魔力量歴代最強な転生聖女さまの学園生活は波乱に満ち溢れているようです~王子さまに悪役令嬢とヒロインぽい子たちがいるけれど、ここは乙女ゲー世界ですか?~   作:行雲流水

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0413:会議は大事。

 床に転がっていたままのカストルに乱暴に扱ってごめんなさいと謝ったのだけれど、何故かカストルに慰められることになる。どうやら、いつもより顔つきが微妙だし、魔力の流れも微妙な感じなのだとか。

 クロもクロで仕切りに顔を擦り付けて『大丈夫?』と聞いてきた。私はルグレ少年に自身の言葉が通じなかったことに思うところがあるのか、単純に苛立っているか、どちらかだろうと大きく息を吐く。床に膝を突いたままのルグレ少年は鼻頭を真っ赤に染めているけれど、あまり痛みは感じていないようだ。私のグーパン一発では痛みを与えられなかったらしい。

 

 赤く色付き、熱を持ち始めた右手の拳を見て息を小さく吐けば、公爵さまがカツンと杖を鳴らして私の横に立つ。

 

 「共和国の方々よ、この子供を暫く預かり受けてもよかろうか?」

 

 「ハイゼンベルグ公爵閣下、ご随意に。ただ、命の保証と返却をお願いしたいことと、数名の随伴を許して頂きたい」

 

 彼が共和国政府高官の方々に言い放つと、先ほどの話を聞いていたために公爵さまの意図を理解していた。しかし、駄目と全く抵抗されないのも哀れだなと感じてしまうし、返却って物扱いになっているような。ルグレ少年は共和国にとって価値のない人間と言われているようなものである。それを踏まえれば、私はアルバトロスと亜人連合国や他の国で認められているのは有難いことか……。

 

 「もちろんだとも。他国の者を殺しはしない。ただ目の前の子供から共和国にアルバトロスの情報が齎されよう。内容の他言は控えてくれ」

 

 公爵さまは、どれだけえげつない尋問をする予定なのだろうか。ルグレ少年が正気を保っていたならば、共和国政府に尋問内容が漏れるのは当然である。漏れれば、アルバトロスは酷い国だと言われるのは避けたいのだろう……公爵さまであれば笑い飛ばしそうだけれど。

 

 少年は情報を吐くしかないだろうなあと天井に視線を向ければ、ダリア姉さんとアイリス姉さんが半歩前に出る。

 

 「あ、はい。私も参加しても良いかしら?」

 

 「同じく。参加してみたい~」

 

 軽い調子で手を挙げたお二人が、尋問に参加したいと申し出た。ダリア姉さんとアイリス姉さんが何故、とも思うがベリルさまが怪我を負ったし、思うところがあるのだろう。彼女たちは魔法が使えるので、いろいろと情報が掴めるかもしれない。

 

 「構わぬが……加減を頼みたい」

 

 む、と一瞬考えた公爵さまが、許可を出して条件を付けた。ダリア姉さんとアイリス姉さんであれば無茶はしないだろうし、引き際は心得ているはず。あとはルグレ少年の精神が保たれるかどうかだけれど、お二人の魔法があるので心配はさほどしていない。

 

 「もちろん、心得ていますとも」

 

 「アルバトロスに協力するからね~いろいろと~」

 

 お姉さんズの軽い声にディアンさまとベリルさまが『ほどほどにな』『加減をよろしくお願い致しますね』と仰っていた。

 

 『マスター。ロゼも行っても良い?』

 

 ロゼさんが私の影の中からぴょーんと出てきた。共和国の皆さまが面食らっているけれど、竜もいる世界だしいずれ慣れるだろう。それまでは心臓に悪いかもしれないが。

 

 「ロゼさんも? 公爵さまと共和国の皆さまが仰ったことを守れるなら構わないよ」

 

 公爵さまと共和国が取り交わした約束を守れるならば、どんなことをしても平気だろう。ダリア姉さんとアイリス姉さんならば、傷を負っても魔法で治せるのだから。ロゼさんの魔術は、子爵邸の図書室にある本と副団長さまが仕込んだものだから、今回のことにおあつらえ向きな術を習っていてもおかしくはない。

 

 「ロゼも参加するの?」

 

 「じゃあ、もっと楽しくなるねえ~」

 

 ダリア姉さんとアイリス姉さんが微笑みながらロゼさんを見下ろす。お二人の声にロゼさんが『頑張る!』と答えていた。そういえば副団長さまとダリア姉さんとアイリス姉さんとロゼさんは魔術を魔法の研究を一緒にしていたような……。うーん。同情はしないが、ルグレ少年が秒で耐えられなくなる未来を想像してしまった。

 

 ルグレ少年はアルバトロスの近衛騎士さまにドナドナされて行く。尋問を受ける本人が状況をイマイチ理解していないけれど、嫌でも現実を受け入れることになるはずだ。同時にダリア姉さんとアイリス姉さんとロゼさんも部屋から出て行った。黒い竜についてなにか分かれば良いけれど……こればかりは報告待ちかと共和国の皆さまの顔を見る。

 

 「共和国の皆さま、この度はアルバトロス王国の要請を聞き届けて頂き感謝致します」

 

 私の言葉に、ご迷惑をお掛けして申し訳ありません、と頭を下げる共和国政府の皆さま。ほどほどの所で話を切り上げて、アルバトロス、共和国の面々が部屋から出て行き正式な会議場へと移動した。

 ここから先は鸚鵡さんの話と今回の件や、黒い竜について共和国が知っていること等を話し合う場になる。共和国政府の方々からなにか有益な情報を得られると良いのだが、果たしてどうなるのだろうか。

 

 そうして挑んだ会談の成果はこんな感じだ。

 

 黒い竜と怪しい魔術師の情報を掴めなかったことに気落ちしそうである。共和国政府の方々が悪いわけじゃないけれど、どこか期待していた自分がいた。逃げた竜の居所が分かると良かったのだが、簡単に話は進まないようだ。

 鸚鵡さんの件は五十年前の話であるし、今後に似た出来事があれば亜人連合国に連絡を入れるという取り決めが交わされた。亜人連合国の方々であれば生き物たちと話が通じるので、珍しい生き物を見つけて持ち帰りたいならば通訳するし、嫌がっているのならば止めて欲しいとのこと。

 

 ルグレ少年が起こした騒動については、外務卿さまと宰相さまが上手いこと取り計らってくれた。アルバトロスと共和国、お互いに角が立たないように立ち回っている姿は横で見ていて勉強になった。

 黒髪黒目信仰については、文化として根付いているからアルバトロスは口出しできない。ただ、私や私以外の黒髪黒目の者が現れて拉致などを企んだ場合は容赦はしないと告げていたけれど。

 共和国も他国の黒髪黒目をどうにかしようとは考えていないようで、あくまで信仰の対象としてしか見ていないとのこと。ただ今後、過激派も出てくる可能性もあるから、法律で国外の者に手出し禁止令を設けてくれる。ないよりはマシ的な法律だけれど、今の今までなかったのだから文句は付けられないだろう。

 

 プリエールさんは沢山の方の支援を受けながら政治家を目指し、共和国の差別を解消すべく動いていくとのこと。ゆっくりとした歩ではあるが、彼女であればより良き未来が切り拓けるだろう。

 私は黒髪黒目で他国の者だから彼女に手を貸すことはできないが、心の中で応援くらいはさせて欲しい。ルグレ少年の父親である次期大統領候補も洗脳が解けたのか、自身の息子に良いように操られたことを後悔しているそうだ。

 政治家を引退し、ルグレ少年を償わせ、自身もルグレ少年と共に迷惑を掛けた方々に手紙を認めると仰っているとか。私にも手紙を書く予定らしいが……おそらく手元に届く手紙はアルバトロスの検閲を受けているから、届いたのであればマトモな内容だろう。

 

 あんな精神の幼い子が自身の子だと、親は大変だなあと息を吐くと共和国の面々が椅子から立ち上がった。

 

 「此度は大変ご迷惑をお掛けしました。魔術師の手配や逃げた竜の行方の情報も共有して頂けるとのこと。アルバトロス、亜人連合国には感謝してもしきれません」

 

 共和国政府の代表の方が頭を下げる。

 

 「気になされるな。今回の件は一人の少年が竜を頼り、一国を混乱に陥れようとした。魔術のない国で、術を防ぐのは無理からぬこと」

 

 宰相さまがアルバトロス王国を代表して、共和国の皆さまに言葉を掛ける。私は子爵位なので、貴族としてならば隅っこに座っているはずなのだが、今回は特別に真ん中の席である。いや、まあ、うん。そうなるのは仕方ないけれど。

 

 「亜人連合国所属の竜ではないとはいえ、同胞である竜が人間の街にブレスを放とうとしたからな。迷惑を掛けた」

 

 代表さまが亜人連合国トップとして声を上げる。黒い竜は亜人連合国所属ではないことが確定しているので、野良の竜らしい。

 どこの大陸で産まれたか分からないけれど、人間を食べているようなので代表さま曰く『堕ちた竜』なのだとか。人間を食べるのは、お腹が減って減って減って仕方ない時だけなのだそうだ。食べても栄養にならないし、逆にお腹を壊すこともあるのだと教えて頂いた。代表さまが伝え聞いた話によると、堕ちると人間が美味しく感じるのだとか。

 

 他にも共和国は魔術の存在を知るとともに、ルグレ少年により魔術の危険性も知ったとのこと。攻撃系の魔術は普及させたくないが、治癒の魔術は魅力的なものらしい。医者もいるにはいるが、前世の医療ほど発展しておらず魅力的に見えるみたいだった。魔術の普及については、後日に詳しく話し合いをしようとなって……。

 

 そうして、長い会議を終えた。

 

 本当は美味しい食べ物はありませんか、といつものように聞きたいところだけれど、美味しいものがあると共和国へ行きたくなってしまう。だから今回は聞き出さないし、これから先も聞くことはない。おそらく共和国の大地を踏むこともないのではなかろうか。

 

 さて、あとは尋問の結果を聞かなければと、ダリア姉さんとアイリス姉さんとロゼさんが戻ってくるのを待つのだった。

 

 ◇

 

 ――会談の次の日。

 

 聞いた話によると、尋問後のルグレ少年は凄く素直だったとか。

 

 尋問部屋から出てきた直後は泣き腫らした顔だったと小耳に挟んだ。一体何をしたのだろうと、公爵さまとダリア姉さんとアイリス姉さんとロゼさんになにをしたのか聞いてもだんまりだし、内容はさっぱり分からないままだった。

 でも、みんなが話したがらないのならば碌な内容ではなかったはず。知らない方が幸せな場合もあるし、これ以上突っ込むのは止めようと直ぐに話を切り上げたのだった。

 

 で、尋問の成果は……。

 

 黒い竜が逃げた先は分からないが、ルグレ少年に近寄った理由は彼に話していたようだ。曰く、たまたま話しかけられたから魔術を教え込んだだけらしい。

 出会った先が路地裏で血生臭かったと言っていたから、『堕ちた竜』の話を聞いていた私はまさか……ねえ……と勘繰っている。事実は分からないし、竜が人を食べたとしても裁ける法律はない。逆に人間が竜を殺しても法的に裁けはしないが、なにもしていない竜であれば亜人連合国の皆さまが怒り、悪い竜であったならば同胞が申し訳ないと詫びを入れる。

 

 竜が人を食べることを法により裁けるかどうかは、各国の判断となりそうだった。まあ竜を捕まえられるなら、という条件付きだろうけれど。

 

 黒い竜は方々を転々としているらしい。五百年以上生きた記憶があり、最近は人間とつるんでいるので人間に忌避感はないそうだ。暇だったから南大陸から東大陸へと渡り、共和国をウロウロしてルグレ少年と出会う。魔術を教えるのは初めてだったが、ルグレ少年に才能があり直ぐ覚えられたとのこと。

 

 副団長さまから聞いた話では洗脳の程は微妙だったと聞いたので、ルグレ少年に才能があったのかは疑わしかった。今更だが、ルグレ少年が黒い竜や私と出会わなければ此処まで話が拗れず、プリエールさんと手に手を取って差別を解消する道もあったのではないかと詮無いことを考えてしまう。

 

 黒い竜がつるんでいる人が凄く怪しい気がするけれど、南大陸に赴くには竜の方々の背に乗って移動する方法しかない。アルバトロスと外交している国もないので、乗り込むと『侵略者』と捉えられそうなので、竜の皆さまと南大陸へ乗り込む話は保留となっていた。

 

 ベリルさまが黒い竜を追いかけて行った方角は南と聞いているし、南大陸が怪しいのかなあとアルバトロスの晴れた青空を子爵邸の自室のベランダから眺める。

 庭ではエルとジョセとルカとジアが家族仲良く駆け回っていた。庭師の叔父さまがトレードマークの麦わら帽子の鍔を持ち、微笑ましそうに彼らを眺めている。子爵邸は今日も平和だった。

 

 『良い天気だねえ、ナイ』

 

 クロが私の肩の上で声を上げた。季節は秋。夏の暑さが随分とマシになっていた。

 

 「良い天気だねえ。今日のお昼ご飯はなにかな?」

 

 もやもやしている気分を打ち払うように、今日のお昼ご飯はなにだろうとクロに問うてみた。竜である彼に聞いても意味はないけれど、話に乗ってくれるのでクロとご飯のメニューに関して良く話している。

 

 『なんだろうねえ? 料理長が作るから、きっと美味しいよ』

 

 「うん」

 

 クロの言葉に同意した。料理長さんと料理人さんが作るご飯は本当に美味しい。子爵邸で働く方々の話が外に伝わったのか、子爵家に届くお手紙の中には料理のレシピを教えてくれと真面目な話の中に紛れ込んでいるとか。

 私は料理長さんたちとフィーネさまとメンガーさまの許可があれば、みんなに知って欲しい気持ちがある。ソフィーアさまとセレスティアさまと家宰さまは、今はまだその時期ではないと考えているようで渋い顔をしている。

 

 尤も、突然舞い込んだ手紙だから無視を決め込んでいるけれど。私がお茶会や夜会を開くようになって、そこからゆっくり広まって行けば良いとお三方は考えているようだった。

 

 こんこんと窓の縁を叩いた音に振り返るとリンとジークが立っている。

 

 「こっちにいたんだね、ナイ。部屋の中にいなかったから少し驚いた」

 

 「リン。ごめん、ベランダに出てたから」

 

 彼女が小さな笑みを浮かべて私のもとに立ち、ぎゅっと抱きしめられる。

 

 「ううん。お屋敷の中だし問題ない。私がナイの部屋にきた間が悪かっただけ」

 

 リンが言い終えると、お尻の方へと片腕が回りひょいっと持ち上げられた。普通、こういう行動って男性が取るものだけれど……リンと私の場合、身長差があることと彼女が鍛えていることで苦ではないらしい。彼女の行動にそっくり兄妹の片割れであるジークが片眉を上げながら、口を開いた。

 

 「もうすぐ昼飯だ。食堂に行こう」

 

 どうやらお昼ご飯の時間になっていたようだ。侍女さんが呼びにこなかったのは、ジークとリンが役目を肩代わりしたのだろう。

 

 「うん。リン、流石に恥ずかしいから部屋の外に出るときは降ろしてね」

 

 「……善処する」

 

 リンさんや。いつの間に政治家のような答え方を覚えたのでしょうか。彼女の言葉に苦笑いしていると、約束通り扉の前で下ろしてくれ自分の足で食堂を目指すのだった。

 

 ◇

 

 ――アルバトロス城・大会議室。

 

 アルバトロス、亜人連合国、東大陸の共和国との官僚級会談が催されていました。私もアルバトロス王国、外務卿として参加をしております。今の今まで異能の力で日陰者でしたが、ミナーヴァ子爵さまのご活躍により、私にも光が当たるようになりました。

 

 それはとてもありがたいことですが、数年前まで左遷部署と囁かされていた外務部でしたので少々問題が起こっております。――明らかに、外務部は人員不足に陥っているのです!

 

 嬉しい悲鳴ではありますが、今から人材育成しようにも間に合わないものですし、他の部から人手を借りているものの、彼らは専門的に学んだわけではないので能力不足――手伝いにきてもらっているので、少々言葉が悪いですが――故に事務作業をお願いするくらい。

 陛下と宰相殿に人員強化を嘆願しておりますが、左遷部署のイメージが強い所為でなかなか部署異動を願う者が現れてくれません。今いる人材でやり繰りしているのも、あと一年程度が限界ではないかと考えております。

 

 ミナーヴァ子爵さまと懇意にしている、メンガー伯爵家のエーリヒ殿が優秀な気配をひしひしと感じ取り、学院を卒業する前に声掛けしたい所ですが……ハイゼンベルグ公爵閣下が可愛がっているらしいので、手を出すと痛い目を見そう……というか、見るのでしょうねえ。

 交渉の持って行き方次第でしょうけれど、お仕事が忙しいので公爵閣下にお伺いを立てることすら叶わないのですが……。

 

 と、仕事が忙しいからと言って現実逃避せず会議に集中せねば。外務部は左遷部署からアルバトロスの看板部署へと変わっているのですから。最近、アルバトロス城内で廊下を堂々と歩き、注目を浴びていることが嬉しくて、嬉しくて。

 

 「魔術は術者の心得次第で、毒にも薬にもなり得るものです。アルバトロス王のご許可も頂けましたので、共和国の皆さまが学びたいのであれば我々魔術師団は協力を惜しみません」

 

 魔術師団長が席を立って良い顔で言い切りました。彼は魔術師としては二流といわれておりますが、変態の巣窟である魔術師団の長を務められる者なので事務方として優秀でしょう。彼の息子のお一人は二年前に出世の道から外れてしまいましたが、北大陸のアガレス帝国で魔術師として学び得ることがあるだろうと奮闘中のようです。

 

 「有難い限りです。我々が望むことは、治癒魔術を扱える者が増えることです。国内を探せば、魔術を扱える魔力持ちは必ず現れるはず……ですが、我々には魔力がどれほど宿っているのか判断できません」

 

 東大陸には魔術が普及しておりません。共和国の方々は自国の発展を成し遂げようと必死なご様子。アルバトロス王国で魔術に頼らない場合は、祈祷師や藪医者に掛かるしかありません。彼らの様子を見るに、共和国の病気や怪我の治療はそれほど進歩していない可能性がありそうです。

 そして今回の件をアガレス帝国が話を聞きつけて、問い合わせを受ける場合もあり得ます。今から立ち回り方をいくつか考えておくべきでしょう。

 

 「アルバトロスの魔術師を派遣して、魔力を感知することは可能ですが効率が悪過ぎますな……難しい問題だ」

 

 むう、と唸る魔術師団長。少々芝居のように見えるのは、表情があからさま過ぎるからでしょうか。まあ、彼も魔術師団副団長の陰に隠れていた方です。今回、久方ぶりに表に立てて嬉しい気持ちは、凄く理解できるものです。援護をしておきましょうかと、小さく片手を挙げれば議長殿から発言権を得られました。

 

 「教会を頼ってみては如何でしょうか? 魔力測定器を借り受けることができれば、共和国政府の皆さまが扱えましょう」

 

 魔力測定であれば教会を頼るのが一番です。魔力測定器の原理は秘匿されておりますが、いくつか条件を付けられた上で貸出ならば可能でありましょう。こうなると聖王国も出張ってくるのでしょうか。なんにせよ、話の運び方次第で事が大きくなりそうだと議長へ視線を向けます。

 

 「教会がどう出るか分からないが……ここで議論するより彼らに直接聞いた方が早いな。陛下の許可を求め、教会に聞いてみるか」

 

 議長が小さく言葉を零して、部下の者に指示を出すと会議場から出て行きました。陛下の下へ行きお伺いを立て教会に話を持って行くのでしょう。話が大きくなってきていると、会議室に座す方々の顔を見回すのでした。

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