GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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10:燃え盛る集落

コダ村にて情報を得ることが出来た俺たちはエースが隊長をしてるリーパー隊と別れて東に位置する森の集落へ向かう。

 

本音をいえば今のエースと別れるのは得策じゃなかったかもしれない。

 

敵に奥さんを殺されて仇打ちをする為に躍起になってる。

 

コダ村の村人が温厚だったから何も起こらなかったけど、仮に敵の仲間だったら間違いなくエースは容赦なく全滅させるだろうな。

 

もしそんなことしたら俺たちは侵略しにきたように見えてしまい、敵に大義名分を与えるキッカケにもなる。

だから監視としてでも同行した方が良かったかもしれないけど、別れてしまったんだから仕方がない。

 

集落へと向かう俺たちは青く広がる晴天の下を移動していた。

 

 

 

「空が青いねぇ。さっすが異世界だよ」

 

「こんな風景なら北海道にもありますよ。俺はトロール族や巨人族が歩いてたり、ドラゴンや妖精が飛び交う風景を想像してたんすけど、これまで見かけたのは人間ばっかだし、ガッカリっす」

 

「そんなに猫耳娘がいいのかよ?」

 

「別に猫耳娘でもエルフでも、妖艶な魔女や貞淑な淫魔とか情熱的な吸血鬼でも………」

 

「楽しい話を遮って悪いが倉田、このまま道なりに進むと川がある。その川沿いを右に曲がって進むとコダ村の村長が言ってた森が見えてくる筈だ」

 

「了解」

 

 

 

おやっさんが地図を見ながら進む方向を確認する。衛星が存在しない異世界での移動を考えてGPSはもちろん持ってきていない。

 

だからおやっさんみたいに地図の読み取りに精通したベテランがかなり重宝されるから俺が不在の時はおやっさんに指揮を任せることにしてる。

 

暫く移動していると目の前に透き通った川が見えてきた。

 

 

 

「言った通りの川だ。さすがおやっさん。頼りにしてるよ」

 

「どうも……頼られついでに意見具申します。伊丹隊長」

 

「ん?」

 

「森の手前に到着したら野営にしましょう。このまま進めば夜になるかと……」

 

「賛成。じゃあおやっさんは無線機で栗林や富田達に知らせて」

 

「了解です」

 

 

 

そのままおやっさんは無線機を使って後方の73式小型トラックと軽装甲機動車に連絡を始める。

 

 

 

「一気に乗り込まないんですか?」

 

「いま乗り込んだら何があるか分からない森で夜になっちゃうでしょ?それに村に住んでる人達を脅かすことになるよ。

俺たちは国民に愛される自衛隊だよ。この任務は友好的な関係を作ることも目的だからね」

 

「隊長、連絡終わりました」

 

「サンキューおやっさん」

 

「それで隊長、前から聞きたかったのですが、海兵隊のクレイグ中尉とはどんな関係なのですか?」

 

「あぁ。俺が中学生の頃にあいつは日本に留学生で来日してたんだよ。そん時に俺とクラスメイトになって仲良くなったって訳さ」

 

「幼馴染……ではないですね」

 

「高校に進学する時にアメリカに帰って今でも連絡を取り合ってるんだけど………今のあいつを見てると人って怖いって思うよ」

 

「そうなんすか?」

 

「あぁ。何でも銀座で巻き込まれて奥さんを殺されたらしいんだ。今のあいつは俺の知ってるエースじゃ………なんだ?」

 

 

 

不意に前方の様子がおかしいと感じて、倉田とおやっさんも前を見る。すると目的地の森から派手に黒煙が立ち上っているのが確認された。

 

 

 

「あれは………山火事か?」

 

「倉田、確か森の手前に丘があるって話だからそこに向かってくれ。様子を見るぞ」

 

「了解」

 

 

 

倉田に指示して黒煙が立ち上る森に向かう。暫くして山火事が見渡せる丘に到着した俺たちは周辺警戒しつつ双眼鏡を使って火事を見る。

 

 

 

「燃えてますねぇ」

 

「あぁ……盛大にな。大自然の脅威だな」

 

「というか怪獣映画ですね」

 

「怪獣映画って………今なにか動いた」

 

 

 

燃え盛る森の中に何か動く物を見つけ、すぐに確認したが俺は驚愕した。

 

 

 

「ありゃま⁉︎」

 

 

 

そこに映し出されたのは火災現場を羽ばたく赤い物体。全開に広げたら何mあるか分からない翼を羽ばたかせ、口からありとあらゆるものを灰に変えてしまう灼熱の炎を吐き出している巨大生物………ドラゴンだ。

 

異世界の代名詞であるドラゴンが目の前にいる。

 

驚愕しているのは俺だけじゃなく、倉田やおやっさん、栗林や富田達にも緊張が走っていた。

 

 

 

「あれは………首一本のキングギドラ……」

 

「おやっさん古いよ……」

 

「隊長、これからどうします?」

 

「栗林ちゃ〜ん……おいら1人じゃ怖いからさ〜……一緒についてきてくれる?」

 

「嫌です」

 

「あっ……そう……」

 

 

 

簡単に拒否された。

 

まぁあんな如何にも凶暴な生き物に近付きたい奴なんている訳がないよな……。

 

暫く様子を伺っているとドラゴンは力強く羽ばたいて何処かに飛び立っていった。

 

 

 

「飛び去っていきますね」

 

「…………あのドラゴン……何も無い唯の森を焼き討ちする習性があると思うか?」

 

「どういうことですか?」

 

「コダ村の村長の言葉を思い出して見るんだ。あの森には………」

 

「……集落⁉︎」

 

「やべぇ⁉︎じゃああのドラゴンが襲ってたのは村人か⁉︎」

 

「おやっさん。野営は後回しだ。生存者の捜索と救出。また戻ってくるかも知れないから対空監視といつでも逃げれる準備をしておいて」

 

「了解……全員‼︎移動用意‼︎」

 

 

 

ドラゴンが襲ってたのは集落だと確信した俺たちはすぐに車両に乗り込んで火災現場へと向かう。途中で辺りに雨が降り出し、到着した頃には鎮火していたが凄惨な光景が広がる。

 

焼け崩れた建物に燻る大地。生々しい光景が広がっていた。

 

 

「まだ地面が燻ってます」

 

「これで生存者がいたら奇跡っす………って隊長……あれって「言うなよ」ふぇ………」

 

 

 

瓦礫に紛れて飛び出す黒焦げになった遺体。中にはドラゴンに食べられたのか下半身しかない遺体も確認された。

64式小銃改2型を手にして辺りを捜索するが一向に生存者らしき人物は見当たらない。俺は井戸に腰を下ろして一休みすることにしたら栗林が歩み寄って来た。

 

 

 

「隊長、この集落には建物と思わしき建造物が32件で確認された遺体が27体と少なすぎます。瓦礫の下敷きになったかドラゴンに捕食されたと思われます」

 

「てことは……死者は間違いなく100人以上に上るな」

 

「酷いものです。ゲートの遭遇戦で確認されたワイバーンは腹部か頭部に12.7mm徹甲弾でようやく貫通したらしいです」

 

「空飛ぶ戦闘車って事だな………ドラゴンの種と生息地を調べておいたほうがいいよな………それと栗林。リーパー隊に連絡して対空警戒と速やかに合流するようにって。それとアルヌスにも連絡いれといて」

 

 

 

そういうと俺は何気に桶を井戸に投げ入れて水を汲もうとする。だがここで再び違和感を感じた。

 

 

‘‘コーン’’

 

 

 

「ん?」

 

「いま…コーンって音が……何でしょう?」

 

 

 

栗林も違和感を感じたようであり、ライトを取り出して井戸の中を照らした。

 

そこに映ったのは……。

 

 

 

「⁉︎」

 

「人だ………人がいるぞ‼︎」

 

 

 

俺たちが探し求めていた生存者だった……………。

 

 

 




ドラゴンの出現という報告を受けた谷中尉。偵察と地形調査を中止してアルヌスに撤収しようとするが、その直前に盗賊に襲われている民間人を見つけ、谷はすぐさま救出を開始する。


次回[首無騎士の少女]
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