魔力量歴代最強な転生聖女さまの学園生活は波乱に満ち溢れているようです~王子さまに悪役令嬢とヒロインぽい子たちがいるけれど、ここは乙女ゲー世界ですか?~   作:行雲流水

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0405:対峙。

 竜から魔術の手解きを受け始めて一週間が経つ。どうやら俺には才能があったようで、魔力が少ないのに中級程度の魔術を使用できると黒い竜が褒めてくれた。訓練を続ければ効率の良い魔力の使い方を編み出せるだろうとも教えてくれている。

 

 人間ではビクともしない煉瓦の壁を粉々にでき、路地裏でホームレスに洗脳魔術を施すと本当に記憶を改竄することができた。竜が言うには魔術を使える人間は少なく、貴重な存在で黒髪黒目の少女と近しいと零していた。

 俺の前世の両親は純粋な日本人で黒髪黒目であったが、俺は色素が薄く産まれてきた。母は自身が産んだ子であり確実に父との子であると主張していたが、父は信じることができず遺伝子鑑定を執り行ってしまった。

 そこから夫婦仲は冷めてしまうが、俺は百パーセント両親の子であると科学が証明してくれた。だから純粋な日本人としての血が、転生して尚なにか効果を齎してくれているのかもしれない。ゲームや漫画で転生した日本人が異世界でチート能力を発揮したり、苦難を乗り越えて活躍するのはデフォなんだし。

 

 「プリエール!」

 

 謹慎が明け学園に登校するようになって一週間が経っていた。学園の図書室でプリエールはいつもの席に腰を下ろして、静かに参考書を読んでいる。

 テンションが高かった俺の声が意外に大きかったようで、周囲の生徒が俺に視線を刺した。不味いと感じた俺は、反省していますと言わんばかりに口元を手で押さえて小さく頭を下げながら彼女の下へ歩いて行く。

 

 「…………ルグレさん、どうしました?」

 

 参考書から視線を外したプリエールが、間を置いて懐疑な顔で俺を見た。共和国の田舎街で黒髪黒目の少女と会談を執り行ってから、プリエールは俺と少し距離を置いていた。何故、そんな緊張した面持ちになるのだろう。俺たちは付き合っていて、心が通じているのではなかったのか。不信感を抱くも心の靄を取り払い、俺は笑みを浮かべた。

 

 「魔術が使えるようになったんだ! これでお前を見下す連中をあっと言わせることができるぞ!」

 

 もう一度視線に刺される気はないので、かなり声を落としてプリエールの耳元で囁く。図書室にいた女子がこちらに視線を向けて顔を赤くしている辺り、俺たちが羨ましいのだろう。

 共和国とアガレス帝国以外の国の文化に詳しくないが、共和国は自由恋愛を良しとしている。貧民と金持ちで線引きをされており貧民と付き合うと後ろ指を指されるが、共和国政府の努力なのか、あからさまに態度で不快と示すことはない。心の中では蔑んでいるのだろうが……。

 

 「待ってください。どうしてルグレさんは短期間で使えるようになったのですか? 魔術はアガレス帝国で寂びれた技術と揶揄され、使い手はかなり限られています。共和国ではそもそも使い手がいません。一体誰から……」

 

 流石プリエールだ。よく勉強している。確かに魔術の存在は仄めかされているものの、共和国に使い手はおらず幻の存在だった。けれど俺は竜に出会い、師事することができた。竜の実力は本物だったし、教え方も俺に合っているものだったので直ぐに習得できた。

 

 「そんなのはどうだって良いだろう。魔術が使える事実が残るだけだ。俺はこれを利用して政界を駆け上がる! これで黒髪黒目の奴と再会して、差別を止めろと言って貰えるぞ!」

 

 少し時間は掛かるが、地道にやって行くルートよりは随分と時間が短縮される。俺とプリエールの結婚を両親が祝福してくれ、未来の大統領と大統領夫人の座だって狙えるんだ。

 親が政治家だから政界について幼い頃から学んでいた。面倒なことも多いし、顔を売らなければならないが、元から親が持っている親交は幅広い。政府高官を洗脳できれば、と踏んだのはコレがあったからだ。

 

 「…………」

 

 どうしてそんな顔で俺を見る。どうしてなにも言ってくれない。いつものプリエールなら『凄いです、ルグレさん!』と綺麗に笑ってくれていたじゃないか。

 ゲームの君は明るくて素直な女だった。ゲームの世界に転生して偶然に会い、最初は馬鹿にしていたのに、君の真っ直ぐに生きる強さに惹かれて恋仲になったのに。一緒に差別をなくそうと同じ道を歩いていたのに、どうして……俺の提案が飲めないのだ。ぎゅっと拳を握りしめ、ゲーム主人公の顔を見るのだった。

 

 ◇

 

 ――ルグレさんは一体なにを急いでいるのでしょうか。

 

 黒髪黒目の少女と出会ってから二週間が経ちました。鸚鵡のソルくんとソルくんの番の鸚鵡さんは仲良く私の家で過ごしております。ただ朝が苦手なわたしを『遅刻するぞ~』とソルくんが起こしてくれるのですが、番の鸚鵡さんも加わり『ニンゲン、オキロ!』と身体の上に乗って叫ぶため、威力が二倍となりました。

 遅刻することはなくなったのですが、目覚ましの威力が高まり過ぎた気がします。とはいえ止まり木に仲良く二羽並んでいる姿を見ると、心が温かくなって幸福に包まれます。彼らがあとどれだけ生きられるか分かりませんが、わたしが生きている限り最後まで面倒をみるのが生き物を飼った者の務めでしょう。

 

 朝、家族と鸚鵡さんたちに学院に行ってきますと告げ、いつものように教室に入って授業を受け、いつものように放課後は学園の図書室で自主勉強をしている所です。図書室の扉が珍しく大きな音を立てたことが気になって顔を上げました。周りの方々の視線も刺さり、小さく頭を下げながら嬉しそうな顔を浮かべたルグレさんがこちらに近づいてきました。

 

 「プリエール!」

 

 わたしの顔を見た彼が名前を呼んで椅子に腰を下ろします。そうして彼の口から出た言葉は信じられないものでした。

 

 曰く、魔術を使えるようになった、と。そして魔術を使って貧民と蔑んだ人たちを見返すことができると仰います。

 確かに私は差別をなくしたいと考えていますが、貧民と区別されている方々に教養が身に着けば少しは解消されるはずです。きっとそれは凄く小さな変化であり、大きな流れに逆らうことはできないのかもしれません。でも静かな水面に投げられた小石の波紋が、いつかは大きなうねりとなることを信じています。

 

 『一気に状況を変えるぞ!』とルグレさんに告げられて、アガレス帝国へ赴き黒髪黒目のお方に会えなかったことがわたしの転機だったのかもしれません。

 

 貧民の方々で組織された『貧裕会』に出会いました。彼らは貧しくとも心は裕福であるようにと願い組織され、黒髪黒目のお方に会うためアガレスに赴いた私たちの話をどこからか聞きつけ、私を見つけ出してくれました。

 メンバーの一人に、わたしが昔お世話になった方がおりました。そうです、わたしに勉強を教えてくださった方だったのです。彼らは現状を嘆き、知恵を身に着け、他の貧民の方々に教育を施すことを目的に活動し、優れた人を政界に送り込もうと日夜頑張っていました。政界を目指すルグレさんと考えは一緒ですが、なにも持たない貧裕会の皆さまにとって政の道を目指すのは至難の業でしょう。ですが彼らはずっと種を蒔いていたのです。

 だから、わたしは……――って考え込んでいる場合ではありません。ルグレさんの言葉に答えなければと、拳を握り込んだ彼と視線を合わせました。

 

 「力で解決するのは良くないことではないですか?」

 

 「だが力で解決しなければ、どうにもならないことがある。プリエールだって現状を変えたいと言っていたじゃないか! だから俺は……魔術を教えてくれる師と出会い術を学んだ」

 

 彼には魔術の才能が有って、凄く早く術を学び吸収できたとのこと。その力を使って、共和国政府高官を説得し差別をなくしていくんだと意気込んでいます。何故か今のルグレさんは凄く怖くて、危ない感じがしてなりません。

 

 「言葉と行動で尽くして差別意識を薄くしていく方が禍根が残りません。力による支配や信仰を利用してはなにも生み出しません、ルグレさん!」

 

 力による支配は、お金による支配と同じではないでしょうか。貧富により差別を生んだなら、力の差で新たな差別を生み出す危険があります。それだけは絶対にあってはならないと、わたしの心の奥底で強く意識が芽生えました。

 

 「だが、現状はどうだ! 黒髪黒目はアガレスにいないし、共和国にも存在しない! アルバトロスの黒髪黒目は酷い奴で言葉すらくれない! たった一言『差別をするな』と告げるだけなのに! 誰もお前を救おうとしないんだぞ!!」

 

 「救われるべきは私だけではありません! 沢山の方々が差別を受けています。わたしだけが逃れて、沢山の方々が差別から解消されないなんて……意味がありません!」

 

 つい感情が高ぶって声を荒げてしまいます。

 

 「おい、ここは図書室だ。静かにしたまえ。富める者として振るわなければならないことを知っているだろうに。全く、これだから貧民は。この学園にいさせて貰っているということを忘れるな」

 

 眼鏡を掛けた図書委員の男子生徒がわたしたちを注意し、厳しい視線でルグレさんを見たあと、溜息を吐きながらわたしにも視線を向け大きな溜息を一つ零しました。

 

 「申し訳ありませんでした」

 

 「すまん」

 

 声量を落として頭を下げました。

 

 「プリエール、俺はなんとしても政界に足を踏み入れる。お前を幸せにするために」

 

 「ルグレさん……」

 

 彼はわたしにどんな言葉を掛けて欲しいのでしょうか。答えは分からず、名前を呼ぶだけに留め彼から視線を外しました。そうしてルグレさんは静かに図書室から出て行く後ろ姿を見つめながら、わたしは彼の危うさを危惧し、今のままでは駄目だと静かに目を閉じます。

 

 ――彼を止めなければ。

 

 でも、どうすれば良い? 黒髪黒目のお方を頼るのは簡単ですが、会ってお話をして感じてしまいました……黒髪黒目のお方もただの一人の人間に過ぎないと。

 ソルくんが生きていたこと、ソルくんの番さんが生きていたことに喜び、良かったと安堵してくださる優しいお方。そしてお腹も空けば、喉も乾くし、眠たくもなる。短い時間だけですが、立場を取り払えば普通の方だったのです。ならば自分の力でルグレさんを止めなければ。まずは貧裕会の皆さまに知恵を頂こうと、図書室を後にするのでした。

 

 ◇

 

 ――共和国首都・とある集合住宅。

 

 地下に続く階段を降りて行きます。この先は貧裕会の皆さまが集まる場所であり、貧民の方々に文字や計算、そして知識を教える場として使われております。大勢集まると、取り締まりを受け捕まってしまうので大勢集まることはありませんが、常時誰かがいらっしゃいます。

 古びた扉の前に立ち、乱れた呼吸を整えてドアノブに手を掛けて力を入れれば、蝶番の音が鳴り響きました。地下の階段は暗く、暗闇に慣れた目は部屋の明かりは眩しいものでした。眩しさに目を細めると、その先にはわたしの良く知る方がいらっしゃいました。

 

 「先生!」

 

 地下室にある小さな丸椅子に座っている方は、わたしに勉強を教えてくださった方です。まだ時間が早い為に彼以外、地下室には誰もいません。

 

 初めて出会った場所はここではありませんが、貧民に勉強を教えている変わり者がいるという噂を聞いて、わたしが先生に会いに行ったことが始まりでした。彼には多くのことを教えて頂きました。

 文字の読み書きに、数字の計算、共和国の歴史、差別について、共和国の未来、道端に生える草花で食べられるものなど、本当に多岐に渡ります。わたしが学園に赴くことができたのは先生と貧裕会のみなさまのお陰です。

 何故なら共和国政府が貧民に対して学園に通う施策していることを全く知らず、手続きのやり方を彼らから聞き利用することができたのです。

 

 「プリエールさん。どういたしました?」

 

 目を閉じたまま、先生はわたしに顔を向けました。彼の目は見えていません。ずっとずっと昔に反政府的な行動を取っているとして捕まり、尋問の際に両眼を潰されたと聞きました。

 どうにか一命を取り留めましたが、先生は一生……視覚から情報を得られなくなりました。

 

 「ルグレさんが……人が変わってしまったようになりました。少し危うさを感じてはいたのですが、最近特に顕著なんです」

 

 先生には私生活の相談をしております。ルグレさんのことも話していますし、学園でのお勉強の内容について、鸚鵡のソルくんのお世話の仕方や黒髪黒目のお方にお会いしたことも。

 黒髪黒目のお方にお会いしたことを、貧裕会の皆さんや学園の方々に言わない方が良いと教えられました。きっと黒髪黒目のお方を信仰する方々により、わたしが担ぎ上げられてしまう、と。共和国政府も怪しいけれど、貧民を過激に扱っていた政党――同時に黒髪黒目信仰を強烈に仰いでいる方々です――の議席数が削がれているので、一昔前より過剰な心配は必要ないとのことでした。

 

 「悪い状況に陥っていますね……」

 

 「どうすれば彼を止められますか? 政界に入って、黒髪黒目のお方に再会し『差別は駄目だ』と言葉を頂くと意気込んでいるようですが……以前、内政干渉になるからとはっきりと断られています」

 

 政治家になったとして彼は本当に黒髪黒目のお方、ミナーヴァ子爵さまに再会できるのでしょうか。以前にはっきりと断られ、共和国政府の皆さまも彼女が政治介入をする気は一切ないと理解なさっているのに。

 

 ただ少し危険な部分はあります。共和国政府も一丸となっているわけではありません。貧民を過激に扱う政党が存在しますし、貧民との融和を唱える政党も、現状維持を是とする政党も存在しています。そして黒髪黒目のお方を過剰に信仰している政党が存在しています。

 

 多数派は現状維持を掲げている政党であり、今回の会談に関わった方々は現状維持を望む人たちでした。だからこそ心の中で黒髪黒目のお方に尊敬の念を抱きながら、必死に抑えていたようですから。わたしも同じ気持ちでしたので、彼らの気持ちは十分に理解しています。黒髪黒目のお方が望んでいないことは、やりたくはないのです。

 

 「彼のお父上は共和国政府内で、かなり力を有していますからねえ。それに政界を引退するか大統領の座に就くか、二つの道を一つに選ぶ時が迫っています。お父上が有するものを彼が引き継げば、政界で早く出世できるでしょう」

 

 ルグレさんのお父さまも現状維持派に所属されています。そして現状維持派の高いポストに就き、国益を齎しているとのこと。

 お父さまと直接お会いしたことはありませんが、ルグレさんは厳格で融通の利かない堅物だと評しておりました。お年を召してから後継者である一人息子のルグレさんが産まれたので、厳しくせざるを得ない気もしますが、真実はルグレさんのお父さましか分からないのでしょう。

 

 「あと、魔術を習得したと仰っていました。彼によると洗脳術のようですが、本当に魔術を使って誰かの意志を変えることができるのですか?」

 

 知識の乏しい私は先生に問いました。魔術は共和国に存在していません。豊富な知識を持つ先生ですら、魔術の使い方を知らないのです。

 

 「魔術について詳しくはありませんが……おそらくできるかと。本当に術を習得したなら我々は対抗する手段を持ちえません。黒髪黒目のお方より先に、政界の皆さまが危険に晒されますね」

 

 西大陸の方々は特に秀でているそうです。魔力と才能と知識があれば魔術を使えることができるのだと先生は仰います。

 

 ゆっくり共和国の皆さまの意識を変えて行こうと、黒髪黒目のお方と会うまでルグレさんは仰っていたのに……そういえば、何故ルグレさんはアガレスに黒髪黒目のお方がいらっしゃると知っていたのでしょうか。

 

 わたしはルグレさんのお父さまか関係者に聞き及んだものと考え疑問を持ちませんでした。アガレス帝国に赴いて共和国の方々がわたしたちを迎えにきた時『どこの情報だ』と問うた時、ルグレさんははっとした顔をして直ぐに鳴りを潜めておりました。

 まさか、なにか隠していることでもあるのでしょうか。でも隠していることなんて誰にだってあるはずです。わたしも貧裕会の皆さまと縁を持っていると、ルグレさんに告げていません。

 

 「機会があるなら私も学んでみたいものですが……――誰か来たようですね。この足音は、彼女でしょうか」

 

 考え込んでいたわたしに気付かないまま、先生が扉の先を見据えました。見えない生活を強いられている先生は、目の代わりに耳と鼻が利くようになったと笑っていました。先生が仰ったことは間違えではないのでしょう。開いた扉の先には先生が指していた人物が立っているのですから。

 

 「先生、プリエール! プリエールは久しぶりだねえ! 元気にしていたかい?」

 

 わたしの顔を確認した途端、彼女は両腕を広げてわたしを迎え入れてくれました。彼女の後ろには会に所属する他の方々も顔を出しています。

 

 「はい!」

 

 そうして彼女の腕の中にすっぽりと納まります。彼女は貧裕会に所属する方の一人で、飢えている方々へ食料の支援を担っています。力持ちで、明るく気さくな方であり、会の中でのまとめ役と言ったところでしょうか。一癖も二癖もある皆さんをまとめているのですから、彼女の人柄が伺えます。

 

 「学園は楽しいかい? ちゃんと勉強はできているの? 貧民と蔑まされてやいないかい?」

 

 彼女に会う度に同じことを聞かれていますが、きっと心からの心配なのでしょう。だからわたしは彼女の顔を見上げて笑います。

 

 「えっと……学園は楽しいです。勉強もきちんとできています。時折、貧民は……と口にされる方もいますが、多くの方はわたしが学園にいることを許してくれていますよ!」

 

 嘘を吐いても仕方ないと現状を伝えたわたしの言葉を聞いて、彼女の腕の力が強まりました。

 

 「プリエールには苦労を掛けるねえ。本当なら誰にだって学ぶ機会はあっても良いものだよ。あたいや他の奴が先に学園に通っていれば、プリエールに向けられる視線も違っただろうに」

 

 あたいは学がなかったからと少し声を落とした彼女が抱きしめていた腕から解放してくれます。

 

 「いえ! わたしはわたしのあとに続く方々がいるのであれば、それで良いのです」

 

 「ん。プリエールは良い子だねえ」

 

 にっと笑う彼女にわたしも笑みを浮かべると、仕事から帰ってきたメンバーが地下室に集まってきます。そうして先生と共にルグレさんの危うさについて説明をしました。貧裕会の方々はルグレさんが政界を目指し、貧民の立場を良くしようと願っている姿を見て好意的に捉えてくれていました。

 

 貧民の皆さまは過激派も現状維持派も良く思っていないので、現状維持派の中心人物の一人であるお父さまを良く思ってはいません。

 貧裕会の皆さまは貧民との融和を唱える政党を支持しているのですから、仕方のないことですが……ルグレさんの意志は現状維持派を変える好機かもしれないと考えていたので、今回の件は懸念事項でしょう。

 

 だからわたしは……ルグレさんを止めるために。

 

 「みなさんにお話があります。わたしを貧民代表として政界に足を踏み入れさせて頂けませんか!?」

 

 貧裕会には政界に伝手を持っています。でなければ、政府から会を解体されてもおかしくないのですが、未だに活動を続けられていることが証明となるはず。おそらく誰か政治家の方との強い繋がりがあると。他人任せと言われるかもしれませんが、それでも、己の力で立ち上がり現状を変えることができるなら。 

 言葉を尽くし、行動に移す。共和国の皆さんと政界の方々を説得して回れば、なにかが変わるかもしれないと願い、わたしは一世一代の無茶を告げたのでした。

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