魔力量歴代最強な転生聖女さまの学園生活は波乱に満ち溢れているようです~王子さまに悪役令嬢とヒロインぽい子たちがいるけれど、ここは乙女ゲー世界ですか?~   作:行雲流水

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0337:兄上さまへの手紙。

――拝啓、兄上さま。

 

 わたくし、ベルナルディダがアルバトロス王国へ向かい随分と時間が経ちました。父や母、妹たちは元気にお過ごしでしょうか。もちろん兄上さまのご体調も心配ですし、ミズガルズの様子はお変わりないでしょうか? 

 先代であるお爺さまの堕落によって高位貴族が力を付け、ミズガルズの帝室の権威が随分と落ち心配でございます。それに本来は帝室が後ろ盾となるべき勇者さまも、高位貴族の手に落ちてしまいました。お父さまと兄上さまの苦労を思うと、アルバトロスで勉学に励むだけのわたくしの無力さを痛感いたします。きっと今も、腐敗した高位貴族たちの無理難題にご苦労をなさっていることでしょう。

 

 と、いけませんね。ミズガルズのことではなく、アルバトロスでの日常を教えて欲しいというのが兄上さまのお願いでしたから。

 

 アルバトロスはミズガルズとは違い文化の成熟具合が遅いですが、目を見張るものは沢山あります。まずは、やはり魔力持ちの方が多いことでしょうか。

 北大陸に住まう者にも魔力は備わっていますが、魔術や魔法を使いこなすには至らない微々たる量しかありませんから。アルバトロスでは魔力を持ち、適性さえあれば魔術を使うことができます。学院に通う貴族の方々は中級魔術を難なく使えることに驚きますし、また魔術を使用できない方々も魔力持ちの特性を生かして騎士や軍人を目指すそうです。

 

 特筆すべきはミナーヴァ子爵でしょう。謁見場の玉座の近くに控えていた、黒髪黒目の小柄な少女の方でございます。

 

 兄上さまは、謁見場や大事な会議の場に何故竜を連れた子供が居るのかと訝しがっておりましたね。アルバトロス王やアルバトロス上層部の皆さまには、理由を告げず彼女だけは怒らせるな! と何度も言葉を口にしておりましたが、先日その理由の一端を知ることとなりました。

 彼女の魔力量は常人のものではありません。その証拠にアルバトロスの教会で開かれていた治癒院では、最初から最後まで訪れた方々に治療を施しておりました。

 魔術を掛け終えても疲れた気配は一切見せず、わたくしの呼び出しに応えてくれたのです。――少々、無茶をしていることは理解しておりましたが、ミズガルズで聖女を担うディフィリアの刺激になればと面会を希望いたしました。

 

 護衛の方々に守られて面会にやってきたミナーヴァ子爵はやはり小さいお方でございました。珍しい黒髪黒目の容姿に、白い聖女の衣装を纏って肩の上には小さき竜がちょこんと乗っております。

 竜が人間の側に控えていることにも驚きますが、やはり彼女の魔力量の多さは異常なのだとか。魔術師のシラヤが驚いておりましたから、嘘ではないのでしょう。彼女の護衛や側仕えの令嬢方の背が高く、余計に背の低さが強調されておりますが見た目に騙されてはいけません。貧民街から身一つで成り上がったという噂通り、大人顔負けの言動です。

 

 ディフィリアの師事したいという懇願をすげなく断わり、アルバトロスには優秀な方が沢山いると仰った彼女の言う通りでございましょう。

 アルバトロス王立学院の魔術科や騎士科を見学させて頂きましたが、どなたも学生とは思えず、実力が備わっている方が多くおられましたから。ディフィリアがミナーヴァ子爵と友人になりたいという願いが叶うと良いのですが……。

 

 実力、といえば他にも驚いたことがあります。聖騎士であるメリディアナとマトモに打ち合うことができるお方がいらっしゃったのです。

 その上、使った得物は長剣よりも短い鉄扇でございました。懐に踏み込まねばならない分不利な状況であるのに、メリディアナと模擬戦を執り行ったヴァイセンベルグ辺境伯令嬢の胆力には驚くばかりでした。模擬戦にはメリディアナが勝利いたしましたが、彼女の得物が鉄扇ではなく通常の長剣であれば、メリディアナが勝てるかは謎です。

 

 ただ少し心配事がありまして。辺境伯令嬢が持っていた鉄扇はタダの鉄扇ではなく、竜の鱗で鍛えた鉄扇だったのです。

 

 ミズガルズでも竜は存在しておりますので驚くことではないのですが、竜の鱗が人間の手元にあることが不思議でなりません。竜の鱗や牙は竜自身が己の巣の中にため込み、ずっと大事にしていると伝え聞いていたのに。もしかすると北大陸と西大陸の竜の特性が違うのかもしれません。

 機会があれば、アルバトロス王都に竜の素材やエルフの反物を扱うお店があると、ミナーヴァ子爵から聞き及びましたので、アルバトロスからご許可を頂ければ向かってみたいと考えております。

 兄上さまに気に入って頂けるようなお土産があると良いのですし、辺境伯令嬢の鉄扇を破損させた代わりの物があると良いのですが。あ、ヴァイセンベルグ辺境伯さまには謝罪の手紙を送っておきました。外交問題になっても困ると考えたのですが、辺境伯さまは特段気にしていおらず、むしろ『娘が迷惑を掛けて申し訳ない』とのお言葉を頂いておりますのでご安心ください。

 

 他にも魔術の授業では、魔術師団の副団長が特別教諭として教えを受けたのですが、シラヤ曰くかなりの実力者とのことでした。

 魔術に精通しているだけではなく、他の知識も多分にあるとのことです。シラヤが師事を受けたいと申しておりましたが、ディフィリアがミナーヴァ子爵に同じことを申して失敗しておりましたし、無理なのでしょうね。残りの留学期間で彼からから盗める所は盗み出したいものです。もちろん、アルバトロス上層部にご迷惑を掛けない形で、ですが。

 

 あと最近、凄く体の調子が良いです。慣れない食べ物の違いで、体を壊さぬようにと兄上さまは心配なされていましたが、わたくしは元気に過ごしております。

 聖女のディフィリアも騎士のメリディアナも魔術師のシラヤも元気に、アルバトロス王立学院で学んでおります。他国、しかも遠い国である北大陸から赴いてきたわたくしたちに少しばかり警戒を持たれていますが、徐々に馴染んでいるはずです。

 

 兄上さま。今回はわたくしたちのことを慮って、アルバトロス王国に交渉して頂き感謝いたします。此度の留学でミズガルズに益を齎せるように学んで帰りますので、どうかその時までお待ちください。わたくしも、ミズガルズの地でミズガルズに尽くす兄上さまのご健康と無事を祈っています。

 

 「――ふう」

 

 手紙を書き終えて息を吐く。ミズガルズの第一皇子である兄上さまに手紙が届くのは、随分と先の事になるだろう。兄上さまが目を通す頃には、アルバトロスの皆さまと仲良くなっているだろうか。そんな未来がきて欲しいと願うが、願っているばかりではなにも叶わない。欲しているだけでは幼い子供と一緒なのだから、己自身も動いて相手との距離を詰めていかねば。

 ディフィリアは憧れている黒髪の聖女、ミナーヴァ子爵との接触に失敗をしたと落ち込んでいるようだが、おそらくミナーヴァ子爵は気にしていないはず。でなければ、毎朝挨拶を交わしたりしないだろうし、ディフィリアを特進科から排除することもできるはず。

 

 アルバトロスからお借りしている賓客室で、もう一度息を吐けば、わたくしの護衛として控え微動だにしなかった騎士のメリディアナが動いた。

 

 「ベルナルディダ、大丈夫ですか?」

 

 心配そうに私を覗き込むメリディアナ。彼女はわたくしの幼い頃からの付き合いがあり友人でもあるので、非公式な場では名前呼びを許可している。ミズガルズの他の者たちも控えているけれど、わたくしたちの関係を知っているので誰も注意はしない。

 

 「ごめんなさい、メリディアナ。心配をかけるつもりはなくて、兄上さまへの手紙を書き終えたから息を吐いただけよ」

 

 気にしないで、と言葉をつけ足すと、柔らかい顔で微笑むメリディアナ。普段は聖騎士として気を抜いた顔なんて見せないのに、こういう時は年齢相応の顔を見せる。

 

 「そうでしたか、失礼を。殿下にはなんと?」

 

 「アルバトロスでどんなことがあったのかを、ね」

 

 本当に、話題には事欠かない。当たり障りのないことしか書けないが、兄上さまが喜んでくれるならばそれでいい。兄上さまは本当にできた方だし、頭も良くて格好よくなによりわたくしに優しいお方なのだ。

 婚約者さまがいらっしゃるので残念極まりないが、幼い頃のわたくしは『兄上さまのお嫁さんになる!』と無邪気に周囲に漏らしていたとか。

 あまり記憶にないのだけれど、兄上さまの事が大好きなことは今でも変わりない。アルバトロスへの留学で兄上さまとは離れてしまい残念だけれど、兄上さまがわたくしの事を慮って望んだことなのだから至上の幸せ。

 

 「殿下もさぞ驚かれるのでは? こちらの方々は強い方が多いですからね。私ももっと手合わせをお願いしたいのですが……」

 

 「あまり無茶はしないでね。負けが多くなると大帝国の矜持がなくなってしまうもの」

 

 そんなことはあり得ません、と言いたげにメリディアナが笑みを浮かべた。今や帝室の誇りは地に落ちて、貴族の皆に好き勝手されているけれど。でもきっと父と兄であれば、祖父が残した負の遺産をきっと清算してくれる。

 帝室を支えてくれている貴族はもちろんいるのだから、彼らも一丸となってミズガルズに良き未来を齎そうと日夜奮闘しているのだから。

 女の身でできることは少なく、歯痒いことも多々あるけれど。どうか勇者の一件が落ち着きミズガルズの地をもう一度踏めるようにと、窓の外の夜空を見上げ願いを込めた。

 

 ◇

 

 ミズガルズとアルバトロスの親交を深めようと学院で『親善試合』が行われることになった。ちなみに提案者はミズガルズの帝とアルバトロス王と聞いた。許可を出したのはミズガルズの帝室とアルバトロス王立学院。

 

 ミズガルズからやってきている方々は皇女殿下と聖女さまと聖騎士さまと魔術師さまの四人と、彼女たちの護衛の皆さまである。で、学院行事となるので留学中の四人が参加するとのこと。第一皇女殿下も試合に参加するそうで、聖騎士さまと魔術師さまほどではないが、皇女として鍛えており実力を試す良い機会だと仰っていた。

 

 学院行事となるので、勝っても負けても恨みっこナシと謳ってはいるものの、試合に立つ人は国の代表としていろいろなものを背負わなきゃならない。

 試合を観るのは楽しいし、観客だから気楽なのだけれど、何故か教会と国から試合に出て欲しいとお願いされてしまい。私の上司から言われてしまえば、NOと言えない日本人の性が発動してしまう。結局、嫌とは言えず団体戦に参加する羽目になったのだけれど……。話を聞いた学院の生徒会室でいつもの顔ぶれが揃っている。

 

 「よろしくお願いいたしますわ、ナイ」

 

 「まさかナイと組むことになるとはな。」

 

 やたらと気合が入っているセレスティアさまと、いつも通りのソフィーアさまと組むことになり、最後は特進科三年生に所属している女の子だ。ギド殿下が参加したそうな気配を醸し出しているけれど、ギド殿下はリーム王国在籍である。婚姻すればアルバトロス王国民となるが、それまでは他国の王子さまなので我慢して欲しい。

 仕方がないので、ソフィーアさまの応援を頑張ると仰っていた。特進科三年生のメンバーとなると他に適任者がおらず、男性を出場させて勝っても性差故の勝ちと言われても困るので選出は女性のみだった。

 

 「私は前に出ることはできませんよ。後ろで補助と障壁展開に徹します」

 

 魔力を扱えるけれど、自分の魔術を己手に施す事はできず、魔術にも物理にも弱い。後ろで状況を読みながら、補助に徹している方が継戦時間が長くなるはずだ。

 

 「ええ、十分ですわ。前衛はわたくしが担います。ソフィーアさんともうお一方には魔術でわたくしたちの援護を担って頂きますから」

 

 ふふふ、と不敵な笑みを浮かべながら鉄扇を広げたセレスティアさま。彼女の扇は新調されており、白色が基調の扇になっていた。

 

 「参加するなら勝ちたいが……向こうがどう戦うかだな。聖騎士はセレスティアに勝っているから、気を抜かない方が良いだろう」

 

 ソフィーアさまが真剣な顔で告げると、小さく息を吐いた。勝つビジョンが見えていないのか、それともミズガルズに花を持たせるべきか迷っているのだろうか。

 私たちが勝つとミズガルズから褒章が出るし、負けると逆にアルバトロスが褒章を彼女たちに与えることになる。褒章が何か気になるので勝ちたいと願っているけれど、セレスティアさまほどの気合は入っていなかった。個人戦で騎士科からも代表を選出するようで、ジークとリンは立候補したそうだが選ばれるかどうか分からないとのこと。

 

 「取り敢えず、この面子で組むのは初めてだ。何度か練習もしておきたいが……」

 

 「ですわね。参加するからには、勝ちませんと!」

 

 親善試合まであと二週間。暇な時間を見つけては、特進科代表メンバーとの連携を高めていたのだけれど、練習を見ていたリンが拗ねたのはいつも通りだろう。

 

 そうして、試合当日。

 

 会場は小さな円形闘技場を借りて執り行われる。観客は学院生と教師陣のみなので緊張感はあまりない。練習と事前の打ち合わせ通りに動くだけ。

 学院生の出番が終わると、騎士団と軍の方たちとミズガルズの護衛に騎士さまたちとの試合となる。お城から出歩けないし、娯楽が少ないとのことで息抜きと称して大人組も親善試合を執り行うそうだ。学院生も見学の騎士さまや軍人さんたちの間ではトトカルチョが行われている。金額が大きくなると不味いのでささやかなものだが、こちらもこちらで熱が入っている模様。

 

 命の危険があるので、魔術具を使用してダメージを負い辛くしている。とはいえ当たると痛いし、怪我をする場合があるので十分に気を付けろと通達されている。怪我人が出ると私とアリアさまの出番となる。教会から派遣されているので、学院側から一定の金額が私たちに支払われるので有料だ。

 

 試合直前までは賓客席で観覧することになっていた。隣にはミズガルズの第一皇女さまが座しているので、接待しろと学院側が言いたいのだろうなあ。開会の合図と共に、第一試合が始まった。一番手は聖騎士さまが担うようで、入場門から姿を現した。学院の制服ではなく、ミズガルズ代表として聖騎士の恰好をしている。

 フルプレートとまではいかないが、胴体と腕と足を確りとガードしている鎧に長剣を佩いて、高身長なこともあって凄く雰囲気がある。アルバトロス側からは騎士科所属、三年生の女子生徒が気合を入れて入場してきた。開始線に立つと審判の『始め!』の合図が高らかに上がる。

 勢いよく踏み切ったアルバトロスの女子生徒が聖騎士さまに詰め寄り、何度か打ち合う。剣筋が甘いかなあと見ていたら、聖騎士さまが女子生徒の握っていた長剣を振り飛ばして、喉元に剣を添えた。審判の『そこまで!』という声が上がり試合は終了。そうして次の試合に移って行く。

 

 「また、直ぐに終わった」

 

 個人試合は聖騎士さまと魔術師さまがミズガルズの代表を務めているのだが……強い、の一言でしか表せない。アルバトロスの代表を難なく倒している。

 団体戦の結果が分からなくなってきたなあ……普通に強いし、魔術師さまが扱う魔術も侮れない威力がある上に、発動速度が速くて対応を間違えると直ぐに負けそう。そうして次の試合に出る選手の名前が呼ばれたのだった。

 

 「聖女さまが個人戦?」

 

 名前を呼ばれてミズガルズ側からしずしずと開始線に歩いて行く聖女さまを見た私は、頭に浮かんだ疑問を口にする。

 

 「ディフィリアは優れた治癒の使い手でありますが、魔術も十分に扱えますよ。アルバトロスの魔術師さまも優秀ですが、ミズガルズで聖女を担う一端をお見せできればと思います。それにミナーヴァ子爵と友人になりたいと言って気合を入れておりましたから」

 

 語り合える切っ掛けにでもなれば良いのですが、と第一皇女さま。ミズガルズの聖女さまの頑張りは認めたいけれど、好印象を持って欲しいならアルバトロスの生徒を倒すのは駄目なのでは。

 親善試合なので、私は勝ち負けには拘るつもりはなく楽しめれば良いくらいに考えているから良いけれど。これで、仲良くなりたい相手が勝ち負けに拘るなら、仲良くなる道程が長くなるだけのような。

 三学期が始まって一ヶ月以上経っているので、ミズガルズの皆さまの人となりくらいは理解している。ただ政治の関係があるので、あまり深く関わる訳にもいかず付かず離れずの距離を保っている訳だけれど。聖女さまは見た目こそ大人っぽいが、言動は子犬属性。第一皇女殿下に懐いているようだし、聖騎士さまと魔術師さまにもニコニコと笑顔で話している所をよく見る。

 

 「そうですね。皆さまの留学期間中に仲良くなれると良いのですが」

 

 私の言葉に皇女殿下が笑みを浮かべた。なれるのかなあ……仲良くなれるならば、仲良くなりたいけれど。そういえば仲良くなるってどうやるんだろう。仲良くなりたいと正面切って言われたことがないので、考えてしまった。性格の波長が合えば、苦労もせず仲良くなれるだろうけれど、貴族という階級社会で生きているのだから難しそうだ。

 でも、やはり仲良くなれるのならば、仲良くなりたいがどうなるのやら。皇女殿下と話していると審判の『始め!』の合図が聞こえた。視線を試合場に向けると丁度聖女さまが魔術を行使する為、詠唱を終えたところだった。

 

 「……魔術の発動が早いですね。魔力も無駄なく扱えているようですし。あ、終わってしまいました」

 

 私とは大違いである。羨ましい限りだと見ていると、肩の上のクロがぐしぐしと顔を擦り付けてくる。どうやら気にするなと言いたいらしい。聖女さまと魔術科所属の学院生の試合もあっさりと終わってしまった。

 

 「ふふ。ディフィリアはやる時はやるのですよ」

 

 以前、教会に顔を出していた時も手伝うと申し出たそうだが、教会の方々にやんわりと断られてしまったそうだ。他国の聖女さまだし、自国の聖女さまの仕事を取ってしまうから、教会側も許可を出し辛いのだろう。

 お金が絡むと人は怖いから、出しゃばらない方が正解だ。治癒魔術の実力はどれほどか分からないけれど、魔術の使い手ならば良い線いっているのだろう。そうして聖女さまは試合場から控室へと戻って行くと審判が名前を呼び、次の代表者が入場門から姿を現す。アルバトロス側は背の高い赤髪の女性の姿。

 

 「リンの番か」

 

 開始線に立ったリンを見て呟く。相手は聖騎士さまだった。セレスティアさまを負かした人なので、実力は相当なものなのだろう。

 

 『勝てるかな、リン?』

 

 クロがリンの強さを疑うはずがないので、単純な疑問なのだろう。時間が合えばセレスティアさまや騎士や軍の方々と手合わせしているし、確実に彼女は強くなっている。

 

 「リンは強いから、大丈夫」

 

 勝ち負けは分からないが良い試合になるのだろうと、開始線に立つ二人をじっと見つめるのだった。

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