魔力量歴代最強な転生聖女さまの学園生活は波乱に満ち溢れているようです~王子さまに悪役令嬢とヒロインぽい子たちがいるけれど、ここは乙女ゲー世界ですか?~   作:行雲流水

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0339:小石の波紋はどうなるか。

 親善試合の団体戦は聖騎士さまの負担を鑑みて中止となり、大人組の番となった。闘技場の熱は冷めないまま、こっそりと行われているトトカルチョで盛り上がっている。

 私たち学院生の場合は高貴な人の出番が多かった為、不敬と言われることを恐れて堂々と行われていなかった。が、大人組の番となると話は別のようで。ミズガルズの方々とアルバトロスの方々の間で静かな火花が散っている。

 救護室から観客席へと戻った私たちは、大人組の試合を観る為に戻って来たのだが、周囲の視線が随分と痛い。なんだろう、この居心地の悪さと頭を捻っていると、隣に座す第一皇女殿下が若干顔色を悪くしながら問いかけてきた。

 

 「ミナーヴァ子爵……聞き辛いことを申しますが、先ほどの大きな狼は?」

 

 「フェンリルですね。私に懐いていつも共に過ごしております」

 

 皇女殿下方は私の噂で伝え聞いていたようだけれど、にわかに信じられなかったらしく驚きの声を上げていた。だよねえ……普通、幻獣が人間に懐くことは稀なのだが、有難いことにクロにヴァナルにエルとジョセとルカに懐かれているんだもの。お屋敷にはお猫さまもいるし、最近居付いたジルヴァラさんもいる。

 あれ、また王都の子爵邸がサファリパークよろしく人外パークになっているような。これからまだ増える可能性もあるのだから、ヴァナルくらいで驚いて貰っても困る。

 屋敷にヴァイセンベルク辺境伯領や亜人連合国から竜の皆さまが偶に訪れていると知れば、皇女殿下方はどんな反応をみせるのか。今と同じでフリーズしていそうだなと苦笑いを浮かべると、話題が切り替わる。

 

 「このような場でなければ直接聞けることはないでしょうから、今聞いておきますね。――聖騎士メリディアナとの試合に勝ったジークリンデさんはなにをお望みですか?」

 

 できるだけ、ご希望に答えるようミズガルズ上層部に上申致しますと皇女殿下が口にして、後ろに控えているリンへと視線を向ける。リンは目上の方にちゃんと言葉を交わす事ができるだろうかと、私も後ろを振り向いて彼女の顔を見上げた。

 

 「…………勝利の栄誉は、私が仕えるミナーヴァ子爵へと捧げたく」

 

 皇女殿下の言葉に反応が少し遅れたけれど、リンが珍しく確りと答えた。一年生の頃には考えられなかった進歩で、親代わりを務めたと自負する私には嬉しいことだった。寂しい気持ちもちょっぴりあるけれど。

 リン的には褒賞よりも私と一緒にいる時間に価値があるらしく、ミズガルズからの厚意を無下にしない為に尤もらしい言葉で面倒事を私に流した気もする。あれ、リンちゃんさん。いつの間にこんな策を考えられるようになったの。外交担当を私が担わないで済むようになり、リンが自分で考えて言葉にできるようになったのは嬉しいことだが、問題が私に降りかかることになっちゃうよ。

 

 「では、貴女への褒賞はミナーヴァ子爵へ譲渡すると?」

 

 「はい」

 

 涼しい顔でリンが皇女殿下の言葉に短く答える。彼女の深い紫色の瞳が私になにか言いたげに見つめていた。なんとなく『褒めて、褒めてー!』とテンション高く、主人の周りに纏わりついている大型犬に見えて仕方ない。ジークはリンの隣で微動だにしないし、一体なにを考えているのか。

 

 「主人に仕える騎士として立派なご意思。承知いたしました、ではそのように。――ミナーヴァ子爵、貴殿はなにをお望みになられるのでしょうか?」

 

 皇女殿下がリンから私へと視線を変えて、不敵に笑う。ミズガルズに叶えられない願いはないと言いたげだった。これは受け取らないと不敬というか、失礼にあたるのでは。確認の為にもう一度リンの顔を見ると『ナイの好きにして良いよ』と視線で返ってきた。それなら良い機会かもしれないな、と今まで欲しかったものを願ってみる。

 

 「ミズガルズ神聖大帝国の情報をいくつか頂けませんか? もちろん、答えられないことは暈して頂いて構いません」

 

 いくつか、と数を限定していない所が私の悪い所だよなと苦笑いしたくなるのを我慢する。数を伝えてしまうと制限が掛かるから誤魔化した訳だけれど、おそらく気付いているかなあ。ミズガルズの面々はアルバトロスに居候している身なので、強くはでられないハズ……。国賓を無下に扱うとアルバトロスの評判が落ちてしまうが、無茶な質問でない限りは大丈夫だろう。

 

 前から知りたい事、聞きたい事をいくつか考えていたけれど、迂闊に皇女殿下に近づいて情報を聞き出すには関係が浅すぎた。

 皇女殿下の周りをウロチョロすれば、ミズガルズの護衛の方々に目を付けられるだろう。本国から処分命令なんて下っても困るので、遠巻きにミズガルズの四人の様子を伺うだけに留めていた。褒賞と銘打って、踏み込んだことに答えて貰うなら丁度良い機会だろう。

 

 「ミナーヴァ子爵の要望にどこまで応じられるかは、質問の内容次第でしょうけれど……誠意ある答えを申せるよう努めさせて頂きます」

 

 にっこりと妖艶な笑みを浮かべた皇女殿下に、私も笑みを浮かべて謝意を示す。そうこうしている内に、親善試合は終わりを告げ解散となるのだった。

 

 ――数日後。

 

 放課後、魔力補填の終わりに王城の賓客室に子爵家の面子が召喚されれば、ミズガルズの面々が待っていた。待たせてしまった事に頭を下げると、私が城の魔術陣に補填を務めていることを知っていたらしい。

 アルバトロス王国の特性を頼り、彼女たちは留学してきたのだから、文句を言うのは筋違いという事か。目深にお尻が沈むソファーに座すと、背後には両国の書記官さまがいらっしゃる。公式な場として設けられているので、迂闊な発言や私的なことは言わない方が良さそうだ。後世の歴史に残したくないものであれば、上層部が隠すかもしれないが、そんな大層な事を聞く予定はない。

 

 「では、始めましょうか。ミナーヴァ子爵、ミズガルズ神聖大帝国の名に誓い決して嘘は吐かぬことを宣言いたします」

 

 皇女殿下が小さく片手を上げて宣誓した。嘘は吐かないけれど、隠したい事、言いたくない事は誤魔化されるだろう。隠す事を卑怯だとは言わないし、国を背負っての行動なのだから致し方ない。私だってミズガルズにバラしたくない事は、言わないし言えないから。政治の場の駆け引きは難しいと、小さく息を吐き終えた後に片手を上げる。

 

 「殿下、誠意あるお言葉感謝いたします。わたくしもアルバトロス王国に属する貴族として、国威を損なわぬよう努めます」

 

 こんなもの、かな。今の言葉で正解なのかは分からないけれど、後ろに控えているソフィーアさまの雰囲気はフラットなので問題はないようだった。私はアルバトロスの国威を上げ過ぎだから、陛下や上層部の方々の苦労を考えろと以前にお叱りを受けた事があった。

 彼女の言葉に詰まってしまったのは私が問題を引き起こしているから……と一瞬頭を悩ませたのだが、直ぐに私は悪くないと思い直した。だって、巻き込まれなければ問題は起こらなかった訳でして。

 

 「殿下、まずひとつ目です。何故、権威ある帝室の方々がアルバトロスに留学した理由をお聞かせください。勇者さまひとりの脅威で逃げてくるとは到底思えませんから」

 

 私が口を開いて言葉を告げ終わると、殿下は静かに目を閉じてゆっくりと開き澄んだ眼を私へ向ける。神聖大帝国と大仰な名前を名乗り技術が発展しているのであれば、人口も多いはず。勇者さまが強いと言っても、数の暴力で迫れば勇者さまは負けるだろう。一体どういった理由で手をこまねいているのか謎だったのだ。

 

 「子爵が仰る通りでございます。帝室の権威は落ち、今や貴族が好きに動いております。先帝が貴族の甘言に落ち、わたくしの父である帝が玉座に腰を据えましたが、力を持った貴族に対抗するには力が足りません」

 

 アルバトロスまで避難した理由はソレか。ようやく合点がいったと、皇女殿下の言葉に頷く。しかし貴族が力を持った場合、簒奪を企てそうだけれど実行に移さないのだろうか。

 

 「甘い汁を吸いたいが故に、帝室を飼い慣らしたいようです。ですが先帝から代替わりをした父が貴族の誘惑に乗ることはありません。次帝に座す兄も誘惑に負けるような弱い意志は持ち合わせておりません」

 

 ただ帝室が力を取り戻すには時間が必要だと皇女殿下。落ちた権威を取り戻すのは難しいだろう。民衆の帝室に対する評価が気になるけれど、革命が起こっていないならまだ希望はあるのだろう。おそらく踏ん張りどころなのではないのかな。もしくは勇者さまを利用して、お貴族さまと帝室が張り合っているのかもしれないし。

 

 「なるほど、ひとつ謎が解けました。答えて頂いた礼という訳ではありませんが……一つ情報を。倒された魔王は生きており、亜人連合国に保護されております」

 

 情報公開の許可は取ってある。神聖大帝国との繋がりを持てたことは国益に繋がるが、いつまでも勇者さまから逃げ居座られても困るというのがアルバトロスの見解。

 亜人連合国にも許可は得ているし、魔人の方々にも許可を得ている。魔人の皆さまの願いは、元の地に戻りたいそうで戻れる切っ掛けができるならば、北大陸から西へ移ったことを教えても構わないと仰っていた。彼女たちに情報を引き渡すべきか悩んだが、前に進まないのだから仕方ない部分もある。ただ聞く限りだと帝室はマトモそうで、話しても問題はなさそうだったことに決心が付いたから。

 

 「なっ! 彼らは生きているのですか!?」

 

 「はい。勇者さまを騙して姿を晦ませたと聞いております。無事に西大陸の亜人連合国へと辿り着き保護を願い出たそうです。彼らは彼の国で過ごしております。祖国を捨てなければならなかった彼らのささやかな願いが叶えば嬉しい限りです」

 

 驚いているミズガルズの面々。さて私が投げた小石の波紋が、どう広がっていくのか。目の前の皇女殿下に期待しようと、丸投げするのだった。

 

 ◇

 

 アルバトロス城の一角、警備の厳しい私の執務室で親しい者が集まり、ミズガルズ神聖大帝国についての話を繰り広げていた。アルバトロス王国の頂点に立つ私は、数年という短期間で問題が沢山起こってしまうのだろうと頭を抱えたくなる。

 

 が、国益という一点に関しては利益を多大に齎しているのだから、文句を口にできない。他国との会合の場で『アルバトロス王は羨ましいですな』と冗談を飛ばされるようになったり、私を若輩の王と侮っていた別の王は微妙な顔で遠目から眺めていたりと状況が変わりつつある。……全部、ミナーヴァ子爵のお陰なのだが、私の胃に直接多大な痛みを齎すのは止めて欲しい。だが口が裂けても言えない。弱音を吐いて良いのは、今集まっている面子の時くらいだ。

 

 執務室には叔父のハイゼンベルグ公爵と父の代から支えてくれている宰相が応接椅子に座していた。叔父は愉快そうな顔を浮かべ、宰相は難しい顔をしていた。少し前、ミナーヴァ子爵がミズガルズ神聖大帝国の面々に、亜人連合国に保護されている魔人の話を告げたと知らせを受けた。もちろん我々が知らない訳はない。子爵は我々と亜人連合国、そして魔人に許可を取って告げたのだから。

 言い方は悪いが、ミズガルズの面々が我が国にずっと居座られると困る。要人がやってきているので、通常よりも障壁を広域展開させていた。その分、費用が嵩み時間が経つだけ税を失う事になる。

 今はミズガルズが費用を立て替えているが、彼らの財政事情が圧迫されたり、向こうでなにか起れば送金が停止される可能性も考えておかなければならず、何年もあの四人が我が国に留学生と称して居座ることは避けねばならない。ふう、と息を吐くと叔父が私を見て口を開いた。

 

 「あ奴、最後に関係のないことをミズガルズの面々に申したようだなあ」

 

 「美味しいものがあれば教えて欲しい、でしたか。ミナーヴァ子爵らしいと言えば良いでしょうか」

 

 叔父と宰相が顔を見合わせ、苦笑を浮かべた。彼らの手元には方々から集まった報告書がある。その報告書を速読した上で齎した言葉だった。確かに彼女らしい願いであるが、書記官が同席していたから公式に記録として残るのだが……。

 まだ成人前の少女であり、聖女として名を馳せている彼女が食い気に走っていると知られれば、他の者からどう見られてしまうか気を使って欲しい所である。記録に残しても仕方ないし、残さなくても問題ないことだ。あとで書記官にその部分の記録を抹消するように命を下そう。食い気に走るアルバトロスの聖女、なんて後世に残すべきではないのだし。

 

 「アルバトロスにない品を見つけたので取引を持ちかけると申しておりましたが、さて……ミズガルズの帝室と商人はどう出るのか」

 

 宰相が利き手で顎を掻きながら、机の報告書に視線を落とす。益が得られるなら普通にミナーヴァ子爵と取引をするのではないだろうか。ミナーヴァ子爵が他国から正規ルートで買い付けるならば問題はなく、我々王室が関知することではない。

 

 「なに、他愛ない品であれば取引を始めるだろうよ。法外な値段でナイに売りつける可能性もあるが、露見した時が見物だな!」

 

 叔父上ぇ……愉快な顔をして私の不安を煽るのはご遠慮ください。ミナーヴァ子爵に何かがおこった場合の解決は彼女自身が済ませるでしょうが、細かい後始末はアルバトロス上層部に丸投げするのですよ。しかも利益の部分を我々に引き渡すので、怒るに怒れない上に威厳ある王として振舞わなければならないのです。だから彼女の後ろ盾である叔父に釘を刺す。

 

 「叔父上、その時はミナーヴァ子爵を止めてくださいね」

 

 もし彼女が取引に失敗したなら、授業料だと笑って言えれば良いのだが。こちらを下に見て法外な値段で売りつけたとすれば、亜人連合国の者が怒るであろう。竜の大群を北大陸に飛ばす可能性だってある上に、エルフや妖精が嬉々として北大陸に出張りそうだ。彼らを諫めなければならない立場の私のことを考えて欲しい。

 

 「何故だ、甥よ。正当な値段で交渉せぬ者が悪かろう」

 

 「確かに叔父上の論が正しいですが、仲介役として私が出張らなければなりません。ミズガルズは外遊するには遠い場所で移動に時間が掛かります。王が統べる土地から長い時間離れるのは問題がありましょう」

 

 む、と子供が拗ねたような雰囲気を醸し出す叔父上に、苦笑いで返した。叔父上の事だから私が困っていたとしても、国に貢献せよと言って取り合ってくれなさそうだ。私もその時はアルバトロスに最大限の益を齎せるように動くが、最近は胃痛に悩まされている。しかも悪い意味ではなく良い意味で胃痛に苛まれているのだから、この理不尽な気持ちをぶつける場所が欲しい所。

 

 「亜人連合国に頼めばよかろう。今の状況であれば、きちんと彼らと取引し書面を交わせば引き受けてくれるだろうよ。王都に竜が常駐するようになったのだ、利用しない手はあるまいて」

 

 確かに王都に構えられた亜人連合国の店を利用すれば、北大陸に赴くならば随分と時間短縮される。その分、輸送費が嵩んでしまうのだが叔父上は考えているのだろうか。抜け目のない人だから大丈夫か。輸送費よりも何倍にして北から利益を得て帰るのだろう、叔父上ならば。東のアガレスからはミナーヴァ子爵を拉致した慰謝料を随分と毟り取ったし、叔父上だけは敵に回したくない。

 

 「ま、それはどうでもいいことだな。――陛下。北の大貴族が我々と接触を図っていると聞きましたが、事実でありましょうか?」

 

 叔父上が纏う空気を一変させた。応接椅子の背凭れから背を離して、足の上に両手を結んで置き私を鋭い眼光で見つめる。さて、これから本題だなと私も意識を切り替えた。

 

 「事実だよ、公爵。ミズガルズの帝室を差し置いて、我らとの接触を持った。随分と尊大な書面で、勇者をアルバトロスに招けと申したよ」

 

 ミズガルズの帝室は我々に対して敬意を払ってくれているし、四人と護衛をアルバトロスに留める費用に国交を開いてくれた。アルバトロスが西大陸の南の位置にあり随分と距離があるが、取引する品や情報は価値あるもの。向こうの利益は薄いので良く引き受けてくれたと頭の下がる思いだが、お互いに下心があるので口にするのは野暮である。

 

 「ははは。面白いことを言いますなあ。帝室を無視して陛下と接触を図るなど、貴族の片隅にもおけぬ。帝室が無法者を貴族に据えているのか疑問ですが、事情を聞けば仕方ないのでしょうな」

 

 それでも帝室が貴族を御せぬのは問題がありましょうが、と公爵が言葉を付け足した。公爵にソコに言及すべきではないと苦言を呈す。我々アルバトロスも勘違いした貴族に手をこまねいていた時期があるのだから。帝室は先帝のお陰で随分と求心力を落としていると聞いた。無能故に付け入られてしまい、貴族が力を持ってしまったのだと。今代の帝がどうにか体面を整えており、次代を担う予定の皇太子も頂点を担う質はある。あとはどこまで復権できるかどうかが問題か。

 

 「しかし陛下、これから我々はどう動くのです? 動き方次第でミズガルズの問題に巻き込まれてしまいますが……」

 

 宰相がどうしたものかと私に問いかける。

 

 「我々と接触を図った大貴族は随分と問題を抱えているようでね。こちらに赴き我々に不敬を働いたならば、潰しても構わないと帝室から許可は得ている」

 

 「おや、陛下。随分と物騒な話でございますな。自国で対処しろと言いたくなりますが」

 

 くく、と笑いを堪える公爵……。叔父上ぇ、絶対面白がっていますよね。帝室から許可を得ているから、確りと証拠を得た上で北に送り返すのが精々だろう。後の処分は帝室に任せるべきだ。

 まあ、勇者の年齢は十七歳と聞いているから、仮に留学になったとすればミズガルズの四人とアルバトロスの特進科三年生に在籍する者たちと一緒になる。これで勇者が不遜な態度を取れば不愉快極まりないだろうし、珍しくミナーヴァ子爵が自ら動いているから、ミズガルズの四人に思う所があるのだろう。北大陸の美味いものか、珍しい品が欲しいだけかもしれないが。

 

 「言うてやるな、公爵。彼らにも止むをえぬ事情があるようだしな」

 

 確かに公爵が言った通り、自国で解決すべき問題である。ミズガルズの帝室は我々を狙ってアルバトロスに来たのかもしれないが。今更、帝室に抗議したところで遅いのだ。で、あれば。アルバトロスの頂点に立つ者として、受け入れてやるのが筋であろう。大貴族が有能であれば一筋縄でいかないだろうが、欲を見せて我々に姿を現した時点でどのような人物かは察しが付く。

 その結果、馬鹿な大貴族がこの世から消えてしまっても誰も非難はしない。もし仮にアルバトロスが潰れるような事態になれば……私は愚王の名を賜ろうではないか。

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