GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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09:リーパー

敵軍勢を退けて1週間、ゲートから次々と後続部隊が到着して陣地構築に力が入ってきた。

 

昨日には第2段としてオブザーバー的存在のイギリス軍輸送部隊やオーストラリア陸軍工兵部隊が到着して指揮系統の完成と陣地構築を急がせた。

 

陣地構築は野戦教範に基づいて中世ヨーロッパレベルの戦術に対して最も有効なヴォーバン式星型要塞として内部に兵站に必要な様々な設備が用意された。

 

一方で2日前に行われた方針会議によれば、人種や産業、宗教や政治形態の調査が必要であるという結論が成されたようで、今回の調査では自衛隊との合同となる。

台湾軍は台湾軍で訓練を兼ねた地形調査が行われることとなり、戦車を使用して実際に担当地域を偵察しながら走らせるらしい。

 

俺は上官のシュガート大佐からリーパー隊の出動を命じられ、伊丹が指揮する第3深部偵察隊と共に集合していた。

 

 

「第3偵察隊‼︎集合しました‼︎」

 

「リーパー隊集結完了‼︎」

 

 

俺と伊丹の前には偵察隊として合同する第3偵察隊とリーパー隊の面々が集結していた。

第3偵察隊の副官である桑原曹長に我がリーパー隊副官のコーエンス曹長は共に50歳らしく、性格も似ているからすぐ意気投合したようだ。

 

俺たちリーパー隊は副官のコーエンスを含めて海兵隊の分隊基準である合計15人の隊員で編成されている。

 

 

「第3偵察隊に上番した…伊丹です」

 

「リーパー隊指揮官のエース・クレイグ中尉だ」

 

 

伊丹は戸惑いながら名乗り、俺は声を変えずに無表情で返答する。

だが無駄話は時間の無駄でしかなく、名乗ると俺たちはすぐに車両へと乗り込んだ。

 

自衛隊は国際任務仕様のジャパニーズハマーこと高機動車、73式小型トラック、軽装甲機動車を使用しており、俺たちは3両のM1151に分かれて乗り込んだ。

 

全員が乗り込むとジャパニーズハマーを先頭に正面入り口を通過して陣地の外へと出た。

 

俺たちリーパー隊の任務は担当地域の偵察であるが、道中にある集落で伊丹たちとは別行動することになる。到着後は集落で情報を集めた後に伊丹達は西、俺は北へ向かう。

 

車列の一番前を走行するハンヴィーの助手席にて地図を見て周囲を確認していた。

 

 

「今の位置はここだな?」

 

「はい。このまま道なりに進めば集落があるとスカウトチームが特定しています。距離は50kmといった処ですな」

 

「そうなる。一先ず伊丹達とはそこで別れることになる。集落の人間が友好的なら全く問題はないが、もしテロリスト共の仲間だったら遠慮なく潰してやれ」

 

「また縁起でもないことを………」

 

「それがリーパー隊だ。敵がいるなら遠慮なく死神の如く死を振り撒いてやれ」

 

「そうならないことを本当に祈りますよ」

 

 

 

俺とコーエンス曹長の間にM27 IARを手にしている茶髪のショートヘアをした活発な印象が強い女性隊員のシンディ・ゲインフォート伍長が顔を出して話す。

 

このリーパー隊におけるマスコットを務めるリーパー01のチームリーダーで、子供っぽい外見とは裏腹に実家が代々続く格闘一家で、こいつも確か柔道黒帯を有している格闘技のプロだ。

 

格闘技なら俺を上回るが…………天然のバカということは問題だが戦闘になったら頼りになるからいいだろう。

 

 

 

「俺も無益な戦闘なんざ望んではない。だが降りかかる火の粉は払わなきゃならないだけという話だ」

 

「中尉がいうと重みが全く違うような気がするのは自分だけでしょうか?」

 

「大丈夫っす隊長‼︎もし敵がいるなら私がギッタンバッコンにしてやりますから安心しちゃって下さい‼︎」

 

「それをいうならギッタンギッタンだ」

 

「ふぇ?でも前にシモンズが日本は旦那様をお出迎えするときに裸にエプロンでお出迎えするって教えてくれた時にこういってましたよ?」

 

「……………はぁ……」

 

「あのバカ………後で拳骨だな」

 

 

 

ゲインフォートになんともバカな冗談を吹き込んだリーパー02チームリーダーに呆れていると、車内に取り付けられている無線機に通信が入った。

 

 

 

<3-2からリーパー00。送れ>

 

「こちらリーパー00だ。どうした?」

 

<あの……ちょっと頼みがありまして………うちの隊長を止めてくれませんか?>

 

「伊丹がどうかしたか?」

 

<これ聞いて頂けましたら分かります……>

 

 

 

栗林2曹から通信で無線機に耳を傾ける。すると栗林は伊丹が乗るジャパニーズハマーの通信機の周波数に合わせたようで、そこから何やら明るい歌が聞こえてきた。

 

 

 

「………なんだこれは?」

 

<もぅ無理なんです⁉︎だから中尉から隊長にやめるよう言って下さい‼︎>

 

「……………栗林軍曹」

 

<やってくれますか⁉︎>

 

「………頑張れ」

 

<ええぇええええええええええええええ‼︎‼︎⁉︎⁇⁇>

 

 

 

俺は無線機のスイッチを切った。

 

 

 

「………向こうも苦労してるみたいですね?」

 

「まぁな。別に気晴らしに歌うのは構わんが作戦中に無線機の送信しっぱなしは感心せんな。あとで注意だけはしてやるとしよう」

 

「ですな………」

 

 

 

そんな他愛もない話をしながら車列は田舎道を突き進む。それから暫くして最初の集落であるコダ村に到着し、幸いにも協力的だったのでそこの村長からそれぞれの方角には集落が存在することを確認できた。

 

それから伊丹の第3偵察隊は西側へ向かい、俺たちは北側の集落へと向かった。

 

因みにリーパー02のシモンズ・ワークス伍長の頭にはデカイコブが出来ていた……………。




東側の集落へと向かう伊丹達。その集落に差し掛かる森の直前に異変を感じた。
燃え盛る森。伊丹達は自然災害と思うが、そこに巨大な影が姿を現した。

次回[燃え盛る森]
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