「も、もうやめてくれぇ!!」
「情けない声を出すなよ。闇ギルドだろ?アンタたち・・・覚悟も無しに調子に乗ってんじゃねぇぇえ!」
少女の拳が男の鳩尾に叩き込まれ遥か後方へと弾き飛ばされる。男は壁を砕きついにはギルドの外まで吹き飛んでいった
ここは闇ギルド「黒薔薇の庭」
二人の少女が通路からやってくる人影に目を向ける。一人はいかにも活発的な印象があるが女性のラインがしっかりとある少女、もう一人は幼い雰囲気に物静かな雰囲気の少女だ
「グレン。こっちは片付いたよ」
「私も・・・終わりました」
グレンと呼ばれた青年は短く返事をすると、ギルドから出て行く。闇ギルドをたった三人で壊滅させた噂はすぐに広まることになるだろう。そして、さらに幽鬼の騎士の噂は広まるのだろうか
数年前からこういう噂がある。幽鬼の支配者の中にはギルドからかけ離れた位置にいる凄腕の魔道士がいると
彼らは独立部隊「幽鬼の騎士」と呼ばれている。ギルドの中で唯一評判のよい三人。そのうちの一人は滅竜魔道士だと
青年グレンは月の光を浴びながら、雫を飲むように口の中に光を入れる
拳にほのかな光が宿り青年は自身の所属するギルドのことを考える
幽鬼の支配者。聞けば、先日妖精の尻尾のギルドを襲撃したという話だ。無論、こちらにそういった話はなかなか回ってこない。。加えて依頼を取りに行く時以外は街にすらいないのだ。ギルド内では煙たがられ、外に出れば幽鬼の支配者というだけ避けられる
ロウガンは溜息を零しつつ一つの決断をした
「幽鬼の支配者はきっと妖精の尻尾がその気になるまで手を止めないだろう。いずれは大きな問題に発展し戦争が起こる。俺はきっと彼らに・・・妖精の尻尾に手を貸すだろうな、そうなれば俺たちはこのままではいられない・・・アリス、リタ。お前たちはどうする?」
「あたしはこのチームがあるうちはアンタに手を貸すさ。その後は・・・旅にでも出てみたいな。もっと世界を知りたい!」
「私も・・・うん。世界を見て回りたい・・・かな」
アリスとリタは元々どこかに囚われていたらしい。命からがら逃げてきたが力尽き、その時にマスタージョゼに拾われたという話だ。二人はあまり過去を話そうとしない、だからグレンも詮索はしない
ギルドの在り方に不満を持っていた二人だが助けられたという恩もありギルドをやめることもできず途方にくれていた、そこでこの部隊の話を持ちかけたのがグレンだった。二人はそれを喜んで引き受けた
そして今に至る。この戦争をきっかけに幽鬼の支配者が潰れれば晴れて本当の自由を手に入れることができるであろう。二人からしたら願ってもないことだ
「そうか・・・なら、いい」
青年は僅かに微笑むと歩き出す
ギルドへと戻る道中に妖精の尻尾を訪れようと考えていた。数年前までは妖精の尻尾のミラジェーンやリサーナ。エルフマン、エルザ、カナ、グレイ・・・他にも数々の妖精の尻尾の魔道士と依頼を共にしたことがある。いつも幽鬼の支配者の街にいない理由は大概三人で様々な場所を見て回っているからだ。その時偶然居合わせたギルドのメンバーと共に仕事を手伝ったりしていた・・・・・まぁ、直接的なものは少なかったが
しばらくして、ジョゼから妖精の尻尾と関わることを禁止されていたが今の状況ならそれも問題ないだろう。いずれ争うことになるのだから
リタとアリスを開放してやったときは・・・
「置いていくぞ!早く歩けってば」
「はやく・・・・」
「お、押すなって。わかったから」
リタに急かされつつ、アリスに背中を押されて列車の待つ駅へと走るのだった