SDガンダムフルカラー幻想郷劇場(SDガンダムフルカラー劇場×東方Project)   作:たくらまかん

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シャア
「フランをムサイに住まわせてみないか?」

咲夜
「え」

フラン
「ムサイってあの変なの?」

レミリア
「ダメだ!」

シャア
「やっぱりか」

咲夜
「それはそうですわ」

レミリア
「フランをあんな“むさい”ところに置けるかー! なんつって」ドヤァ

シャア
「さむっ!」

レミリア
「あれ?」

咲夜
「ドン引きです」

レミリア
「え?」

フラン
「もう金輪際話し掛けないでレミパン」

レミリア
「あれぇ?」



フラン、ムサイに住む!

 お姉様が地下に顔を見せたことはどれほど久しぶりだろうか。

 私が力の比べっこで勝った辺りからだから、もうかなり前になる。懐かしいなんて姉妹の間で言うことじゃないのは分かっているけど、この瞳に映るその姿は、焼きつくほどに懐かしく思えた。

 あの後、私達はすぐ地上に上がり、お姉様の部屋へ場所を移したところで、お姉様からあらためてシャアやじおんのことを教えてもらったのだ。

 

「へー。さっきから思ってたけど赤くてかっこいいね! 紅魔館みたい」

 

「お、分かるか?」

 

「うん!」

 

 甲冑を着ているのかな。ツノとか左の肩のトゲトゲがなんかかっこいいしかわいい。シャアを触ってみると、身体は鉄のようにすごく堅い。だけどまんまるのお手々はもちもちしてて触り心地が良かった。

 

「妹様、彼らはこういう顔であり、こういう身体なんだそうです」

 

「おぉー」

 

 咲夜がそう教えてくれて、私は素直にすごいと思った。だってこの世の中にこんな不思議な妖怪ーー、じゃなかった。もびるすーつなんて生き物が居るなんて知らなかったもの。

 

「それで、シャア。フランをムサイに住まわせるなんてどういうことだ。ことと次第によっては容赦しないぞ」

 

 そう言い、お姉様はさっき地下でシャアが発言した内容を指摘する。その表情は敵を見るかのように険しいものだ。しかし同時に疑問が浮かぶ。そう言ってくれるなら何でフランと会ってくれなかったんだろう。何故ずっと私と会ってくれなかったんだろう。姉を眺めていると、胸の奥でぐるぐるともやもやした気持ちが蠢く。

 その時、

「うむ、その前にレミリアーー」お姉様に向けられていたシャアの丸いピンクの目が一瞬だけ私を捉え、再びお姉様へと動く。何故彼がこちらを見たのか分からない。でもなんとなく、まかせておけって言ったような気がする。

 

「何よ?」

 

「地下に置いた理由をちゃんと妹に教えてやれ」

 

 心が跳ねた。ちょっと目を合わせただけなのに彼は私の言いたかったことを代弁してくれたのだ。そしてシャアの手がお姉様の両手を掴み、強制的に私の方へと身体を向ける。

 

「ちょ、何するのよ? まず私の質問に「五十六連pーー」分かったわよ言うわよ!」

 

 意味不明な言葉を言いかけた途端、お姉様は掴まれていた手を振りほどき、渋々といった感じに私に視線を合わせた。そこには私の知る強いお姉様は居なかった。

 

「フラン、あのね。聞いてもらえる?」

 

「う、うん」

 

 叱られることに怯える子供のような弱々しい顔で尋ねるお姉様に、私は喉を鳴らす。気づくと胸は高鳴っていた。もしかしたら、嫌われているかもしれない。

 お姉様はそのことを明かそうというのだろうか。だから私はずっと地上に出られなかったんだ。怖い、……怖いよ。

 でも、お姉様の口から出た言葉は予想もしていなかった内容をだった。

 

「ぶっちゃけて言うと。あなたは正直私より強いの」

 

「うん」

 それは知ってる。

 肩透かしをくらい、その意見に肯定すると発言した本人は勢いよくずっこける。

「えぇ!? 否定してよ!」と両手で上半身を起こしながらお姉様がこんなはずではなかったような顔で私を見る。

 いやー、だいたいはそんなんだったよ?

 

「だって昔っからお姉様なにやっても弱かったんだもん」

 

「そ、そんなことは……あ、あるわね」

 

 お姉様との勝負を思い返し、私は視線の先に両手を広げ、記憶の片隅から指を折って数えていく。

 

「じゃんけんに、キャッチボールにトランプにゴム跳び。お姉様全部弱かったじゃない」

 

「そ、それも理由のうちよ。だから、姉としてあなたを抑える自信がなかったの。力加減の出来ないあなたを地上に置いていたらメイド達が怪我をするわ」

 

「は?」

 

 お姉様からそんな事を聞かされ、私は両手を力いっぱい握った。瞬間、お姉様の部屋の何かが大きな音を立てて爆ぜる。

 

「ぎゃー、私のクローゼットがー!」

 

「何よソレ! 自分の力くらい自分でなんとか出来るもん!」

 

「出来てないじゃない! 現に! 私の部屋で! 今ここで爆発したわ!」

 

 無意識に能力を使ってしまったらしいが、今はそんな心配はどうでも良い。そうなってしまったのもお姉様がふざけた理由を話した為だ。

 納得できず、私はお姉様を罵る。

「お姉様のバカ!」

 

「バカって言った方がバカよ!」

 傍にシャアと咲夜が居ることを意識せず、私達はひたすら互いを罵りあう。

 

「おいそろそろーー」

 

「「シャアは黙ってて!」」

 

 いくら私の気持ちを分かってくれたとはいえ、今水を差されるわけにはいかない。止めに入ったシャアを振り払い、私はふつふつと滾る熱に乗った。

 

「お姉様の悪魔!」

 

「フランの吸血鬼!」

 

「アホかオマエら!」

「……これはフォローのしようがありませんわ」

 

 

☆★☆★

 

 困ったことになった。私の想定通りなら、レミリアがフランに理由を説明する(そこそこ深刻な理由)→フラン納得→姉妹わかりあう→で私がカッコ良くあの提案の意図を明かすつもりが和解どころか喧嘩になってしまった。

 それも向き合う上でのひとつの形だが、先ほどの爆発がフランの能力ならば悠長に構えているわけにもいかない。最悪の結果になる前に咲夜に手伝ってもらおうか。思い立った私は傍で控えている咲夜を呼ぶ。

 

「咲夜」

 

「は、はい」

 

 私は彼女に三たびあの制服を着て事態を収拾することを提案する。真っ先に思い浮かぶ解決策であり、現段階では必勝の手段である。様になっていたし、受けてくれる姿は想像に難くなかった。

 しかし、その案を聞いた咲夜の表情は曇天に急変する。

「うっ……、またアレですか」

 

「嫌そうにすんな。最初に着たのはオマエだろ」

 

「そ、それはアポリーさん達がモテモテになるって」

 

 なるほどあいつらがそんな事を言ったのか。つーかモテモテって古いな。頬を赤く染めて俯く彼女を励まし、すかさずあの姿で臨むことの意味を説く。

 

「えぇい! 似合っててカッコ良かったんだ。レミリアの為に妹の為にあの服を纏え、勝負する時を逃すな!」

 

「え、あぁ。く、分かりました!」

 

 心が決まれば早いものである。いがみ合うスカーレット姉妹を鋭く見据え、咲夜は空間に姿を消す。そして、

「お待たせしました少佐!」

 メイド服からじおんの制服へと着替えを済ました彼女が再び現れた。これでことは成る。

 

「行け咲夜!」

 

「了解です。すぅ〜、……気を付けえェいっ!」

 

「「っ!?」」

 

 見事である。咲夜の叱咤が飛ぶや、火花を散らして罵りあっていた少女達は即座に姿勢を正した。先ほど彼女があの制服を着て現れた時はアポリーとロベルトを恨んだが、今はあいつらに感謝しなければならない。

 

「これから少佐よりお言葉がある。小娘ども心して聞け!」

 

「さ、ささ咲夜? 私、今「何か言ったか?」ごめんなさい黙ります!」

 

「咲夜、さっきもだけど時々様子が「あぁん?」ご、ごめんなさい!」

 

 けしかけておいてアレだが、すまん。

 叱られ、涙目でビクビクと怯えながら背筋を正す紅魔の姉妹に罪悪感を抱きながら、私は先に申し出た案について改めて口にする。

 

「で、さっきの続kーー「少佐が喋ると言ったァー!」咲夜はいポーズ」

 

「ピースって、何撮っているんですか少佐ァー!?」

 

☆★☆★

 

 恥ずかしい。

 誘導されてまたあの制服を着用し、お嬢様達にご静聴たまわったのだけど、あろうことかノリにノっているところを少佐に写真を撮られてしまった。能力を使って写真機を破壊出来たから良いものの。思わずカワイイポーズで写ろうとした自分を思い返すと歯がゆくて仕方ない。

 

「あ、少佐お帰りなさい」

 

「おーう」

 

「お疲れ様です」

 

「お疲れー」

 

「あぁ、彼女達がお隣の」

 

「うむ。良いとこのお嬢様達だ」

 

 私の恥はともかく、あの後に少佐は妹様を預かる旨についてあらためて説明してくださりました。そして今、私達は件のムサイを案内してもらったのだけど、入ってみると艦内はアポリーさんやロベルトさんと同じザクさんがたくさん居る。

 ザクさんがたくさん……。ザクさんがザクさん。ざくさん。

「ぶふっ!」

「うわ、何いきなり笑っているのよ咲夜!?」

 いけないいけない。自分でもつまらないと思った瞬間、こう……気持ちが昂ぶってしまった。何事かとこちらを振り向く少佐と妹様の視線を浴びながらお嬢様に頭を下げ、私達は最上階のブリッジへと到着する。

 それにしてもお風呂やキッチンはもちろん、ベランダで菜園を行っていたり、紅魔館までとはいかないけど充実していたのは不思議な感覚である。これが宇宙船だとつい先ほど少佐に聞いた時は信じ難かった。

 

「どうだムサイは」

 

「ほ、本当に宇宙に行けるの?」

 

「行ける。行けるが今はなんでか戦艦の調子が悪くてな。動けるようになったら乗せて宇宙を見せてやるよ」

 

 信じ難い。信じ難いけど、宇宙なんて想像もできないから素直に行ってみたい。お嬢様達も私の意見と同じらしく、瞳を輝かせて少佐を見ている。なんだか微笑ましい光景ね。

 

「まぁ、さっきの話だが。フランはこれからな感じはする。自己制御は出来るだろ」

 

「っ、シャアもそう思うよね!?」

 

「な、何を根拠にそんなことが言えるのよ?」

 

 少佐の言葉に姉妹がそれぞれ異なる反応をするも、彼は妹様に微笑むこともなく、お嬢様に不遜な態度を取ることもなく淡々とその心意を答える。

 

「だってな。さっきレミリアと言い合いした時に能力だっけか? そいつで爆発させたろ」

 

「あ……うん」

 

 途端に妹様は表情を曇らせてしまう。そんな彼女の手を取り、少佐は上目遣いに優しい声で想いを綴った。

 

「それでレミリアと言い合いしてた時にお姉様がーって言ってたろ? それで、ああこの娘は出来ないことを野放しにせず、ちゃんと制御したいって思っているとピンときた」

 

「……でも気分がこう、ブワーってなるといつも能力を使ってて。でもでも自分で使いこなしたいの!」

 

「なら、後は人付き合いをやれば良いーー」

 

 少佐が教えて下さったことは私では考え及ぶことのなかった領域だった。

 妹様を成長させる為にムサイへと一時的に居を移すこと、モビルスーツならば妹様の遊び相手に足る者も多く暇を持て余すこともない。それに家族だけではない者たちと暮らすことで妹様にとっても良い体験となるのだと、私達に説明してくれた。

 それも一時的にと前提に明言しているから配慮も欠かしていない。初対面にしてはお人好し過ぎる気もする。何で少佐はそこまでしてくれるのだろう。

 

「オマエらに聞くが、このムサイに来てザク達に会ってどうだった。無礼を働く奴は居たか?」

 

「居なかったわ」

 

「みんな声を掛けてくれたよっ!」

 

 確かにみんな気さくだったし働き者だった。掃除とかもキチンと手を休めず受け答えしていたし、話はじめたら世間話の止まらないウチのメイド達に見習わせたいほどである。

 

「居候なら大歓迎だぞ」

 

「お姉様、私ここで暮らしてみたい! ザク達と遊びたい!」

 

「でも、あいつらがあなたの遊びについてこれるか!」

 

「いいんじゃないか? ぶっ飛ばされるなんてのは日常茶飯事だし」

 

「っ! ど、どんな日常送っているのよあなた達」

 

 しれっと答えた少佐に真剣な雰囲気をぶち壊され、かるくずっこけながらお嬢様がツッコミを入れた。たしかにあんなにも気さくな彼らが吹き飛ばされる姿を想像すると、そのお気持ちは同意できるわ。

 

「じゃー、さっそく遊んでくるね!」

 

「妹様、今は彼らに安寧をあげてください」

 

 

 

☆★☆★

 

 何故彼はこうも世話を焼いてくれるのだろうか。ついさっき知り合ったばかりだというのに。

 

「心配ならレミリアも様子を見に来たらどうだ」

 

「ふうん。ありがたい話ね」

 

 ザク達の反応を鑑みてここの住人に不安はない。能力を行使するまでもなくこいつらはおひとよしだし、私達と仲良くしてくれるだろう。というより、門番を手伝っていたアポリー達が良い見本である。

 

「分かった。フランのことお願いするわ」

 

「え!? お姉様良いの?」

 

 何を聞き返すことがあるか。住みたいと願ったのはあなたじゃない。

 そう思った時、私の口からは自然と笑みがこぼれていた。

 

「フラン。今まで、その……ごめんなさい」

 

「え、お姉様。や、やめてよ。らしくないよ」

 

 自分でもそう思う。でも、心を尽くしてくれているシャアを前にすると、私も姉でなくてはと考えてしまう。本当に不思議な奴ね。

「そんな不安そうにしないの。私は私よ。あなたには何もしてこれなかったけどーー」

 少し泣きそうな顔を見せる妹の頭を撫でながら私はもう片方の手の親指でシャアを指す。

 

「これからはこの私と赤い彗星が、姉として兄としてあなたを導いてみせるから、喜びなさい」

 

「っ。うん!」

 

「おい待て。私にはもう妹が居る」

 

 思わずため息が出る。

 せっかくフランが笑ったというのに水を差さないでほしいものである。というよりもシャアに妹が居たというのは初耳だった。だから私達の扱いが上手なのかもしれない。

 

「でも、ここまで世話焼きが過ぎると流石に兄的な存在を感じてしまうわよ兄さん?」

 

「うん、これからよろしくね。お兄様」

 

「いや話を聞け」

 

 ノリが良いのはスカーレット家の誇るべきところである。私の言葉から心を汲み取るフランに私は嬉しくなる。この気持ちはそれも一因だが、やはり一番の理由はやっと、久しぶりに姉妹で揃って立てたということだろう。

 シャアめ。姉妹が揃ったら無敵だと知らないのかしら。

 

「咲夜、今夜はさっそくフランと泊まるわ」

 

「こちらに」

 

 返事と共に荷物は用意されており、咲夜が私達に鞄を譲渡してくれた。中身を確認すると、パジャマに歯ブラシに石鹸にと装備は充実している。流石は我が従者である。

 

「咲夜良くやったわ」

「良くやったー」

 

「紅魔館のメイドとして当然ですわ」

 

「はぁ。別に世話焼きは否定しないが兄はやめてくれ。アルテイシアに何を言われるか」

 

「あら、兄さんは妹の願いも聞いてくれないそうよ。フラン」

ー 神槍「スピア・ザ・グングニル」ー

 

「おっけー」

ー禁忌「レーヴァティン」ー

 

 真紅の槍を掴む私の目配せを受け、フランは花の咲いたような笑みを浮かべ、その手にS字状に湾曲した黒杖を握る。辺りにピリピリとした妖力の余波が広がる。流石にモビルスーツにも効くのか、シャアはその顔を蒼くして狼狽した。

 

「やめろ! 分かったからその手に出した武器しまえ!」

 

「それで良いのよ。シャア」

 

 まあ、所詮は冗談だしね。彼の慌てようを楽しんだところで私達はそれぞれの得物を霧消する。まったく、あの咲夜をけしかけたお返しなんだから。身の安全に安堵の表情を見せる彼を視界に収めながら、私は嬉しそうに微笑む妹の手を密かに握る。

 

「あ、お姉様」

 

 ぴくりと手を震わせ、驚いた表情で見返す妹に私は途端に焦燥感を抱く。これまでの今日でさすがに馴れ馴れしかっただろうか。でも、

 

「握りっこするの、久しぶりだね。お姉様」

 

「うん」

 慈愛の顔を見せてくれたフランのおかげで私の胸に渦巻いていた不安はすべて払拭された。お父様、お母様。今ほどこの子と姉妹であれたことを嬉しかった日はないわ。




フラン
「えーい!」
ー禁忌「レーヴァティン」ー

ザクII部隊
「GYAAAA!」

シャア
「おー、やってるな」

グフ
「うむ。これなら部下共にとって良い訓練になるだろう」

シャア
「ほー」

グフ
「よし、今日からフランには頑張ってもらおう」

フラン
「じゃー次これね♪」
ー禁忌「フォーオブアカインド」ー

ザクIIその1
「負けるかー!」

ザクIIその2
「オマエらへこたれるなー!」

ザクII部隊
「おー!」

レミリア
「なんか、大丈夫そうね」

咲夜
「そうですね。だからといって参加しないで下さいね」サスガニカワイソウナノデ

レミリア
「し、しないわよー。やーねーさくやったら」セナカニグングニル
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