魔力量歴代最強な転生聖女さまの学園生活は波乱に満ち溢れているようです~王子さまに悪役令嬢とヒロインぽい子たちがいるけれど、ここは乙女ゲー世界ですか?~   作:行雲流水

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0400:手に痛みが走る。

 やはり一波乱はあるのか。

 

 少年が退場して行った扉を見て、小さく息を吐く。共和国のお偉いさんたちは凄く申し訳なさそうに、速攻で頭を下げてくれている。

 共和国が少年を引き取ってくれたならそれで良い。どうして彼がこの場にいたのか謎のままだが、聞いてしまうと首を突っ込まざるを得なくなりそうな気もするから、なにも言葉にしていない。なにか引っ掛かるところがあるけれど、問題児はこの部屋にいないから掘り返しても意味がない。

 

 「あの、本当に申し訳ありませんでした! ルグレさんに同席をお願いしたのはわたしです。彼が裁かれるなら、わたしも罰を受けます。失礼な態度を取ってしまったことを許して欲しいとは言えませんが……本当に申し訳ありませんでした」

 

 プリエールと名乗った少女が私に頭を下げた。突っかかられることに慣れてしまい、あれくらいならば可愛らしいものである。ただ共和国の皆さまは、どうにも私が怒っていると勘違いなさっているようだ。

 

 「鸚鵡の件で無理を言って入国を申請し、貴女と面会することができました。私は、共和国も貴女も責めるつもりはありません」 

 

 少年の処分は共和国にお願いしたいと告げ、丸投げにしておいた。もちろん共和国や彼女が失礼な態度を取っていれば別の話となるが、彼女たちの対応は至って普通だ。そもそも長居をするつもりはないし、鸚鵡さんを預かって南の島へ向かう予定である。もうすぐ学院の二学期が始まるし、目の前の彼女同様に勉学に励まなければならない立場であった。

 

 『早く番に会えると良いね』

 

 クロが雰囲気を変えるためなのか、鸚鵡さんの話題を少女に振った。鸚鵡さんは止まり木の上で大人しく、首を上下に動かしてこちらの様子を見ている。

 

 「ソルくんに奥さんがいたなんて驚きました。事情を初めて知ったので、本当に申し訳ないことをしてしまいました……」

 

 こればかりは前の飼い主や難破船の船員さんが原因で、彼女の責任ではない。

 

 「島で鸚鵡を捕まえたのは貴女ではありません。気にする必要はないかと」

 

 片眉を上げつつ、クロと鸚鵡さんを交互に見る。さて、今後の話を詰めておこうと少女と共和国政府の面々の顔を見るのだった。

 

 ◇

 

 掴まれていた腕を放され、とある部屋に押し込まれた。

 

 「会談が終わるまでここで反省していなさい。ルグレ・――」

 

 共和国の高官が俺に向けて吐いた言葉だった。そうして静かに部屋の扉が閉められて、がちゃりと鍵の掛かる音がした。

 

 「くそ! どうしてこうなるんだっ!」

 

 俺は苛立ち紛れに言葉を吐いて、部屋の壁を殴る。ごん、と鈍い音が鳴るが、ただ殴った拳骨が痛いだけ……。

 日本から異世界に召喚された黒髪黒目の女は心優しい奴ではないのか!? アガレス帝国に召喚された黒髪黒目の前作主人公の言うことを、アガレスの者や共和国の者は全肯定すると聞いていたのに! どうしてアガレスではなくアルバトロス王国から黒髪黒目の女がやってくるんだ!? そもそもアルバトロス王国ってどこの国だよ、と言いたいくらいだった。

 

 ふと頭の奥底にしまっておいた懐かしい記憶が蘇る。

 

 『押しの声優さんが出てるから買ったけど、ちょっとシナリオに無理があるかな? ねーちゃんは駄目だ、楽しめない。弟よ、どう考える?』

 

 リビングの大画面で乙女ゲームを映して堂々とプレイしていた姉は、シナリオを終えた感想を述べた。俺も隣で観ていたが、姉の言う通り無理のあるシナリオである。差別が誰かの一言で解消するなんて思えないし、交通の便が悪い世界でわざわざ隣国に赴き言葉を賜る価値はあるのだろうか。

 

 『いや、ねーちゃんが無理なら俺も無理だろ。俺とねーちゃんの考えや性格、似てんだぜ? 確かに優しい黒髪黒目の主人公だけれど……なんか怖いよな。今作主人公の方が好きかも』

 

 同じ種と腹から産まれ過ごした環境も同じだったから、俺たち姉弟の性格は似ている。姉が駄目と言うなら、俺も大概のものは受け付けない。現に乙女ゲームのシナリオにはライターのやる気が感じられないと判断してしまった。まあ、ゴーサインを出したスタッフもなにを考えているのか分からないが。

 

 『なはは! やはりねーちゃんの弟だ。言葉一つで差別が解消しちゃったからねえ。信仰があるから効果はあるとは言え、洗脳みたいだよねえ』

 

 乙女ゲームの主人公とヒーローは共和国の差別――貧富によって発生したもの――を解消すると称して、前作主人公に会いにいくのだ。

 自分たちの力だけではどうにもならないと痛感し、アガレス帝国の儀式召喚により呼び出された異世界の黒髪黒目の少女を頼って。アガレス帝国で黒髪黒目の少女は神の如き扱いを受けていた。曰く、傷ついた人々の傷を癒し、古の飛空艇を多大な魔力によって何十艇も動かすことができるようになった。アガレス帝国の次期皇帝アインや皇子たちと仲良く暮らしているのだと。

 

 アガレスでも黒髪黒目信仰により、その容姿を持つ者は大切に扱われる。

 

 今作の主人公は貧富の差により差別を受け、大好きな勉強を受けられずにいた。幼い頃、幸運にも師事する人を見つけ勉強をしており、政府が立ち上げた支援策に乗り学園に入学する。貧乏人、と後ろ指を指されながらも持ち前の明るさと気丈さで、乙女ゲームのヒーローたちと仲を深めていく。男の俺からすれば、ぞわぞわと鳥肌が立ってしまう気障なセリフを男キャラが喋っていた。

 

 姉の横で乙女ゲームを観ていた俺は……大学に入る前に死んでしまい、新しい世界に生まれ落ちた。

 

 乙女ゲームのヒーローの一人だった『ルグレ』として。死んで生まれ変わったのならば、現実を受け入れるしかない。ゲーム同様に父親は共和国で有名な政治家で、俺は跡目として期待され育てられた。政治に興味のない俺にははっきり言って迷惑極まりないし、別の道を歩みたかった。それに気障なセリフを吐く乙女ゲームのキャラに成り下がりたくなかった。

 

 でも……彼女と出会ってしまった。――プリエールと。

 

 プリエールは乙女ゲームの主人公だ。持ち前の明るさで学園で嫌がらせや差別を受けても、決して折れず曲がらず腐らず真っ直ぐに己の道を進んでいた。

 最初は冷ややかに彼女の姿を見ていた。いつかは心が折れて、逃げ出したり泣いたり、誰かに縋るだろうと。でもそんな気配は全く見せず、彼女は強く生きていた。信念を持たない俺は、知らぬ間に彼女に惹かれていたのだ。なんて強かで、真っ直ぐな瞳を持つ人間なのだろう、と。前世でもあんな人間を見たことがない。

 

 そんな彼女に惹かれていた者が俺以外にもいた。

 

 乙女ゲームのヒーローたちだ。俺と同様に彼らも気になるのか、彼女に視線を向けていた。だから俺はゲームの知識を利用することにした、

 姉の横で観ていただけなので記憶は随分と朧気だが、ゲームを知っているというアドバンテージは大きく、プリエールと無事に知り合うことができ付き合うことができた。

 ただ照れくさくて告白はしていないが、自然と一緒にいる機会が多くなって、祭りにも一緒に行った。ゲーム通り鸚鵡を買うイベントにも遭遇した。ちゃんとルートに入ったから、他のヒーローたちの邪魔もない。

 

 なら、アガレスに召喚された黒髪黒目の主人公を頼って、彼の国へ行こうと俺は提案する。俺の言葉に考える様子を見せたプリエールだが、最後には同意してくれた。

 

 俺だって、貧富の差で隔てられていることを良しとしていない。だったら一番簡単で実現可能な方法を効率良く取るためにアガレス行きを提案しだのだ。

 共和国からアガレスへ向かう旅は楽しかった。誰も邪魔は入らないし、二人一緒だったのだから。ゲームなんてと馬鹿にしていたが、好きな女と一緒にいられることがこんなにも楽しいことだったなんて。

 

 だから浮かれていたのだろう。ゲーム通りに進めば、必ず幸せが手に入れられると。

 

 アガレス帝国に黒髪黒目の主人公はいなかった。代わりにアガレス帝国に召喚された、アルバトロスの黒髪黒目が大暴れした噂を帝都で聞いたのだ。

 

 ――なんだよ、ソレ。

 

 聞いていないと大声で叫びたかった。なんで今の今までゲーム通りに進んでおいて、一番大事なところが大きく変わっているんだよ! これじゃあ共和国の差別を一気になくせない。

 

 時間を掛けて政治家になって、ゆっくりと解消するしかないじゃないか。プリエールの勉強したいという願いを叶えるには、差別をなくすしかないのに。

 それでは彼女は大学に進めない。ゲームのハッピーエンドに辿り着けない。嘆いていると、共和国から迎えがやってきた。どうして俺たちを迎えにきたのかは分からない。ただ、黒髪黒目に会わぬままアガレスから共和国へ戻ることになった。

 

 また学園に通う日々が続き、転機が訪れる。

 

 『ルグレさん、聞いてください! アルバトロスの黒髪黒目のお方がソルくんにお話があるようなんです!』

 

 『え…………本当か?』

 

 鸚鵡に用事なんて理解できないが、千載一遇のチャンスだった。この機を生かさなければと俺は立ち合いの場に同席を願い許可を得たのだ。だが……失敗した。なんだよ、あのみすぼらしい黒髪黒目は。アガレス帝国に召喚されたゲームの黒髪黒目はもっと美人だったのに。

 肩の上に竜を乗せて恰好を付けて貴族と名乗ったが、見た目は子供じゃないか。なら御しやすいと踏んだのに……。

 

 ――手に痛みが走る。

 

 壁を殴った手が赤く腫れあがっていた。これで終わりなのだろうか。黒髪黒目の女を利用できればプリエールを幸せにできる。どうにか再接触できないかと、考えを巡らせるのだった。

 

 ◇

 

 木々の隙間から日差しが零れていた。大きな枝の上には鸚鵡さんが二羽乗って、体を寄せ合っている。一羽は以前に人間は馬鹿と叫んでいた鸚鵡さんで、もう一匹は共和国の少女が飼っている鸚鵡さんである。

 少女と鸚鵡さんの気が変わっても困るから、共和国からアガレスへ向かい、辺境の街から南の島へと直行したのだ。他の鸚鵡さんはまだ見つかっていないが、共和国政府が鸚鵡探しに尽力してくれるとのこと。

 

 『良かったねえ』

 

 私の肩の上に乗るクロが木の上を見上げながら、しみじみと言葉を零した。

 

 「だねえ。一応は一件落着なのかな。別の鸚鵡さんが見つかれば、南の島に戻りたいのか話を聞いて判断しなきゃだけれど」

 

 私も木の上の鸚鵡さんたちを見上げながら、クロに言葉を返す。共和国では少年に突っかかられたくらいで、それ以外は順調に物事が進んだ。私にしては珍しいが、問題が何度も起こっても困るので偶然ではないはず。

 聖女の格好をしていなかったことが功を奏したのか、はたまた、単純に共和国の方々が黒髪黒目である私の意志を尊重してくれたのか。彼らの心の中を覗けないので、真意は不明だが、政治の場での話し合いは片が付いている。あとは戻って経緯をアルバトロスに報告するだけだった。

 

 『無事に会えたようで良かったのう。あの鸚鵡、元気を取り戻すと良いのだが』

 

 島の主である大蛇さまも一緒に森の中に入っていた。大蛇さまの行動範囲がどんどん広がっている気がするのだが、突っ込みは敢えてすまい。

 主さまの隣にいるダークエルフのお姉さんも小さく頷いているので、気持ちはみんな同じのようだ。怒っていた鸚鵡さんは番がいなくなった寂しさから元気がなく、他の鸚鵡さんたちが心配していた。

 

 鸚鵡さんの飼い主である少女は共和国に残っている。一緒についてきて、別れてしまうとなれば泣いてしまうからと南の島行きを辞退していた。短い時間だけれど、共に過ごした時間は本物だったようだ。

 

 木の下で暫く待っていると、羽ばたく音が聞こえ鸚鵡さんが降りてきた。右腕を差し出すと、ちょこんと乗って視線を合わす。クロの通訳によると話は終わったとのこと。

 

 『共和国に戻るの?』

 

 クロが鸚鵡さんに今後のことを聞けば頭を大きく下げる。彼の意志は変わっておらず、朝が凄く苦手な少女の下へと帰るようだ。

 なら、当初の予定通り共和国に戻ろうと踵を返したその時だった。頭上からバサバサと音が聞こえ、大蛇さまの頭の上に雌の鸚鵡さんが飛び降りたのだ。大蛇さまは気にしておらず、そのまま顔をこちらに向けると雌の鸚鵡さんが一鳴きする。なにを言っているのかさっぱりなのでクロへと顔を向けた。

 

 『共和国に一緒に行くなら、君の嫌いな人間の中で生活していかなきゃいけないよ?』

 

 大丈夫と雌の鸚鵡さんに首を傾げるクロ。どうやら番の鸚鵡さんが共和国に帰るなら、自分も付いていくと言うことだろう。クロの言った通り、人の中で生活しなきゃいけなくなる。少女は共和国の首都在住だから、面会した街より大きな規模の都市となる。必然、人も増えるのだけれど……大丈夫だろうか。

 

 『ニンゲンキライ。デモ、イッショ』

 

 雌の鸚鵡さんがたどたどしく答えてくれた。番と一緒なら耐えられるようだ。意志が変わらないのなら、反対する理由もない。島の主である大蛇さまも問題ないようで、連れて行って欲しいと仰っている。

 雄の鸚鵡さんも嬉しそうだし、一緒に行こうと頷けば大蛇さんの頭の上からこちらへと舞い降りた。流石に二匹と一頭は抱えられないと、ダークエルフさんの肩の上に移動して頂いたけれど。

 

 そうして南の島から、また共和国へ戻ることになる。直接乗り入れられないので、アガレス帝国経由となってしまうが。私に付き合って頂いている、ソフィーアさまとセレスティアさま、ジークとリンとアルバトロス外務官の皆さまには申し訳ないけれど、今少し我慢して頂きたい。

 

 「ソルくん、おかえりなさい! って、そちらの鸚鵡さんは……?」

 

 さっそく少女と面会をお願いすると、共和国政府は直ぐに対応してくれた。以前赴いた街のホールの同じ部屋で再度顔を突き合わせていた。今回は流石に少年はきてはおらず、少女と共和国政府の皆さまだけだ。彼の行方を聞きたい気持ちに駆られるが、聞かない方が良いと首を小さく振り少女を見る。

 

 「彼の番です。島で再会したところ、こちらへ移住すると仰いました」

 

 私は共和国の皆さまに島での出来事を伝える。といってもそう大した報告はなく、雌の鸚鵡さんが共和国へ移住すると願い出ただけ。とはいえ共和国政府の許可も必要だろう。雌の鸚鵡さんの生活費の話し合いもできると良いのだが。

 

 「え……え?」

 

 飼っている鸚鵡さんと雌の鸚鵡さんの間をきょろきょろと視線を彷徨わせている少女と、何故と驚いている共和国の面々を放置して確りと前を向く。

 

 「今後のことを話し合いませんか?」

 

 移住先で餓死したなんて報告を聞けば、心穏やかにはいられないので雌鸚鵡さんの住環境を整えておかねばと声を上げる。

 少女は共和国において貧民に類するそうで、二匹目を飼うとなれば経済負担が大きいとのこと。アルバトロスにおける貧民と共和国における貧民は、少し解釈が違うようだった。アルバトロスの貧民であれば鸚鵡を食料として食べているから、共和国の貧民の方々の生活水準はちょい上のような気がする。

 

 「申し訳ありません。本当は子爵さまにこんなことを伝えるべきではありませんが……」

 

 しゅんと小さくなっている少女に気にしないで欲しいと口にした。一応、南の島から日持ちする食料を持参してある。木の実は十分に持つだろうからと、島を出る際に大蛇さまとダークエルフのお姉さんから手渡されていた。

 

 それでも数週間分くらいだろうし、ご飯の調達は少女の負担となってしまうから、せめて資金は出しておくべきだろう。

 共和国政府の皆さまとあーでもないこーでもないと協議するのだが、鸚鵡さんの餌代で揉める外交会談ってなに? と頭の中で疑問に感じてしまった。後ろで控えているソフィーアさまとセレスティアさまも『こんなことで……』『鸚鵡の餌代くらいケチらなくとも』という雰囲気だし。

 

 共和国政府は私に良い印象を持って欲しいようで、無理や無茶は言わない。外交は自国の利益のために執り行うものだから、向こうの要求も聞きたかったのに聞けず仕舞いで終わってしまった。あとでアルバトロス上層部に無理難題を吹っ掛けなければ良いのだが。その時はその時かと気持ちを切り替え少女と向き合う。

 

 「では、鸚鵡さんをよろしくお願い致します」

 

 「はい! ソルくんもソルくんの番さんも家族の一員ですから」

 

 少女が今までの悲しい記憶を搔き消せるように、時間を埋めていけると良いですねと二羽並んでいる鸚鵡さんを見て微笑む。

 

 「ええ、本当に」

 

 『じゃあ、よろしくね』

 

 鸚鵡さんの生活費の工面を付けて面会を終えた。他の鸚鵡さんたちも気になるが共和国の調査待ちとなるが、一番の問題は解決したと言えるだろう。ふう、と息を吐いて会場の外へと出るために先導役の人の後ろをアルバトロスの皆さまと一緒に歩いて行く。

 

 どうにか学院の二学期が始まる前に終えたと小さく息を吐いた。出された課題は済ませてあるし、あとは学院へ赴く準備を終えれば良いだけにしてある。少し前、ソフィーアさまが『ナイは抜けている所がある。小さな見落としをがあるかもしれない。気を付けておけ』と告げられた。確かに抜けている所があるので、学院が始まる前日にチェックをしなければ。

 

 大きな扉を抜けて外に出る。すると門扉の前に人だかりができて、私を見つけた人が指を指して叫んだ。

 

 「黒髪黒目さま! 女神さまの生まれ変わり!」

 

 一人叫ぶと、あとは簡単だった。一斉に視線が私へと集まって黄色い声と大きな声が上がる。

 

 「こっちを向いてー!」

 

 「女神さまの使い! 我らに幸せを!」

 

 この数日で黒髪黒目の人間が共和国にいると漏れ、場に集まってきたようだ。共和国政府の皆さまの服装に似ているが、生地の質が下がっているので一般庶民の皆さまであろう。

 共和国の人間ではないのだから、取り合う必要はない。むしろ嫌われて悪い噂でも流れないかな、とさえ考えてしまう。どうにも黒髪黒目を信仰している文化は好きになれないなと、馬車に乗り込んで帰路に就くのだった。

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