魔力量歴代最強な転生聖女さまの学園生活は波乱に満ち溢れているようです~王子さまに悪役令嬢とヒロインぽい子たちがいるけれど、ここは乙女ゲー世界ですか?~ 作:行雲流水
使者さんに案内された場所は大きな建屋だった。西洋建築の比較的新しそうな雰囲気を醸し出しており、一言で告げるなら東京駅の駅舎のような感じである。中に招かれると政府関係者の方々に深々と頭を下げられて、恐縮しっぱなしだ。恭し過ぎて落ち着かないけれど妙な人がいないのは有難い。
今までであれば誰かの邪魔が入ったり問題が起きたりするのだが、今回は順調に鸚鵡さんの飼い主であろう主人公と会う所まで進んでいる。いつも順調であれば私の苦労が随分と減るのにと、愚痴を言いたくなるのを我慢した。
南の島の鸚鵡さんの無念を晴らすべく共和国入りしたのだし、文句はあとだ。名前はプリエールさんと申すそうで、家名はないのだと共和国首脳部から教えて頂いている。フィーネさま情報だと、貧しい人は家名を名乗れないらしい。
一応、共和国政府も問題視しているそうで、貧しい人たちが学べる機会をと奨学金制度が設けられているそうだ。主人公は制度を利用して学園に入学しヒーローたちと出会い、アガレス帝国へと召喚された黒髪黒目の前作主人公に会うべく巡礼の旅にでる。
乙女ゲームでは無事に前作主人公と出会い、めでたしめでたしとなったようだが、異世界である日本から召喚された人はアガレス帝国にはいない。その影響を受けて、今回のことが起きたのかもしれないなと目を細める。
ウーノさまに見せて頂いた彼女の姿絵は『可愛らしい子』と一番に感じたことである。鳶色の髪に空色の瞳だった。連れの男性の姿絵も見たが、短く切り揃えた焦げ茶色の髪に緑色の瞳だった。絵を見ただけでは背丈は分からないけれど、高身長っぽい雰囲気でイケメンある。
「ミナーヴァ子爵、こちらの部屋で件の者を待たせております」
「ありがとうございます」
案内役の方が小さく咳払いをして、大きな扉のドアノブに手を掛けた。鳴り響く蝶番の音を耳にしながら、真っ直ぐ前を向く。鸚鵡さんと話をして、南の島の鸚鵡さんと引き合わせることができれば良いのだけれども。
扉が開かれた視線の先には鳶色の髪を長く伸ばした少女が立ち、鸚鵡さんは鎖に繋がれて止まり木に大人しくちょこんと乗っていた。部屋の真ん中に件の少女が。その隣の止まり木に鸚鵡さんが。そして共和国のお偉いさんたちがいる中で、一人年若い焦げ茶色の髪の少年が交じっている。姿絵で見た少女の連れの人物であり、ゲームのヒーローだった。
私は鸚鵡さんに会いたいと共和国に申し出て、鸚鵡さんだけに会うのは失礼だから飼い主さんにも会いたいと願った。あと、西大陸は黒髪黒目信仰であるが、私を黒髪黒目の者として過剰に扱わないで欲しいとお願いしている。
そうして叶ったのが今回なのだが、何故ヒーローの彼がいるのやら。お付き合いをしているなら婚約者かもしれないし、単純に心配になって一緒に付いてきたのかもしれない。もしくは少女が願って、彼が一緒に部屋にいるのかもしれないのだ。共和国側の事情に介入するわけにはいかないと、少女の目を見た。
「初めまして。アルバトロス王国、ナイ・ミナーヴァと申します。母国では子爵位を賜っております」
私は口を開いて名乗り出る。普段であれば『聖女』と名乗るが今回は貴族として振舞わせて頂く。貴女とは立場が違うと言っているのであり、問題行動を起こしてくれるなよと言う予防線であった。
使いたくはないけれど、目の前の少女のためでもある。身分を理解しているならば、挨拶の意味を気付いてくれるだろうし。私は顔が引き攣らないように気を付けながら、笑みを浮かべた。
「は、初めまして! この度は同席させて頂きありがとうございます! 名をプリエールと言います。家名はありません」
緊張した面持ちでプリエールと名乗った少女は勢い良く頭を下げた。身長は小柄ではあるが、私より十センチほど背が高い。そして貴重なすとーんな人だった。凹凸の少ない人をかなり久しぶりに見たなと感激を覚える。私の周りの女性陣はぼんできゅでぼんな方々が多く、いつも血の涙を流しているのに……!
「この仔はソルくんです! 凄く賢くて、毎朝『遅刻するぞ~』と起こしてくれます!」
プリエールと名乗った少女が鸚鵡さんを紹介してくれる。クロが南の島の鸚鵡さんから特徴を聞いているのだが、緑色の羽に黄色が少し交じっているのだが、少女の鸚鵡も同様の配色だ。
共和国の調べでは鸚鵡を飼っている人が割といるそうだ。やはり五十年前の難破から無事に戻ってきた方々が、珍しさを理由に高値で富裕層の方々に売り捌いたとのこと。年月が随分と経っているので、最初の鸚鵡さんたちは亡くなっていたり、代を経て新たな命を設けているそうだ。
「とても賢い仔なのですね。私たちはとある鸚鵡の番を探しております。そしてアガレス帝国から鸚鵡を飼っている方がいると聞き及びました」
少女に今回面会した経緯を伝えておく。流石に何故こうなったのか知らないまま、彼女が家に戻るのは避けたい。誠意がないし、理由を知っておけば妙なことになる可能性が下がるはず。
南の島で鸚鵡さんに出会い、番である旦那さまが五十年前、難破船の船員に連れ去られてしまったことをありのまま話した。
「ソルくんにそんな事情が……」
「まだ探していた番と決まったわけではありませんが、共和国にいる鸚鵡で南の島に戻りたいならば、飼い主の方と掛け合おうと考えております」
すべての鸚鵡さんを調べ上げるのは不可能だが、分かる範囲でやっておきたい。真っ先に浮かんだのが少女の鸚鵡さんであり、番の旦那さまであるかは賭けだ。事情を話し終えて、私の肩の上に乗るクロに顔を向ける。
「お願い」
『うん』
クロの声を聞いて、共和国側の人たちは目をひん剥いていた。どうやら竜が喋るとは全く考えていなかったようで『嘘、だろ……』とか『なん、だと……』と小さく声を上げていた。
主人公の彼氏くんも同様で、止まり木に飛んでいったクロに視線を向けている。ジークの肩の上にいる幼竜さんにも同様の視線が刺さり、驚いてジークの騎士服の詰襟の中に顔を隠そうとしていた。
流石に無理があるとジークは腕に抱きかかえ、ソフィーアさまに幼竜さんを預けたけれど。最近、幼竜さんはソフィーアさまとセレスティアさまにも行動範囲を広げている……なんでだろう……仕方ないけれど。
止まり木に乗ったクロは鸚鵡さんと挨拶を交わしているようだ。流石に話している間は手持無沙汰だし、少女と話をしておこうと彼女の顔を見る。
「鸚鵡との出会いを聞いても宜しいでしょうか?」
知っているけれど、知っているとは言えない情報である。妙なところで口走らないためにも聞いておいた方が良いだろう。
「は、はい! ソルくんとの出会いは――」
少女は緊張した面持ちであるものの、確りとした受け答えができる人だった。お祭り会場の出店で売れ残っていた鸚鵡を彼氏くんに買って貰い、ボロボロだった状態から今の綺麗な毛艶に戻ったとか。大事に育てなければそうならないし、苦手な朝を起こしてくれることもないだろう。鸚鵡さんと出会ってからの出来事を彼女なりに私に伝えてくれていることも分かる。
「大事に育てられているのですね。鸚鵡の以前の飼い主についてなにか知っていませんか?」
鸚鵡さんの前の飼い主が、他の鸚鵡さんを飼っていたかもしれないので聞いておかなければ。鸚鵡さん繋がりで、他の鸚鵡さん情報も得られるかもしれないのだ。聞けるときに聞いておかないと損である。
「申し訳ありません。露店の店主さんからはなにも聞いていないんです」
しゅんと少女が肩を落とした。落胆させるために聞いたわけでも、困らせるために聞いたのではない。
「お気になさらないでください。他の鸚鵡の情報を得られるかもしれないと、私が急いてしまいました」
ダメ元で聞いただけだから、そう気にしないで欲しい。
『ナイ~』
「クロ。鸚鵡さんはなんて?」
『うん。やっぱり島の鸚鵡の番みたいだ。会いたいけれど、共和国での生活が長くなっているし、戻る手段もないから無理って諦めているみたい』
クロが鸚鵡さんと話していた内容を教えてくれた。どうやら共和国の生活は悪くないし、現状で満足しているとのこと。番に会えないのは悲しくてしかたないけれど、自分の羽では戻れないし諦めるほかないと。できれば『愛している』と番に伝えて欲しいとクロに託したそうだ。話を終えたクロが少女の方へ顔を向ける。
『有難う。君が大切にしてくれているって彼が言ってたよ。ご飯も美味しいし、自由に過ごすことができるって』
今は鎖で繋がれているけれど、普段は彼女の部屋で自由に過ごしているとのこと。前の飼い主より生活環境が良く、ご飯もきっちり頂けるし、天気の良い日は日向ぼっこもできる。鸚鵡さん的には満足な生活を送っているそうだ。お礼に、彼女が苦手な朝は自慢の嘴と羽と声で起こしているそうな。ちょっと渋い声を聞いてみたくはあるが、少女の特権なのだろう。
「え、え?」
「クロは人の言葉を理解して、喋ることができます。できれば答えて貰えると嬉しいのですが」
急に語り掛けられたことに動揺している少女に、私はクロへ言葉を返して欲しいとお願いした。少し驚きつつも、彼女はクロと視線を合わせて口を開く。
「……い、いえ! ソルくんが元気になって良かったです! 言葉は通じているか分かりませんが、ご飯の量や外にお出掛けする回数に不満はないのでしょうか?」
『ちょっと待ってね……――大丈夫だって。むしろご飯は貰い過ぎだから、少し抑えてくれると助かるって』
少女はクロの言葉にほっと胸を撫で下ろす。少女は番さんの話を聞いて、気になっているご様子。ならばと、南の島の鸚鵡さんと一度会って貰えるように説得を試みようと、私は鸚鵡さんへと身体を向ける。通訳はクロに丸投げだけれど……どうなるのやら。
◇
不思議なことに、面会は順調だった。
絶対になにか起きるだろうと、いろいろなパターンを想定していた頭の苦労が無駄になってしまったが、起きないのであればそれで良い。
クロの聞き取り調査は続いており、少女と鸚鵡さんの仲は良好で鸚鵡さんは現状に満足しているとのこと。以前の飼い主には狭い鳥小屋で観賞用として飼われ、環境が良くなかったそうだ。歳も取ったし、生きる意味を見いだせず絶食していたら捨てられて、鳥を扱う露店の店主に拾われ、売り物として出店されていた。
「そうして私たちがソルくんを見つけたと」
「そのようですね」
偶然に彼女が鸚鵡さんを買い取ったようだ。少女のお小遣いでは買えない値段だったので、同行していた彼氏に買って貰ったようだけれど。
借りたお金は返すと約束しているが、彼氏の方は必要ないと固辞されているのだとか。少女が彼氏の方へ視線を向けたので、釣られて私も視線を変えた。小さく頭を下げる少年に私も目線を下げる。彼女と鸚鵡さんと私の面会と理解しているのか、場に佇んだままだ。
『あのね、南の島に彼の番の鸚鵡が生きているんだ。島に住む鸚鵡たちを捕まえて無理矢理連れ去ったって怒っていてね。五十年時間が経ったから仲間は死んでいるかもしれないけれど、番に会いたいって強く願っていたんだ』
「彼は貴女の下を去る気はないと仰っているようですが、一度南の島に赴き番の鸚鵡と会って頂きたいのです」
頭を下げたくなるのをぐっと堪える。頭を下げてしまえば、私より目の前の彼女の方が格上の存在と捉えられても仕方ない。お願いしている立場だけれど、爵位持ちなので命令することもできるのだ。相手は他国の少女なので、強制力は弱くなるだろうけれど。
「それは……ソルくん次第です! 私もできることなら会って欲しいのですが……その……南の島に赴く費用を捻出できません」
少女が私から視線を外して机の上を見る。費用に関してはこちらが負担するし、気にする必要はないのだが。真面目な子だと苦笑いを浮かべ、お金の心配は必要ないと告げる。できれば共和国に住んでいるであろう他の鸚鵡さんたちも訪ねたいが、そんなことが可能なのだろうか。共和国政府に頭を下げてお願いするしかないかと、この部屋にいる面子を見た。
スーツ姿の男性が多く、髪をかっちりと撫で付けている。いかにもな方々ばかりだが、私の話を聞いてくれるのやら。島から連れ去られて鸚鵡さんを探すとなれば、凄く大変なことになるので先ずは目の前のことを解決しなければ。
『あ、彼も番に一目会いたいって』
「え……そうなんですか?」
少女がクロに驚いた顔を見せた。
『別れてしまった鸚鵡は番だから、やっぱり会いたいんだろうねえ。でも共和国で五十年も過ごして、こっちにも愛着が湧いているみたいだよ』
クロが彼女に良かったねえと告げる。鸚鵡さんがどんな考えなのか分からないけれど、クロが嘘を吐く必要はないし信じて良いだろう。
「となれば南の島へ行くことになりましょうか。共和国政府の許可次第ですが、ご興味があるなら鸚鵡さんと一緒に南の島へ赴くこともできますよ」
私が少女に告げると、目を真ん丸にして驚いた。ディアンさまには経緯を伝え、鸚鵡さんの飼い主がマトモな方であれば立ち入りの許可を頂いている。短い間だけれど、悪い人には見えないし鸚鵡さんが気に入っているみたいなので心配は必要ないだろう。
「そ、そんな! ソルくんだけでも南の島へ赴くのは大変なのですよ?」
「確かに通常の方法であれば時間が掛かり、島に辿り着くまでに多くの危険を冒さなければなりません」
共和国だと船の移動となるから、彼女の頭の中では長い間波に揺られる覚悟をしなきゃいけない。でも、こちらは竜の方の背に乗るか、共和国に赴いたのでロゼさんの転移ででも移動することが可能である。
少々距離があるのでロゼさんが運べる人数が減って人数制限が掛かるけれど。共和国の政府高官の方々がいるし、竜に乗って移動しますとは言えず暈した伝え方になってしまった。竜に乗ることができます、と口走れば東大陸では腰を抜かす人が続出しそうだ。ウーノさま情報だと竜を目にしたのは初めてだと仰っていたので、軽々しく言わない方が良いはず。
「……わ、分かりました。ソルくんが納得しているのであれば問題はありません。もうすぐ学園の授業が始まるので、一緒に行けないかもしれません。その時は必ずソルくんは戻ってきますよね?」
少女の瞳は真剣だった。鸚鵡さんを家族として見ている証だろうと、私は彼女の言葉を肯定する。すると小さく息を吐いた彼女は、鸚鵡さんをお願いしますと頭を下げた。交渉というほどのものではないが、話は成立したと手を差し出す。
そうして彼女も手を差し伸べた時だった。
「――待ってくれ」
少女の彼氏くんが声と手を上げて、私に視線を向けていた。周りの方々は驚いた様子で固まり彼を止める人はおらず、そのまま一歩前に出た。
「俺は鸚鵡を買い彼女に贈った者です。鸚鵡の飼い主はプリエールですが、俺は鸚鵡を買った者として発言権があると考えます。ミナーヴァ子爵さま、意見を述べさせて頂いても宜しいでしょうか?」
「ル、ルグレさん?」
少年の少し気の強そうな目には一体どんな感情があるのやら。フィーネさまから聞いていた情報だと、優しいヒーローだと聞いていたのに、随分と気の強そうな雰囲気を醸し出している。
あれ? 確か一人称は『僕』と聞いていたのに、彼は今『俺』と口にしたような。ようやく驚きから我に返った共和国政府の皆さまが止めに入ろうとするけれど、少し遅かった。何故か……私が手で制したからだった。
「構いません。お聞かせください」
本当に聞くだけだけれど。話は纏まったのに、しゃしゃり出た意味は一体なんだろう。私から視線を一切逸らさないまま、少年は口を開いた。
「……共和国の貧富による歪な差別を解消して頂きたい!」
鸚鵡、全然関係ねぇですやん! という突っ込みは無粋なのだろうか。クロは首を傾げているし、ソフィーアさまとセレスティアさまは『は?』と顔が引き攣っていそうな気配を感じる。
ジークとリンは『話を聞くから……』と言いたそうだけれど、私の後ろで黙ったままである。いや、うん。考えていなかった方向へ話がすっ飛んだ。てっきり、鸚鵡さんに関係する話と踏んでいたから、聞かせてくれと願ったのに。聞くんじゃなかったという後悔はもう遅い。
「私はアルバトロスの貴族です。共和国の問題に手も口も出せません。それはご理解頂けますか?」
後悔は遅いが、言わなきゃいけないことは伝えておく。妙な勘違いをされても困るし、今回は鸚鵡さんの件で訪れただけである。
「確かに貴女は他国の貴族だが、黒髪黒目のお方だ。共和国内であれば、多大な発言力があります。貴女の一言で国に蔓延る差別は一気に解消される!」
少年が必死に叫ぶけれど私にはどうにもできないことだし、一度手を出せば最後まで責任を持たなければならなくなる。だから共和国の問題に関わってはいけない。
「ルグレさん、駄目です! もう止めてください!」
少年の下へ少女が駆け寄り手で制したが、彼女の手首を少年が掴み声を上げる。
「プリエールだって望んでいたじゃないか! 差別のない世界でたくさんのことを学びたいと! だから黒髪黒目の言葉を貰うためにアガレスへ向かったのに、どうして止めるんだ!」
確か、ゲームだと異世界召喚された前作主人公に『差別はやめて』という言葉を賜るのだっけ。その影響が黒髪黒目である私に降りかかっているようだけれど、ゲームの主人公のように優しくはないし、アガレス帝国で保護されてもいないのだ。
ゲームの黒髪黒目の主人公と同じことを言うのは容易いが、言葉だけで差別がなくなるなら苦労しないことは身を以て知っている。
前世でも『親なし』と学校で後ろ指を指されていたし、貧民街で必死に生きていた時も『貧民』と蔑まされていた。本気で差別を失くしたいならば、感情を消し去るのが一番簡単な方法である。魔力があって魔術がある世界だ。もしかすれば感情を消す魔術が存在しているかもしれない。
「確かに、差別がなくなるのならばとルグレさんとご一緒しました! でも……ずっと考えていたんです。誰かの言葉を頼って本当に解決するのかなって! 一時のものでしかないんじゃないかなって!!」
「この国は黒髪黒目を崇拝しているから効果はある!」
二人の痴話喧嘩はここまでだった。共和国の方々が見ていられんと、少年を部屋から追い出したのである。ふうと息を吐いて、なんとも言えない表情になっている少女を見た。うーん、纏まっていた話の続きをするには少々不適切かなと、大きく息を吐いたのであった。