魔力量歴代最強な転生聖女さまの学園生活は波乱に満ち溢れているようです~王子さまに悪役令嬢とヒロインぽい子たちがいるけれど、ここは乙女ゲー世界ですか?~   作:行雲流水

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0386:宴会。

 ――宴会じゃあ!

 

 と、ナガノブさまの号令一つで始まった祝いの席。めでたいし、日本食ならぬフソウ食が食べられるので文句なんて全然ないけれど、会う人会う人にお酒を勧められるのは如何なものだろうか。フソウだと成人を迎えるのが十四歳となり、アルコール類も一緒に解禁される。武家社会だとお酒に慣れるようにと、幼い頃からちびちびと飲ませているようだけれど。

 雪さんと夜さんと華さんも呑めるのか、漆の大きな盃に注がれた日本酒……フソウ酒を美味しそうに飲んでいるし、興味があったヴァナルが呑んでタジタジになり舌をだらんと伸ばしているし宴会場は混沌としていた。

 ジークとリンは私の後ろで静かに控え、クロはお酒に興味があって雪さんと夜さんと華さん用意されたお酒を味見をしていた。ヴァナルと違って平気な様子だけれど、好みではなかったらしい。幼竜さんもクロの真似をして千鳥足になりながらジークの膝の上でくてんとなっている。

 

 「申し訳ありません、まだ未成年なのでお酒の類はご遠慮したく……」

 

 お猪口と徳利を持ったお侍さんにお酒を勧められたのだが、やんわりとお断りを入れる。フソウの年齢であれば十七歳は余裕でお酒を飲める年齢なのだから仕方ない。

 

 「そうでありましたか。いや、知らず勧めてしまい申し訳ありませぬ!」

 

 髷を結ったお侍さんの方が、胡坐を組んだ足に手を置いて頭を思いっ切り下げた。まあ、私が持参したお土産がお侍さんたちの勘違いを引き起こしているかもしれないけれど。

 公爵さまに贈る品をフソウ酒にしてみようと考えて、雪さんと夜さんと華さんにお酒のことならナガノブさまに聞けば良いと教えて貰ったので、お酒好きなら洋酒も嗜むかもしれないとヴァイセンベルグ辺境伯さまに有名どころを教えて頂いたのだ。

 本当は公爵さまに聞くべきだけれど、お酒を贈るのに前以てお酒のことを聞いてしまうとバレそうだ。まあ、辺境伯さまを頼ったから既にバレている可能性もあるけれど……それはそれ、これはこれである。

 で、今回持参したのがエールとワインとウイスキーである。エールはアルバトロス国内でも造られ安価に手に入れられるのだが、お貴族さま向けのものを用意した。ワインは葡萄の生産が盛んな西大陸のとある国の品を、ウイスキーは修道院でひっそりと造られていたものがお貴族さまの間で広がり、最近人気のお酒になっているらしい。

 

 どれも王都の商家へ赴きお金を払えば手に入る。急ぎで大量に用意して頂いたから、少し値が張っているけれど必要経費だし、こういうことでケチるものじゃない。あ、ちなみに頼った先はフェルカー伯爵新ご当主さまである。ヴァイセンベルグ辺境伯さまに、王都でお酒を用意できる商家はありますかと教えて貰った所、フェルカー家の名前が上がったのだ。

 

 『ナイ~』

 

 クロの呂律が少し怪しい。クロほどの竜でも酔ってしまうのかと苦笑いしながら、私の肩の上に乗ったクロを見る。

 

 「クロ、大丈夫?」

 

 『大丈夫だよ~ちょっと視界が揺れているけれどね~』

 

 声を掛けてみると、いつもより間延びしているクロの声が新鮮だった。

 

 「これ以上飲むと悪酔いしちゃうから、もう止めておこうね」

 

 酔ってブレスを吐いたとか洒落にならない。クロのブレスを防ぎ切る自信もない……できるかな、どうだろう。

 

 『はーい』

 

 クロは機嫌良く返事をくれたけれど、ほどなくするとこっくりこっくりと舟をこぎ始めた。危なくて見ていられないから、私の肩から膝上に移動させると完全に寝息を立てている。無防備すぎて大丈夫かと心配になってしまうが、私たちを信頼してくれているか、悪意を当てられれば直ぐに目が覚めるのだろう。クロの背中を撫でながら、用意されたフソウのご飯に手を付ける。

 ジークとリンに申し訳なさを感じつつ、先ずはなんと言っても白米さんである。手を合わせて頂きますと心の中で唱え、お箸を右手に持ち、お茶碗を左手で持つ。

 

 「~~」

 

 口に含んでゆっくりと咀嚼して滲み出るほんのりとしたお米さまの甘味に言葉にならない美味しさと、出された焼き魚……秋刀魚! 秋刀魚だ! に箸を入れてまた口に運ぶ。身の味と血合いの苦みを感じつつ、やはり少しお醤油さんを垂らさなければ物足りないと、醬油差しに手を伸ばして慎重に垂らす。これで掛け過ぎると、お醤油の味しか味わえないから失敗すると己を許せなくなる。

 添え物の擦りおろし大根さんにも数滴のお醤油さんを垂らして、お米さまと秋刀魚とお味噌汁の味を堪能していると、ナガノブさまがやってきた。

 

 「酒に酔った竜というのも雅なものよなあ……そしてお主は美味そうに飯を食う。良いことだ! みなーばぁよ、改めてになるが此度の神獣殿の懐妊、誠に感謝致す。帝も凄く喜んでおるのだが……少々こちらへこれぬ事情がある」

 

 沢山の部下の方々からお酌を受けていたのに、全く酔った雰囲気を感じられない。酒豪と聞いていたので驚きはしないが、顔に出ないのは感心する。そんなナガノブさまの言葉に小さく首を傾げた。

 

 「事情、ですか?」

 

 「我が国のこと故に他国の者に話すのは憚られるが、みなーばぁは知っておるしのう。問題は少なかろう……いや、知っておいた方が良いのかも知れんな」

 

 盃を持ったまま、ナガノブさまが難しい顔を浮かべ私を見据える。食べながら話を聞くのは不味いと判断して、お茶碗とお箸をお膳の上に戻した。

 

 「帝の屋敷で禍々しい物を見たであろう?」

 

 「はい。帝さまとフソウの巫女さま方が呪いの刀を鎮められていると……」

 

 確か鳥居があった場所のことだろう。何人もの首を斬り落とした刀が力を持ち、呪われた刀として祀られているとか。帝さまたちによって鎮められていると聞いていたが、前回赴いた時よりも状況が酷くなっているようだ。

 

 「少し状況が悪化していてな。帝と巫女たちで力を抑えているが少々分が悪い。抑えられなくなるのならば以前お主が申していた、アルバトロスの浄化儀式に頼ってみるのも一つの手だと考えを改めている所よ」

 

 やはりか。依頼があるなら、いつでもどこでも聖女の役目を果たすために赴くつもりだけれど、他国を頼れば朝廷の権威が落ちてしまわないだろうか。

 

 「しかし、他国を頼れば朝廷と幕府は困ることになりませんか?」

 

 「みなーばぁが申す通り困ることもあろうが……民草に被害が及ぶことだけは避けなければならぬ。それを考えれば些末なことよ!」

 

 帝も私の魔力量の多さを理解して、アルバトロスに依頼を出すことに反対をしていないとナガノブさまが仰り、にっと笑って盃のお酒を一気に飲み干した。フソウの内情に詳しくはないが、アルバトロスの聖女が問題を解決した……という噂が流れるよりも良い方法があるのではなかろうか。

 

 「……アルバトロスの聖女が解決したではなく、フソウの皆さまと一緒に解決したという方向に持っていけませんか?」

 

 リーム国の聖樹問題の時のように、協力体制を取れば少しはマシになるだろう。アルバトロスを頼るにしても反対派は必ずいるだろうし、そこから国内が分裂したとか洒落にならない。お米さまを始めとするフソウ食をこれからも融通して頂く予定なので、フソウとアルバトロスが仲違いするのは絶対に駄目だ。あと公爵さまにお酒を贈るのだから、取引先がなくなると困る。

 

 「そうなれば有難いが、それではアルバトロスの面子が立つまい。我らが貴国を頼り、貴国が応えてくれたのだからな……まあ、我らの依頼を受けてくれるかはアルバトロス王次第であるが」

 

 「アルバトロス王は、他国との融和を望んでおられます。事情を伝え理解を得られれば、受け入れてくださりましょう」

 

 アルバトロス王は無暗に他国と敵対する方ではない。話を聞いて、教会が許可を出してくれるなら派遣されるはず。もちろん、フソウがきちんと派遣代金を払ってくれるならば。

 

 「確かに、九条たち使者を随分と長い間受け入れてくれていたな。彼らから手紙で丁重にもてなされたと聞いておる……」

 

 自国の恥部を他国に話すのは勇気が必要だ。政治的に付け込まれる可能性があるのだから。でもアルバトロスとフソウは距離的に離れているし問題は少ない気がする。同盟を結ぶことはないだろうが、友好国として上手く付き合いができれば良いのだから。

 

 「もう一度、皆で話し合って結論を出そう。みなーばぁよ、破談になる可能性もあることだけは覚えておいてくれ」

 

 「もちろんです。依頼が私に下れば誠心誠意務めさせて頂きます」

 

 頼む、と真剣な声で告げたナガノブさま。私の膝の上にいるクロとジークの膝の上で伸びている幼竜さまに視線を向けて、首を傾げた。

 

 「して、みなーばぁよ」

 

 「はい?」

 

 「何故、竜が増えておるのだ?」

 

 「屋敷の庭に卵が投げ込まれまして……亜人連合国の方々と相談した後に卵を預かることになり、先日無事に孵りました」

 

 親竜さまが時期を過ぎても孵らない卵を心配して、子爵邸に投げ込んだと説明を付け加える。するとナガノブさまは目をまんまるにしたあと……。

 

 「…………やはりお主は、規格外だ!!」

 

 と、大きな声で叫び、周りの方々を驚かせるのだった。

 

 

 ◇

 

 ドエ城での宴会はまだまだ続いている。ナガノブさまは私の隣に腰を下ろしたままで、代わる代わる入れ替わって私と話を交わす武家のお偉いさん方が失礼な態度を取らないように見張ってくれていた。有難いことだけれど、征夷代将軍である彼が私の側にずっといるのは如何なものか。

 他の方と交流を持たなくて良いのだろうかと疑問を持つが、私を凄く丁重に持て成している証拠なのかもしれない。アルバトロスの外交官さんも帯同しているのだが、勧められたお酒に酔って潰れてしまった。

 

 私の膝の上には竜がいて、隣にはヴァナルが伏せをしているし、フソウの神獣である雪さんと夜さんと華さんもいる。ヴァナルは構ってほしいのか、時々片方の前脚を私の膝の上にちょこんと乗せて上目遣いでこちらを見る。

 あまりにも真摯な視線なので食べている箸を止め、ヴァナルの頭を何度も撫で、首、胸元と手の位置を変えて行くと、終いにはお股ぱっかーんしていろいろなものが丸見えになっていた。

 『あらあら』『まあまあ』『気持ちよかったようですね』と微笑ましそうにフソウの神獣さまは言っているけれど、威厳が全くない番の姿に愛想をつかさないのは、二千年の時間を生きてきたからだろうか。

 気持ちよさそうなヴァナルを見て羨ましかったのか、雪さんと夜さんと華さんも私の膝に前脚を置くので、ヴァナルと同様に頭、首、胸元と手を移動させながら気持ちよさそうな所を狙うのだが、女の子だからかお股ぱっかーんはしなかった。

 

 「神獣殿がこうして甘える姿を見せるなぞ……我らは神獣殿に頼り過ぎておったのかもしれぬな」

 

 ナガノブさまがしみじみとおっしゃるのだが、無防備な姿はヴァナルの方が上を行っているような。皆さまがいる前でお股ぱっかーんだもの。野生が残っていると言われれば納得せざるを得ないけれど、でもやはり人に馴染み過ぎるのも困りものだろう。野生に戻りたくなった時に、ちゃんと帰れるのか心配である。

 

 「大きく立派な竜も見事だが……クロ殿は愛らしいのう」

 

 ナガノブさまがぼそりと呟いて、お酒の入った小さな杯を掲げた。どうやら膝の上で眠るクロを酒の肴としたようだ。ナガノブさまのお酒と言う声で思い出し、彼の顔を見る。

 

 「ナガノブさま。個人的なお願いがいくつかあるのですが、よろしいでしょうか?」

 

 今回フソウに赴いたのは、雪さんたちの懐妊報告と九条さま方を送り返すお仕事と、公爵さまに贈る品を日本酒ならぬフソウ酒を贈ってみようと画策したからだ。

 

 「個人的とな。しかし竜を従えるみなーばぁの願いを我らが叶えられるかどうか……まあ、よいか。して、どうしたのだ?」

 

 むう、と難しい顔になるナガノブさま。難題を吹っ掛けるつもりはなかったのに、重い話題として捉えてしまったようだ。一刻も早く勘違いを解くために、前置きはなるべくナシにしてお伝えした方が良さそうだと口を急いで開く。

 

 「神獣さまから、ナガノブさまはお酒に詳しいと聞き及びました。もしよろしければ、お気に入りのお酒やおすすめのお酒をご教授頂けませんか?」

 

 「……そんなことで良いのか?」

 

 重たい雰囲気から、きょとんとなった大樹公さま。

 

 「わたくしはお酒の味はまだ分からないので、成人しておらず試飲も憚れます」

 

 お酒が飲める体質かどうかも分からないし、未成年がアルコールを摂取しちゃ駄目というルールはアルバトロスにある。王国が決めたことだからフソウであれば問題ないかもしれないが、記録に残ってしまいそうなので飲まない方が良いだろう。

 

 『ナガノブ』

 

 神獣の雪さんたちが顔を上げてナガノブさまに声を掛けた。雪さんたちはナガノブさまに私が公爵さまにお酒を贈ろうとしている理由を彼らに告げた。

 小さい頃は貧民街で生き、筆頭聖女さまの先見によって教会に救い出され、公爵さまと出会い後ろ盾になってくれたこと。アルバトロスの王都では知れ渡っているから、ナガノブさまが知っても問題ないけれど少々気恥しい。ジークとリンは貧民街の時から一緒にいると知り、神獣さまの話を聞いていたフソウの方々から並々ならぬ視線が二人に刺さり居心地が悪そうだった。

 

 「苦労したのだな……みなーばぁの護衛を務める赤毛の二人も」

 

 ナガノブさまがジークとリンに柔らかい視線を向けた。彼がなにを考えているかは分からないけれど、ジークとリンはただの私の護衛ではないと知ってくれたなら、神獣さまが過去語りをしたことを悪く言えない。

 フソウの一部の方が男泣きしているし、鼻を啜っている方もいる。感動要素あったかなあと首を傾げつつ、ナガノブさまと視線を合わせた。

 

 「確かに苦労しましたが、今は立場を得ております。まだまだ未熟で、皆さまにご迷惑をお掛けしており、学ばなければならぬことは沢山ありますが」

 

 生粋のお貴族さまではないので、まだまだ至らない所が沢山ある。領地の人たちは私が真っ先に優先して守らなければならない方々だし、子爵邸で働く人たちもだ。ほんの数年前までは、ジークとリンとクレイグとサフィールが幸せならそれで良いと考えていたのに、両手で抱えきれないほどの大事なものができた気がする。

 

 「ゆっくりで良いではないか。お主はまだ若いからな。……ああ、随分と話が逸れた。みなーばぁが世話になっている公爵殿の好みは分からぬが、良い酒を手配しよう」

 

 あれ、お酒の名前を教えて欲しかっただけなのに、どうしてだかナガノブさまが私に贈ることになっているような。手を煩わせるつもりはないし、ちゃんと目的を告げた方が良いだろうか。

 

 「あ、いえ。出島の店で購入しようと考えているので、銘柄をご教授頂ければ十分です」

 

 「なにを言う、みなーばぁよ。出島の商人(あきんど)が用意するものより、ワシが持っている秘蔵の酒の方が良い品だぞ。世話になった者に贈る品だ。遠慮するな、持っていけ!」

 

 申し訳ない気持ちに駆られるが、固辞すればナガノブさまの面子を潰してしまう。ここは有難く受け取って、公爵さまにはナガノブさまが選んで贈ってくれたと伝えるべきか。

 

 「ナガノブさま、ありがとうございます」

 

 「うむ。みなーばぁがフソウから出立する時までに用意しておこう」

 

 抑揚に頷くナガノブさまに小さく頭を下げると、嬉しそうに雪さんと夜さんと華さんが尻尾をふりふりしている。可愛いなあと体を撫でれば、目を細めながら受け入れてくれた。

 

 「あともう一つ……五十年ほど前に西大陸と東大陸の間にある島で難破した船を知りませんか?」

 

 鸚鵡さんのことは一先ず置いておく。鸚鵡を飼っている人を知らないかと聞くより、難破して生還した船を知らないかと問うた方が分かりやすそうだから。

 

 「む。五十年前、か。フソウでそのような事実はないはずだ。生まれたばかりの頃で記憶はないが、難破船が戻ってきたなら学ぶはずだからな。しかし、どうした?」

 

 フソウと南の島との距離がかなりあるため、そんなことが起これば大事件となるらしい。そして私が何故、そんなことを問うのかと言いたいようだ。

 

 「詳しくは九条さまから報告が上がるでしょう。少し搔い摘んだ説明になりますが、お聞き頂けると幸いです」

 

 私の言葉にナガノブさまが確りと頷いてくれ、膝の上のクロが目を覚まし、ヴァナルが私の横にちょこんと座り直し、雪さんと夜さんと華さんも居住まいを正した。

 ジークの膝上で寝ていた幼竜さんも目を覚まして、こちらに視線を向けている。その様子を見たナガノブさまたちはごくりと息を呑んだ。クロたちに悪気はないけれど、流石に竜二頭とフェンリルとケルベロスの視線は人のものとは異質なようで。

 子爵邸に赴けば、更に天馬さまとお猫さまとジルヴァラさんが加わるのだが、知らない方が幸せなのだろうか。あ、下手をすれば動物関係はディアンさまたちも加わるなあ……。って、意識が逸れた。

 

 「難破した船が辿り着いた先はとある島でした。乗組員が一ケ月の間、野外生活を送ることになったのですが、暇潰しと称して島の大きな鳥を乱獲し自国へ持ち帰ったのです」

 

 その時の鸚鵡さんが生きていて、恨み節を吐いていたとも伝える。

 

 「そうか。そのおうむと言う派手な鳥はフソウには存在しない。おそらくこの場に集まっている者たちも知らぬだろう」

 

 ナガノブさまが周囲の方々に視線を向けると、話を聞いていた方々が首を縦に動かした。鎖国しているから国外からの流通は厳しく管理されている。無事に船が戻り、物珍しい生き物を持ち帰ったならば直ぐに分かるとのこと。

 

 「承知しました。ご情報、ありがとうございます。このお礼はいつか……」

 

 いつになるか分からないけれど。話を伝えておけば鸚鵡さんのことを気にかけてくれるかもしれないし、対価があると知ったなら情報を快く齎してくれる可能性だってある。

 

 「礼など必要ないぞ、みなーばぁよ。我々フソウは十二分にお主から貰っているからな。気にするな。むしろなんの役にも立たなかった」

 

 「いえ。小さなことでも構いませんので、難破船や綺麗な柄の大きな鳥に関しての情報があれば、教えて頂きたく」

 

 「分かった! さあ、食え食え! みなーばぁがフソウの飯を幸せそうに食う姿は、我らにとって最高のものだからな!」

 

 少し辛気臭くなっていた空気をナガノブさまがかき消すのだった。

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