GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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16:紅蓮の暴君

「リーパー00から全隊員‼︎コンタクト‼︎前に出ろ‼︎」

 

 

無線機の出力を最大にしてリーパー隊全隊に聞こえるように指示をする。目の前に現れた赤い巨大に力強い翼、ありとあらゆる生物を平伏させる獰猛な黄色の眼球。

伊丹から話を聞いていた炎龍とかいう古代龍であるということに間違いがない。

 

炎龍はキャラバンの中央を奇襲して灼熱の火炎を吐き出し、馬車を薙ぎ払い、逃げ惑う村人を次々と捕食していく。

 

これ以上はやらせはしない。

 

俺はハンヴィーの窓を開けてM27 ICCを構えて発砲する。

 

 

 

「エイリアン退治ならお手の物なんだがな‼︎こいつはスケールが違い過ぎる‼︎」

 

「口を動かす前に手を動かせ‼︎牽制射撃‼︎炎龍をこっちに引きつけろ‼︎」

 

<リーパー02了解‼︎>

 

「リーパー03は逃げ遅れた一般人を救出しろ‼︎任せたぞザイヤー伍長‼︎」

 

<こちらリーパー03了解です‼︎>

 

 

 

リーパー03に一般人救出を指示して炎龍をその間こちらに注意を引き付ける為に銃撃を開始する。

伊丹達も前に出て炎龍に攻撃を開始したようで、高機動車の助手席から伊丹が64式小銃改2型で牽制しているのが見えた。

 

 

 

「ルイス‼︎キャリバーの弾幕を絶やすな‼︎出なきゃこっちがやられるぞ‼︎」

 

「分かってます‼︎ですがジリ貧です⁉︎まるで効いちゃいません⁉︎」

 

「中尉‼︎奴の口に変化あり‼︎」

 

「まずい⁉︎ブレスが来る‼︎避けろ‼︎」

 

 

 

こちらに注意を引き付けることには成功したが、返礼として奴はブレスを吹き出して来た。

幸いにも直前に動作を察知出来たので回避することには成功したが、ブレスを受けた地面は一部が融解し始めていた。あんなものをまともに受けたら一瞬であの世行きになっちまう。

 

 

 

「くそっ⁉︎火力が凄まじい⁉︎」

 

「図体がでかいから頑丈だ⁉︎まるで戦車だ⁉︎」

 

「まるでじゃなく完全に戦車みたいな敵です⁉︎このままじゃこっちが本当にやられちゃいます‼︎」

 

<3-1からリーパー00‼︎>

 

「伊丹‼︎無事か⁉︎」

 

<いまエルフの女の子が目を覚まして情報をくれた‼︎目を狙え‼︎いくら奴でも目は柔らかい筈だ‼︎>

 

「そうか‼︎」

 

<奴が動きを止めたらパンツァーファウストⅢを使う‼︎対戦車火器なら効果がある筈だ‼︎>

 

「了解だ‼︎奴の目に火力を集中させる‼︎こっちも合わせてランチャーを奴に食らわせる‼︎」

 

<頼んだ‼︎3-1終わり‼︎>

 

「リーパー00からリーパー隊各員‼︎奴の目に火力を集中させろ‼︎」

 

「了解‼︎たっぷり弾を食らわせてやる‼︎」

 

 

伊丹の報告を受けて全員が一斉に炎龍の目に火力を集中させる。

 

どんな屈強な生物であったとしても急所の1つである目に関しては攻撃を防ぎ切れない。しかもよく見るとそれを表すかのように奴の左目には弓矢が突き刺さっており、失明していることがよく分かった。

 

先程まで何にも怯まなかった炎龍は両手で顔を覆い隠すように怯み、動きを止めた。

 

 

「いいぞ‼︎」

 

<動きが止まった‼︎勝本‼︎LAM(110mm個人携帯対戦車弾)で仕留めろ‼︎>

 

「曹長‼︎そのまま速度を保て‼︎ロックフォール‼︎AT-4を奴の腹にぶち込んでやれ‼︎」

 

「了解‼︎」

 

 

軽装甲機動車に乗るサージェント勝本に合わせてロックフォール上等兵に対戦車兵器のAT-4 CSで仕掛けるように指示。ロックフォールはすぐに構えるが無線機で勝本は自衛隊の癖を出しているようだった。

 

 

<おっと‼︎後方の安全確認>

 

「Die you son of a bitch!!」

 

 

全員が思っただろう。

 

 

‘‘いいから早く撃て‼︎‼︎’’

 

 

そんなことを考えながらロックフォールと勝本はほぼ同時に射出するが悪路に揺らされたことにより照準が狂い、弾は外れる軌道を飛んでいた。

外すと思ったがいきなり高機動車から報告にあったハルバートの少女が屋根に飛び上がり、ハルバートを回転させながら炎龍目掛けて投げた。

 

そのハルバートが足もとに突き刺さると一瞬だけ電気が走った直後に地面が爆発したかのように盛り上がって、外すかと思われた2発の弾頭はパンツァーファウストⅢが左腕、AT-4CSが右脇腹に命中。

 

爆煙を発しながら左腕と脇腹の肉の一部を失った炎龍は悲鳴をあげ、失った身体の部分を見た後にこちらを睨むと翼を羽ばたかせながら逃げていった。

 

まるで"この屈辱は必ず晴らす"と言っているようだ。

 

それを確認した俺たちは車列を停止させ、俺もハンヴィーから降りて逃げ出す炎龍、そして損害を受けたキャラバンを見た。

 

 

 

 

 

炎龍撃退の晩、俺たちは丘に炎龍によって犠牲になった148名を丁寧に埋葬し、黙祷を捧げた。

伊丹達は両手を合わせて追悼して俺たちは敬礼。そして俺たちの背後には親族、友人、恋人を失って悲しみに暮れていたキャラバンがいたが一番心に刻まれたのは1人の涙を流しつつも必死に堪えようとする少女だ。

 

そんな少女に伊丹は歩み寄り、手を頭に乗せて慰める。少女は感極まったのか声をあげて泣き、お母さんと叫びながら声をあげて泣いた。

 

炎龍撃退には成功した。

 

だが心は晴れなかった。銀座にてエミリアを失い、目の前で大事な人達を失った人達。彼等の気持ちを俺は痛い位に気持ちが分かってしまう。

 

暫くの黙祷を終わらせ、キャラバン隊も出発しなければならないが問題があった。

 

 

「キャラバン隊は近隣の身内の処に身を寄せるか、どっかの街に避難するらしい」

 

「街ったって……知り合いなんていないだろうに……大丈夫なのか?」

 

「だが一番の問題は……」

 

「身内が亡くなった子供やお年寄り、怪我人だな」

 

「薄情ですまぬが、こちらも自分のことで手一杯なのでな………その者らのことまで心配してやれぬのだ」

 

「見捨てるってことか?」

 

 

俺が村長を睨むように言い放つと、村長は被っていた帽子を脱ぎ頭を軽く下げた。

 

 

「………あんたらには心から感謝しておるよ。心から……」

 

 

そう言われると俺は暫く村長を見て、続いて伊丹を見る。俺たちは互いを見て考えが一致したようだった……………。

 




炎龍撃退で発生した難民をアルヌスに連れ帰った伊丹とエース。伊丹は檜垣3佐、エースはシュガート大佐から直々に難民担当を命じられる。
そしてその頃、アルヌスから離れた集落にいたデュランは帝国からの訪問者に怒りと敵意を剥き出しにした。


次回[恨み]
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