真・三國無双〜星彩の守り人〜   作:意思を継ぐ者

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今、剣義くらい眠いので短めです。 



第四話 星彩様と二人っきりなのに何て日だ!!その1

今日は張飛様と張苞様のイビキのせいで一睡もできていない為、この世界に転生してから一番眠いと言っても過言ではない……。

 

「私たちの苦労が少しは分かったようね……」

 

大欠伸をしながら、歩く僕の横で星彩様が呟く。

 

「はい、十分過ぎるくらいに……」

 

あんな地獄のような夜を星彩様と張敬様は毎晩過ごしているのか……。

よく正気を保っていられるなぁと尊敬する……。

そりゃ星彩様と張敬様が自分たち専用の寝室を欲しがるわけだ。   

 

「二手に別れましょう 私は魚を釣ってくる……剣義は薪をお願い」 

 

「ですが僕は星彩様の護衛です もし星彩様に何かあったら張飛様や信じて送り出してくれた夏侯姫様に合わせる顔がございません」

 

「大丈夫……武器もあるから……迷惑はかけない」

 

今日は星彩様と念願のデート……ではなく、食材探しと薪拾い。

本来なら、僕だけの仕事なのだが、今日は星彩様が強く同行をご希望されたので二人での行動となる。

 

「承知致しました……でも本当にお一人で大丈夫ですか?」

 

意外と星彩様は頑固で一度でも言い出したら、その意思を曲げることはない。

まぁ星彩様は武芸に秀でていて、訓練でも男性兵士をあしらってしまう程には強いから大丈夫だとは思うけど……。

 

「ありがとう……心配はいらない」  

 

「絶対に何かあれば、大声で叫んでください 近くには居りますので」 

 

「分かった……」    

 

今回の星彩様の同行は張飛様留守にしていなかったら、絶対に許されなかっただろう。

何故なら張飛様はああ見えて、非常に過保護であるということ。 

どちらかと言うと夏侯姫様の方が子供を育てることに関しては肝が据わっているのは意外ではあったが。

イメージ的には逆だと思ってたから、印象というものは全くあてにならない。

 

「じゃあ後で落ち合いましょう……」

 

一緒に狩りをすれば、吊り橋効果とかあるかも……と少し期待してたのだが、そういう展開はどうやらなさげで残念だ……。

スタスタと川辺に向かう星彩様の背中を眺めながら、僕のことをどう思っているのだろうかと、ふと考えてしまう。

嫌われてはいないと思うが、感情を表に出すタイプではないので何を考えているのか分からない場合がしばしば……。

たまに真顔をしながらノールックでボケてきたり、冗談を言ったりするので一瞬、戸惑うことも多々あるのだが後から思い出してみるとギャップがあって可愛く思えてくる。

まぁ残念ながら、異性として意識はされてないんだろうなぁとは思う……。

今後、星彩様が僕を異性として意識してくれることを目指して色々と磨いていかないと……。

星彩様の姿が見えなくなったのを確認すると、僕は薪を拾いに裏山へと入っていく。

とりあえず下に使えそうな薪がかなり落ちてるがまだ拾わない。

理由は今、薪を拾ってしまうと徐々に重くなり、坂道を上るのがキツくなってしまうから。

先ずは薪がどれくらいあるのか確認しつつ、坂道を上り、目標とする量ままで目測で達したら、そこから薪を拾いつつ下ってゆく。

このやり方こそ、僕が雨の日以外は毎日続けてきて会得した体力温存ができる薪拾いの極意である。

さてさて、目視で確認しているが、今日は使えそうな薪が結構落ちているので、そこまで高い位置まで上らなくていいようだ。 

いつもなら、そこから薪を拾いつつ下りてゆくのだが、今日は勝手が違った。

 

「この辺からでいいかな……ん?……」

 

おや?……。

少し先の大木に背を預けながら、苦悶の表情を浮かべつつ、右腕をさすっている銀髪?の若い女性の方が視界に入る。

声をかけるべきか悩む……訳有りくさいし……。

でも……放っておいたらおいたで男が腐りそう……。

まぁ声くらい掛けてみるか。

ヤバそうな雰囲気だったら、すぐ会話打ち切ればいいだけだし……。

とりあえず僕はその女性の方へと向かい、目の前まで行くと声をかけた。

 

「あの、すいません」

 

「な、何だ貴様は!?……」

 

貴様て……。

やっぱ声かけない方がよかったかもしれない。

だってメチャクチャ機嫌悪そうだし……。

 

「僕は薪拾いに来た者ですけど? あなたこそ何なんですか……」

 

「この先の街の者か?」

 

「そうですが何か?」

 

「いや……すまぬ 私も街の者なのだが、散歩に出たまではよかったが、不覚にも右腕を怪我してしまってな 少し、頭もボーッとするので休んでいたところだ」

 

こんな裏山に散歩?……。

少し違和感を感じたが、まぁ張飛様と出会った時の夏侯姫様もそんな感じだったらしいしから有り得なくはないのか……。

これも何かの縁。 

一応、怪我した時用の包帯と薬草はあるから、軽く手当くらいしてあげるか。

 

「ちょっと失礼しますよ」

 

「お、おい!? 何をする!?」

 

「何をって、手当するんですよ 動かないでください」

 

「や、やめろ!? 手当などしなくともっ! うっ!? イタッ!!……」

 

彼女は右腕で僕の手を払いのけようとしたが、痛みからだろうか、苦悶の表情を浮かべる。

 

「ほら、言わんこっちゃない……いいから早く見せてください こっちも忙しいんで」

 

彼女は観念したのか、腕の力を抜いた。

服の腕を捲っていくと、肩に傷を発見したのだが、その傷を見て僕は声をかけた事を後悔する。

傷口自体は浅かったものの、明らかに刀でつけられた傷だったからだ……。 

しかもさっかに僕の手を振り払った際に、傷口が開いたようで出血している……。

この女性、絶対に何か訳有りだろう……。

まぁでも今更、手当しないとか言えるわけないし、とっとと応急処置してトンズラしよう……。

僕は薬草をすり潰した塗り薬を彼女の傷口に塗る。

 

「ウッ!?……い、痛い!?」

 

「我慢してください すぐ終わりますから」

 

薬を塗り終えると、止血も兼ねて包帯を腕に巻いていく。

 

「貴様、街の者だと言ったな?」

 

「はい、そうですが何か? 貴様って口悪いですねぇ お姉さん顔はかわいいのに言葉遣い荒すぎますよ……」

 

「か、可愛いだと!? この私がか!?」

 

ツンデレタイプか、このお姉さん……。

お世辞に決まっているだろう。

まぁ実際、顔は可愛いとは思うけど。

 

「落ち着いてください また傷口が広がりますよ」

 

「すまない……かわいいなどとは一度も言われたことがなかったから、つい取り乱してしまった」

 

「へぇ それはちょっと意外です 言われてそうですけどね」

 

「私は小さい時から一人だったからな……私の周りには友と呼べる者などいない……だからそんなこと言われたこともなかった」

 

友達いなかったんかい!……なんてツッコミできるはずもないし、そんなナイーブな話しされても反応に困る。

てか、何があったんだよこの人……。

 

「まぁでも今から作ればいいと思いますよ? 友って多けりゃいいもんじゃないと思いますし……はい、これでよしと」

 

包帯を巻き終えた僕は、ようやくこの訳有りの女性から解放される安心感からか、睡魔が酷くなってきた。

早く、帰って横になりたい……。

 

「貴様に助けられたな 名は何と言う?」

 

この人、貴様って呼称しか知らんのか……。

まず自分から名乗れよ……。

この人の親の顔が見てみたい。

 

「あぁ……名は剣義で字は龍心です」

 

「そうか、剣義か 礼を言うぞ」

 

「いえいえ、では僕はこれで……」

 

後は薪を拾って星彩様と合流して、帰ったら暫く寝よう。

 

と思っていたが、僕が背を向けた途端。

 

グゥゥゥゥゥ!!という獣の唸り声が聞こえた。

 

虎、熊、猪、狼……山の中は猛獣がいっぱいだ。

 

警戒しながら進まないと……おや?……。

どうやら、その唸り声は彼女のお腹から発生しているようだ。

 

「え」

 

「あ、いやそのこれはだな!……」

 

「まさかお腹空いてます?……」

 

女性は恥ずかしそうに顔を赤らめ、コクリと頷く。

てかお腹から出る音、独特すぎるだろ……。

 

「仕方ないですね……これ食べますか?」

 

僕はため息をつきながら、お弁当箱を取り出すと、目の前の女性に渡す。

僕のダメなとこだ……。

困ってる人を見るとほっとけないのは、何回人生やり直しても一緒か……。

 

「だがこれは剣義のではないのか?……」

 

「お腹減ってる訳じゃないからまぁ……」

 

僕は夏侯姫様に心の中で謝罪する。

夏侯姫様が早起きして、作ってくれたお弁当を……。

本当に申し訳ない……。

とりあえず、この人が食べ終わるまで座って待ちますか。

 

「美味い!! こんな美味いモノを食べたのは久しぶりだ!!」

 

「それは良かったですね……」

 

どんだけお腹空いていたんだよ、この人は……。 

 

「そう言えば、自己紹介がまだだったな 私は呂玲綺」

 

名前聞いてないし、別にいいのに……。

もうどうせ会わないだろうし。

 

「あぁ、そうなんですね……」

 

「剣義、今日の恩は一生忘れない もし良ければなのだが私の、その……初めての人になってはくれないだろうか?」

 

「は、はい!? 何ですかいきなり!?」

 

大胆すぎる……。

メチャクチャ積極的だな……。

てか初めて女性から告白されたわ。 

 

「ダメか?……私の良き友、良き親友として剣義ならと思ってしまったのが迷惑だろうか?……」

 

「え……あぁ、なるほど そっちの初めてですか……」

 

距離の詰め方下手か……。

勘違いした自分がメチャクチャ恥ずかしい。

こういう期待持たせる言い方は勘弁してくれ……。

 

「いや、友達くらいならまぁ……」

 

だる。

てか眠い……限界だこりゃ……。

正常な判断ができなくなってる……。

どんどん僕の視界がボヤけて、辺りが暗闇に包まれた。

 

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