魔力量歴代最強な転生聖女さまの学園生活は波乱に満ち溢れているようです~王子さまに悪役令嬢とヒロインぽい子たちがいるけれど、ここは乙女ゲー世界ですか?~   作:行雲流水

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0144:礼拝前。

 ――朝。

 

 子爵邸の裏にある家庭菜園に植えたお芋さんの成長は順調だった。ただ何故か間引いても増えるという不思議現象を起こしている真っ最中だけれど。

 この不思議現象をお隣さんに相談すると、魔力による影響だから土壌が栄養不足になることはないし、連作問題も解決できる。魔力の影響を受けてお芋さんは、何かしらの特殊要素が付随されているだろう、と。

 魔力要素なんて、天馬さまが言っていた私の所為で子爵邸周辺の魔素量が多いくらいで、他になにかやったつもりはないのだけど。子供たちが一生懸命『大きくなあれ、美味しくなあれ』と祈って、その場に居た庭師の小父さまとサフィールと私が子供たちに呼ばれて一緒に声を上げただけ。祈ったつもりなんて全くないのに、なんでこんなことになるのだろうか。

 

 まあいいや、といろいろと放棄してジャングル状態のお芋さんを間引く為に子爵邸の家庭菜園へと赴いていた。適度に間隔が空くように、密集しているお芋さんの主茎を掴んで抜いていく。

 他の人が抜こうとすると男の人数人で顔を真っ赤にさせながら抜かなきゃならないが、何故か不思議なことに子供たちや私ならばすっと抜けるのである。

 本当に何でこんなことにと頭を抱えそうになるけれど、全て『まあいいや』で流すことにした。魔力なんて不思議なものがある世界で『聖樹』『妖精』『亜人』とかが平気であるのだから、悩むだけ無駄である。目の前にある事実を呑み込んで、日々を過ごしていくのみ。ただ幽霊だけは本気でノーサンキュー。一生出くわさないままで死にたい所。

 

 『私の分も食べなさい、ジョセ』

 

 『エル。ありがとうございます』

 

 間引きの為に抜いたお芋さんを葉や茎の部分まで残さず食べてくれるエルとジョセ。お腹にいる赤ちゃんの為にもエルはジョセに食べて欲しいようで、お芋さんを器用に口で咥えジョセの足元へ置き、それを彼女がむしゃむしゃと齧り始めた。

 二頭が食べきれない分は子爵邸で管理している馬車のお馬さんへ回っているのだけれど、厩の世話人さんが驚いていた。最近、筋肉がしっかりしてきており御者の方も、馬車を引く力が強くなっている上に持久力も上がっているらしい。馬車には何度も乗っているというのに、変化なんてさっぱり分からない。ただ一番馬に精通している人たちがそう言っているのだから、本当なのだろう。

 

 これ、人間が食べるとどうなるのだろう。収穫したら子供たちとふかし芋にバターを載せたり、薄切りにして揚げて塩を振って食べようと考えていたのだけれど。子供に影響があるのなら考えないと。子供なのに筋肉マッチョとか笑えない。

 

 『聖女さま。頂いてばかりでは申し訳ないので、子供たちの所にでも行って参ります』

 

 『私も行きます。あまり動かないのも問題ですので』

 

 二頭が顔を寄せて来るので、手を添えてなでなでする。気持ち良いのか目を細め暫くすると顔を離す。私の護衛に就いていたリンにも、エルとジョセは挨拶代わりに顔を寄せて撫でて貰っている。

 穏やかな顔で二頭の顔を撫でているリンと気持ちよさそうにしているエルとジョセ。ジークは屋敷で野暮用を済ませているので、この場には居ない。

 

 「よろしくお願いします」

 

 二頭が仲良く歩いて騎士さまや軍の方たちが居る建屋へと向かう。建屋内に併設されている託児所の子供たちにエルとジョセは人気だった。優しくて紳士だし言葉も交わせるので、子供心を刺激しているようだ。

 託児所へ子供を預けている親御さんの話を聞くと、家に帰って『お馬さんとたくさんお話したよっ!』と嬉しそうに今日一日の出来事を教えてくれるそうだ。お昼ご飯の話や文字の読み書きをしたこと、読み聞かせの時に聞いた童話の内容などを楽しそうに聞かせてくれると聞いた。どうにか形にはなっているかなとホッとするけれど、これから王都にも展開していくつもりだし、まだまだ出来ることを見つけないと。

 

 エルとジョセは『居候の身は辛いので何かお仕事を』とよく言っている。馬車を引きましょうかとか背中に乗りますかと提案してくれるのだけれど、これで子爵邸の外に出ると王都が大騒ぎとなってしまう。

 彼らが子爵邸に初めて来た時だって、プチ騒ぎが起こっていたそうで、王家が『天馬は黒髪の聖女の屋敷へ向かっただけ』と発表して騒ぎが収まったそうだ。しかも何故か『ああ、黒髪の聖女さまなら納得だ』と王都の皆さんが言っていたそうで。

 なんでやねん! と突っ込みを入れたくなるけれど、私は竜を従えることが出来ると思われていることを忘れていた。もうこれ王都の皆さまには、なにが来ても驚かれないんじゃなかろうかと頭の中をよぎる。竜以外で王都を訪れて驚かれるような存在って何かあったかなあと思考を巡らせた。

 

 ――何も思いつかない……。

 

 まあこれ以上騒がせても問題だし、平和が一番。今までが忙しすぎただけだから、これからは平和平和と心で念じる。

 

 「ナイ、そろそろ時間だぞ」

 

 じゃりと土を踏みしめる音が聞こえると同時にジークの声が耳に届く。それに反応して私とリンは彼の方へ身体を向けた。既にジークは教会騎士服に身を包んで、お出かけする準備は整っているようだった。

 

 「ジーク、ありがとう。――リン、行こうか」

 

 以前ならば平民服からぱぱっと自分で聖女の服を着込めば、ものの十分で出掛ける用意なんて出来ていたのだけれど、お貴族さまとなってからは侍女さんの手を借りる為ちょっとばかり時間が掛かる。

 手を掛けても元がアレなのであまり代わり映えしないのだけれど、侍女さんたち曰く『他の方に舐められてはなりません』とか『本当はもっと手を掛けたいのですが……』と言われる始末。これは黙って彼女たちに従っておいた方が吉と、素直に言いなりになっている。聖女なので宝石類を身に着けなくとも許されるのが唯一の救いだった。

 

 「うん。教会の礼拝だよね。どんなものなのか少し楽しみ」

 

 「そうなの? 意外だなあ、リンが興味持つなんて。――護衛の選出お疲れさま」

 

 どうやらリンは教会の礼拝に興味があるらしく、珍しくソレが顔に出ていた。意外だなあと思いつつ、ジークには護衛選出をお願いしていたのでお礼を伝える。ソフィーアさまとセレスティアさまは今日は子爵邸での仕事はお休みなので、家でゆっくりしている筈だ。

 

 私は昨日お休みだったので、子爵邸でダラダラ過ごしていた。いつもより少し遅く起きてご飯を取り、お昼までゴロゴロしていたら飽きてしまい、何かやることはないかと家宰さまに問いかけると馬鹿な事を言わないで下さいと窘められたけれど。仕方ないのでサフィールの所へ行き、子供たちと一緒に遊んでいた。サフィールも呆れ顔で休みの意味がないよねと言われたのだが、暇なのだから仕方ない。

 

 「気にするな、これも仕事だ」

 

 ジークがふっと笑って、三人一緒に歩を進め始めた。屋敷までは直ぐなので時間は掛からない。彼が呼びに来てくれたというならば、お出かけの際に付く護衛の人たちの準備や侍女さんたちの着替えの準備も整ったのだろう。

 

 「そうだけど、気持ちはちゃんと口にしないと届かない、なんて言うしね。あと、何かあるならちゃんと教えてね」

 

 伝えておいた方が良いことは、ちゃんと口にしないと。こんなことで仲違いなんて嫌だ。小さいことからストレスを溜めて溜めて溜め込んで爆発なんてこともありそうだし。ジークとリンは双子故に似ている所為か、不満とかを言わないからこうして聞きだしたりしないと。

 

 「大丈夫だ。お前が口にしなくともちゃんと伝わっているさ」 

 

 「うん。それにナイは顔に出ててるから分かりやすい」

 

 なんだか前にも誰かに言われたような気もするし、ジークとリンに言われていた気もする。

 

 「え……そんなに出てる?」

 

 いや、そんなに顔に出しているつもりはないのだけれど。お貴族さま教育でポーカーフェイスを学ばなきゃいけないのかなあ。これからいろいろとあるだろうし、そのスキルを持っていた方が便利なのかもしれない。

 

 「……まあ、な」

 

 「うん」

 

 ジークが少し困ったような顔を浮かべ、リンがくすくすと笑ってる。二人やクレイグとサフィールに丸わかりなのは問題ないし、感情がバレバレでも何とも思わないけれど、他の人にバレバレなのは少々恥ずかしい。

 邸内の主室へと足を運ぶとジークは部屋前で待機、リンは着替えに自室へ行った。うーんとどうすれば表情筋が暴れないのかと考えつつ、着替えを侍女さんたちにお任せする。

 

 「どうしましたか、お館さま?」

 

 子爵邸で働く人たちには私の呼び方は自由で構わないと告げてある。なので『聖女さま』『ご主人さま』『お館さま』辺りが殆ど。名前で呼んでくれるのは特定の一部の人だけ。

 

 「私って感情が顔に出やすいらしくて。そんなに出ていますかね?」

 

 屋敷の中なので一人称は『わたくし』を使わない。あれは聖女の時のみに用いる。なんとなく使い分けていたのだけれど癖みたいなものだし、聖女として私人としての切り替えに便利だった。

 

 「そうですね。――お食事の際などは顕著でしょうか」

 

 割と身の回りの世話を焼いてくれる人が今日の担当だったので、気になって聞いてみた。ご飯の時も顔に出ていたらしい。そんなつもりは全くなかったのだけれど、子爵邸の料理人さんたちが作るご飯美味しいからしかたない。

 

 「そんな気は全くなかったのですが……」

 

 「良いではありませんか。料理長や料理人たちは喜んでおりますから。ほら、今も表情に出ておりますよ」

 

 「む」

 

 きりりと顔を作ると、くすくすと侍女さんたちが笑いつつ着付けを済ませてくれた。どうやら顔に出過ぎているらしい。頑張ってポーカーフェイスを習得せねばと心に誓い、着替えを終え邸の馬車止まりへとみんなで行き、礼拝に参加する為馬車へと乗り込むのだった。

 

 ◇

 

 ――王都は雲一つない良い天気だった。

 

 礼拝に参加する為に王都の教会へ向かっている。整備された道を馬車が軽快に進んでいく。ソフィーアさまとセレスティアさまが不在なので、馬車の中にはジークとリンが乗り込んでいた。もちろん外には護衛の騎士さまや軍の人たちが警備についているので、馬車の速度は人が歩く速度と同じくらい。

 

 「いい天気だねえ」

 

 馬車の窓から空を見上げると、一面真っ青。所どころで鳥が飛んで黒い点になっているくらい。暑い時期は過ぎているので、過ごしやすい良い季節になっていた。小さい頃は魔術に関しては驚きの連続だった。

 

 稀に魔術師の人が空を飛んでいることがあるので、初めて見たときはかなり驚いたし、奇跡で欠損した腕や足が生えてくるところを見た時は漏らす寸前だった。物理法則や質量やらなんやらを一切合切無視するのである。私は才能がなかったので、腕や足を生やす為の魔術は使えない。

 本当に奇跡があるんだねえと驚いたけれど、魔術で引き起こした奇跡。才能で差がある辺り不公平だなあと思うけれど、私は魔力量でカバーできるので恵まれている方だ。逆に腕や足を生やす魔術しか使えないというなら、使いどころが少なすぎて不便極まりない。

 バランス良く魔術を使える方が魔術師としては有能だろう。聖女さまとしてなら、使いどころ次第かなあ。奇跡の体現者として祀り上げられるかもしれないし。

 

 「ああ」

 

 「うん」

 

 ジークとリンが私を見て同意してくれた。本当にいい天気だと、窓の外に顔を向けたまま。

 

 「こういう日にエルかジョセの背中に乗って空を飛んだら気持ちよさそう」

 

 本当にいい天気。縁側に出て緑茶とかしばきたい気分。まあこの世界だとテラスに出て紅茶になるのだろうけれども。

 何故かアクロアイトさまが一鳴き二鳴きして、何かを主張しているけれど、言葉が分からないので何を伝えたいのやら。肩から膝の上に乗せ換えて頭を撫でると、目を細めて何度か足踏みして身体を縮めて丸くなった。暫く寝るつもりのようだった。

 

 「その前にナイは馬に乗れるのか?」

 

 揶揄いを含んだ声色でジークが問いかけてくる。エルとジョセなら訓練しなくても問題なさそうだけれど。どうなのだろうか。二人は騎士として訓練していた筈だから、問題なく乗りこなすことが出来るだろうけれど。

 

 「乗ったことない……」

 

 「乗せてあげるよ。ナイなら前に座れば大丈夫。エルとジョセなら大人しいし言葉が通じるから大丈夫」

 

 リンがえへへと笑いながら言ってくれたけれど、子ども扱いじゃないかなあ。せめてリンの背中側に乗って横乗りさせて下さい。

 

 「――と、そろそろ着くな。降りる準備を」

 

 騎士と聖女としてちゃんとしろよ、という事なのだろう。ジークが窓の外をみつつ御者さんの方へ顔を向けた。

 

 「うん」

 

 「ん」

 

 リンと私がジークの言葉に返事をしていそいそと服を整えたり、リンがジークに声を掛けて『兄さん、私がナイのエスコートをする』と打ち合わせをしたり。

 相変わらずリンは私のエスコート役をしたがる。そんなにしたいものなのか疑問だけれど、普通は女の子ならエスコートされる方が良いのでは。でも、リンは同年代の女性より背が高いし様になっているから問題はない。それに知らない人にエスコートされるより、リンやジークが担ってくれる方が気が楽だ。

 

 「ナイ、カルヴァイン殿が外で待ってくれているそうだ」

 

 「あ、気を使わせたみたいだね……。教えてくれてありがとうジーク」

 

 「気にするな。――そわそわしているから、早めに行ってやれ」

 

 なんだかその姿が簡単に目に浮かんでしまうのだけれど。ジークに苦笑いしながら返事代わりに頷いておいた。馬車がゆっくりと止まって暫く、先にジークとリンが降り、打ち合わせ通りに彼女が私のエスコートを担ってくれた。

 

 「ありがとう、リン」

 

 「どういたしまして」

 

 私たちを少し後ろで眺めていたジークは苦笑なのか呆れているのかよく分からない顔で見守っている。ぱたぱたと小走りで駆け寄って来る人の気配を感じて、そちらへと顔を向けるとアウグストさまが尻尾を振りながらこちらへと来た。

 

 「聖女さま、ようこそいらっしゃいました!」

 

 立ち止まって息を整えて背を張って声を出した彼に、聖女としての礼を執ってから口を開く。

 

 「アウグストさま、本日はよろしくお願いします。――何も知らぬ不調法者故、お手を煩わせてしまうこと先に詫びさせて頂きます」

 

 念の為に軽く何をやるか聞いてはいるものの、不安は不安だった。まあ私が信徒になったことは王都の人たちに少しづつ広まっているようだし、失敗しても生暖かく見守ってくれるだろう。

 

 「大丈夫ですよ。以前にも申しましたが礼拝は信徒でなくとも参加できますし、基本的には座って拝聴して頂ければ問題ありません。あとは司会者や神父さまに従っていれば良いだけですので」

 

 さあ参りましょうとアウグストさまが先導してくれるので、その後に続く。私に付いている護衛の人たちの数が多いので、流石に全員を教会へ配置する訳にはいかないと、聖堂へ入るのはジークとリンのみ。残りの方たちは教会周辺の警備警戒にあたる。

 

 礼拝の時間までにはまだ少し早く、人はまばら。初回ということで早めに入って、最後方の席へ座した方が良いだろうとみんなで話し合っていた。警備の問題やらあるし、入口の大扉とは離れているので早々妙な事にはならないはずだ。

 

 「ナイちゃん、こちらへ」

 

 「ナイさんが礼拝へ訪れてくれる日がくるだなんて……」

 

 教会の中へ入ると入口すぐの場所でシスター・ジルとシスター・リズも出迎えてくれた。何故かシスター・リズが感動している。目を隠してあるので表情が読み取り辛いが、なんとなく彼女の雰囲気で分かってしまった。

 

 『ナイさん、よろしければ礼拝に赴いてみませんか? 皆さんの信仰に触れてみるのも良い機会なのかもしれませんよ』

 

 かなり昔、といっても私が聖女になったばかりの頃だ。シスター・リズが無信心な私になにか思うことがあったのかそう告げたことがあった。

 

 『あ、いえ。聖女として学びたいことがまだまだありますし、興味もないことに足を突っ込んでも時間が勿体ないのでまたの機会に』

 

 とか何とか言って断った記憶が微かに残っている。ごめんなさい、シスター。聖女としてちゃんと働いてお金を稼げるのか不安だった頃だから、気遣い出来る返しが出来ていなかった。

 本当に申し訳ないと心の中で……いや、ちゃんと謝っておいた方が良いか。さっきジークに気持ちはちゃんと伝えなければ届かないって言った所だ。

 

 「シスター・リズ」

 

 「どうしました、ナイさん?」

 

 私の声で何かを感じ取ったのか居住まいを正すシスター・リズ。シスター・ジルは面白そうな顔を浮かべてるので、何か感付いたみたい。ふうと深く息を吐いて、空気を少し取り込んでから口を開いた。

 

 「妙な事を口走るかと思いますが……以前シスターに礼拝に参加してはと問われた際凄く失礼な断り方をしたと思い出しまして……」

 

 「あら、覚えていたのですね」

 

 やはり覚えていたのか。本当に申し訳ないとただただ平謝りするしかない。

 

 「覚えていたというよりも、思い出したと言った方が正しいと思います。――あの時は余裕がなくて酷い言い方になってしまいました。ごめんなさい」

 

 聖女としてではなく、九十度に腰を曲げて頭を下げた。もう少し断り方というものがあったよなあと、仕切りに反省するばかりである。

 

 「おや」

 

 「まあ」

 

 ゆっくりと頭を上げるとシスター・ジルは目を見開き、シスター・リズは口元に手を当てて何かを考えている様子。いや、そんなに驚かなくともと言いたくなるけれど、黙っておく方がいいのかなあ。どうしたものかと思案しているとシスター・リズが私の頬に手を置いた。

 

 「思い出してくれたなら覚えていたと同義でしょう。すげなく断られてしまい少々気落ちはしましたが、あの時の貴女が必死だったことも理解しております」

 

 ですので神の教えはこれから学んでいけば良いではありませんかと、シスター・リズが優しい口調で諭してくれる。それは……ちょっと嫌かもしれないとは口に出来ず、覚えるだけなら勉強がてらに良いのかと思案する。

 

 「ナイちゃん。あまりよろしくないことを考えていませんかぁ?」

 

 クレイジーシスターこと、シスター・ジルに内心を読まれて焦るが、とりあえず表面上だけでも取り繕ってにっこりと笑い返し。

 

 「いえ、これから真面目に礼拝を受けなければと考えていただけですよ」

 

 うーん、私が神の教えを理解できる日が来るのだろうか。仮に理解した日がくるとすれば、それってこの世の終わりとか言われるタイミングなんじゃないのかと考えてしまう私だった。

 

 

 

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