魔力量歴代最強な転生聖女さまの学園生活は波乱に満ち溢れているようです~王子さまに悪役令嬢とヒロインぽい子たちがいるけれど、ここは乙女ゲー世界ですか?~   作:行雲流水

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0345:勇者さまの言。

 勇者さまと大貴族さまがミズガルズから、えんやこらとやってきてアルバトロス城の謁見場にいるのだけれど、周囲の皆さまの視線は冷ややかなものだった。

 勇者さまの蛮行は西大陸、というか謁見場の皆さまは知っている。限界集落寸前、というか自給自足で静かに暮らしていた魔人の方々の集落を突然襲って、魔王さまに変装した強面の魔人さんを倒した――演技だけれど――こと、止めをキッチリ刺す為に追い打ち攻撃を加えたこと。

 彼の角を折って、魔王を倒した証拠としてミズガルズの大帝都で声高に叫び、大貴族さまが彼の後ろ盾になったこと。後ろ盾を得たことで、ミズガルズの皇女殿下や聖女さまに婚姻を迫ったこと。割と無茶な要求を通そうとしているので、西の人たちは呆れている訳で。

 

 「勇者よ。伝承を信じ込み我らの村を襲った責任、どう取ってくれようか?」

 

 魔人の少女は謁見場に集まった人たちに頭を下げた後、勇者さまへと向き直る。北大陸の魔王伝承は単純なものである。魔人の中に黒髪に一房の赤いメッシュが入っていれば魔王の証で、魔王が現れると勇者も現れ、恐怖に陥った人たちを助けてくれるというもの。

 どこにでも転がっている話だから、奥深さもなく親が子供に読み聞かせる程度の内容だ。何故、勇者さまが自身を勇者さまと信じて、そそくさと一人魔王討伐に向かったのか。

 ゲームだと、ヒロイン四人と協力して魔王を倒すそうだけれど……そういえばゲームの魔王さまはどんな方だったのだろう。目まぐるしく日々が過ぎてしまい、メンガーさまに確認を取るのを怠っていた。多分、抜け目のないアルバトロス上層部に聞けば教えてくれるはず。

 

 「責任? 何故、俺が。俺は魔王が復活するからと、ミズガルズに生きる人々とあの四人が大変になるから先手を打った。責任というなら、俺にニセモノを宛がって騙した責任はどうなるんだ?」

 

 勇者さまが魔人の少女の言葉にたじろぎながら言葉を紡ぐ。伝承の魔王による被害が出ていないのに、魔王と勝手に思い込んで襲ってしまったから、勇者さまに対しての印象が悪すぎる。

 せめて被害報告があった後に魔人の村を襲えば、彼らに対する印象は変わっていただろう。それこそ、人間を襲い魔物をけし掛けたという事実があれば、魔人の方々に対するイメージが悪くなるのだし。事実確認をせず、勇み足で村を襲ってしまったことが裏目にでてしまっている。

 

 これ、勇者さまと大貴族さまより先にミズガルズへ入国して、魔人の人たちが生きていることを証明すれば、勇者さまと大貴族さまの地位は失墜するのでは。私が考えつくことであれば、公爵さまや陛下方が気付くだろうし、裏では相談しているかもしれない。亜人連合国の竜の方の背に乗って移動すれば、陸路と海路より早く北の大地に辿り着く。

 

 「そんなものある訳がなかろうて。問答無用で村を襲ったお前さんを慮る必要はなかろう」

 

 「……お前たちは神々に弓を引き、神域から追放された神の子孫である魔人だ。魔王になる資質がある。危険の芽を先に摘み取ることが悪いとは言えない。――アルバトロス王、西大陸の皆さま!」

 

 勇者さまが魔人の少女から視線の先を陛下へと変えて、大音声を放つ。

 

 ――この場にいる魔人を倒しても良いでしょうか!

 

 確かに魔人の少女は魔王伝説の伝承通りの容姿だから、勇者さまは仕切り直したいようだけれど。

 

 「ならん。ならんぞ、勇者よ。この場で牙を剝いても、威嚇にすらなっていないことを知るだけだ。魔術を扱える者であれば、この場が特異であることを直ぐに理解できよう」

 

 陛下が勇者さまを見下ろしながら、冷めた声で告げた。勇者さまの実力は分からないけれど、ディアンさまとダリア姉さんとアイリス姉さんにお婆さま。

 アルバトロスの近衛騎士さまたちに、副団長さまも控えているのだから。ジークとリン、クロとロゼさんとヴァナルもいるから、かなり無茶をしないと勇者さまは魔人の方々に手をだせるはずはない。それこそ死ぬ覚悟をしたとしても、手が届くかどうか微妙な所である。

 

 「……――っ!」

 

 勇者さまが視線を動かす。彼の視線の先は、ディアンさまたちに副団長さま、ようするに魔力が馬鹿高い人たちに向けられており、勇者さまの額から汗が一筋流れ落ちていた。

 副団長さまは人間の部類だと、かなり魔力量が多い方だし、ディアンさまは竜なので馬鹿みたいな魔力量が備わっている。ダリア姉さんとアイリス姉さんもエルフ族なので、魔力量は副団長さまを超えているので凄く多い。クロもロゼさんとヴァナルも私の魔力をバカスカ吸い取っている上に、元々の素質が高いので異常に魔力量が多いのだ。

 

 「それにな、勇者よ」

 

 陛下が重い声で、続きを告げる。

 

 ――魔人の者より、お前たちの方がこの場では立場が危ういことを自覚しろ。

 

 ですよねえ。魔人の方たちから先に話を聞いていたことと、ミズガルズの皇女殿下たちからの話でアルバトロスを始めとした西大陸の国々は、勇者さまと大貴族さまに良い印象を抱いていない。

 もっと誠心誠意を尽くして、この場に挑んでいれば少しばかり印象が改善したかもしれないが、もう遅いだろう。ミズガルズの帝室を落として欲しいと他力本願な願いから始まり、勇者さまの魔人を倒しても良いか発言なのだから。

 もう地に落ちている信頼を回復することは不可能かな。早くミズガルズに戻って、静かに余生を送ることをお勧めすべきだろう。倒したと主張していた魔人さんは生きているから、ミズガルズに住む人々に真実を打ち明けて勘違いを解けば、勇者さま……彼を持ち上げることはしなくなるし、皇女殿下方を勇者さまの嫁になんて言わないだろうから。

 

 「くっ! 何故、俺たちが……魔人より下なんだ……!」

 

 そりゃ、無茶振りしているし、それ相応の態度が必要な場で妙なことを口走るから。魔人の村をいきなり襲ったことを認めて、魔王を倒したことも勘違いだったと認めれば、ある程度の道は開けたのかもしれないが遅いかな。今の言葉で魔人の方々を見下しているのは確定なので、先ほどの陛下の言葉が信憑性を増した。

 

 「アルバトロス王よ。貴殿は魔人の危険性に気付いておられないのだ。そこに立つ魔人の女子(おなご)が魔王として目覚めれば、北大陸を始めとした人間に恐怖を齎すのですぞ!」

 

 勇者さまの援護射撃と言わんばかりに大貴族さまが言葉を告げた。援護になっているかは不明だけれど。

 魔人の少女は、状況や置かれた環境に自身の感情によって魔王と化す可能性もあると言っていた。でも、普通に生きていれば負の感情に侵されることはなく、魔人として一生を過ごせるとも教えてくれている。村が襲撃されて感情が荒れ狂ったけれど、どうにか村の人たちを纏めて西に逃げてきたと聞いたのだ。

 村を失ったことは生きていて最大の感情の揺れ幅だったそうだが、西に逃げてきたことで落ち着いているから問題ないとのこと。故郷を失ったこと以上に、感情が激しく動くことはもうないだろうって。

 

 「その時は魔王として葬ってくれれば良いのじゃ。無暗に誰かを殺めた責任であろう」

 

 魔人の少女が勇者さまを射抜くように見つめて紡いだ言葉だった。今の言葉は、勇者さまに若干刺さっている……あー、いや、彼女なりの皮肉かな。自然に近い状態で自給自足をしていたと聞くから、弱肉強食の意識が強いのだろう。とはいえ、彼らだけでは勇者さまは倒せなかったのは事実なので、皮肉かどうかは微妙な所だけれど。

 

 「理解したならば、ミズガルズへ戻れ。勇者が魔王を倒していないことは、帝室にも伝えてある」

 

 陛下が大貴族さまと勇者さまを見下ろしながら、真実を打ち明け民衆に真実を伝えて己が立場を理解しろと告げるのだった。歯噛みして悔しそうな顔をしている大貴族さまと、呆けた様子で視点が定まっていない勇者さま。帰路は随分と長い時間が掛かるし、今そんな調子だと旅の途中で体調を崩してしまいそうだ。

 

 「魔王を倒せていないというならば、また魔王を倒せば良いだけだ……――アルバトロス王よ。ひとつお聞きしたいことがあります!」

 

 勇者さまがボソリとなにかを呟いて、陛下へと声を上げた。勇者さまの言葉に一瞬目を細めた陛下は、聞かない訳にもいかないのか、次の言葉を促して。

 

 「何故、未成年のか弱そうな少女が謁見場という政治の場に立っているのでしょうか? もし、彼女の意思に反してアルバトロス王国が強要しているとなれば、彼女の人権を踏みにじっているのではないでしょうか!」

 

 勇者さまは陛下に大声を上げながら、左手で私を示した。指を指されていないだけマシだけれど『未成年のか弱そうな少女』というのは、これ如何に。

 確かに周りの人たちより背が低くて、ちんまいから年若く見られるのは仕方ない。未成年でも諸事情で当主の座に就くお貴族さまもいる。

 アルバトロス王立学院の三年生だから、もう十七歳だ。卒業すれば十八歳を迎えて成人するし、婚姻も可能になる。というか、周りの人たちが吹き出しそうになるのを我慢しているし……って話が逸れる。

 

 勇者さまはアルバトロスの内情を知らないだろうが、未成年のか弱そうな少女――不本意だけれど勇者さまの言葉をそのまま借り受ける――が謁見場という政の場に立つ意味を、確りと考えて欲しいものだ。地位や立場がないと、謁見場に立つことなんてできないのだから。ざわり、と騒ぎ始める場を見渡しながら、最後に陛下へと視線を向けて小さく手を上げる。

 

 「……――陛下」

 

 にっこりと微笑みを浮かべながら、陛下の名を呼んだ。私の肩の上のクロが『魔力が漏れているよ』と言ったような気がするけれど、いつものことだから今は気にしない。

 

 「あ、ああ」

 

 「発言を宜しいでしょうか?」

 

 ちょっぴり引いている陛下に頭を下げて、集まっている方々より一歩前へと進むのだった。

 

 ◇

 

 勇者さま方が気まずい立場となった所為か、話題を変えるために私の話を持ち出した。周囲の人たちの背が高いので、頻繁にチビとか子供とか言われるけれど、謁見場に私がいる意味をある程度は推測できるだろうに。

 私が登城しているのは、聖女としてである。その後にいろいろと仕出かしたこともあるけれど、原点は『聖女』として価値のある人間とアルバトロスに認められたから。

 人権を踏みにじっていると勇者さまは口走ったけれど、私が人としての尊厳を守っていられるのは、貧民街から救い出されたあの時から。アルバトロスに尽くそうなんて考えは毛頭ないが、恩を受けた人たちにはきちんとお返しをしなければ。

 

 勇者さまに名指しされた私は、周りの方々より一歩前に出て陛下に発言の許可を取った。さて、勇者さまの真意を聞き出せると良いのだけれど。

 

「北の大地から遠き地アルバトロスへようこそ、勇者さま」

 

 相手にも勇者という立場があるので頭を下げ終えて視線が合うと、ふっと小さく笑った勇者さま。声なんて掛けて欲しくはなかったのに、何故巡りに巡って私に目を付けたのだろう。

 

 『ナイちゃん、怒っているのかしら』

 

 『怒ってるねえ~。でも、気持ちは分かるかな。いきなり、あんなことを言われても失礼だよねえ』

 

 ダリア姉さんとアイリス姉さんの念話のようなものが届く。怒っているというよりは、呆れている方が正解である。アルバトロスや西大陸に東大陸以外の場所では、私は無名なので仕方ないのかもしれないが。

 

 「君は何故、こんな場所にいるんだい?」

 

 勇者さまとの第一声がコレだった。彼の言葉使いが子供を相手にするようなものに変わっていて、むーと唸りそうになるけれど私の見た目がアレなので我慢ガマンと言い聞かせる。

 

 「アルバトロス王国にて聖女を務めさせて頂いております。少し前、子爵位を叙爵致しましたので、この場に立つ理由も資格もありましょう」

 

 紆余曲折を経て、お城の中に立ち入るようになったものなあ。最初はお城の魔術陣を展開している場所と、その場に続く道しか入場許可が下りていなかったというのに。

 お願いすれば、お城の図書館にも入れるようになっているし、謁見場はもちろん会議室や来賓室にも入ることもある。本当、この二年強で変わったなあとしみじみしてしまいそうになる。

 

 「……確かに。俺たちは旅すがら、アルバトロス王国は国境沿いに障壁を展開して国を護り、聖女の魔力で障壁を維持していると聞いた。――その歳で子爵位を賜ったのは、国が利用する為ではないのかい? ……だとすれば!」

 

 私の言葉を聞きながら、片眉を上げた勇者さま。アルバトロスが私を利用する為に爵位を与えたのは事実だし、亜人連合国との繋がりを齎したことも爵位を得た理由のひとつ。勇者さまの仰る通りだけれど、法衣貴族だからお給金を頂いているので問題はない。嫌だ嫌だと言いつつも慣れてきている節もあるし、子爵領の運営方針を思案するのは楽しいのだから。

 

 ――アルバトロス王国は子供に非道を働いている!!

 

 勇者さまの大きな声が謁見場に響くと、陛下はゲンナリした顔になり、公爵さまは愉快そうな顔を浮かべ、辺境伯さまは目を細めて微妙な顔になっている。

 ディアンさまは無表情、ダリア姉さんとアイリス姉さんはふふふと笑っているし、ヴァンディリア王国のお偉いさんや周辺国の方々は、青い顔になっていた。

 ジークとリンは私の後ろで、勇者さまの言葉にイラっとしているようだし、ソフィーアさまとセレスティアさまも呆れた雰囲気を醸し出している。私が聖女になった経緯をアルバトロス上層部の方々は知っているから、勇者さまの言葉が響くことはない。

 

 今の状況を誰も咎めないので、勇者さまの対応は私に任せると受け取っても良いのだろう。

 

 「アルバトロスが非道を働いているのであれば、わたくしは今この場には立っておりません。自由が認められているからこそ、謁見場に立つ資格を得ているのです」

 

 本当に非道であれば、私をどこかに閉じ込めて外に出すことはせず、ただただ王国の障壁展開維持のために魔力を提供する日々を送らせるだろうと勇者さまに伝える。

 

 ちゃんと申請すれば国外にだって赴けるし、王都にもプラプラと出掛ける――大勢の護衛付きだけれど――ことが可能なのだから。

 気分転換に子爵領にだって行けるし、なんなら西大陸と東大陸の間にある島にも行けるのだから。王都に暮らす平民の人たちは王都を出ないまま一生を終える方もいる。それを考えれば随分と恵まれた環境で、飢える心配もなく寝床もちゃんとあるのだから十分だ。

 

 「勇者さま。勇者さまは何故、勇者を名乗れるのでしょうか? 貴方が倒したと主張する魔王はニセモノでございました」

 

 本物の魔王さまは魔人の少女なのだから、勇者の資格だか称号だかは剥奪されても良さそうなものなのに。それに勇者や魔王の定義が曖昧で、イマイチ西大陸の方々に凄さが伝わっていない。

 剣と魔法のファンタジーのような世界だから……というよりもゲームが舞台の世界だから、勇者さまや魔王さまがいてもおかしくはない。実際に北大陸が舞台のゲームの主人公は魔王を倒して勇者となったようだから。

 

 「それ……は……」

 

 魔王さまを倒した角は、強面の魔人さんの物だと理解したはずだ。折れた角の面を合わせれば、確実な物証となるだろう。苦し紛れに勇者さまが持つ角を壊したならば、真実を闇に葬りたくて角を壊したと言われるだけだし。今なら勇者さまの隣に立つ大貴族さまにそそのかされたとでも主張すれば、首の皮一枚は繋がるのではなかろうか。

 

 「いや、それはない! 魔王が現れれば勇者も必ず現れる! 魔王が倒れていないのならば、勇者がまた倒せば良いだけ! 彼が勇者ということに、なんの問題があるというのだ!!」

 

 勇者さまに代わって大貴族さまが叫ぶと、場の空気が剣呑なものになる。ここで魔人の方々に手を出すのは悪手と知っているのか、言葉のみに留めているものの大貴族さまの勢いが凄くて、今にでも勇者さまに魔王を倒せと無茶なことを言いだしかねない。勇者さまより、大貴族さまの方が状況を理解していなさそうだなあと目を細める。

 

 「西大陸、アルバトロス王国では勇者の名前の価値は低いということです。そしてミズガルズ神聖大帝国で多大な影響を持つ大貴族である貴方さまも同様でございましょう」

 

 凄い剣幕の大貴族さまに割と辛辣な言葉を放つ。不敬にならなければ良いなと願いつつ、大貴族さまの本拠地であるミズガルズではないから平気かな。

 大貴族さまと勇者さまに対して無礼を働いてもミズガルズは関知しないと、帝室が書状をアルバトロスに届けているのだから。陛下も先ほど、私と同じ意味の言葉を伝えたのに、堂々巡りになっている。勇者の定義も答えて頂いていないし、結局勇者さまってなんぞやという疑問は解けず仕舞いか。答えてくれる気もないようで、諦める他ないのかな。

 

 「……」

 

 「…………くそっ!」

 

 勇者さまは黙り込み、大貴族さまは悪態をつく。アルバトロスでは聖女は仕事の名前の側面が強いけれど、北のミズガルズや聖王国は象徴としての聖女なので割と大変そうである。

 人々から手を合わせられながら崇められるらしいし、治癒も無料で施して代金は頂かない方針らしい。ということは勇者という称号も民のために考えられた称号で、世のため人の為に滅私奉公しなさいという意味が強そうだ。

 

 それこそ魔王さまが出現すれば討伐しなくちゃいけないし、倒した後も持て囃されて大変そうだ。強い魔物が出れば討伐して欲しいとお願いされるだろうし、自然災害が発生すれば人助けの為に駆り出される。

 悪いことじゃなく、人として当然の行動だけれど称号持ちとして他の人たちより貢献を求められる。貢献できなかった時の周囲の期待を裏切ったことを、攻め立てられる場合もありうる。聖女や勇者の称号なんて与えられない方が、人としての幸せを全うできるのだろうなあ……。それを言ってしまうと王さまもだし、お貴族さまもか。

 

 「――さて、もう良いだろう。同じ話を繰り返しておるし、これ以上我々が付き合う意味もない」

 

 陛下が重い声色で、勇者さまと大貴族さまご一行に退室を促す。しょぼんとしている勇者さまと、まだなにか言いたげな大貴族さまの背を見送る。

  勇者さまご一行は無事に謁見場から退室して、お城の外に出され王都からも出されたようだ。通常であれば歓待するために会食があったり、会議の場が設けられるのだけれど、それもないから彼らが歓迎されていないと伝わっていることだろう。立場がある人たちだから、銀髪くんとヒロインちゃんのように無謀なことはできない様子だから、このまま大人しく北のミズガルズに戻って欲しいと願うのだった。

 

 

 

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