SDガンダムフルカラー幻想郷劇場(SDガンダムフルカラー劇場×東方Project)   作:たくらまかん

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〜人里〜

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「此処か」

慧音
「む? 何だ君達は? れんぽーのモビルスーツなのか?」

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「ほう、れんぽーを知るか……。今よりこの人里は我らじおんが占拠する!」

慧音
「何!? (じおん、たしか新聞にはれんぽーの敵とあったな)簡単に行くと思うな!」

ザクII
「先生、社会の窓が開いてる」

慧音
「!? イヤ! って私はズボンなんかグハァ!」

????
「フフフ。ホワイトベース、博麗神社。そしてこの地さえ抑えれば幻想郷など取るに足らん」





いざ紅魔館へ、え!? 人里が!?

〜ホワイトベース・ブリッジ〜

 

 難なくグフ隊を撃破することが出来た後、オレは霊夢にオレ達が今後取る方針を相談しつつ、連中プラス黒い三連星を縛って母艦へと帰宅したのだった。

 

「あイタタ! ちょっと、ガンキャノンもっと優しくしてよ!」

「その痛みが生きてるショーコ。ほいっ」

「ーーぎにゃあぁぁ!?」

 

 グフによって負った傷はたいしたことないんだけどなぁ。でも軽い怪我でも染みる時あるんだよねー。ガンキャノンがピンセットで脱脂綿に染み込ませたイ◯ジンを斬り傷のある肩へと当てがった刹那、ホワイトベースの窓が割れそうなほどの悲鳴が艦内に響き渡った。

 今、霊夢は上着を脱ぎ、サラシで胸元まで締められた姿でガンキャノンに傷の手当てをしてもらっている。本来女の子が肩を露出させてる姿って色気とかあるはずなんだけど、そんなものが無いのが不思議でなりません!

 

「シュッ!」

「うわ危なっ!?」

 

 いきなり赤く長い針がオレを襲った。シールドで受け止め、霊夢を見遣ると涙を滲ませた目は半月のように吊り上がってこっちを睨んでいた。

 

「今失礼なこと考えたでしょ!?」

「してないしてない! 霊夢ってかわいいなーってオモッテタンダヨー」

「ガンダムガンダム、棒読みだから」

「先輩、途中から無表情無感情で言ってまスよね!?」

 

 魔理沙とリッキーに指摘され、さすがに悪気があったことを感じた。再び霊夢に視線を向けるとガンキャノンに再び傷の消毒を受けて悶絶していた。

 

「まだ途中だろ!」

「も、もう無理ぃ〜!」

「我慢しろ!」

 

 放置しておこう。

 

「てか幽香さー」

「何かしら?」

 

「……何事もなく話進めてるな」

「魔理沙さん、アレが先輩っス」

 

 この状況である、太陽の畑が気がかりになったオレは泣き叫ぶ霊夢を見てニヤニヤしているドSにあの場所の状況を伺った。以前、ガンタンクに勧められて行ったことがある。凄い絶景で感動しただけに悪影響が出てないと良いけど。

 

「今のところはね。普通の向日葵とは違う種だから……、でも長くは持たないわよ?」

 

 最後の部分で意味深に微笑む幽香を前にした瞬間、背筋が凍りつくような寒気を感じる。何とかするわよね? いやしなさい。と眼で脅sーーもとい語り掛けているのだ。まー、あんな綺麗な向日葵畑を枯らしてしまうのはもったいなさ過ぎるし。その解決策を今からみんなに聞いて貰うつもりでいる。

 

「ところでそこでお寝んねしているひとつ目どもはどうするのかしら?」

 

「いたぶる」

「たんく名案」

 

「……う、うーん。ガンダムとたーちゃん? せめて捕虜は大事にしましょうよ。ね?」

 

「えー」

「みんなはどっちの味方?」

 

 

 殺気を放ってたはずが幽香は打って変わって不安そうな表情を浮かべる。彼女の言葉に対し、ガンキャノン達に弁護してもらおうと振り向くと、みんな一様に幽香の言に頷いており、手当ての完了した霊夢と魔理沙に至っては顔を青ざめていて頬を引きつらせていた。

 

「やめて! オレ達は善良なモビルスーツだから!」

「だったら彼らに向けているバルカン砲とか止めなさい」

 

 ただでさえややこしい状況だから、たんくとで気絶しているうちに再起不能にしておきたかったんだけど幽香に止められちゃった。まー今はこいつらに構っている時間もないし、さっさと話をしますか。霊夢に目配せをするとオレの意図するところを察してくれたらしく、

「あのね、紫から聞いたんだけどーー」彼女から話をしてくれた。さっき紫から聞いた郷の状況、そしてオレが考えた異変解決に対する案についてである。

 その案というのがまず、オレに霊夢、リッキーと魔理沙で霧の湖へ向かうことだ。

 

「お、オレっスか!? 頑張るっス!」

「へー。フフン。ガンダムも良く分かってるじゃないか〜」

 

 説明するや快諾してくれるふたりに、オレも良い気持ちに包まれる。

「このふたりなんだから断る姿想像出来ないでしょ?」

 安心しているところへ霊夢が苦笑しながら言い聞かせる。はじめこの話を持ちかけた時は別に私達で十分と突っぱねてたものの、じおんの存在がある以上は火力もサポート役も必要になってくるのだ。

 

「やっとドラ◯エらしくなってきた」

「みじんもねぇよ」

 

 たんくにぶっ飛ばされ、衝撃で気絶する間もなく続けざまに名前が挙がっていないコ達から、仔細の説明を求める声が掛けられることになった。それがーー、

 

「そうよ、私達が人選から外れた訳は説明してもらえるのよね?」

「いや、オレは別に構わないんだけどな」

 

 たんくと幽香、ガンキャノンの三人だ。

 特に幽香としては先述の件もある為、直接異変の犯人にお灸を据えたいのだろう。解決ウンヌンよかソッチ!? 微笑む彼女から余裕半分、残りが不機嫌さを感じる。

 ……すっごい怖えぇ!

 

(ちょっと、ガンダム!? 顔真っ青ーー白目向いているわよ!? しっかりしなさいよ!)

 

(あばばばば、レイム。霧の湖へは君が、は!?)

 

 綺麗なお花畑が目の前に広がっていたんだけど、霊夢に揺さぶられたことで目が覚めることが出来た。そうだ、オレはこんなことでリタイアしてる暇なんかないんだ。強く決意を固め、三人と視線を交わしたけれど視界に映る景色が突然ぐるぐる渦を巻き出しのだ。

 アレ、なん、だ、ろ? キ"モ"チ"ワ"る"く"な"ち"ゃ"っ"た"。

 

「実hーーおええ!」

「あぁ!? ゴメン揺すり過ぎちゃった! 魔理沙拭くもの拭くもの!」

「ちょっ、バカ巫女! 私のエプロンで拭くなァー!」

「先輩大丈夫っスか!?」

 

「……ガンキャノン、たーちゃん。こいつらぶっ飛ばすわよ」

「「おっけー」」

 

 友人達の騒がしくも賑やかな声が何処か遠くで聞こえてくるような感覚がおぼろげな心に響き渡る。そんな不思議な雰囲気の余韻を味わっているところを、通常の三倍の衝撃がオレ達を襲った。

 

☆★

 

 激しい目覚ましを受けた後、やっと事の仔細を打ち明けることが出来たんだけど、なかなか一筋縄じゃいかない。ガンキャノンはなるほどなと納得してくれたのに、たんくと幽香がまだ憮然としているのだ。その理由というのがやはり、

 

「この私とたーちゃんを守りに置いて面白いことしにいくなんて、ねぇ?」に尽きるのである。ガンタンクもそーだそーだと相槌を打ち、お出かけ組から漏れたことに不平さをアピールしている。

 

「いやさホントはたんくや幽香にこっちを頼もうとも思ったんだけどさ。あの黒い三連星を瞬殺? した光景見た途端に、ホワイトベースの留守をお願いしたいなーって」

 

 何せじおんは卑劣で顔も中身も最低な連中の集まりだし? お出かけ中にウチにちょっかい出された時なんか想像したら心配で心配で堪らない。

 

(あ、ガンキャノンを選んだのはふたりのサポートね)

(エェェ?)

 

 口元を手で隠し、幽香達に聞こえないように実際の役どころを話した途端、ゴーグルアイを歪ませたガンキャノンが小さく嫌そうな声をあげた。現状でふたりが最強なのは変わらないんだけど、反動でホワイトベースが無残な結果になりそうな予感がするのだ。こういう時ガンキャノンしか頼りにならないし。

 

「わーガンキャノンにお願いしたいなー」

 

 自分でも吐き気を催すぐらいに可愛い子ぶって言うと、ガンキャノンからは、たくっと言いつつも役割の承諾を得ることが出来た。これで心配の種がひとつ消えたことになる。

 

「……ガンキャノンはああだけど、ふたりはどうするんだよ?」

「私からもお願いするわ。じおんの連中ってば二回も神社を襲ったから、癪だけど心配なのよね」

 

 魔理沙、霊夢がオレの意図するところを代弁してふたりに説く。幽香もまだ不服な表情を浮かべていたんだけど、縛ってあるグフ達を一瞥した後、仕方ないと言いたげに小さなため息をついた。

 

「分かったわよ。留守番くらいはやってあげるから、このうっとおしい天気、さっさと晴らしてちょうだい」

「えー」

「たーちゃん、私達は必要とされているんだから。それに応えるのも淑女であり、紳士たりうるのよ」

「うーん、わかった。ガンダムのいうこときくね」

 

「ふたりともありがと」

 

 これで後ろを気にする必要もない。待望の結果を迎え、お出かけ組のみんなを見回すと霊夢達も胸のしこりが取れたようにホッとした笑みを浮かべてオレを見ていた。これで洋館に行ってさっさとこんな天気を終わらせてしまおう。じおんにはまだ手強い敵が残っているだろうけど、この三人とガンキャノン達の留守があれば何とかなるはずだ。不思議とそんな想いがオレの中で湧き上がってくる。

 

「霊夢!」

「準備は完了よ」

 

「魔理沙!」

「ミニ八卦炉の調子も悪くないぜ!」

 

「リッキー!」

「何処までもついていくっス!」

 

「よーし、行くz「助けてください!」?」

 

 その声は聞き覚えのあるものだった。戸を叩きながら必死に助けを求める声だ。それもひとりではない。

 

「人里が、んく、人里がじおんに!」

「お願い、このままじゃ!」

 

 間違いない。艦内に届く、か細くも悲痛な想いを響かせたのは稗田阿求ちゃんと本居小鈴ちゃんの声である。オレはランドセルのノズルに火を灯し、加速してホワイトベースの玄関へと赴いて扉を開けた。そこには服を傷めた彼女達が激しく肩で呼吸している姿がある。頭の中が真っ白だ。けど、くしゃくしゃに顔を歪めてすがるふたりを、オレはこの小さな身体でぐっと受け止めることは出来た。

 

「あれ、オレ今主人公らしいことしてる!?」

 

「ガンダムさん……」

「台無しですよぉ」

 

「う、ごめん」

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 それは突然の連続だった。窓から眺めたところで人里が紅い霧に覆われたいることを知り、店の外に出たところを、あの単眼のモビルスーツが大挙して押し寄せてきたのである。

 根拠はないけれど、直感的に彼らは敵だと思った。

 

「失礼」

「あ、あなた達!? まさかあなた達が空をこんなふうにしたの!?」

「それは上の命令だから、答えるわけにはいかん。やれ」

「よいしょっと」

「そんな、きゃあ!?」

 

 質問を一蹴するや、四人が受付に座っていた私に歩み寄り、あろうことか私の身体をひょいと担ぎだしたのだ。そしてそのまま店内を移動した彼らは玄関から外に出たところで私を下ろしてこう言ったの。

 

「店番はやっておくから、バイバイ」

 

 彼に続き、三人がバイバイと述べて手を振り、突然の連続に思考が追いついていかない私を置いまま、鈴奈庵に入っていくと玄関の扉を閉めてしまったの。み、店番って……。

 

「貸本業やったことあるの!?」

「え、ソコぉ!?」

 

 私の身に起きたありのままを雪の女王様ばりに説明したところでガンダムさんから行きついた着眼点にツッコミを入れられてしまった。

 

「だ、だって日付の書き方とか」

「いやいや、乗っ取られたとこ見ようよ」

「……え?」

「何で可哀想な者を見るような眼をされてるかなぁオレ。でソッチはどうだった?」

 

 めいっぱい納得いかないため息をつき、ガンダムさんが次にことの成り行きを聞いたのは私の傍で出されているお茶を飲む阿求だった。

 

「阿求、何のんびりとお茶飲んでいるの?」

「小鈴ちゃんは黙って」

「もがぶっ」

 

 何て傍若無人なっ! ガンダムさんの意図を汲んだらしい魔理沙さんに口元を塞がれてしまい、発言らしい発言は制限された。ってか、魔理沙さん締めてる首締めてる!

 

「私も概ね小鈴と同じです。突然、ザクさん達が家に押し寄せて、「お宅の管理はしておくから」って言われて抱えられて、気づいた時には外でポツンです。湯呑みぐらい戻したかったです」

 

「あー、だから湯呑み持ってるんだ」

「あー、まふぁふぁぐもふふぁっべっかむふぁおで」

「魔理沙、意味分かんないから放したげて」

「おっけ」

 

 お情けを貰い、私は再び発言の自由を得る。もちろん魔理沙さんを睨むのはやめない。一瞬だけ。それにしても阿求が羨ましい。湯呑みとはいえ、私物を持って来られたんだから。

 ふとその直後、私の中で何かとてつもない感覚が湧き上がる。忘れてはいけないことがあったのに。次第にもやもやしたものが込み上げてくる。

 ーー!? 頭の中で火花が散った。あの後、阿求とで目撃した衝撃的事実が鮮明に写し出された。それは彼女も同様で、気づいた時に私達は互いを見合わせていた。

 

「ガンダムさん!? 慧音さんが、慧音さんがじおんを名乗るモビルスーツに囚われています!」

「青いツノがついたひとつ目の!」

 

 それを伝えた瞬間、辺りが一気に静まり返った。特に人里の事情を知る霊夢さんと魔理沙さんは私達の報告に疑うような視線を向けた。

 

「っ、待て!」

 

 突如発せられた声は艶のある大人の男性だった。この面々でそのような者が居ただろうか。辺りを見回す私と阿求を他所に、ガンダムさん達の視線が部屋の隅に縛られたひとつ目のモビルスーツ達に注がれる。

 

「人里へこのオレを連れて行け! これは聞いていない!」

 

 青いツノのついたモビルスーツはどことなく慧音さんを捕らえたあの者と似ている。まさかーー、

 

「ガンダムさん、彼は!?」

「え、負け犬」

「     」

 

 あ、石になった。

 

 

 




幽香
「……で、どうするの?」

ガンダム
「うーん。まあ信じるよ」

グフ
「恩に着る」

ガンダム
「なら人選練り直しか。幽香とリッキーはグフ連れて阿求達と人里へ行ってー」

阿求
「案内します」

小鈴
「慧音さん、待っててください」

リッキー
「決まれば速攻っス!」

グフ
「ああ、誰の命令か確かめなければ」

幽香
「結局信じるしかない、のねぇ」

ガンダム
「ガンキャノン、リッキーの代わりに一緒に来て」

ガンキャノン
「おー、任されて」

ガンダム
「たんくは黒三とザクどもの監視。起きたら脅して良いから味方にして」

ガンタンク
「えー」

ガンダム
「いっぱいぶっ飛ばして良いから」

ガンタンク
「やったー」

霊夢
「……何か、気絶してるこいつらがかわいそうになってきたわ」

魔理沙
「偶然だな。私もだ(店、大丈夫かな」

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