魔力量歴代最強な転生聖女さまの学園生活は波乱に満ち溢れているようです~王子さまに悪役令嬢とヒロインぽい子たちがいるけれど、ここは乙女ゲー世界ですか?~   作:行雲流水

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 投稿順を間違えておりましたorz 読み直ししなくても話が進んでいないので大丈夫なはずですが、本当に申し訳ありませんでした!┏○))ペコ


0227:今後の話。

 帝国から取れるものは取れたのかな。会談が終わって雑談タイムが始まっていた。例によって皇帝はさっさと皇宮へと戻って、ハーレムを満喫するそうだ。

 会談が終わったあとも社交の場なので、早々に立ち去ることはしない方が良いのだが、好色皇帝らしいというかなんというか。

 ウーノさまは自分を売り込む為、私に一言告げた後は公爵さまとディアンさまと話をしている最中。

 第一皇子殿下の尻拭いを行った本人だし、彼女に代わると会談の進み具合が全然違ったので好印象だったようだ。

 

 ――帝位に就けるか?

 

 会談終わり直ぐに、公爵さまが呟いた言葉だった。彼の率直な疑問だったようで、アルバトロスと亜人連合国に搾り取られた形となったが故に、私たちが去った後彼女の身が危ないのではと仰っていた。確かに第一皇子殿下の妨害によって会談現場へ遅れて登場したのは、周囲の方々が第一皇子殿下が差し向けた人を押し切れなかった為。

 

 武力で応じることが出来れば、定刻通りに会場へ姿を現したはずである。無論、手荒な真似をしたくなかったのも遅れた一因だろうけれど、斬ることだけが武力ではないしなあ。後はやはり男尊女卑が酷い帝国で、単純に女性が玉座へ就けるかどうかの心配だったのだろう。

 会談の場でしか実力を伺っていないし、彼女の後ろ盾もはっきりとしていない。玉座を手に入れると意気込んでいたけれど、実際はいばらの道なのだろうなあ。私はそういう物に全く興味がないので、見ていることしかできないけれど。

 

 「ナイさま。再度になりますが、この度は多大なご迷惑をお掛け致しました」

 

 公爵さまとディアンさまとの話を終えて、私の下へとやって来たウーノさま。公爵さまとディアンさまも一緒にやって来たので、割と大所帯になった。私の側には今回一緒に召喚されたフィーネさまとメンガーさまが居る。メンガーさまの腕の中にはしゃれこうべ姿の髑髏の幽霊まで居た。

 

 『本当にアガレスは横暴だな! が、我は強くなったのでこれ以上は言わぬ』

 

 何故か私が喋る前に、髑髏の幽霊がしゃれこうべのままで言葉を口にした。驚いた顔を浮かべたウーノさまに、公爵さまとディアンさまは余計なことをするなみたいな顔を浮かべ。帝国に思う所があるのは理解できるけれど、空気の読めない発言である。逆に、空気を読んだ上であえての発言ならば、どうしてしゃしゃり出たのか謎が残るけれど。

 

 「あ、あの……こちらの方は?」

 

 ウーノさまは動揺しまくりながら、どうにか平静を装って言葉を口にした。その様子に髑髏の幽霊はカカカと愉快そうに笑っている。

 名乗れば吃驚すること間違いないのに、本当に目立ちたがり屋というか、なんというか。でもまあ、過去を知る人物だし五百年前の正しい情報を手に入れられるならば、貴重な存在ではある。帝国至上主義みたいな妄信を捨て去ることが出来る一歩を踏み出す可能性だってあるのだから。

 

 『我はアガレスに滅ぼされたヴァエールである! 初代アガレスの血を引く者よ、我の婚約者を無理矢理奪われ、恨みがある故に五百年消えずに皇宮に憑りついておったのよ!!』

 

 どやあ、としゃれこうべが目を細めて大音量で告げた為に、残っていた帝国の方々の視線が集まった。何をやっているのやらと、メンガーさまの腕の中にいる髑髏の幽霊に顔を向け、出方を伺う。ウーノさまの立場を悪くすることだけは避けなければなるまい。彼女には帝位に就いて頂かないと困るのだから。

 

 「なっ!」

 

 『今の皇宮の場所も元は我の居城よ!!』

 

 帝国の方たちに動揺が走る。もしかして、彼らの知っている歴史とは違うのかも。情報を残すには紙が一番簡単で良いけれど、何百年も持つ紙となると皮で拵えたものとなって高級品。インクも経年劣化で消えてしまうだろう。口伝は長い時間が経つにつれて、都合よく改竄されそう。で、今がその瞬間なのかも。

 髑髏の幽霊、もといヴァエールは最後の王として、初代アガレスと直接対面した後に討ち破れたそうだ。

 逃げろと告げていた彼の婚約者は最後まで一緒に居て、そのままアガレスの戦利品として奪われた。死のうとしても初代アガレスが見逃してくれないし、民を人質に取られては初代アガレスの妃になるしか道はなく。

 

 「…………」

 

 『恨んでおらぬとは言えぬ。だが五百年も経ち、広場の不愉快なあ奴の像も粉微塵となったしな。事実を告げ、アガレスの者へ伝えるのも一興かと思えるようになった』

 

 そこに居る黒髪黒目の者のお陰だよと髑髏の幽霊。髑髏の幽霊の婚約者さまは黒髪青目という、ある意味で特徴的な容姿だったそうだ。彼女を妃に据えれば黒髪黒目の者が生まれる可能性もあると、時の王から髑髏の幽霊へ幼い頃に宛がわれた、ヴァエール国の高位貴族だった婚約者。

 

 最初こそはぎこちなかったもののお互いに時間を掛けて歩み寄り、好意を寄せ愛へと昇華させていった。そして良い国を作ろうと目指していた矢先、初代アガレスが父王を殺し当時王太子殿下だった髑髏の幽霊を殺したと。

 王太子ではあったが、父王が死んだことにより自動的に王となり、即位から数時間で在位を終える。婚約者は黒髪の者としてアガレスに無理矢理に奪われたと知ったのは、死んでから数年後。彼が皇宮で幽霊として目覚めた時。

 

 『確かに黒髪黒目の者は強大な力を持ち、奇跡を起こすことが出来る』

 

 しゃれこうべから髑髏の幽霊へと姿を変えた。そしてウーノさまへと向き直る。

 

 『だがな、妄信し過ぎては駄目だ。()は黒髪黒目信仰を信じ過ぎてはならんと常に警鐘を鳴らしていたが、結局変わることはなかった』

 

 髑髏の幽霊が黒髪黒目信仰に疑問を呈したのは、彼の婚約者の存在だろうか。珍しい黒髪というだけで、黒髪黒目の者に近い扱いだったが、彼女自身には特出した力は持っていなかったそうだ。あるのは自力で手に入れた、王太子妃、王妃としての力のみ。彼女自身も悩んでいたそうだ。普通の人間でしかないというのに、周囲から期待の眼で見られること、奇跡を望まれることを。

 

 『まあ、もう彼女も既に居ないから、言っても詮無い事ではあるが……』

 

 髑髏の幽霊は至極真面目な声色で、帝国では五百年前の出来事をどう教えられているのだとウーノさまへと問う。告げられた事実を認めるか認めないかは、聞いた人次第。ウーノさまは苦虫を嚙み潰したような顔で、髑髏の幽霊を見上げる。

 

 「初代アガレスが、この地を統べる暴君を倒した、と」

 

 『そうか。敗者に口はないからな』

 

 致し方のないことよと続ける髑髏の幽霊。彼の父が暴君だったのかどうかは、五百年前にこの地に住んでいた人たちにしか分からない。このやり取りが、何かの切っ掛けになると良いのだけれど。

 

 「ヴァエールさま。過去は変えられませんが、事実を知る機会はあるべきでしょう――」

 

 『――いや、必要ない。言っただろう、私は負けたのだよ。この感情は為政者としての矜持なのかもしれんな』

 

 くくくと笑う髑髏の幽霊に、周りの人たちがしんみりとしている。何だろうこの空気と訝しみながらも、口を出す訳にはいかないと黙って見守るしかなかったのだった。

 

 ◇

 

 髑髏の幽霊の独白に、周囲に居た人たちはしんみりしていた。国を預かっている者として、他人事ではなかったようだ。明日は我が身の可能性もある。突然、凶暴で強い人が現れて、寝首をかかれる可能性もあるのだから。

 

 『というかお前さん、女帝になるならば武力は必要じゃ! 舐められては、国が荒れよう。纏まりのない国なんぞ、民が迷惑を被るだけじゃ!』

 

 髑髏の幽霊は以前の調子に戻った。シリアスな空気は長持ちしないようで、話題を変えウーノさまが皇帝の座に就く算段を語っている。

 

 「武力ですか。確かに大事なことでございましょう。陛下から次期皇帝としての指名を頂くことが出来れば、近衛兵を預かることも出来ましょうが、まだ皇女でしかない身」

 

 そういえば皇太子殿下は居ないんだよね。第一皇子はその座に居てもおかしくはない年齢だが、第一皇子殿下という呼び名だし。彼がその座に就いていれば、周りの方々はそう呼ぶはずだし、気の強い第一皇子は呼ばないひとをかなりキツイ言葉で糾弾しそうだ。

 

 『ケチくさいのう。女が好きなら、女のお前さんを贔屓すれば良いのに』

 

 ああ、確かに。女性が好きだというならば、陛下が見ればむさ苦しいであろう男性なんて排除しそうだけれど。

 やらないのはやはりハーレムを維持する為なのだろうか。かなり生粋の女好きのようだし、発言も女性好きだからと一貫しているものなあ。第一皇子が両刀になった経緯は不明だけれど、まさか父親を見て反発心からじゃないよね。複雑な心の機微があるのだろうけれど、理解するにはまだまだ人生経験が足りない。

 

 「陛下は何も考えていないようにみえて、考えていらっしゃるのです。――まあ、後宮を維持する為ですが……」

 

 ウーノさまが最後にぼそりと呟いた言葉は、どうにか耳に捉えることが出来た。本当に無類の女性好きなんだねえと、視線を空へと向ける。

 青空が綺麗だな、さっきまでの第一皇子の不躾な態度を洗い流せそうなくらいに晴れ渡った綺麗な空……なんだけれど、ワイバーンに乗った騎士さまたちが上空を警戒している。落ちないでねと祈りつつ視線を下へ戻すと、いつの間にか私の左右に立ったお二人が口を開いた。

 

 「確かに武力は必要だな。あとは功績か」

 

 「今回の事で彼女を疎ましく思う者、恨む者が居るだろう。警備は厳重にしておいた方が良いな」

 

 む、と考える素振りを見せるけれど、口を出し過ぎると内政干渉だと言われてしまう。公爵さまとディアンさまだから、線引きは確りなされているだろうが、助言なんて珍しい気がする。アルバトロス万歳な公爵さまに、ルールや掟を慮るディアンさまだから、このやり取りに口出しすることはないと考えていたのに。

 

 お二人もウーノさまに皇帝の座に就いて欲しいのだろうか。第一皇子殿下から次も次の次も六番目くらいまでは、あまり期待できそうにないしなあ。七番目からは幼さがまだ残る感じだし、大人になるまで時間が掛かるだろう。ならばやはりウーノさまが一番手の候補となるのか。茨の道だけれど本人は覚悟済みだし、道を突き進んでいくしかない。

 

 『我も気を配るぞ! アガレスは忌々しいが、アレに帝位は無理であろうて!』

 

 アレって第一皇子だろうか。髑髏の幽霊は呵々と笑っているのだけれど、周囲は微妙な顔。だって恨み節をさっきまで垂れていたのに、この変わりようである。普通の方は付いていけないだろうなあ。

 会談で、ウーノさまの立場は確立されたようなものだけれどね。皇帝がウーノさまに他国の者が同席している所で、場を任せると告げられたのだから。ちゃんと理解している人なら、帝国の未来を担う方に乱暴は働かない。ただ第一皇子一派は考えなしに襲ったりしそうだよね……。のし上がる為にも、身を守る為にも功績と武力は必須か。

 

 「感謝いたします、ヴァエールさま」

 

 頭を下げるウーノさま。良いのだろうか、皇族が幽霊に頭を下げて。しかも帝国を恨んでいるとはっきり言った人に対して。

 

 『うむ。其方が誤った道を進まぬ限り、我は其方の支持者だ!』

 

 髑髏の幽霊が彼女の下に居るのならば、ある程度の役には立つのかもしれない。王族としての教育は十分受けていただろうし、将来は王さまとなるのだから帝王学も修めているはず。

 

 「ウーノさま。わたくし、ミナーヴァ子爵個人との繋がりを持ちませんか?」

 

 国との繋がりは無理でも、個人の繋がりであれば問題ないだろう。彼女が帝位を手に入れるのは何年先か分からないけれど、帝国との繋がりがあれば何かしら役に立つかもしれないし。

 アルバトロスの繋がりとなれば、陛下や公爵さまが決めなければならないことなので、おいそれと約束出来ない。

 

 「え……?」

 

 「ただし、条件があります。同じことは二度と起こさぬことを約束してください。私からも、今回の召喚儀式を執り行った魔術師の取り調べをアルバトロスの魔術師の方々へ許可を頂きたく」

 

 側に控えている副団長さまや、影の中に居るロゼさんが凄く喜んでいるし、警備に付いている魔術師の皆さんはこっそりガッツポーズを見せていた。本当に欲望に忠実な人たちだなあと目を細めつつ、ウーノさまへどうだろうと目を合わせ直した。

 

 「それは勿論。魔術師の件は帝国での調べが終わった後となりますが、場をご用意いたしましょう。しかし……ナイさまを拉致した帝国との繋がりがあるとなれば、快く思わない方もいらっしゃるのでは?」

 

 そりゃ、怒れる人たちが目の前にいらっしゃるけれど。個人としての繋がりだし、私と帝国が繋がる訳ではない。あくまでもウーノさま個人との繋がり。

 そこの所は間違えて頂いては困るので、確りと念を押しておく。駄目ならば公爵さまとディアンさまが止めているだろうし、止められないならばセーフかグレーゾーンと言ったところか。公には出来ないけれど、こっそりと関係があると伝わればそれで良いのだし。

 

 「その時はその時でしょうか。言いたいことがあるならわたくしに直接伝えてくださればいい事です。子爵位しか持ち合わせていないわたくしであれば、言いたい放題でしょう」

 

 後ろ盾の人たちが控えているから、文句は言いづらいだろうなあ。ウーノさまは知らない事実だし、後で知ってももう遅いのだから。保護者公認みたいだし、あとで辺境伯さまやラウ男爵さまにも伝えておけば、問題あるまい。また厄介ごとを持ち込んだと苦言を呈されるかもしれないけれど。

 

 「…………」

 

 無言で微妙な顔となるウーノさまに、髑髏の幽霊が呵々と隣で笑っている。ウーノさまと髑髏の幽霊は良いコンビになるんじゃないのかなあ。彼女が振り回される未来しか見えないけれど。まあ、とりあえず。まだ課題は残っているけれど、大きな山場は越えたなあと、大きく息を吐く私だった。

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