく動き出す……いや、もう動き始めている。時代に飲み込まれる訳には行かない。

 

「FGL社員、POH隊員、両名に告ぐ!心して聞け!!」

 

「「「はっ!!」」」

 

 ホールにいた社員・隊員全員が今までやっていた行為を辞め、席を立ち社員は直立不動で隊員は敬礼のポーズで私を見る。その場にいた、客人たちは突然自分たちが突き放されたことについていけず状況を飲み込めていない様子だ。

 

「今から3年後、時代は大きく動き出す。我々はこれから時代(世代)と戦うことになるだろう!時代に排除されるかそれとも、私達に時代が協調するか。それは善悪も勝ち負けもない、孤独な戦いになる」

 

「これからの3年間は時代への戦争準備期間だ!この3年間で我々がどこまで成長できるか、どこまで拡大できるか、それが我々の運命を左右する。我々が時代に飲み込まれれば海軍に救えぬ民たちを誰が救う!天竜人どもに虐げられる民たちを誰が救う!」

 

「我々は負けるわけにはいかないのだ。各員一層奮励努力せよ!全ては民衆のためにっ!!」

 

「「「全ては民衆のために!!!」」」

 

「終わりだ、作業に戻れ」

 

 この3年間の重要性が彼らにも伝わっただろうか。POHが最も必要になってしまうのは頂上戦争後、白ひげ亡き後だ。白ひげ海賊団の縄張りは戦後は海賊に襲われて悲惨なことになる。

 そこに手を差し伸べられるか、その手を離すことなく外敵から守り通せれるかが更に重要になってくる。

 

 私自身も更に強くならなければ。彼の能力は強い、強すぎる。だからこそ彼の能力を完全に掌握して特性を最大限引き出せれるようにしなくては。さもないと、守れるはずの者を失わなければならなくなる。

 剣の腕も銃の腕も海軍で訓練して身につけた程度だ。いくら強力な武器を持っていても使いこなさなければ意味がない。特にこのワンピース世界じゃあ銃弾を避けたり、鉄をいともたやすく斬るのが普通なんだ。

 

『正義なき力が無力であるのと同時に 力なき正義もまた無力』

 

 昔、父親に進められて読んだ漫画にそんなセリフがあったな。まさにその通りだな。そうだ、せっかく七武海になったんだ“鷹の目ジュラキュール・ミホーク”に剣の教えでも乞おうか。

 

 そんなことを考えながら社内を歩いていれば、“社長室”“司令室”と書かれたプレートがハメられたドアの前に来ていた。

 

 ドアの向こうには4人の気配、ドアノブを回してみればさっき会った隊員たちとニコラが書類を手に出迎えてくれた。

 

「ジルベールさん、ご苦労さまです♪いらして早速で申し訳ありませんが仕事が溜まってきております。まずは彼らのオリーブソープ島に関しての報告に目を通してはくれませんか?」

 

「あぁ、では諸君よろしく頼む」

 

「「「はっ!」」」

 

 こうして私達は地道に救いの手を求める人々に手を差し伸べていく。それが私ができる唯一の事柄なんだから。

 

 

 




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