GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版 作:ウルヴァリン
……月明かりが見当たらない新月。
俺たちは明かりもない丘の上にいた。
いや……正確には潜んでいたと言った方が正しいだろう。
念入りに偽装され、塹壕や掩蔽壕を設置して敵から自分の姿を見せないように息を殺して潜伏している状態だ。
無線機にて聞こえてくる通信や暖機運転をして待機している車両に金属が擦れ合う音。
俺たちはアメリカ海兵隊。
日本の要請と条約に基づいて派遣された第31海兵遠征隊という組織になる。
展開している丘の下には隊列を組み、音を立てずに前進してくる武器を手にした敵部隊。夜襲を仕掛けるには絶好の暗さで、戦力差は実に10倍以上とされていたが、俺を含む隊員はしっかりと敵を見ていた。
<ミスフィットから全部隊に通達。敵が突撃破砕線に接近中だ。距離500になり次第、自衛隊が照明弾を打ち上げる。それを合図に自由射撃を許可する>
「こちらリーパー01。了解したHQ」
海兵隊指揮所から通信を受け取り、俺は小声で簡単に返答する。そしてライフルの銃口をしっかりと敵部隊の隊長らしき男に向け、照準器を覗き込んでトリガーに指を置いた。
そして暫くしてから空が一気に明るくなった。
自衛隊が打ち上げた複数の照明弾により敵の存在ははっきりと見えるようになり、逆に敵部隊は夜襲が成功するであろうという考えしか持たなかったのか非常に混乱していた。
敵の装備は俺たちみたいにボディアーマーやライフルなどではなく、鎧兜に剣、盾、槍、弓など中世ヨーロッパのような時代錯誤の編成だ。しかも縦隊で隊列を組んで移動しているという俺たちにとって戦術とも呼べない行動だ。
だがここが異世界ということを証明するかのように、隊列の中にはゴブリンやオークのようなモンスターの姿も確認されている。
だが所詮は雑魚だ。
俺たちにとっては射撃演習の的が動いているようにしか見えない。
だが1人だけ違う動きを見せて素早く状況を理解した上で馬を走らせる敵がいたが手加減は無用だ。
ダックインされた戦車よる砲撃が始まり、続けて味方部隊が一斉に射撃を開始し、立て続けに敵兵をなぎ払っていく。
海兵隊からも攻撃が開始され、俺もトリガーを引いた。
自衛隊や海兵隊員も続けて敵に射撃を加えていき、次々と死体の山を築いていく。
俺は奴等を許せない。
3ヶ月前に奴等の一方的な日本への侵略で民間人が見境なしに殺され、そこで俺は大切な人を失った。
全てのきっかけは3ヶ月前の日本で起きた事件‘‘銀座事件’’から始まった……………。
銀座に妻と旅行に来たエース。だがそこで運命の歯車が動き出す。